久保ミツロウ 漫画「親なるもの 断崖」「かんかん橋をわたって」を絶賛する

久保ミツロウ 漫画「親なるもの 断崖」「かんかん橋をわたって」を絶賛する 久保・能町のオールナイトニッポン

久保ミツロウさんがニッポン放送『久保ミツロウ・能町みね子のオールナイトニッポンGOLD』の中で、最近ハマっているまんが王国の作品を紹介。『親なるもの 断崖』と『かんかん橋をわたって』について話していました。

(久保ミツロウ)ちょっと、この1週間、少しハマッていることがありまして。あの、WEBで、ネットでマンガを読むというやつなんですけど。

(能町みね子)ああー、ハマッてるみたいですね。

(久保ミツロウ)あの、でもね、もうとっくに読んでいる方、たくさんいるんですけど。よくネットをやっていると広告で、『まんが王国』っていう結構老舗のマンガを読ませるサイトがあるんですけど。よくこう、おすすめマンガとかが出てくるじゃないですか。

(能町みね子)出ます、出ます。

(久保ミツロウ)あれで、ずっと気になっているマンガがあったんですよ。

(能町みね子)あれ、大概エグいよね。出てくるやつね。

(久保ミツロウ)エグい。エロ系もエグければ、なんかエロ系じゃないけども、ちょっとこれ悲惨な話じゃない?とか。『醜女が・・・』みたいな(笑)。

(能町みね子)あるある、それ。

(久保ミツロウ)出て。なんか、『子どもが売られて・・・幼馴染が売られて・・・』とか。これ、何の話!?っていうのがちょっと気になっているのがあって。でも、どうもそれがすっごい名作らしいって聞いたんで、思いきって課金して私、買って読んだんですよ。それが、『親なるもの 断崖』っていう。

曽根富美子『親なるもの 断崖』

(能町みね子)はい。私もよく広告は見ますよ。

(久保ミツロウ)広告で見るんですけど。これを買おうか悩んでいるってTwitterでつぶやいたところ、たくさんリプライいただきまして。みなさん、やはり気になっているようで。

(能町みね子)(笑)

(久保ミツロウ)そして、多くの方が読んで感動をされていると。

(能町みね子)はあ。感動作なのね。

(久保ミツロウ)感動作なんですよ。まあ、舞台は室蘭の遊郭なんですよね。

(能町みね子)ああ、はいはい。実は私もちょっとそれを聞いて無料部分ぐらいは読んだんですよ。

(久保ミツロウ)無料部分から先がまた、すごいんですよ!

(能町みね子)ああー、なるほど、なるほど。

(久保ミツロウ)いや、まあ室蘭に遊郭があったということも知らなかったんですけど。やっぱり時代的にね、ひどい・・・

(能町みね子)明治時代とかですか?あれは。

(久保ミツロウ)戦前ですね。ちょうどね、戦前にまあ、そういう室蘭の遊郭。北海道に鉄道ができたりとか、鉄の町、室蘭で女の人たちが青森から子どものうちに売られてって。そしてやっぱり、また4、5人くらい子どもがいるんだけど、ちゃんと客を取れる子になるのはやっぱりかわいい子で。ブスな子は最初はなんかお世話係みたいな。

(能町みね子)下働きみたいなのをしてるんだよね。

(久保ミツロウ)あ、そう。で、病気にかかっているから、身長も伸びないの。

(能町みね子)おおっ、そうなんだ。そこ、有料部分だ(笑)。

(久保ミツロウ)(笑)

(能町みね子)そこは有料だわ。

(久保ミツロウ)そう。で、最初読んで、このブサイクな子が・・・ブスな子がいるんだよね。無料部分の・・・

(能町みね子)本当に汚く書いてあるんだよね。その子がまたさ。

(久保ミツロウ)そう。でも、その子は結局・・・ああーっ!道子!っていう内容なんですけど。

(能町みね子)それは言えないよね(笑)。

(久保ミツロウ)ぜひ、前後編になるんですけど、ページ数も多くて。で、その作家さんも、曽根富美子さんっていう漫画家さんなんですけど。ベテランの漫画家さんなんですけど。私、最初に知ったのって、モーニングで『ブンむくれ!!』っていうマンガを書いてらっしゃって。

(能町みね子)やってました。やってました。夕張の話じゃない?

