久保ミツロウさんがニッポン放送『久保ミツロウ・能町みね子のオールナイトニッポンGOLD』の中で、漫画で知った弘前藩の歴史を紹介。壮絶な高岡蔵人の乱について話していました。
(久保ミツロウ)私、去年夏フェス『夏の魔物』。青森でやっている。今年も出るんですけど。今年は9月ですね。去年、行った時に『夏の魔物』に青森で出た後に、能町さんと一緒に弘前まで行ったじゃないですか。
(能町みね子)観光しました。
(久保ミツロウ)私、初の弘前で。で、その弘前城に行って、買った歴史漫画。
(能町みね子)ありましたね。買ってましたね。
(久保ミツロウ)なんでしょうね。結構私、その土地にある歴史漫画とかすごい好きなんですけど。もうこれとか、ページ数とか異常に多くて。
(能町みね子)なんていう本ですか?ちなみに。
(久保ミツロウ)ええと、『歴史まんが 城下町弘前の誕生 卍の城物語』。『まんがでわかる 弘前に五層の天守閣があった頃・・・波乱万丈の歴史絵巻』っていう。これは、いちおうこの本が出た段階での後書きで読むと、地元の校長先生が漫画を描いてるんですよ。
歴史まんが 城下町弘前の誕生 卍の城物語
(能町みね子)えっ?校長先生が?描いたんですか?
(久保ミツロウ)そう。で、Instagramにこれを読んだってUPしたら、『私の学校の教頭先生でした』みたいに来たので。
(能町みね子)へー!?
(久保ミツロウ)結構地元に根付いた方が、ずっと教員をやられた方が漫画を描かれているんですよ。だから、画はちょっとうーん・・・
(能町みね子)まあでもなんか、年配の人の画じゃないですよね。それなりに年配感、あります?
(久保ミツロウ)年配感はあります。あんまり、すごく上手いわけじゃないけど。ただ、ちゃんと隅から隅までびっしり書き込む・・・
(能町みね子)ただ、ぜんぜんなんか素人が描いた感ではないですよ。
(久保ミツロウ)なんですけど、普通もうちょっとページ数短めで断念するところを、300ページ以上描いてますからね。
(能町みね子)すごいですよ。
(久保ミツロウ)しかも歴史をしっかり調べてらっしゃるんですけど。で、弘前の歴史ってどんなのかな?と思って読んだんですけど、まあ、大概悲しい。
(能町みね子)まあ、そう、ねえ。
(久保ミツロウ)もうすれ違いとか誤解とかで、平気でぶっ殺しちゃうんだよね。
(能町みね子)(笑)。それは江戸時代ぐらいですか?
(久保ミツロウ)あの、江戸時代より前の頃もあるんですかね。でもやっぱり、お城で豊臣秀吉ぐらいの頃に弘前城とかできて。まあ、でもその頃に、そこらへんのやつ、がんばってた。ごめん。私、歴史詳しくないんだ。
(能町みね子)そこらへんのやつががんばってた。
(久保ミツロウ)がんばってて。私、歴史・・・世界史選択だったから、日本の歴史、弱いんだよね(笑)。
(能町みね子)言い訳するんじゃないよ!
(久保ミツロウ)(笑)
(能町みね子)ツッコミ。これがツッコミでしょ?
(久保ミツロウ)そしてさらに、泣いちゃダメだ(笑)。ごめん。泣いちゃった(泣)。パパにだって言われたことないのに(泣)。
(能町みね子)ツッコミすると泣いちゃうんだ。久保さん(笑)。
(久保ミツロウ)私がツッコミに対する耐性がないっていう(笑)。初めて気づいた。
(能町みね子)ちょっといま、ツッコミをがんばってやってみたよ。
(久保ミツロウ)でも私、負けない。どんどん突っ込んで来て。
(能町みね子)わかった。うん。
(久保ミツロウ)で、そのTwitterにも書いたんですけど。結構出だしの方で感動したのが、美少年の奪い合いで津軽藩の家臣が半数になるほど死ぬお家騒動とかがあったんですよ。
(能町みね子)そう。それ、すっごい気になったんだよ。見てて。
(久保ミツロウ)これは、一瞬これを言うと、美少年のために家臣たちが奪い合ったというか。ほぼ、お殿様と高坂蔵人っていう重臣がいて。まず、お殿様のところにいいお稚児さんがいたわけですね。
(能町みね子)お稚児さんって言うんですね。
(久保ミツロウ)まあ、稚児小姓とか言うんですかね?で、専太郎と言われている美少年がいまして。ずっと側に置いていたんですけど、そんな彼のことをずっと『殿のお気に入りの専太郎。なんとりりしい美少年じゃ』『高坂蔵人も美少年専太郎に次第に心をひかれていった』って(笑)。『しだい』って(笑)。
(能町みね子)だいぶ、なんかもうBL臭がしますよね。
(久保ミツロウ)そう。でも、やっぱりここは校長先生だから、あまりそこに深い理解を示さず、もう次は高坂蔵人がその専太郎を他の人の家を間借りして、もう泊まりこんじゃってたんだよ。で、殿が『専太郎!?専太郎はどこじゃ!?』って言ったら、『実は専太郎殿はいま、高坂蔵人のところに・・・』『なぜじゃ!?』みたいな感じでいって。
(能町みね子)略奪愛ですか?
