安住紳一郎さんが2013年8月にTBSラジオ『日曜天国』でしたトークの書き起こし。サプライズが苦手な安住さんが、サプライズ大好きな人々に対し、異議申し立て。サプライズに対する思いを熱く語っていました。
(安住紳一郎)さて、みなさんは、サプライズは好きな方ですか?どうでしょうか?
(中澤有美子)サプライズ?
(安住紳一郎)サプライズ。最近、よく聞きますよね。結婚式などに出ますと、かならず、いまありますよね。サプライズプレゼント。サプライズ企画。サプライズゲスト。サプライズ演出。
(中澤有美子)うんうん。
(安住紳一郎)私も結婚式の司会をたのまれること、多いんですけど。本当に最近、サプライズっていうことが多いなあと思って。花嫁、新婦へのサプライズ。新婦の教え子、わかくさ幼稚園の年長さんのお友達が来てくれました!それでは、お遊戯です。お嫁さんも一緒に、先生も一緒に!花嫁、涙。会場も涙。結構ですよね。
(中澤有美子)ええ(笑)。
(安住紳一郎)結構だと思いますよ。いいと思いますよ。
(中澤有美子)うん(笑)。
(安住紳一郎)新郎へのサプライズです。学生時代の野球の仲間が来てくださいました!はたまた、花嫁の母へのサプライズとかね。もう、なんかなんでもサプライズね。ええ。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)果ては、会場の今日お集まりのみなさまにサプライズのお知らせです。実は新婦は既に新しい命を宿っています!・・・それはサプライズというか、驚きではなくて、報告の順番が違うんじゃないか?みたいな。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)なんでもサプライズにすれば丸く収まっちゃうみたいな。新しい命が宿っているのです!6ヶ月です!わー!なんて。・・・なるの?
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)わからないけれど。それはね、本当に親族は驚きっていうか。『えっ?聞いてないよ?』ってことになるのかもしれませんが。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)みなさん、どうですか?なんか、サプライズ多いですよね。なんか。サプライズ的なプログラムがいちばん心震える。サプライズやりたい!サプライズした人が偉い!っていう・・・
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)サプライズ、サプライズ。サプライズ至上主義ですか?もう私などは『サプライズ』という言葉自体になにかちょっとすでに違和感を感じるんですけども。そもそもサプライズという歓待の仕方っていうんですか?こう、喜びっていうかお祝いの仕方は、昔から日本にあったんですかね?私、最近のような気がするんですけども。そもそも、サプライズに相当するしっくりくる日本の表現ってうのは何なんですか?お考えになったこと、ございますか?みなさんは。何なんですか?
(中澤有美子)あっ!
(安住紳一郎)サプライズ演出に相当する日本の言葉っていうのは、何なんでしょうかね?
(中澤有美子)何でしょうね?びっくり企画?演出?
(安住紳一郎)ですよね。私も『どっきり』っていうね、言葉がいちばん近いと思いますが。昔からよく、どっきりコーナーとか。どっきりご対面とか、ありますよね。
(中澤有美子)ありましたね。どっきり。
(安住紳一郎)でも、どっきりって言うと、どちらかって言うと、イタズラをこっそり仕掛けて、陰で楽しもうみたいな。そういうイタズラの意図が強いんじゃないかな?と思うんですね。サプライズと言うと、みんなで秘密裏に共同作業をして。そして、お祝いを伝えたい相手や喜びを伝えたい相手に驚かせて、さらにお祝いをして喜びたいというような手段になるんですか?あんまり悪いことでサプライズって使わないですよね。
(中澤有美子)そうですね。前向きな明るいものに・・・
(安住紳一郎)対して、サプライズって言うんですか?ちょっと私も辞典で言葉を引いてないんでわからないんですけども、たぶんそうなるんじゃないかな?と思うんですよね。
(中澤有美子)そんなイメージ、ありますよね。
(安住紳一郎)ね。ええ。『ここで、新郎新婦からご両家、ご両親へ花束の贈呈・・・は、ありません』『ええーっ!?』。これはサプライズじゃないですよね?
(中澤有美子)(笑)。本当だ。
(安住紳一郎)これは本当に、『ええーっ!?』っていう。落胆っていうか、びっくりっていうことですよね。
(中澤有美子)そうですよね。
(安住紳一郎)なので、驚かせての、お祝いっていうんですか?
