町山智浩 おすすめ戦争映画を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、おすすめの戦争映画3本を紹介。第二次大戦を描いたドイツ、ポーランド、日本の作品について話していました。

(町山智浩)今日もね、ちょっと怖い映画のお話をするんですけど。やっぱりお盆ということと、終戦、敗戦70年目ということでですね、戦争映画の話をしたいんですよ。でね、もうひとつはね、アメリカ、夏休み映画シーズンが終わって、新作映画が公開されてないんで、ネタがないっていうこともありますが(笑)。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですね。

(町山智浩)ただね、やっぱりね、戦争映画の話をしたいなと思って。すごく変な話ですけど、いま、みんな自分が見たい映画しか見ないでしょ?

(山里亮太)まあ、そうですね。

(町山智浩)ねえ。ビデオで見るにしても、映画館に行くにしても。自分が見たいと思う映画を見に行くじゃないですか。でも、僕が子どもの頃って、違ったんですよ。テレビでやっていたから。映画が、ものすごい数で。だから見たくなくても、偶然見たりとか。なんだかわからないで見ちゃったりすることが多かったんですよ。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)そういうことっていま、ほとんどないと思うんですよね。で、今日紹介する3本っていうのは、そうやってみた映画なんですよ。僕が子どもの頃に。で、戦争映画っていうと、たとえばアメリカ製、ハリウッド製の戦争映画っていうと、まあアクションじゃないですか。すごい、楽しい。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)ねえ。悪いドイツ軍とか、日本軍をやっつけて、めでたしめでたしで終わるのがほとんどなんですね。でも、そういう映画はお金だして見に行くかもしれないですけど。そうじゃない映画っていうのは、やっぱり嫌な形で。戦争っていうのは嫌なもんですから。嫌な終わり方をするから、わざわざお金を出して見ないよってことがほとんどじゃないですか?

(赤江珠緒)うーん。

(町山智浩)ちょっと重いなと。でも、子どもの頃は、毎日テレビで・・・僕が子どもの頃っていうのは1960年代終わりから70年代なんですけど。毎日テレビで5本ぐらいの映画が放送されていたので、見ちゃうんですよ。で、すごいショックを受けて。その映画を3本、ちょっと紹介させていただきたいんですけど。いま、夏休みでお盆なんで、まあDVDとかで見に行く時に、ちょっと、一応こういう、戦争が終わった時だから、ちょっと見ておくかってことで勇気を出して見てほしい映画3本です。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)でね、1本目はね、すごく珍しいドイツ製の戦争映画の『橋』っていう映画をちょっと紹介します。

ドイツ製戦争映画『橋』

(赤江珠緒)『橋』。はい。


(町山智浩)これ、1957年で、敗戦から12年目にドイツで作られた戦争映画なんですけど。ドイツっていうと、第二次大戦についての映画だと、たいてい悪役じゃないですか。ねえ。ナチスドイツでアメリカ軍にバンバンやられて。悪いやつだ!っていう話ばっかりなんですけど、これはそのドイツの側から見た戦争なんですね。

(赤江珠緒)あー。

(町山智浩)でね、これ、要するにまあ戦争が終わりかけてて、アメリカ軍とか連合軍がドイツ国内に入ってきたところなんですよ。話は。で、田舎町に幼なじみの7人の、15才だから中学生がいるんですね。で、だんだん敵が近づいてくると。彼らは幼いから、ナチスの教育を信じていて。もう、ドイツは絶対に負けない!ドイツは正しい!と信じているわけですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、そこにアメリカ軍が入ってくると。で、『早く戦争に行きたい!』っつってるんですけど、年齢が合わないんで戦争に行けないんですよ。まだ15だから。そしたらもう、国を守らなきゃなんないっていうことで、その中学生まで徴兵されちゃうんですね。

(赤江珠緒)なんか日本と同じような状態になっていたんですね。最後の方はね。

(町山智浩)そうなんですよ。で、全員その中学生が招集されるんですけど。そこで行くそれぞれの7人の子どもたちの、どんな人生か?って描かれていくんですけども。たとえば、戦争に行きたいって思っている子は母子家庭で。まあ、お金が出ますからね。兵隊に行くと、ある程度。お金目当てで行きたいと思う子とか、あと、みんなにいじめられいてバカにされているから、勇気を示すために行きたいとか。それぞれの事情が説明されていくんですけども。要するに、こういう状態ですから、まったく訓練されないまま戦場に送り出されちゃうんですよ。

(山里亮太)ほー!

