ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『荻上チキ Session22』に出演。荻上チキさんと塚本晋也監督の映画『野火』について話していました。
(荻上チキ)で、その後に映画評では『野火』を。
(宇多丸)『野火』、やりました。楽しかったです。『野火』はね。
(荻上チキ)この番組にもね、監督、お越しいただきまして。
(宇多丸)塚本晋也監督。必見だと思いますよ。
(荻上チキ)うん。そうですね。ああいった、なんでしょう?この70年っていう節目っていうのが、『これはたまたまだ』と監督はおっしゃってたんですけど。ああした力のある作品が出てくると、なんか他のいろんなちょっとした美化するような傾向のものとかを一気にふっ飛ばしますね。
(宇多丸)まあ、ふっ飛ばすのもそうだし。ただ、塚本晋也監督。『野火』を作るのに、お金が集まらなくてびっくりする超低予算というか。たぶん我々が想像するよりはるかにキツいやりくりでやられているから。そう考えると、バランスはまだぜんぜん悪いなって思いますね。
(荻上チキ)ああ、ええ。ええ。
(宇多丸)そりゃあ『永遠の0』をやるなとは言いませんよ。
(荻上チキ)僕は何にも言ってないですよ(笑)。
『永遠の0』との扱いの差
(宇多丸)その百田尚樹さん、山崎貴。このコンビに対して、大岡昇平、塚本晋也。ねえ。大岡昇平ですよ?
(荻上チキ)そうですよ。
(宇多丸)世界の塚本晋也ですよ?なのに、この予算と公開バランス。
(荻上チキ)おおー。
(宇多丸)これはやっぱりね、いや、結構な話ですよ。『永遠の0』、結構な話じゃないですか。
(荻上チキ)資本主義ってなんだろうな?みたいな。
(宇多丸)百田尚樹さん、結構ですよ。いや、髪型なんかも一緒ですしね。
(荻上チキ)(笑)。共通点、ありますからね。
(宇多丸)共通点、あります。なんだけど、バランスは決してまだね、取れてないと思います。見た人にとってはもちろん『野火』、圧倒的な作品なんですけど。やっぱ数で言えばね。
(荻上チキ)あれ、地上波では難しいって判断されそうですよね。テレビ局とか。
(宇多丸)うーん・・・ちょっと想像つきづらいですね。あれこそ本当に、たとえば学校で見せたらちょっと嫌になっちゃうかもしれないけど。
(荻上チキ)道徳の授業とかで。
(宇多丸)でも、若者たちにこそ見てほしいというか。
(荻上チキ)うん。
(宇多丸)それこそ、武藤さん?武藤議員なんか見ていただきたいですね。これね。
(荻上チキ)ああ、そうですね。
(宇多丸)『滅私奉公』って言うなら、このレベルまで滅私奉公していただきたいっていうね。
(荻上チキ)ええ。『利己的ってなんだろう?』ってことを考えるきっかけということで。
(宇多丸)そうそう。そうでございます。
<書き起こしおわり>