(中澤有美子)あくまでも喜ぶことを想定した。うん。
(安住紳一郎)そうですよね。驚かせてのお祝いっていうのも、なんとなくしっくり来ないですよね。なんて言うんですか?こなれた表現では?わかりませんよね。たぶんないと思うんですよね。
(中澤有美子)そっかそっか。そうですよね。
(安住紳一郎)驚かせ祝いみたいなことなのかしら?ええ。ちょっと他動詞が入って、ニュアンスがいっぱい入っちゃってるんで、よくわかんないみたいな。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)驚かせ祝いみたいな?
(中澤有美子)疑問形みたいな?
(安住紳一郎)ええっ!?みたいな。読み聞かせ体験?ああ、どっち?私が読むの?聞くの?どっちが体験してるの?みたいな。
(中澤有美子)読み聞かせ(笑)。
(安住紳一郎)読み聞かせ体験?驚かせ祝い?踊り念仏?みたいな。えっ、どっちなの?みたいな。違いますか?
(中澤有美子)本当だー。
(安住紳一郎)なんなんですか?サプライズに相当する日本語ってうのは?うん。昔からあったんですかね?ちょっと、ご記憶ある方、どうですか?いまはサプライズのそのパーティーなどを引き受ける業者もあるようですけども。昔から、あったんですかね?私、小さい時はなかったような気がするんですがね。
(中澤有美子)なかった。段取り、段取り。
(安住紳一郎)そうでしょうね。昔の小説とか映画にもあんまり出てこないですよね。枕草子とか源氏物語にはサプライズ演出、出てこないですよね?論語とか孟子とか荀子にも出てこないですよね?
(中澤有美子)そうですよねー。
(安住紳一郎)なんだろうね?映画にもあんまり出てこないですよね。どうですかね?
(中澤有美子)こっそりプレゼントを、喜ぶようなものを用意するとか。そのぐらいはあったかもしれませんけども。そういった大掛かりな、たくさんの人数を動員するようなものは、うん。日本の文化には・・・
(安住紳一郎)ないような気がしますよね。30年くらい前の、ハリウッドの映画のプリティーウーマンとかそういう感じの、ミュージカル風な感じで急にこう、一夜にしてシンデレラみたいな。そういうことを受けて、広まってきたのかな?という感じもしますけども。ねえ。『あっ、父さん。帰ってたの?』みたいな、そういう、小津安二郎風?
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)サプライズじゃないもんね。わからないけど。
(中澤有美子)はい(笑)。そうですね、静かな。
(安住紳一郎)静かな感じですよね?ええ。
(中澤有美子)あとからじんわり効いてくる。
(安住紳一郎)『お父さん、急に帰ってらっしゃるなんて、知らなかったから。いつからいらっしゃったの?』みたいなことですよね?わかんないですけど。ニュアンス?
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)いまのはちょっとね、小津さん風映画の真似ですけどね。ええ。なんかやっぱり、現代に入って、っていうか、ここ20年ぐらいで日本人が覚えた感情の表現方法なんじゃないかな?と思うんですけども。
(中澤有美子)そうかもー。本当だー。
(安住紳一郎)どうですかね?そして、私は、もうお気づきかもしれませんけども、サプライズが苦手ですね。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)違う気がするんです。とても。サプライズっていう風に言うのもなんかね、恥ずかしいんですよ。ええ。で、なんかこう、打ち合わせとかしていても、『これは新婦にサプライズなので、当日まで絶対に言わないようにしてください』っていうのを、『あ、新婦に秘密ですね。わかりました』って。言い換えて(笑)。
(中澤有美子)言い換えてるんだ(笑)。
(安住紳一郎)『新婦に秘密ですね』っていう。
(中澤有美子)地道に(笑)。
(安住紳一郎)地道にサプライズ苦手派を広めてるんですけども。そういう方、いらっしゃいませんか?なんでもかんでもサプライズで済ませるのか!?サプライズって言えばいいのか!?みたいなことですけどもね。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)私はサプライズ苦手で。お祝いしてくれるならば、事前に知らせてほしいんですね。できれば1ヶ月ぐらい前がベストですね。招待状などをいただきたい。性格の問題だと思うんですけども、たぶん男性で僕と同年代ぐらいの人、そういう人が多いんじゃないかな?と思うんですけども。どうでしょうか?私などは、トータルのパフォーマンスははるかに高い気がします。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)あの、全体的な喜びは。事前に教えてもらっていた方が。で、驚かせたいっていうんだったら、事前にそやって言ってくれれば、芝居もしますしね。適度なね。『ええっ!?』っていうね。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)事前に全て教えてほしいですよね。準備したいんですよね。私、人間が小さいので。全て、準備させていただきたいんですよね。なんで、お祝い事がある時は、事前に、やっぱり1ヶ月ぐらい前に相談していただいて。出席者がどういう方なのか?とか、会場がどうとか、会費がどれぐらいで、みなさんどれぐらいの準備をしてきているのか?とかね。私はやっぱりいい服着て行きたいし、新しいスーツとか買ってね。納得なんかできない服で写真とか撮られて、フェイスブックとかに上がっちゃった日にはもう、全員取り返す!みたいな。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)わかります?プライドが許さないんですよね。
(中澤有美子)はいはいはい。
(安住紳一郎)ありません?