(町山智浩)で、軍服とかもブカブカなんですね。その時に、『これはかわいそうだ。ぜったいに彼ら、死ぬぞ』と思った上官がですね、彼らを、戦略的にまったく重要じゃない、彼らの生まれ育った故郷の町の橋の防衛にあてるんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、ここはまあ重要じゃないから、なにも来ないだろうと思って。かわいそうだからそこに配置するんですけど、そこにアメリカのシャーマン戦車3台がやってきちゃうんですよ。で、7人は自分の故郷ですから。故郷を守るために必死に子どもたち、戦うんですけども。ほとんど素人同然なんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)だからたとえば、本当にババババッて撃たれるんですけど、『臆病』って言われたから、臆病でないことを証明するために、ただ突っ立っていて殺されちゃうんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)それとかもう、武器の使い方もわからないんで、みんな、ただの素人の子どもたちが必死に戦ってどんどん死んでいくっていうすごい映画なんですよ。これがね、ドイツ映画の『橋』っていう映画で。これを見た時、僕はやっぱり中学生ぐらいだったんで、ものすごいショックでしたよね。

(赤江珠緒)ほぼ同い年で。

(町山智浩)ほぼ同い年ですよね。みんなその、ドイツ軍、ドイツっていうのは悪い国だって思っているけど、そうじゃないんだよってところって見たことないんですね。あんまり映画でね。で、しかもね、その橋がね、全く重要じゃなくて。守る価値がないってあたりも、本当に皮肉でね。まあ、ラストシーンは言わないですけども。本当にやるせない形で終わるんですが。でも、その子どもたちは本当にキラキラと爽やかなんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)この『橋』はね、DVD出てますんで、ぜひね、見ていただきたい映画なんですけど。で、もう1本はですね、『地下水道』っていう映画ですけど、1956年の映画ですね。


(赤江珠緒)ふんふん。

ポーランド製戦争映画『地下水道』

(町山智浩)これも戦争からあんまりたってなくてですね。これ、ポーランド映画です。これは、戦闘に実際に参加した人たちが脚本とか監督をやって作った映画なんですよ。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、これもポーランドの戦争ってあんまり知られてないですよね。なにがあったか。ポーランドっていうのはナチスドイツに占領されちゃっていたんですよ。ずっと。戦争始まってからね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、そこに、ソ連軍が来るんですね。東の方からね。ワルシャワに向かって。ポーランドの首都ワルシャワ。完全にナチスに占領されているところに、ソ連軍がやって来るんですけど。したら、ラジオで『ワルシャワ市民、みんな銃を持って立ち上がれ!あなたたちが占領しているドイツ軍と戦っていたら、私たちが助けに行くから!』っていうラジオが入るんですよ。

(赤江珠緒)あー。

(町山智浩)で、それを信じてですね、ワルシャワ市民5万人が占領しているドイツ軍を襲ってですね。みんな、素人ですよ。武装蜂起したんですね。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)でもね、ソ連軍、来なかったんですよ。助けに。

(赤江珠緒)はー・・・・

(町山智浩)で、彼ら、見捨てられちゃったんですよ。立ち上がったワルシャワ市民は。で、報復でもってナチスに徹底的に爆撃されて、町ごとほとんど壊滅しちゃうんですよ。

(赤江珠緒)えっ!?

(町山智浩)これ見てまず思うのは、ナチスひどいっていうより、ソ連ひでーな!って思うんですね。ねえ。行く気ないのに、『立ち上がれ!』って言ったんですよ。ひどい話なんですけど。でね、この監督はアンジェイ・ワイダっていう人なんですけど、このワルシャワ蜂起に実際に参加した人なんですね。で、自分の体験を描いているんですけど。これ、もう廃墟にどんどん追い詰められていくんですけど、男も女もみんないて、みんな素人なんですよ。

(赤江珠緒)ふんふん。

(町山智浩)素人っていうか、ただの市民なんですね。兵隊さんじゃないんですよ。だから規律もとれないし、なんだかわからないままやっていて。それで、廃墟にピアノがあって、その壊れたピアノを弾いて、『音楽家になりたかったのに・・・』って言ったりするところとかね、すっごい悲しいんですよ。あと、その廃墟にね、ちょっとベッドがあるんですよ。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、もう敵に完全に囲まれて、殺されるかもしれないんですけど、『今しかない!』って恋人同士がそのベッドに行って、エッチしようとするとドイツ軍の戦車が来るんですよね。

