町山智浩『マッドマックス:フュリオサ』を語る

町山智浩『マッドマックス:フュリオサ』を語る こねくと

町山智浩さんが2024年5月28日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『マッドマックス:フュリオサ』について話していました。

(町山智浩)そういう映画……今日、紹介する映画もちょっとそういう映画なんですけど。今日、紹介するのはですね、『マッドマックス:フュリオサ』という映画なんですよ。

(曲が流れる)

(町山智浩)すごいエンジンの爆音がバーッと響きましたね。これはですね、2015年に公開された映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の前日譚なんですね。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』っていうのは『マッドマックス』シリーズの続きなんですけれども。マックスで主人公がいて、彼がヒーローでずっと続いてきたんですけれども。『怒りのデス・ロード』はマックスは脇役なんですよ。で、フュリオサという女性の女戦士が主人公になってまして。ただ『マッドマックス 怒りのデス・ロード』っていう映画はこれ、ストーリーをざっと説明すると、核戦争で地球の文明が完全に壊滅して。もう水とか食料とか石油が非常に貴重な状態になった荒野で話が進行するんですけども。

そこで、とにかく法律も国家も何もなくなってるんで、暴力だけが支配する弱肉強食の世界で。馬の代わりにバイクとかトラックで西部劇をするっていう話が『マッドマックス』シリーズですね。簡単に言うと。『北斗の拳』に一番、影響を与えてますね。はい。『北斗の拳』の前に『マッドマックス2』っていう映画があって。そこで「ヒャッハーッ!」とか言いながらモヒカンの人がバイクで走ってきて悪いことをするという映画だったんで。それが『北斗の拳』になったわけですけれども。それで、一番最初の『マッドマックス』は地球滅亡前の世界だったんですけどね。1978年に公開されて大ヒットしてずっと続いてるんですが。もう何年、続いているんだ? 1978年だから、とんでもなく長く続いてますが。一番わかりやすいのは、僕が高校生でした。

(石山蓮華)うわーっ! 「うわーっ」って言うのもなんですけども。

(でか美ちゃん)青春とともに『マッドマックス』が始まり。

1978年から続く人気シリーズ『マッドマックス』

(町山智浩)そうなんですよ。で、『マッドマックス』は最初の1作目はマックス扮する交通警官が……パトカーの警官なんですけど。奥さんと子供を悪い暴走族に殺されて。その暴走族に復讐をするっていう話だったんですね。で、監督はジョージ・ミラーっていう人で、この人はお医者さんだったんですよ。外科医で、救急病院で働いていて。で、オーストラリアって北海道の何十倍もある広いところで。その荒野では誰も交通法規を守らないということで。人もいないしね。だから、ものすごい交通事故が多くて。そこで、彼は救急病院で働いていたんで。「これは大変なことだ」ということで、ホラー映画なんだけれども、ナイフとかそういったもので殺しに来るんじゃなくて、自動車とかバイクで殺しにくるっていう話を作るっていう。ホラー映画の基本的な殺人者とか怪物が出てきてっていうのを全部、暴走族に置き換えてるんですよ。

(石山蓮華)へー!

(町山智浩)だからものすごく強烈なんですよ。バイオレントで。あと、スピードがめちゃくちゃオーストラリアだから、速いんですね。カーブとか、ないわけですから。何十キロも。だから『マッドマックス』を見た後はね、ハリウッドのカーチェイスが徐行に見えますよ。本当に。そのぐらいのスピードで。時速100キロ、200キロでやってるんで、すごかったんですね。『マッドマックス』1作目はご覧なってますか?

(石山蓮華)私はですね、『怒りのデス・ロード』だけ、見たことがあります。

(でか美ちゃん)私はないんですよ。『マッドマックス』シリーズ。ブームに乗りそびれました。『怒りのデス・ロード』の時も。この時期、本当にお金なくて(笑)。公開年を見たら、すごい思い出しました。

(町山智浩)言ってくれれば僕がチケットぐらい、なんとかしたのに(笑)。

(でか美ちゃん)9年前ですもんね? めちゃめちゃ金がなかった時期で、ブームに乗りそびれました。

(石山蓮華)私もお金なかった……。

(町山智浩)いや、でもその価値のある映画ですよ。『怒りのデス・ロード』はね。

(でか美ちゃん)だから今回のが楽しみなんですよ。すごい。

(町山智浩)僕、『マッドマックス』を見た時が高校生で。免許を持ってなかったんですけど。もう、思わずバイクの免許を取りましたね。

(でか美ちゃん)すごい影響を受けてる(笑)。

(石山蓮華)それで取ろうって思ったんですね!

『マッドマックス』を見てバイクの免許を取得

(町山智浩)悪役なのに(笑)。暴走族、悪役で。マックスに皆殺しにされるんですけど。なぜか、バイクの免許を取りたくなったんですね。いや、そのぐらいねバイクの疾走感がよく出てる映画なんですよ。で、その後に『マッドマックス2』が核戦争後の世界になって。そこでマックスが活躍してたんですけども。3作目はね、『サンダードーム』っていうんですが。核戦争後の世界で、そこを支配している女王がいて。そこでサンダードームという闘技場がありまして。ローマの闘技場みたいな。そこで命をかけた殺し合いが行われるっていう話が『マッドマックス』3作目の『サンダードーム』なんですよ。で、僕はそれに参加してます。

(でか美ちゃん)ええっ? 待って。すごい語弊ある気がする(笑)。そんなわけないんだから。

(町山智浩)いや、あのね、アメリカの砂漠で毎年『マッドマックス』のような核戦争後の無法地帯を再現するっていうイベントが行われてるんですよ。『Wasteland』っていうんですけども。そこに改造バイクを持ち寄った人たちがマックスのコスプレをして、サンダードームで戦ったりしてるんですよ。

(石山蓮華)戦ったんですか?

(町山智浩)僕、戦ったんです。

(石山蓮華)えっ、町山さんはどうやって戦ったんですか?。

(町山智浩)あのね、武器はね、柔らかいスポンジの刀で戦うんですけども(笑)。

(でか美ちゃん)この現実にはちゃんとね、法とかもあるから(笑)。

『Wasteland』サンダードームで戦った町山智浩

(町山智浩)そうそうそう(笑)。でもね、ワーッてやってるうちにね、手の骨が折れてたんです(笑)。

(石山蓮華)ええっ? 本当に怪我してますね。町山さん!

(町山智浩)大怪我をしてね(笑)。

(石山蓮華)大丈夫でした?

(町山智浩)ちゃんと僕、『マッドマックス』の世界のようにモヒカンで参加してるんですけども。

(石山蓮華)今、手元に町山さんのXからお借りした写真があるんですけど。パッと見ても町山さんだって、全然わかんなかったです。モヒカンで目の周りが真っ黒。パンダみたいになっていて。で、格好もマッドマックス感がありますね。

(町山智浩)『北斗の拳』であっさり殺されるザコのキャラになってますけども。

(でか美ちゃん)「ヒャッハーッ!」って言ってそうな感じの町山さんがいますけども。

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