TBSラジオ『東京ポッド許可局』でマキタスポーツさん、サンキュータツオさん、プチ鹿島さんが時事放談。SMAP解散・分裂騒動について話していました。
(プチ鹿島)あのー、ねえ。1月もまだまだなんですけども。とにかく、大きいニュースありますよね。
(マキタスポーツ)本当だね。
(プチ鹿島)びっくりしました。本当。
(マキタスポーツ)まず何からびっくりしようか?
(サンキュータツオ)SMAPでしょ?
(マキタスポーツ)すごいね。うん。SMAPショック。
(サンキュータツオ)SMAPがもしかしたら解散するかもしれないなんて・・・
(プチ鹿島)っていうのが1月13日のスポーツ新聞に出たんですよね。日刊スポーツ。で、スポニチの最終版で出たんですよ。で、その翌日、14日木曜日に実は週刊新潮がSMAPの解散を書くというので、そこから一気に始まったわけですよ。どう思いました?みなさん。
(サンキュータツオ)いや、でもこんなことあっていいんですか?って思うよね。なんかこう、韓国のアイドルとかだとたまにあるじゃん?でもなんか、そういうのが日本で起こると思わなかったから。ちょっとした災害だと思ってますよ。
(マキタスポーツ)うん。俺はどん兵衛と同じかな?と思って。
(サンキュータツオ)どういうこと?
SMAPとどん兵衛は同じ
(マキタスポーツ)どん兵衛の担当者の方とお話をした時にね、ロングセールスをずっとやっている定番商品っていうのは、もう日清のものではなくなると。お客様のものになると。だからもう、芸能界の中でも定番中の定番のロングセールスを記録しているSMAPさんじゃないですか。だからこれはね、いま降って湧いたようなそういう話にはなっているけど。いろいろ裏ではいろんなことがあるのかもしれないけど。どれは憶測の域を出ないじゃないですか。我々、知らないから。
(サンキュータツオ)うん。
(マキタスポーツ)だけど、俺はこう思いました。やっぱり、『すわ、解散か!?』みたいな感じになっていましたけど、『解散なんかできるわけねえだろ』って思ってました。
(サンキュータツオ)お客様のものであればね。
(マキタスポーツ)お客様のものであればね。っていうか、そんなステージ、簡単に下りられるわけないじゃないですか。あそこのポジションにいる人たちが。もうひとつ思ったことが、日本人のその芸能に対する見方とか接し方っていうのが、ある種、まあジャニーズ事務所っていうものはジャニーズ事務所っていうすごく特殊なものでありつつ、日本人っていうのは芸能をひとつの技芸として。その場だけで見て楽しみとかってことよりも、やっぱり文脈とか、事務所とかの人物相関図とか、そういったものまでも読み解きながらというか、体に入れながら、頭の中に入れながら見ている。
(サンキュータツオ)うん。
(マキタスポーツ)だから、『お家騒動』っていうような書き方ですごく書かれるわけじゃないですか。で、またお家騒動なんて言葉をリードで引かれるとですね、みんなときめいちゃう。
(サンキュータツオ)(笑)
(プチ鹿島)まあ、だって大塚家具であれだけ盛り上がったわけですから。
(マキタスポーツ)そうそう。だから俺は、いわゆる日本人、また独特の消費の仕方で。なるようになる。落とし所というものがちゃんと見つかり、そこにスポッと最終的には収まるんじゃないかな?と最初から思いましたけどね。
(サンキュータツオ)鹿島さんは、どう思ってます?
(プチ鹿島)僕は今回ですね、もうSMAPというよりは僕、スポーツ新聞とか週刊誌とか大好きじゃないですか。本当にあの、読み比べというか、味わう超弩級の物件だったですね。僕、朝起きてまず朝刊。スポーツ紙もいろいろありますから。朝刊スポーツ紙というのを読むわけですよ。で、だいたい夕方になると、ちょっとゴシップの匂いが、配分が強くなるタブロイド紙とか、東スポ。東京スポーツが発売されるわけですね。
(サンキュータツオ)うん。
超弩級のスポーツ新聞読み比べ案件
(プチ鹿島)で、僕、いきなりそこから読むのは嫌いなんです。まず前提として朝刊スポーツ紙っていうのはやっぱり芸能班がいますから。なんか事務所とのお付き合いが深いですから。昨日、芸能界であったことを書いてくれる。だから、王道の記事ですよね。それを読んで、『あれっ?』って思ったことをほじってくれるのが、本当かどうかわからないですけども、夕方のあれなんですよ。で、そこに週刊誌が関わってくるっていうので。僕は今回、一言で言うと、情報戦の面白さを堪能したんですね。
(サンキュータツオ)情報戦の面白さ(笑)。
(プチ鹿島)いや、本当そうですよ。だって、そもそもが木曜日に出る週刊新潮にどうやらSMAPが分裂の危機にあるらしいぞ?っていうのがあって。で、水曜日のスポーツ新聞が一斉に書いたわけですから。これ、どういうことか?っていうと、よく週刊誌にスキャンダルとか載る場合、書かれる側のタレントとか事務所が前日に会見しますよね?
