松尾潔 Marques Houston『Complete Me』とBobby V『Big Booty Judy』を語る

松尾潔 Marques Houston『Complete Me』とBobby V『Big Booty Judy』を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でマーカス・ヒューストンの『Complete Me』とボビー・V『Big Booty Judy』を紹介していました。

で、そのヴァネッサ・ホワイトをご紹介した流れで、これから同じようにキッズグループから……まあ、ティーンエイジャーのグループからという意味ですね。ソロシンガーへの道のりを歩む、そんな男性シンガーをご紹介したいと思います。マーカス・ヒューストン(Marques houston)です。マーカス・ヒューストンはこの番組では何度かご紹介しています。彼がもともとバットマン(Batman)という名前で少年時代にメンバーとして長い時間を過ごしたイマチュア(Immature)というグループ。これは僕の大変なお気に入りでした。

イマチュアはその後、IMxという風に名前を変えますけども。もともとイマチュアというのが「マチュアではない」。つまり、「成熟していない」という、少年期を表すどちらかと言うとネガティブな意味合いの言葉を逆手に取って世に出てきたので。「これ、大人になった時にどうやって落とし前をつけるんだろうか?」とね、当時いろんな人が揶揄していたんですよ。「”Immature”の”Im”を取って、”Mature”って改名するのか?」「いやいや、スペリングの遊びで”’”を加えたり、スペースを加えたりして”I’m mature”ってしちゃう」とか。メンバーもそういうことを言ってたのかな? 要は「この子たちって将来どうすんのよ?」っていう。そのぐらい人気のあった彼らなんですが。

マーカス・ヒューストンはその中でも順調なキャリア構築と言っていいでしょうね。マーカス・ヒューストンという本名のソロ名義で着実にリリースを重ねております。ただね、このマーカス・ヒューストン、意外とヒットが「この曲!」っていうのがないんですよね。調べてみますと、ソロアーティストとしてR&Bトップテンを記録したヒットは2005年の『Naked』1曲しかないんですね。

Marques Houston『Naked』

ちょっと意外な気がします。別の見方で言いますと、でも存在感はずっとあるからこうやっていまでも新譜が出るたびに注目されるんだなという気もいたします。なにか、断片とか点で見せるんじゃなくて、やっぱり流れ、線……口語で言うところの「フロー」ですね。そこで見せる歌い手であり、そんな音楽人生なんだなという風に思います。このたびリリースされたシングルのタイトルは『Complete Me』。いいタイトルですね。不完全な自分を真人間にしてくれる存在、そういう人を自分にとってのかけがえのない恋人と呼ぶことにいささかのためらないもない、そんなマーカス・ヒューストン。やっぱり大人な味ですよね。では、聞いてください。マーカス・ヒューストンで『Complete Me』。

sMarques Houston『Complete Me』

2曲続けてキッズグループからソロシンガーへの転身を成功させた、そんな男性をご紹介いたしました。まず、マーカス・ヒューストンで『Complete Me』。マーカス・ヒューストンはバットマンと名乗っていたのはさっきお話しましたイマチュア時代。IMx時代なんですけども。ねえ。いま、いくつなんだろう?って思ったら35才なんですね。まあ、それは若い時ね、バットマンってつけた芸名をそのまま背負って生きるには35って大人すぎますからね。早いうちにマーカス・ヒューストンっていう名義に変更しておいてよかったなって。名義の変更のタイミングを見誤った人っていうのは音楽業界だけじゃなくて、いろんなところにいますからね(笑)。もう後にひけないっていう方もたくさんいらっしゃいますけども(笑)。大人の味わいでございました。『Complete Me』。

続いては、これも新曲ですね。ボビー・Vことボビー・バレンティノ(Bobby Valentino)の『Big Booty Judy』をお聞きいただきました。

Bobby V『Big Booty Judy』

このボビー・バレンティノもこの番組では贔屓にしていますね。いま、バックで流れております『Back To Love』という曲。これも3年ぐらい前になるんですかね? 『メロウな夜』でプッシュしておりました。

ボビー・バレンティノ、ボビー・Vはもともとミスタ(Mista)というグループのメンバーでした。マーカス・ヒューストンが在籍していたイマチュアがLAをベースにしていたのと対照的にといいますかね、ミスタは90年代の半ば以降活況を呈したアトランタの音楽シーンから出てきた人たちでしたね。ボビー・バレンティノ名義になって『Slow Down』という特大ヒットがございました。

Bobby V.『Slow Down』

やっぱりグループ時代はね、イマチュアのヒットの度合い、あとアイドル人気っていうのかな? そこにとても手が届かなかったミスタなんですけど、そのぶんソロになってからは大人のイメージの獲得というのはマーカスよりはスムーズにいったような気がします。ですが、ソロになってからのキャリアの方が、当然いま長いですからね。ボビー・Vもいつも次の一手というのを模索している感じが伝わりますね。結構ね、サウンドを変えてくるんですよね。それを「ブレている」なんていう乱暴な言葉でまとめるつもりはないんですけどね。なんかいろんなトライアルが落ち着かないところを見るとね、この時期を乗り越えてくれ! という風に、年長者としては思いますね。それだけの歌手ですもんね。ボビー・Vはね。

『Big Booty Judy』っていうのは本当に、「大きなお尻のジュディちゃん」っていう、僕がこうやって日本語で言うと身も蓋もないですけども。これは女性の性的な魅力をこういう風に表現することがあるんですね。このR&Bの世界ではね。30代、40代、うーん、そんなポジションに行くんでしょうね? まだまだわかりませんね。

<書き起こしおわり>

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