(久保ミツロウ)略奪愛ですよ。もう家臣の方がその美少年を取っちゃって。で、当時いちばん大事なのは、スマホがないっていうことで。
(能町みね子)(笑)。そうだねー。
(久保ミツロウ)そう。『専太郎を連れて帰るように言え!』っつって。もう家臣がバーッ!って行って。やっとその匿っている家のところまで行って。『殿が、専太郎を連れて帰れって言ってるんですけど・・・』って言ったら、『ならぬ!帰れ!』っつって。ダーッ!って帰って。『ええと、専太郎殿を連れて帰ることができませんでした』『なぬっ?もう1回、連れて帰れと言って来い!』っつって。ウワーッ!っつって。
(能町みね子)スマホ以前に電話がないんだよね(笑)。
(久保ミツロウ)そう。これが、他の物語でも弘前と江戸の方。江戸まで行き帰りとかあって悲しい物語が起きたりとか殺しあったりとかいっぱいあるんだけど。まあ、その専太郎の物語では、それで殿が結局その専太郎を連れて戻すんだけど、まあ、殺しちゃうんだよね。すぐ。
(能町みね子)えっ?専太郎を?
(久保ミツロウ)うん。
(能町みね子)えっ?なんで?
(久保ミツロウ)『コンチクチョー!裏切りおって!』っつって、すぐ殺しちゃって。
(能町みね子)えーっ?嫉妬?
(久保ミツロウ)嫉妬。で、匿っている家臣も、『あ、もう自分、たぶんダメだ』っつって自害しちゃって。そして、浮気相手の方は『このままじゃ、やべえ』っつって。重臣高坂蔵人その人は自害しようとせずに、家族と一緒に逃げようとするのね。
(能町みね子)うん。
(久保ミツロウ)そしたら殿も『脱藩はさせんぞ!』みたいな感じで、高坂蔵人を殺しちゃうんだけど。そしたら、高坂蔵人の嫁さんが、『あれだけ尽くしてきたのにこの扱いは酷い!』って。まあでも旦那がさ、美少年にうつつを抜かしてそういうことになっているのに・・・
(能町みね子)もうなんかゴチャゴチャすぎて、なにが酷いのかわかんないね。
(久保ミツロウ)そう。でもその奥方様が『こんな仕打ち、酷い!』って言って。まず、追っ手がその高坂蔵人家に追ってくるんだよ。すると、フラッと行って、『この恨み、晴らさでおくべきか!』って言って。奥方様、火を持って高坂蔵人家に火をつけちゃうの。バーッ!って。
(能町みね子)おおー。
(久保ミツロウ)で、『奥方様!なにをなさるのですか!?』『さあ、火を燃やしている隙に我々は逃げるぞ』っつって。そして、『銃を隠しているところがあるから』っつって。燃えている間に追っ手をごまかして。そして、お城に行くの。家臣たち、仲間と行って。『ここから天守閣を狙えるわ』っつって。その時、弘前城は高岡城っていうんですけど。『高岡城を蜂の巣にしておしまい!』っつって、みんなジャキッ!って抱えて。もう高岡城に向かってバンバンバンバン銃を撃ちこむの。
(能町みね子)奥方、そんなに活躍しちゃうの?
(久保ミツロウ)すごい!もうここがいちばんロックだよ!
(能町みね子)すごいね。なんか昔のそんな奥方、そんなに活躍したもんなんだ。
(久保ミツロウ)そう。で、まあ結局この人たちもみんな殺されちゃうんですけど。
(能町みね子)みんな死んじゃう。
(久保ミツロウ)それで、もう家臣たちがそうやって殺し合いをやっちゃって、半分ぐらいに減っちゃうんだよね。
(能町みね子)それ、なに?どんどん死んでいく話なの?結局。
(久保ミツロウ)いや、本当にね、飢饉とかも多いし、青森、大変。
(能町みね子)なんか、せいしょうさん並にすぐ死ぬんだね。
(久保ミツロウ)いや、本当。ちょっとした誤解と、ちょっとスマホがない、連絡が伝わらないだけで・・・
(能町みね子)スマホ(笑)。久保さん、本当にスマホ好きだね。
(久保ミツロウ)いや、もういまね、桃太郎とかさ、そういう昔話をスマホの会社のやつで現代版にやっているじゃないですか。あれ、ぜったい青森の歴史でやるべき。
(能町みね子)(笑)。久保さん、そもそもさ、私と弘前城に行った時点で、なんか悲しい武士の話を看板で読んだ時点で、『スマホがないってなんて悲しいことなんだ』って言ってなかった?
(久保ミツロウ)そうそう。もっと早くSNSとかたどれば。すぐ。追えたのにねって。
(能町みね子)そうね。死ぬことはなかったろうね。
(久保ミツロウ)早く、何年も手間をかけずにやっぱり仇討ちとかできたのになあって。仇討ちにはやっぱりスマホが必要かなと思う。
(能町みね子)まあ、ちょっといま法律が整備されているから、なかなか仇討ちできないけどね。
(久保ミツロウ)難しいね。
(能町みね子)難しい。世の中、上手くいかない。
<書き起こしおわり>