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町山智浩 映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』を語る

町山智浩 映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』を語る たまむすび
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(町山智浩)ねえ。で、この映画の中でもライブ行って、女の子をバンバン集めて、ドラッグやりながら機関銃を撃ったりしているシーンが出てくるんですけども。ツアーでね。だからもう、とんでもない怖い感じがするでしょう。ものすごく。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ところがこの映画は、彼らがバンドを結成するあたりをすごく緻密に描いていくんですけども。そうじゃないっていうことがわかるんですよ。

(赤江珠緒)そうじゃないんですか?

(町山智浩)そうじゃないんですよ。で、このグループですね、センターの人がですね、いま、『センター』って言いますよね?真ん中に立っている人ね(笑)。センターはイージー・E(Eazy-E)というですね、身長160センチちょっとしかないかわい子ちゃんなんですけども。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)そのイージー・Eくんだけは本当のギャングだったんですね。

(赤江珠緒)えっ?イージー・Eくん、むしろ顔はちょっと幼い感じですけども。

(町山智浩)幼い、かわい子ちゃんなんですよ。身長も高くなくて。ただ、彼はドラッグとかを売っていたんですけども。でも、このグループの中心メンバーであるドクター・ドレっていう、ビーツを作った人ですね。と、アイス・キューブ(Ice Cube)っていう・・・ドクター・ドレの方はね、音楽のリーダーなんですけども。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)もう1人ですね、アイス・キューブっていう人がいましてですね。この人は、歌詞とか思想面のリーダーなんですね。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)この2人はぜんぜん不良じゃないんですよ。

(山里亮太)えっ?

アイス・キューブとドレは不良ではない

(町山智浩)ギャングでもなんでもないんですよ。で、それをちゃんと描いていくのがこの『ストレイト・アウタ・コンプトン』っていう映画なんですけども。彼らはすっごく非常に危険なコンプトンの、サウスセントラルの、ギャングたちの巣みたいなところで生まれ育っているんですけども。お父さん、お母さんがすごくいい人だったんですね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、ちゃんと一生懸命働いて。お金もあったし。中産階級なんですよ。

(赤江珠緒)ふんふん。

(町山智浩)で、しかも子供たちはこのままだと、こんなところで学校に行ったらみんなギャングになっちゃうからっていうことで、越境で通学させているんですよ。いい学校に。

(赤江珠緒)あ、そうなんですか。

(町山智浩)偏差値の高いところに送ってるんですよ。まあ、ドクター・ドレの方はですね、音楽が好きすぎて勉強しなくなっちゃうんですけど。このアイス・キューブっていう人の方はちゃんときっちり勉強して。しかもその後、工科大学の建築学科に入学してるんですよ。

(赤江珠緒)えっ?すごいな。むしろインテリ・・・

(町山智浩)優等生なんですよ。勉強、できるんですよ。この人。ただ僕、会ってますよ。この人。アイス・キューブっていう人には。4年ぐらい前ですけど、映画に出たんでインタビューしたんですけども。もう、すごく真面目な映画俳優なんですね。アイス・キューブっていう人は、いま。

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(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、『あの頃、すっごい過激な歌で「Fuck Tha Police」とか歌ってましたよね』とかっていう話をしたら、『でも俺、ギャングの経験ないし』ってはっきり言ってましたね。『優等生だったし』ってはっきり言ってましたよ。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですね。

(山里亮太)FBIに目をつけられたのに。

(町山智浩)『Goog Studentだった』って言ってました。しかも、理系。

(赤江珠緒)ねえ。

(山里亮太)真面目。勉強、いっぱいしなきゃいけないんだよ。工科大学の理系って。

(町山智浩)そうなんです。ただ、それがこういうことを歌うようになったきっかけだったってことがわかるんですよ。この映画を見ると。彼はすごく真面目に勉強していい学校に行って、まともになろうとしているのに、彼が歩いているだけで警官がいきなり、『なんだ、お前!なんか悪いことやってんだろ!?』って殴って、ねじ伏せちゃうんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)なんにもしてないのに。

(赤江珠緒)いや、だっていまだってね、そういう事件が結構ありますもんね。

(町山智浩)そうなんですよ。要するに、黒人だっていうだけで、若い黒人が歩いているっていうだけで、『テメー、なんか悪いことやってんだろ!?』って警官がいきなり来て、ボコボコにするんですよ。