(久保ミツロウ)なんか、やっぱり北海道出身の方なんですよね。で、北海道の、自分の子どもの頃の経験をその『ブンむくれ!!』っていうマンガで描かれていて。で、北海道でそういう経験をしたというところがすごくしっかり根付いていて。ちゃんと取材もされていて。で、悲惨なものをひけらかすように描いているとかじゃない、訴え方がちゃんとしてるマンガなんですよ。

(能町みね子)いま、この瞬間に調べました。曽根富美子さん、室蘭市出身です。地元なんですね。

(久保ミツロウ)そう。室蘭市出身で。他にも、たくさん社会問題系を描いているんですよ。児童虐待とか。そういう自閉症の子の話とか。母親に抑圧を受けてきた子どもとか。どれも素晴らしく・・・課金!課金!課金!ですよ(笑)。

(能町みね子)曽根さんにガンガン課金してるわけですね。

(久保ミツロウ)もうね、ベッドの上で読みたいマンガはそれしかない!みたいな(笑)。

(能町みね子)ベッドの上で。あの、電話を頭の上にかざしてね。

(久保ミツロウ)そうそう。そんな感じで。私、それで一気にね、まんが王国にアップされているもの、全部読んじゃった。

(能町みね子)全部!?すごいですね。

(久保ミツロウ)曽根さんのは。もう、面白かったから。で、もっと他のも読みたいと思って。他にもたくさんあるの。やっぱりそういう、女の人が社会に出て、いろいろ直面している問題をマンガにしてあるみたいな。その中で、人からすすめられた『かんかん橋をわたって』が面白いと言われて。

(能町みね子)ほう。

(久保ミツロウ)で、『かんかん橋をわたって』。全10巻のマンガなんですけど。

草野誼『かんかん橋をわたって』

(能町みね子)長いですね。

(久保ミツロウ)そう。で、とりあえず1巻読んだんですよ。そしたら、嫁姑もので。結構、丁寧に描かれた読み応えのある・・・最初はなんか、いいお姑さんだと思っていたら、どうもいじめられているぞ?という。主人公は非常に素直な、人のいいしっかりした奥さんなんですけど。嫁いでいった先は、その地域でいちばんの意地悪な姑だったんですよ。自分の姑が。

(能町みね子)すごいなー。

(久保ミツロウ)そこで家族を敵に回し、旦那しか味方がいないんだけど。でも、最初のいじめっていうか、お姑さんがやっている、かすかないじめだなって思ったのが、ご飯をよそってくれるんだけど、そのお嫁さんの分にだけ、しゃもじのご飯をこそげ落とすの。

(能町みね子)うん。

(久保ミツロウ)で、『あれ?おかしい・・・』って。で、毎朝、ご飯を炊くのを失敗するの。お嫁さんが。『おかしいな?ちゃんと前日夜、お水を計ってしっかりセットしてるのに、なんで朝、芯が残るご飯になっちゃうんだろう?』って。で、家族中からブーブー。『これだから、あんたは!』みたいに言われるけど、お姑さんが炊くご飯はちゃんとできるのね。

(能町みね子)うわー・・・

(久保ミツロウ)なぜかしら?と思ったら、夜中のうちに炊飯ジャーの中にタオルを浸して水を減らして。そして、結局ご飯を炊くのを失敗させるようにするのを1年近く続けているみたいな。

(能町みね子)うわー・・・

(久保ミツロウ)で、最初の人当たりはニコニコしてるから、『でも、負けない!』みたいな。なんか、地域の人にも『あそこは意地悪なお姑さんだから』とか。

(能町みね子)有名なんだ。

(久保ミツロウ)あと、『この地域の嫁姑番付では、あなたは4位よ!』とか言ってくる人がいて。『えっ!?この地域では、嫁姑番付というものがあるの!?』っていう(笑)。どうも、その地域のいろいろ立場がかわいそうな嫁姑の番付があって・・・っていうのがあるけど、でも私は負けない!みたいな感じで。そういうものが1巻ぐらいの話だったんですね。

(能町みね子)はい。

(久保ミツロウ)で、10巻あって。やっぱり1冊お金はかかるわけじゃないですか。ちょっと、すいません。漫画家としてあれなんですけど。ズルをして、飛ばして10巻読んじゃえ!と思って。最終巻(笑)。

(能町みね子)なかなか豪快に飛ばしますね。

(久保ミツロウ)私、結構ネタバレから読むの好きだから。最終巻の、この嫁姑がどうなるのか?結論から読んじゃえ!と思って。10巻を読み始めたんですよ。したら、10巻読み始めたら、いつの間にかその町で自由市場というものが開かれ、その土地を支配する大きい支配者から反抗するために主人公の嫁が立ち上がり・・・

(能町みね子)へっ!?