(サンキュータツオ)うん。
(プチ鹿島)あれってどういうことか?って言ったら、もう出る前に当事者がもう会見して。『あの記事じゃなくて、こっちの言ってることが本当ですよ』っていう一種の防衛策じゃないですか。もしかしたら、それが水曜日のスポーツ新聞で行われたのかな?って思って。だから、週刊新潮に書いてあることと、スポーツ新聞に書いてあることの落差をほじっていけば、読み比べができるわけですよ。
(サンキュータツオ)ほう。掘り下げてみて、どうでした?
(プチ鹿島)だって、そうでしょう?スポーツ新聞、いろいろ書く見出しありますけど、じゃあこれ、誰が書いてるの?誰が得してるの?っていうところから考えると、すごく面白いんですよ。じゃあ、別の例を出してみると、去年の9月末、あるスポーツ新聞に『原監督今期解任』っていう記事がドカーン!と出たんです。まだ巨人がクライマックスシリーズで、日本シリーズに出るチャンスがまだあった時ですよ。
(マキタ・タツオ)はい。
(プチ鹿島)そういう記事がドカーン!と出たんです。で、『解任』っていう、すごいじゃないですか。だって、優勝を争っているのに。で、『後任 江川』って出たんです。で、これが後からいろんな人に聞いてみると、情報戦だったらしいんですね。つまり、原監督と仲のいい記者さんが、要は『来季の契約の話がいまだに原さんに来ていない。このまま解任されちゃうぞ、いいんですか、みなさん?』っていう世論に訴えるための記事だったらしいんです。いろいろ聞いてみると。
(サンキュータツオ)うんうん。
(プチ鹿島)つまり、原サイドにとってその情報がバーン!と出ると、世論の風向きが変わるんじゃないか?っていう、そういう記事だったんですね。それは、ぜったいに芸能界でも行われてないわけがないじゃないですか。だから僕、いろいろスポーツ新聞読んだらね、これ、どの立場でどういうソースで書いているのかな?と思うと、いい悪いとかじゃなくて、面白かったんですよね。やっぱり週刊新潮はどちらかと言うと、事務所側とあれを両論併記で書いているんですけど。スポーツ新聞はやっぱり『4人がこれだけ恩があるのに出て行く』みたいなのに批判的で。『それを仲介するのがキムタク』みたいな感じで。
(サンキュータツオ)なるほど。たしかにそういう文脈で語られてますね。
(プチ鹿島)だからこれ、僕、メモっちゃったんですけど。スポニチがね、もう水曜日。記事が出た時点でこんなことを書いてるんですよ。キムタクのことをですね、『木村は「ジュニア時代に引き上げてくれたのはジャニー社長で、そもそもSMAPを作ったのもジャニー社長。給料などあらゆる面でいちばんの支えはメリー副社長であり、その2人に恩義はあれど何の確執もないのに退社する意味がない。これでは筋が通らない」という考え』って。すごく詳しいじゃないですか。キムタクの心情に。
(サンキュータツオ)詳しい!
(プチ鹿島)で、この後、書いてるんです。『歴史的背景に基づく思いから退社を選ぶものと、人としての筋道を重視して残るもの』って。ちょっとこれ、僕ザワッとしたんですよ。『人としての筋道を重視して残るもの』って、かなりこれ・・・じゃあ4人は筋道を通してないっていう、批判的なニュアンス、あるでしょう?
(サンキュータツオ)うん。
(プチ鹿島)だからこういうたぶん・・・じゃあこれが誰に沿って書いているのか?とか、ソースはどこか?とか。そりゃそうですよ。だって、事務所担当いますから。これ、批判じゃないですよ。たぶんそういうのを誰が書いているのかな?っていうのを想像すると、事態が硬直したままで、動きようがない。で、週刊新潮に書かれた。だったらもう、スポーツ新聞に書いてもらおうっていうのがあったと思うんですよ。
(サンキュータツオ)なるほど、なるほど。
(プチ鹿島)だから、スポニチで最後、読んでみるとこんな言葉が載っているんですよ。『SMAP分裂回避の鍵は世界に一つだけの”絆”』っていうのがね。
(マキタスポーツ)(笑)。親父ジャーナル!
(プチ鹿島)この時点で『分裂回避の鍵は一つの”絆”だよ』っていうのを書いているっていうのは僕、すごく意味合いがあるなと思ってるんですよね。で、ただいろんなスポーツ新聞を読むと、それでもやっぱりあの4人に対して厳しい論調っていうのはあるわけですよ。『一度「出て行く」って言ったものを、もう事務所側は絶対に許すわけにはいかない』っていうのは繰り返し繰り返し書かれているわけです。
(サンキュータツオ)ああー。
(プチ鹿島)でも、そういうこと書かれたら、どうしますか?
(サンキュータツオ)どうする?
