松尾潔 Suchmosの魅力を語る

松尾潔 Suchmosの魅力を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で日本の若手バンドSuchmosについてトーク。曲を紹介しつつ、その魅力を話していました。

(松尾潔)さて、そんなアメリカ ヒップホップシーン、R&Bシーンで新しい波が起きているそんな時に、日本でも、そうですね。こういったブラックミュージックに影響を受けた人たちが新しい音楽を作り出している。そんな流れが僕、ちょっと最近気になっております。バンド形式でブラックミュージックのグルーヴを体現する人たちがちょっと増えてきているんですよね。で、いまバックで流れておりますSuchmos(サチモス)というグループの『STAY TUNE』という曲。これはまあ、ラジオヒットになっていますけども。

Suchmos『STAY TUNE』

一聴して明らかなように、ジャミロクワイ(jamiroquai)の影響を受けていますね。まあ、ジャミロクワイと言えばね、ある世代の人にとってはね、神様のようなグループかもしれませんけども。その頃に生まれた、平均年齢は23才だそうですけども。Suchmosのメンバーはジャミロクワイであるとかディアンジェロ(D’angelo)であるとか、そういった90年代のアシッドジャズ、R&B、ヒップホップ。そんな世界の人たちからさかのぼるようにして、80年代、70年代のグルーヴを聞き漁っていまの音楽を作っているということだそうです。

まあ、これは理屈としてはよくわかるんですけども。そうか。ジャミロクワイから入っていって、その子たちが楽器の練習をやって、いま、こういう大人が聞いて違和感のない、滑らかな、R&Bと言うよりもソウルを感じさせるグルーヴを奏でているのだなというところに時の流れを感じます。そんなSuchmos。まあ『STAY TUNE』という曲。これがもう彼らのブレイクするきっかけになることは間違いないのですが。

さかのぼって、昨年リリースされました作品の中から、『YMM』という曲をご紹介したいと思います。『YMM』っていうのはね、彼らの地元横浜みなとみらいの略称だそうです。DAIGOさんみたいですね。これね。『YMM』(笑)。ではこの曲、聞いてください。Suchmosで『YMM』。

Suchmos『YMM』

Michael Zager Band『Don’t Sneak On Me』

日本の新しいバンド Suchmosで『YMM』に続きましては、マイケル・ゼーガー・バンド(The Michael Zager Band)の『Don’t Sneak On Me』という曲をお聞きいただきました。Suchmos。『サチモス、サチモス』と言ってますけども、これは『サッチモス』っていうのが語源だそうですね。まあ、サッチモっていうのはもちろん、ジャズの巨人ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)の相性なんですが。それとはスペルが違いますけども。まあ、人を食ったようなこのバンド名を含めて面白いですよね。

あの、Suchmosはやっぱりジャミロクワイをアイドルに挙げているだけあって、生にこだわっているという感じがビンビンに伝わってきます。一度、ライブを見てみたいものなんですが。ライブの動画を見たりしている範囲内で言うと、そうですね。レコーディング作品だけでは魅力が全部わかったつもりになっちゃいけないんだなっていう。それぐらいライブ、面白そうですね。

で、ベースラインとかね、かつて若い時にかじっていた僕からすると、なかなか、なんて言うのかな?老成したプレイを聞かせるんですよね。このSuchmosのベースはね。あと、やっぱりボーカルがこういったシーン・・・日本のこういった音、グルーヴを作る人たちって演奏が上手い人たちが最近多いなって思うんですけど。演奏の上手さに比べると、歌がどうしても少年っぽいっていうところが、僕なんかどうしてもね、マチュアなものを求める耳があるので気になってしまうんですけど。

その点、Suchmosはボーカルにも大人の色気みたいなものがあって。やっぱり90年代の日本のシーンでいうと、オリジナル・ラヴ(ORIGINAL LOVE)なんかを思わせますよね。最初から夜の情景が描けるだけの声を備えているというか。うん。そういったところも僕みたいな、倍ほどの年齢の人間が聞いていて、すんなり親しめる理由なのかな?という気がいたします。

で、その次に聞いていただきましたマイケル・ゼーガー・バンドなんですけど。マイケル・ゼーガーっていうのはね、まあ70年代の終わりから80年代にかけて自分名義の作品ですとか、あとはシシー・ヒューストン(Cissy Houston)ですとか、そういった黒人シンガーのプロデュースで当てた、まあディスコプロデューサーなんですけども。そうですね。当時、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)が『The Dude』ってアルバムを作って、『愛のコリーダ』をヒットさせたりだとか。

あとはまあ、イタリアからチェンジ(Change)。あと、アメリカでもグレッグ・ダイアモンド・バイオニック・ブギー(Gregg Diamond & Bionic Boogie)という、プロデューサー主導の企画物ディスコアルバムもたくさん作られた時期にマイケル・ゼーガーっていうこの方、白人のプロデューサーですけど。この人もこういう作品を作っていたんですね。1980年にリリースされた『Zager』っていうアルバムなんですが。無名時代、まだ20代の頃のルーサー・ヴァンドロス(Luther Vandross)とさっき話したアーヴィング・フィールズ(Irving Fields)が2人でリードをとってますが。

この曲でのベースラインね。ランニングしている感じ。こういうものとつながっちゃうんですよね。Suchmosね。35年ぐらいの隔たりがあるんですけど。もちろん、その間に山下達郎さんのアルバムとかっている間の架け橋となるような存在はあると思いますけどもね。久々に興奮する、そんなサウンドに出会いました。Suchmos。そしてマイケル・ゼーガー・バンド。続けてご紹介いたしました。

<書き起こしおわり>

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