(赤江珠緒)うわー・・・

(町山智浩)もうそういうところとかね、もう切ないんですけど。で、その後、もっと怖いことになって。もう逃げ場が完全にないんですよ。完全に包囲されていて。それで、下水に入っていくんですよ。もう、逃げ場が全くないから。レジスタンスのワルシャワ市民たちが。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ところが、その下水っていうのは映画に出てくるような、要するに歩くところがあって・・・っていうきれいな下水じゃないんですよ。完全に本当の下水で、首まで浸かっちゃうんですよ。その糞尿の中に。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、その中をずーっと歩いているんですけど、出口がどこだか、全くわからないんですよ。これ、強烈だったですよね。モノクロ映画だからよかったけど、カラーだったら見てらんないですよね。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)で、すっごい美しい女優さんが出ていて。その人もね、ウンコまみれになっちゃうんですけど。で、どんどんどんどん地下水道を追い詰められていって。それで、あまりにもひどい状態だから発狂しちゃう人とかも出てきて。というね、すごい映画なんですけどね。これが『地下水道』っていうポーランド映画でね。これ見てとにかく思うのは、ナチスひどいけど、ソ連ひでー!って思うんですけど。

(山里亮太)そうですね。

(町山智浩)その後ね、ソ連はドイツを追い出してポーランドを占領するんですね。そしたらその時、その前にワルシャワで蜂起しろって言われてソ連に裏切られたレジスタンスの人たちは、今度はソ連軍の将校たちを暗殺したんですよ。みんな。悔しいから。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)その映画も、そのアンジェイ・ワイダっていう『地下水道』を作った監督が撮っていて。それが『灰とダイヤモンド』っていう映画なんですけど。


(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)それとかも、切ない映画なんですよ。もう、ただ復讐でしかないんですよ。そのソ連の将校を次々を殺していくんですけど。これも本当にあったことですね。

(赤江珠緒)だってこれも、この資料を見るとね、ナチスに対する蜂起で武器をとった人が5万人で。結果、レジスタンスとしてナチスに22万人が殺されたと。

(町山智浩)これね、猛爆撃して街自体を壊滅させちゃったんですよ。すごい映画で。しかも、この映画はその廃墟をそのまま使かって撮ってるんで、もうリアルなんですよ。本物だからね。あの、戦争からあんまりたってないで撮ってますから。

(山里亮太)いま、戦争映画とかの、どっちが勝った!みたいな、そんな明るい・・・明るいっていうのはもともとあっちゃいけないのかもしれないけど、そういう終わり方じゃないんですね。これ、じゃあもう。

(町山智浩)そういうんじゃないんですよ。もう、これもね、子どもの頃にNHKでやっていて見てね、あの、映画って最後になんかいいハッピーエンドがつくものだと思っているじゃないですか。なんにもないから、愕然としましたよ。

(赤江珠緒)そうですね。見終わった後に、もうなんていうかね、打ちのめされますよね。

(町山智浩)ボーッとしましたよ。本当に。中学生ぐらいだったですけどね。それでね、3本目に紹介するのはこれ、日本映画です。これはね、『沖縄決戦』っていう映画です。全タイトルは『激動の昭和史 沖縄決戦』っていうのが正式なタイトルですけど。はい。


激動の昭和史 沖縄決戦

(町山智浩)これはね、もう予告編を僕は子どもの頃、映画館で、怪獣映画とかを見に行った時にやっていてですね。で、すげーな!と思っていたんですけど。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)これはいわゆる沖縄戦をもう超リアルに描いた1971年の映画なんですが。スティーブン・スピルバーグが作った『プライベート・ライアン』っていう映画、ご存知ですよね?

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)あれは、冒頭のノルマンディー上陸作戦っていう連合軍の上陸作戦をものすごくリアルに描いて。まあ、凄まじい残虐描写だったんで世界中をびっくりさせたんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)でも、冒頭でしかないんですよ。そういうシーンは。ところが、この沖縄決戦っていう71年の東宝映画は、2時間半、全部あれなんですよ。