(久保ミツロウ)人に声をかけて自由市場で。あの、物流を止められちゃってるの。その支配者によって、その土地は。

(能町みね子)(笑)。なに?えっ!?ぜんぜん世界、違うじゃん!

(久保ミツロウ)そう。そこで、人々が『やっとこれで買い物ができる!』みたいになるけれども、まだ支配者の力はいろいろ物流も止めようと。で、その主人公のお嫁さん、子どもを生んでいたんだけど、子どももなんか、さらわれてるの。

(能町みね子)ええっ?

(久保ミツロウ)その土地の子どもたち、いっぱいさらわれてるの。

(能町みね子)姑、どこに行ったの?

(久保ミツロウ)で、『姑があれ?出てこないな?』みたいな感じなんだけど。そして、『あの優しかった旦那さんは?』っていったら、旦那さんがすっごいみすぼらしい格好して、体中汚くて、毛だらけになって。フラーッて町を歩いているの。

(能町みね子)ええーっ!?

(久保ミツロウ)なんか、『旦那さん、さっき町で見かけたけど・・・』『あの人、元気にしてるかしら?』みたいな。もう、1巻と10巻の間に何があったかわかんないの!で、この支配者は何なの!?って。

(能町みね子)どんだけ展開したの?それ。

(久保ミツロウ)で、もうね、バトル漫画になっちゃったの。その支配者を倒すために、その地域の嫁姑番付の9位までの人が力を合わせて倒そうとするの。

(能町みね子)すごいね!

(久保ミツロウ)姑にいびられてきたお嫁さんは、もうすごいのよ。パワーが。

(能町みね子)強いんだ。

(久保ミツロウ)強いんだよ。

(能町みね子)(笑)。ドラゴンボール現象みたいになってるんだね。

(久保ミツロウ)で、その大きい敵を倒すために、1巻の時に強かったお姑さんも出てくるの。すると、そのお姑さんが屈強な支配者の周りにいる人間たちの半分ぐらいを倒しちゃうの。1人で(笑)。

(能町みね子)うわー、超見たいんだけど!超みたいよ!

(久保ミツロウ)『えっ!?ええっ!?』っつって。『私からしたら、こんなもの造作もないこと』みたいな感じで言って。

(能町みね子)えっ、ちょっと、嘘!?嘘じゃないの?

(久保ミツロウ)嘘じゃないの。

(能町みね子)本当なの、それ?

(久保ミツロウ)本当。で、その支配者の人を倒そうとするんだけど、まあいろいろその土地にはレイプしたりされたりとか、いろいろあって。もう、早く2巻から、早く買わなきゃ!って。

(能町みね子)すごい。すっごい見たくなってきたよ。

(久保ミツロウ)でしょ?もうね、私、この1巻から10巻のワープぶりにすごい感動しちゃって。

(能町みね子)すごいね!1巻から10巻までワープした大賞じゃない?それ。なかなかないよ。

(久保ミツロウ)そう。だけど、大本を考えると、嫁姑で悩んでいる人がこれを読んで、嫁姑であるということを笑い飛ばせるっていいことだなって思うわけ。

(能町みね子)んー、まあ、10巻まで読めば笑い飛ばせるかもね。

(久保ミツロウ)そうそう。自分のことを卑下したりもしないじゃん。このパワーがあれば地域の支配者から戦える!みたいなぐらいのパワーをもらえるっていいなと思って。まあ、ネットでマンガを読むの、超いいですよっていう。

(能町みね子)ちょっと気になっちゃいますよね。

(久保ミツロウ)すいません。長くなっちゃいましたが。

(能町みね子)すごい気になりますよ。

<書き起こしおわり>

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