(中澤有美子)あると思うよー。
(安住紳一郎)勝手に上げてるんじゃないよ!みたいな。で、挨拶とかもちゃんと事前に考えてね。1回練習したいですよね。で、当日は会場にタクシーで行きたいですよね。余裕を持ってね。わかりますか?わかりませんかね?
(中澤有美子)はい。落ち度がないようにしたいんですね。
(安住紳一郎)そうでしょう?だって、注目を浴びるわけだから。不用意な感じで出て行きたくないよね。丸腰で出撃するのは、怖い怖い。いろんな武器を携帯して行きたいじゃない。違いますか?
(中澤有美子)重装備で。
(安住紳一郎)中澤さんは、好きなんですか?サプライズ。
(中澤有美子)私もね、そんなに。あんまりしてもらったことがないし。
(安住紳一郎)そうですか。もしでも、女性の方はでも、サプライズされるの好きな人、多いんですよね?
(中澤有美子)ああ、そうなのかもしれませんね。
(安住紳一郎)中澤さんも中身は男ですからね。
(中澤有美子)(笑)。そう。私も知っておきたいかな?
(安住紳一郎)そうですよね。トータルのパフォーマンスは高いよね?
(中澤有美子)高いですよね(笑)。そうだね。
(安住紳一郎)ちゃんとね、向こうの気遣いに応じてのリアクションが取れるしね。
(中澤有美子)あと、感謝の気持ちもその方が高まる気がする。
(安住紳一郎)で、遠くから来た人にちゃんとね、挨拶。『遠くから来ていただいて、ありがとうございます。ずいぶんと忙しいのに、本当にありがとうございます』とか言うけど。サプライズとかになっちゃうとね、なんかワワワワワッ!ってなっちゃうでしょ?
(中澤有美子)そうですね。そうですね。そっかー。
(安住紳一郎)レストランで彼女がトイレに立った隙に、彼氏がキャンドルをハート型に並べるんでしょ?
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)そして、レストランの人が協力してくれて、照明を落としてくれるわけですよね。そして、驚いた表情の彼女におもむろに、プロポーズしたりするんですよね?
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)これはね、私、卑怯だと思うんですよね。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)何なんでしょうね?
(中澤有美子)卑怯な真似(笑)。
(安住紳一郎)女の人はでも、弱いのかな?
(中澤有美子)ああー、どうだろう?
(安住紳一郎)ねえ。冷静な判断が彼女はできないよね。協力してくれたレストランのみなさんの手前、断りづらいでしょ?
(中澤有美子)そう。それ、ありますしょうね。
(安住紳一郎)で、そこれはなんか、『はい』って言っておきながら、2、3日後に断ったりとかするわけじゃないですか?違うんですか?
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)『ケーキ、食べてごらん』なんて。そしたら、中から指輪が。ガリッ、えっ!?なんて。入っていて、ねえ。私は食べ物の中に異物が入っているのはとても生理的に許せない!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)あれもどうかと思いますよね?その後のケーキはちょっと鉄っぽい味がするのかしら?とか。口の中からリングを出した時に、唾液が糸ひいちゃったりして。なんか、100年の恋も覚めたらどうするのかしら?とか。飲み込んじゃったら、救急外来なのかしら?とか、いろいろそういうことを思ったりしないんですか?嫌だ、嫌だ。
(中澤有美子)もうね、詰め物が傷んだりしないかしら?とかね。
(安住紳一郎)私、昨日、早朝というより未明ですね。昨日の未明。サプライズの施しを受けまして。いろいろな思いがありましたので、今日はサプライズ至上主義の世の中へ、サプライズ苦手派の私からの上申書というとで、サプライズ、これは止めよう!という提言をまとめてまいりましたので、ぜひ世の中に受け止めていただきたいと思います。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)サプライズ苦手派からの上申書ですね。ええ。これはあの、内閣府にも提出する予定ですけども。
(中澤有美子)これから、とうとうと述べるんですか?