(赤江珠緒)はー・・・・

(町山智浩)『プライベート・ライアン』の冒頭の大虐殺が2時間半続く映画なんですよ。この沖縄決戦っていうのは。これはもう、凄まじいですよ。これ、世界の映画史上でもこんなに凄まじい映画、ないと思うんですよね。はい。で、これは岡本喜八監督っていう人がですね、戦争を体験していて。自分の友達がみんな、特攻隊とかで死んでいったっていう経験があってですね。第二次大戦の映画をいくつも作っている監督なんですけども。この沖縄決戦は、まず映画の始まりがですね、沖縄決戦の準備から始まって、2時間半、ほとんどずーっと戦闘シーンなんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、2時間半、ほとんど砲弾が爆発する音が聞こえない瞬間がないんですよ。常にドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ってずっといってるんですよ。こんな映画、ないですよ。普通、なんかしっとりとした場面とかあるんですよね。そうじゃない場面って。戦闘シーンじゃない場面って。

(赤江珠緒)人間のドラマを描く場面がね。でも、事実沖縄戦がそうだったんでしょうから。

(町山智浩)『プライベート・ライアン』ですら、ありましたからね。これ、一切ないと言っていいぐらいなんですよ。すっごいんですけど。で、もうこれ、オールスターキャストなんですけど。まずその、牛島司令官っていう小林桂樹さんっていう俳優さんが演じてますけど。が、沖縄に来てですね、『沖縄で米軍をできるだけ長い間、食い止めて、日本本土に入ってくる時間を遅らせる、時間稼ぎをしてくれ』みたいな話になるんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)でも、沖縄の普通の住民は逃さなきゃいけないって避難させようとして、船に乗せるんですけどその船が米軍の魚雷に撃沈されてしまって、避難もできなくなっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、沖縄の県民がいる状態でもって、沖縄を激戦地にしていくっていうことになるんですね。しかもですね、そこに来た日本兵の数っていうのは11万6千人しかいないんですけど、それに対してアメリカ軍は陸海空あわせて54万人が沖縄を攻撃したんですよ。5倍なんですよ。数が。

(赤江珠緒)そんな兵力差があったんですね。

(町山智浩)そうなんですよ。で、しかもですね、中で出てくるんですけど、戦艦が沖縄に集まってくるわけですよね。アメリカ軍の。あまりにも戦艦の数が多くて、海が見えないぐらいなんですよ。それで、ものすごい数の爆撃機が来るんですけど、空が見えないぐらいの爆撃機なんですよ。

(赤江珠緒)えー・・・

(町山智浩)で、ものすごい数の艦砲射撃とか爆弾を落としていって、地形が変わったんですね。沖縄、それで。爆弾で。そのぐらいの爆弾をくらいながら、ずーっと1945年の4月から夏にかけて、延々と沖縄の人たちは戦ったんですよ。で、これがまたね、兵隊さんがいないわけですね。日本兵が。だから沖縄県の普通の沖縄県民を徴収して、武器を持たせて戦わせるっていう形になるんですよ。で、これ有名な沖縄の中学生。14才ぐらいの男の子たちは、武器を持たされて兵隊にされてですね。もちろん、大人もそうですね。何万人も。あと、すごく有名なのは、14才以上の女の子たちも戦場で看護兵として働かされたと。

(山里亮太)ひめゆりですね。はい。

(町山智浩)これはまあ、非常に有名なひめゆりですけども。俺、沖縄映画祭で行った時に、全部回ったんですけど。戦地だったところをね。この映画はね、それを徹底的にリアルに描いているんですよ。ひとつひとつの死を、細かく描いているんですね。でね、これがね、また岡本喜八監督は容赦のない、全く容赦のない描き方をしてて。なんとなく、こんな感じで死にましたっていうんじゃなくて、全部死に様を見せていくわけですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)だからもう、見ていると、これは地獄だな!っていう感じなんですよね。それでもね、『とにかく日本を、本土を守るためだ。沖縄が犠牲にならなきゃなんない』みたいなことを言われてですね、徹底的にここで粘ればいいんだってことで、参謀の、仲代達矢さんが演じているんですけど、八原参謀っていうのが『とにかく粘りましょう。洞窟に入って徹底的に粘りましょう』って言ってるんですけども、だんだん、徹底的にアメリカ軍の軍艦に対して神風特攻を仕掛け続けているから、陸軍も特攻しなきゃいけない!みたいな話になってくるんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)このまま粘ればいいのに、『総攻撃を仕掛けよう!』みたいな感じになってくるんですね。メンツの問題で。

(赤江珠緒)ええっ!?メンツで?