(山里亮太)ニュースとかになりましたね。最近でも。

(町山智浩)そうなんですよ。もう、昔からぜんぜん変わってないんですけども。で、この『Fuck Tha Police』っていう歌はすごく過激なタイトルで大問題になって。まあ、デトロイトでライブをしている時に警官隊がですね、まずライブを始める前にN.W.A.のメンバーに『もし、あの「Fuck Tha Police」を歌ったら、お前ら、生きて帰れねえぞ!』っていう風に脅しをかけたんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)ところが、ライブでずっとやっているうちに客が、まあいちばん売れている曲だから、『「Fuck Tha Police」をやれ!』ってもう、大騒ぎになるんですね。で、『これは、やるしかねえか!』ってことで歌い出したら、いきなり銃撃が始まって。

(赤江・山里)えっ!?

(町山智浩)ものすごい数の警官がブワーッとステージに上がってきたっていう事件があったんですよ。

(山里亮太)じゅ、銃撃!?

(町山智浩)そう。彼らは歌っていただけなのに、その場で逮捕されて手錠をかけられたりしてるんですけど。

(赤江珠緒)いやー・・・

(町山智浩)そのぐらい、警官とのものすごい対立になっていくんですね。この歌がきっかけで。で、ただ、この歌の内容は実は『ギャングだぜ!』っていう歌じゃないんですよ。歌詞が。これは、彼ら自身がレコーディングをしてるっていうシーンがでてくるんですけど。この映画の中で。レコーディングをしている時に、ちょっとお昼を食べながら、道端で話をしていたら、いきなりパトカーが来て、『全員、そこに伏せろ!』とか言って。『なにメシとか食ってんだよ、道端でよ!?』みたいな感じで、ボコボコにされるんですよ。警官に。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、『俺たち、レコーディングをしてるんですけど』『知ったこっちゃねーよ!』みたいな感じで、警官にやられて。それを、頭に来て歌ってるんで。歌詞の内容が、『俺たちは黒人だというだけで警官に殴られる。車の中をあら探しされる。警官どもは、黒人と見りゃあみんな、ヤクの売人だと決めつけてやがる』っていう歌詞なんですよ。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)だから逆に言うと、『俺たち、ギャングじゃないですよ』っていう歌なんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。その理不尽な扱いに対しての、真っ当な言い分ですな。

理不尽な扱いに対する言い分

(町山智浩)そうなんですよ(笑)。で、もともとギャングスタ・ラップっていう歌を出した時も。最初の『Boyz-n-the-Hood』っていうレコードを出した時も、イージー・Eっていう友達のチンピラが面白いんで、彼の生活を歌詞にしただけだったんですね。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)だからまあ、アイス・キューブ自身はそういう人じゃないんで。だから、実はすごい凶悪な音楽だって言われてるけど、そうじゃないことがちゃんとこの映画を見るとわかるようになっているんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)あまりにも理不尽だったということで。それで、大ヒットしてですね。まあ、すごいバンドになるんですけども、ここにまた白人のマネージャーが入ってきて、彼らを騙して、お金をとっちゃって。アイス・キューブは全米ツアーをしてるのに、わずか200万円しかもらえなかったりとかしてですね。搾取されて。で、まあグループはバラバラになっていくんですけどもね。

(赤江珠緒)じゃあ、まだ再結成はされていないんですか?

(町山智浩)あの、これはですね、1995、6年にですね、再結成しそうになったんですよ。N.W.A.っていうのは。それまでね、要するにお金を巡ってケンカしちゃったから。3人とも。そのドクター・ドレとアイス・キューブとイージー・Eは。ものすごい、ディスり合戦になったんですね。ビーフっていうんですけども。『おめーら、ひでー金をとりやがって!』みたいな感じで。それを互いにラップで歌って。すごい抗争があったんですけども。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)95年ぐらいにそのイージー・Eがみんなを仲直りさせて、再結成しようとしたんですよ。ところがそのイージー・Eっていうのはね、あまりにも遊びチャラけてて。エイズになって死んじゃうんですよ。

(赤江珠緒)えっ!?

(町山智浩)で、再結成できなかったんですよ。

(赤江珠緒)そうかー・・・

(町山智浩)そうなんですよ。で、まあ、『うわー、悲惨だな』と思うんですけど。特に最初、みんな仲がいいんですよ。幼なじみだから。で、それが一緒になんかやろうぜ!ってことでもってバンドをやるあたり、こういう話って泣けるじゃないですか。

(赤江珠緒)青春ですよ。本当ね。

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