(安住紳一郎)そうです。私、昨日、早朝、未明、サプライズの施しを受けまして。いろいろな思いが去来しましたので、今日はサプライズ苦手だ!という私からサプライズ好きのみなさんへ、これはやめてほしい!という提言をまとめてまいりました。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)昨日の土曜日ですね。私、群馬県嬬恋村で仕事がありまして。撮影がありました。朝6時から撮影だって言うんですよ。ずいぶん早いなと思ったんですけども。朝の浅間山。朝の光の中の浅間山を背景に撮影をしたいという製作陣のリクエストを受けまして。では、仕方がありませんねということで。朝6時からですからね。早いですよ。昨日、土曜日だったんですけども、キャベツで有名な嬬恋村ですけれども。みなさん、ご存知だと思いますけども。
(中澤有美子)ええ。
(安住紳一郎)東京からだと結構時間がかかるんですよね。嬬恋村。一度長野の方に入りまして、軽井沢、中軽井沢の方からグルッと長野に入って、いったん群馬の方に戻るような形になりますんで。上信越自動車道で東京の方から進んでいきますと、松井田妙義ですか?碓氷軽井沢ですか?あのへんのインターチェンジを下りてですね、一度長野県に入って、国道146号ですか。つづら折りの道を通って、ちょっと戻るような感じで群馬県嬬恋村。長野県の県境ですが。北軽井沢と呼ばれたりもしますけれども。
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)高速を下りてからでも、50分、60分かかりますので、東京都心からですと、3時間ぐらいかかりますね。中澤さんは長野にお勤めでしたので、少し詳しいと思いますけども。
(中澤有美子)ええ、ええ。
(安住紳一郎)で、朝6時からの撮影で、移動に3時間かかるというと、都内を相当、朝早くに出発しなくてはいけないので。そういう時はですね、私たちは『前乗り』と言いましてですね。撮影の現場の近くに、前日のうちに、前日にそこに入って。そして、ホテルに泊まって翌朝を迎えるという。前乗りという、そういう行動手段を取ります。当日の渋滞を、予期せぬトラブルを回避できるので。なるべく前乗りしてくださいということを言われたりするわけですよ。
(中澤有美子)はい。
(安住紳一郎)で、早かったので私、群馬県嬬恋村に金曜日に前乗りしたんですね。8月2日金曜日。都内の仕事を終わらせて。夜9時ぐらいに都内を車で出発しまして、群馬県嬬恋村の立派なホテルでしたけれども。嬬恋村のホテルに11時30分くらいに着いて。で、翌朝は6時からですので、だいたい私、準備に1時間30分。最近、メイクに40分かかりますので。私は。女優並みに時間がかかると言われてますけども。
(中澤有美子)へー。
(安住紳一郎)翌朝6時からですから、4時半くらいに起きなきゃいけないと思って、目覚ましかけて。もう、4時間、5時間くらいしか寝られませんから。もう、早く寝ちゃおうと。11時30分くらいに着いて。で、もう嬬恋村ですから、真っ暗ですよね。そしてホテルもほとんど人の気配、ありません。満室だったようですけども。やはり、トップシーズンということもあって。で、部屋に着いて、シャワー浴びて、もう寝る準備ですよね。もう、さっさと寝ようと思いまして。
(中澤有美子)ねえ。
(安住紳一郎)で、私、寝間着は持ち歩いておりませんので。リゾートホテルでしたので、そのクローゼットみたいなものを開けますと、浴衣ではなくて、おしゃれ作務衣みたいなの、ありますよね?
