松尾潔 筒美京平追悼選曲

松尾潔 筒美京平追悼選曲 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんが2020年10月26日放送のNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で亡くなった筒美京平さんを追悼。「メロウ&グルーヴィーな筒美京平」と題して選曲をしていました。

(松尾潔)こんばんは。松尾潔です。月曜日、夜更けの時間は『松尾潔のメロウな夜』。この番組は「メロウ」をキーワードにした大人のためのミュージックプログラム。僕の大好きなR&Bを中心に豊かで芳醇で色っぽい、そんな大人のための音楽をたっぷりとご紹介します。寝酒のお供に『メロウな夜』。どうかメロウな音楽の魔法に酔いしれてください。今夜、最初にお届けするのは僕、松尾潔のプロデュース作品からです。仲間由紀恵 with ダウンローズ『恋のダウンロード』。

仲間由紀恵 with ダウンローズ『恋のダウンロード』

(松尾潔)お届けしたのは仲間由紀恵 with ダウンローズ『恋のダウンロード』でした。こちらにはリクエストをいただいております。東京都にお住まいの42歳の女性リスナー「ナラキカオル」さん。リクエストとともに筒美京平さんへの思いでがつづられております。ご存じの方も多いと思いますが、日本音楽史上最も多くのヒット曲を生み出した作曲家の筒美さんが10月7日にお亡くなりになりました。80歳でしたね。

「京平先生」といつもの呼び方でお話をさせていただきますが。僕は2002年の暮れだったでしょうか? お声をかけていただきました。もう本当に、それは音楽人生の中でも大変にラッキーな出来事だったんですが。たしか年明けにはじめてお目にかかりまして、何度か交流を取って。そして野口五郎さんの……筒美京平さんにとっては特別な存在ですね。野口さんの曲の制作をお手伝いして。

それからはスタジオ、それから一緒にお食事をすることもよくありましたね。音楽制作における僕にとっての先生のお一人でいらっしゃいます。先ほどお聞きいただきました仲間由紀恵さんの、彼女が出演したCMから出てきた企画物ですが。『恋のダウンロード』という曲。これは2006年。僕がCMの音楽を作ることになって京平先生に作曲をお願いして、一緒に作った曲でした。

筒美京平さん作曲作品というのは「筒美京平」という名義。あとは「Jack Diamond」っていうペンネームとか、いくつかありましたけどもね。全部合わせると7600万枚を超えるセールスを記録しているそうです。もちろんながら、日本の作曲家歴代1位です。もうぶっちぎりですね。そのうち、チャートの1位を獲得した曲が39曲。トップ3となるともう100曲ぐらいあるという風にお聞きしております。

日本のレコードセールスのチャートというのが今の形で整えられたのは1968年。昭和43年のことなんですが。その年の暮れ、『ブルー・ライト・ヨコハマ』ではじめてのチャート1位を獲得されて、2003年のTOKIOの『AMBITIOUS JAPAN!』まで39曲ということですね。今日はそんな筒美京平さんを追悼するプログラムです。お届けする曲はすべて筒美京平さんの作曲ナンバー。ただし今夜、筒美さんのシングル売上トップテン作品というものは1曲も含まれておりません。僕にとって筒美京平さんとは際立って優れたアメリカンブラックミュージックの紹介者なんですね。

この場合、「ブラックミュージック」という言葉が示しているのは彼のルーツとなるジャズ、ソウル、R&B、ディスコ。こういったものですね。昭和の時代としては本当に驚くべき情報収集力とあと編集力。この2つで日本のリスナーの耳にもすんなりと馴染むものへと仕立て上げていったという、そういうイメージがございます。僕自身、「R&Bプロデューサー」と言われることが多いのですが、彼の敷いてくれたレールの上を通ってきたという自覚が強いですし。仮に音楽人生にも戸籍と呼べるものがあるとすれば、僕は1968年生まれですし。『ブルー・ライト・ヨコハマ』生まれだという風に自分で思っております。

今夜は記録や賞とは関係なく、シンプルに僕が好きな曲、強く影響を受けた曲、あるいは一緒に作った曲というのを選びました。これがすべてではもちろんないのですが、筒美京平さんの音楽のある側面ははっきりと表れていると思います。題して「メロウ&グルーヴィーな筒美京平」です。ノンストップでお楽しみください。まずはフィラデルフィア・ソウルのスターグループに書き下ろしたオリジナル楽曲からお届けしましょう。1975年、昭和50年のヒット。作詞、安井かずみ。作曲、筒美京平。編曲、深町純でスリー・ディグリーズ『にがい涙』。

スリー・ディグリーズ『にがい涙』

岩崎宏美『未来』

郷ひろみ『君は特別』

野口五郎『銀座線』

大橋純子『たそがれマイ・ラブ』

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