(プチ鹿島)世論が動くしかないですよね。
(サンキュータツオ)そうだよね。だから『SMAPやめないで!』みたいな。
(マキタスポーツ)俺、だからそのいまの時代と、ネットとかが普及してる時代にあって、雑誌とか新聞とかが記事としてあげているものの裏側を読むことなんてもう、平気でやるわけじゃないですか。で、そこがぜんぜんたとえば芸能界寄りの記事とかを作らざるをえないっていう、たとえば文脈とか裏側とかを読むぐらいの能力がある人はゴマンといるわけで。その人たちに対してだよ、そういう目線がないまま御用記事みたいなものだけバンバンバンバン、プロパガンダよろしく出されているっていうことがある世の中で。そんなね、最悪のシナリオのところに俺、行くわけがないって。無視できないから。ネットの声とか、たぶん。
(プチ鹿島)だからこれ、13日の時点でスポニチは最後、こう書いて記事を締めてるんですね。『事態を打開するのはファンや世間の声かもしれない』。つまりもう、『事態はこのままだと動かないから、公にして、ファンが「解散するな!」っていう声で事態は変わるよ』っていうことは、むしろそれを願っている人たちがいるってことですよね?
(サンキュータツオ)なるほど、なるほど。
(プチ鹿島)そうじゃないと、事態は動かないってことですよね。
(マキタスポーツ)だから今回さ、こういうことが起こってさ、なんかやっぱさ、大きくわけて3つに分かれると思うんだけどさ。めちゃくちゃセンチメンタルなことを、自分とかSNSとかで書いてるような人たち。
(サンキュータツオ)『私とSMAP』みたいな。
(マキタスポーツ)ものすごいセンチメンタルなことを・・・それはいわゆる『ご冥福を祈る論』みたいなのと同じだよね。
(サンキュータツオ)『ご冥福論』と一緒だよね。
(マキタスポーツ)そう。っていうのと、あと、すっげー、なんでお前そこまで詳しいんだよ?みたいな。しかもドス黒い感じの思惑とかみたいな感じのことを深読みして、穿ってそういうことを言っている人たちと。だけど俺はバカにしてはいけない、もうちょっとちゃんとリテラシーがあるような人たちが、ちゃんと読み込んでいる。それはPK(プチ鹿島)みたいなさ、そこまで精緻に読み込まなくてもさ、感覚としてわかっているような人たち。だから、もうだっていま、我々のSMAPがそんな解散するわけにいかないじゃない?
(プチ鹿島)そうですよ。
(マキタスポーツ)で、それなのに、そういう変な意味での八百長感で記事が出てきてるっていうことに関して言及している人たちもいるわけだ。その3つに分かれていた。うん。
(サンキュータツオ)俺さ、でもさ、SMAPってなんか、俺の中でなんだけど、終わらないアイドルだと思っていたの。なんかアイドルって終わりを見るジャンルだと思っていたんだけど。なんだろう?SMAPだけは、割と試験的なサンプルとしても、なんか50、60になってもSMAPっていう存在が生き続けることによって、それを試金石に多くのアイドルとかが割と延命を図るようになるのかな?と思ったんだけどね。
(マキタスポーツ)うんうんうん。
(サンキュータツオ)だからなんかSMAPが揺れ動くっていう事態が、なんだろう?自分の中では、南海とか近鉄がなくなる時の感じとすごい似てる。だって、球団がなくなるなんて思いもよらなかったけど、南海ってなくなるの!?みたいな。近鉄、なくなっちゃうの!?みたいな。ちょっとその喪失感に近いものがありましたよね。こういうこと、あるんだ!みたいな。
(プチ鹿島)僕は本当にあのスポーツ新聞の報道っていうのは、ある種ですよ、僕は一つのセレモニーかな?と思ったんです。だって、出た13日水曜日の午後に、もうジャニーズ事務所がいままではそういう解散報道とか出ても黙殺していたものが、『たしかにこの件について協議・交渉がなされている事実は存在します』って認めたわけだ。認めたってことは、『さあ、どうするんですか?世間のみなさん』っていう。ボールがこっちに来たわけですよ。
(サンキュータツオ)うん。
(プチ鹿島)じゃあ、『解散しないで!』ってなるじゃないですか?ただ、そうすれば、勝手にもう解散・分裂を回避するっていう動きに、みんなががんばってくれますよね。だって、『事務所としては「じゃあ4人、戻っておいで」っていうのは許さないよ』っていうのが一方で記事が出てるわけだから。最終的にはそういう、世論に動いてもらうしかないですもんね。
(サンキュータツオ)そっか。
(プチ鹿島)で、4人にはしばらくの間、恥をかいてもらうしかないですよね。ひとつの禊ですよね。
(サンキュータツオ)だから本人たちから頭を下げるっていう、もう世論を背景に、『やっぱり戻ります』っていうテイをなすとか、そういう感じしかないみたいな。
(プチ鹿島)だからこれ、こういうコメントが出た時点で、やっぱり『じゃあ世の中のみなさん、どうしますか?』っていうボールが来たんだなとは思って。もうあのコメントが出た時点でちょっと、ああ、今回はちょっと特殊だなって思いましたね。
(サンキュータツオ)うん。また1個、いいドラマになりましたよね。
<書き起こしおわり>