(中澤有美子)(笑)。よくあるねー。
(安住紳一郎)パイル生地の、タイ式マッサージを受けようかというような、そういうような。ちょっと濃い目のクリーム色の、備え付けの。で、またちょっとね、サイズが小さくて。サイズをいろいろ探したんだけれども、統一サイズだということで。仕方あるまいということで。下のズボンがちょっとムチムチした感じなりまして。お尻のラインがずいぶん、ねえ。ボディーコンシャスになりましたけれども。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)そしてちょっとね、前の方もちょっとなんか、ウサギの口みたいな感じになっちゃいまして。なんか、こう、ねえ。ヒュッてなっちゃいまして(笑)。これは、男性にしかわからないと思うんですけどもね。ウサギの口みたいな感じになっちゃって(笑)。
(中澤有美子)ウサギの口(笑)。
(安住紳一郎)ウサギの口。わかりません?ちょっとこう、ヒュッてね、桃のお尻みたいになるんですよね。ええ。キュッてなってしまいました。でも、まあ仕方がありませんからね。でもちょっとあんまり、ねえ。『ピチピチのやつを着て寝ると、悪い夢を見ちゃうんだよな。思いきって、裸で寝るべきか?』なんて、そういうような逡巡もありながら。・・・ちょっと、話が蛇行しておりますが。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)で、寝ましょうと思ったら、もう11時40分ぐらいだったんで。もう、明日早いから寝ましょうと思ったら、ADさん。女のADさん。23才ですか?女のADさんがコンコンコン!ってノックして。で、『夜中に何だ?』と思ってですね。ドアをバッて開けましたら、『いや、安住さんすいません。担当にディレクターが明日の撮影の変更点ができましたんで、今夜中に確認したいんですけど』『ええーっ、そうなの?明日、朝6時からの撮影で4時半に起きるからさー。もう、明日でいいんじゃないの?今日は早く寝ませんか?』みたいなことを言ったら、『いや、安住さんが明日の朝、変更点を伝えると不機嫌になるから、事前に今日中に確認しておきたいんですけど』って。
(中澤有美子)それも、たしかに(笑)。
(安住紳一郎)うん。なかなか、言いづらいことを素直に言う人だななんて思いながら。チッチッチッ!なんて思ってね。もう、その時点ですでに私はふざけるなよ!なんて思ってるんですけどね。
(中澤有美子)ええ、ええ。
(安住紳一郎)『チッチッチッチッチッ!ウーン!チッチッチッチッチッ!ああ、そう!?』なんつって。
(中澤有美子)早い!舌打ちが早い!
(安住紳一郎)『チッチッチッチッチッ!』。早いですよ。なかなか最近若い子とコミュニケーションが取れないんで、なんかこう、不機嫌だってことを表す時は外人並に舌打ちをするようにしてるんですけれど。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)『明日の朝、変更点を伝えると安住さんが機嫌悪くなるじゃないですか』なんつって。ほら、準備好きだからさ。事前に知っておかないと、イライラするから。
(中澤有美子)そうね(笑)。
(安住紳一郎)『明日の朝、変更点を伝えたらイライラするから、今日中に言っておこうかな、なんて思いまして』『チッチッチッチッチッ!ああ、そう!?』なんつって。
(中澤有美子)いやー!(笑)。
(安住紳一郎)嫌な人。で、部屋を・・・じゃあ、やろうよなんて。スタッフ年下なのでね。『じゃあ、やろうよ。ディレクター黒津くん、どうしたの?』なんて言ったら、『じゃあいま、電話で呼びますんで』なんて。『ええっ、そうなの?じゃあ、やろうやろう。早く早く』って言って。
(中澤有美子)うんうん。
(安住紳一郎)そしたら、その今度女のADさん23才が携帯電話でディレクターの黒津くんに連絡を取るんですけども、電話がなんかつながらないみたいな。『山の中だから電波がない。ちょっと、つながらないんですよね』『ええっ?』『一緒に黒津さんの部屋まで来てもらえますか?』『ええっ?黒津くんの部屋番号、わかるだろ?ホテルの部屋の内線電話でかければいいんじゃない?』『ちょっとすいません。私、部屋の番号忘れました』『じゃあどの道、黒津くんの部屋に行けないじゃない!』なんて言ったら、『私、1回黒津さんの部屋に行ってるんで、場所はだいたいわかるんで。行けばわかりますから』なんつって。『ええーっ!?』なんて言って。
(中澤有美子)うん、うん。また・・・
(安住紳一郎)チッチッチッチッチッ!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)『チッチッチッチッチッ!ええっ、なに!?んー!?』みたいな。偉そうでしょ?