(町山智浩)で、これ、丹波哲郎さんが演じている長参謀長がですね、『これはもう、総攻撃をかけるしかない!』って総攻撃をかけちゃうんですよ。無茶にも。それで日本兵、半分以上それで死んじゃうんですよ。で、ボロボロになっていって。だんだんですね、連絡とかも互いにできなくなって、統率もとれなくなってですね。いわゆる指揮系統が完全に崩壊。戦線崩壊っていう、もう、なにをやっているか?って集団行動ができない状態になってくるんですけど。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)それでも、戦闘を続けるんですね。で、薬もなにもないから、怪我した兵士とかも、手術ができなくて手足をバンバン切るだけだったりね。それをまあ、女の子がやらされるんですよ。14才ぐらいの。

(赤江珠緒)ああ、そうですね。

(町山智浩)で、そこにも爆弾が落ちてきて。女の子がみんな死んじゃうんですけど。でね、これでいちばんひどいのは、南部の民間人が避難しているところに司令部が撤退してくるんで、だんだんアメリカ軍がそこに引き寄せされていっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)しかもそこで、もうダメだと思った時に司令官がですね、なんと自決しちゃうんですね。これ、沈みかけた船で船長が先に死んじゃうみたいなもんなんですよ。で、勝手に自決しちゃって、しかもその時に降伏をちゃんとしないで自決しちゃうんですね。だから米軍の攻撃がそのまま続くんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、しかもその司令官の自決する前の命令っていうのが、『生きて俘虜の辱めを受けるな』っていう命令だったんで、みんな降伏できないんですよ。だから、戦い続けるか、自殺するしかないんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。崖から飛び込んだりね。

(山里亮太)集団自決ですね。

(町山智浩)そういうことしか許されない状態になっていって。これで、沖縄県民の4人に1人が死亡するという状況になるんですよね。こんなすごい映画はないですよ。これ。世界戦争映画史上でも、最凶最悪の状況ですよね。これね。

(赤江珠緒)それが、『沖縄決戦』。

(町山智浩)『沖縄決戦』っていう映画なんで。これね、実はAmazonでですね、名前、言ってますけども(笑)。あの、ネット配信ですぐ見れるんですよ。


(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)はい。で、まあWOWOWでも放送するみたいですけど。まあね、本当に沖縄に行って楽しい思いをしたりするのもいいんですが、なにがあったのか?っていうことですよね。一体ね。

(赤江珠緒)そうですね。知っておかないとね。

(山里亮太)僕も、ひめゆりの塔とかの、ガマっていうみんなが最終的に逃げこんで病院にしていたところとかも、僕、見に行ったんですよ。この前の沖縄映画祭の時に。あれ、すごいですよ。あそこにずっとね、あの暗闇の中で。

(赤江珠緒)洞窟みたいなところですよね。

(山里亮太)いつ、もうアメリカ兵が来るかわからない中で、ずっと暮らしていたって考えると、もうすごかったんだなって思いましたよ。

(町山智浩)そこに駆り出しておいて、『現地解散!』って言われたんですよ。いきなり、戦闘中に。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)『司令官、みんな死にましたから』っていうね。『ええっ!?』みたいな世界ですね。

(山里亮太)そうですね。みんな、自分で命を断っていっちゃったんですよね。その後、どんどん。

(町山智浩)そうなんですけどもね。まあ、この『沖縄決戦』っていう映画は本当にすごい映画なんで。まあ、一生に一度は見た方がいい映画だと思います。

(山里亮太)『プライベート・ライアン』のオープニングのやつがずっと続くって、すごいな。

(赤江珠緒)そうですね。そうかー。

(町山智浩)『プライベート・ライアン』のファーストシーンが2時間半、続きますから。

(赤江珠緒)でも、考えると戦争映画って本当は、そうですよね。見てね。

(山里亮太)やった!勝った!で終わっちゃいけない映画なんだよね。

(赤江珠緒)そんなわけがなくて。

(町山智浩)そうなんですよ。まあ、楽しくて映画を見るっていうのもあるんですけども、まあ、ねえ。人間として生きてきた、生まれた時にこれは見なきゃなんない映画っていうのは、『沖縄決戦』だなと思います。はい。一度は見ておかないと。

(赤江珠緒)そうですね。はい。見ます!ありがとうございます。町山さん。

(山里亮太)こんなしっかりした町山さんもあるんですね。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)すいません。ぜんぜんエッチなことを言わなくて。はい(笑)。

(赤江珠緒)いいんですよ!いいんですよ、ぜんぜん!

(山里亮太)いつだって、エッチなことを求めてませんから!

(町山智浩)あ、そうですか?期待されてない?最初から。はい。すいませんでした。

(赤江珠緒)はい。ちょうどね、8月ですし。はい。考えてみたいと思います。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どもでした。

<書き起こしおわり>

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