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)『わかったよ!』って言って、私、そのおしゃれ作務衣。パツパツのさ、すね毛ボーボー出しながら、クリーム色のちょっとあの、足の裏にひっつき離れ、ひっつき離れるみたいなスリッパを履いてですよ、『ちょっと待って』なんて言って、右手にね、訂正箇所があるって言うから、直そうと思って赤いぺんてるのサインペンを持って。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)で、左手に部屋の鍵。グルグルグルグル回して。『チッチッチッチッチッ!なんだよー!いまさら変更かよ!』なんて言いながら。『チッチッチッチッチッ!んーっ!』って言いながら。ムチムチしながらね、ついて行ったら・・・
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)そしたら、1階の宴会場の扉の前まで来て、『黒津くんの部屋、どこよ!?』なんて言ったら、『いや、この宴会場の扉を開けて、ここ突っ切って向こう側のアネックス館の方に言った方が早いですから。行きましょう』なんて言うんですよね。で、もうこのあたりで気づいてもいいと思うんですけど、私、イライラしてるもんですから。で、早く寝たい!早く寝たい!って。明日の朝の準備・・・私、寝不足だとパフォーマンスが悪くなるもんですから、とにかく早く寝かせろ!みたいな感じで。『チッチッチッチッチッ!んんーっ!チッチッチッチッチッ!明日でいいんじゃないの!?』みたいなことで、プリプリプリプリして。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)周りが見えなかったんですよね。そしたらも、もうお気づきの方も多いと思うんですけども。先週の金曜日、前乗りして、もう11時50分過ぎてますんで。一昨日から明けて昨日土曜日。8月3日土曜日になっていまして。実はあの私、8月3日に生を受けておりまして。そのお祝いをしてくれるということだったようですけども。
(中澤有美子)あー!
(安住紳一郎)もうイライラしてるからね、その落差たるやびっくりで。もう宴会場の扉をガーッて開けて、『黒津はどこよっ!?』ってグワーッ!と開けたら・・・
(中澤有美子)(笑)。はい!
(安住紳一郎)こっちはクリーム色の浴衣ガウンですからね!で、右手に赤ペン持ってイライラして。『んんーっ!』っていう。大宴会場で番組スタッフが120人ぐらい来てたんですよ。
(中澤有美子)ええーっ!?
(安住紳一郎)もう完全にサプライズ。ハメられたなっていう感じで、大変うれしかったんですけども。こっちはでもね、パツパツの浴衣ガウンだからね。1人、なんか人間ドックの会場間違えましたみたいな感じで。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)で、イライラして、ペン振り上げてますからね。スタッフの数が多いもので、なかなか一度に集まるということがないもので。年末年始も稼ぎ時だったりするので。だいたい、出演者の誕生日に合わせて宴席を設けて、スタッフ全体の親睦会のようなものを開くというのが定石になっているんですけども。私がまたそういうの苦手なものですから、ずーっと嫌がってきていて。『もう、そういうのはいいですから、ね』なんて言って、ずっとやっていたんですけども。
(中澤有美子)はい。
(安住紳一郎)担当している番組が10年目を迎え、そして私も40のキリのいいところということで。また、群馬県嬬恋高原。そして真夜中。必ず安住に油断がある!とスタッフは踏んで決行したようなんですよね。
(中澤有美子)ああー!よくわかってる!
(安住紳一郎)完全にですね、私も疑い深い方なので。うーん、ちょっとね、やっぱり油断がありましたね。
(中澤有美子)へー!
(安住紳一郎)で、真夜中でホテル側もよくやってくれたなと思うんですけども。多少、やはり真夜中の宴席ということで、無理です!という断りがあったそうなんですけども。スタッフの1人がたいへん交渉上手な人間がいまして。『たいへん疑い深いやつなので、この嬬恋村での宿泊が千載一遇のチャンスなんです!』とホテルに説明したら、『そういう心意気をうちのホテルは買います!』と言ったらしいですよ(笑)。
(中澤有美子)ああー!
(安住紳一郎)ありがたいですよね。真夜中から、12時から2時まで宴席がありまして。
(中澤有美子)完全にもう、宴会の、整っているわけですか?お料理的なものも?
(安住紳一郎)整っているんですよ。ホテルが気合を入れていただきまして。なんか、弦楽四重奏みたいな、ちあきなおみの『喝采』を弾いてくださったりですね。
(中澤有美子)生演奏?
(安住紳一郎)なんか、軽井沢合唱団みたいなのが来ちゃって。夜中の12時ですよ。ええーっ!?びっくり。
(中澤有美子)ええーっ!?
(安住紳一郎)それでなんか、料理長もなんか、『そういうサプライズならば、心意気を買います!』みたいな感じで。ねえ。もう、朝6時ぐらいから朝食の準備があるにもかかわらず、ものすごい気合を入れてくださいまして。ありがたいことなんですけども。立派なホテルの宴会場で結婚式みたいなことになっちゃって。円卓があって。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)そして、高砂の席に人間ドックの患者さん1人ですからね!40のおじさんが座って。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)そしてあの、取締役クラスの上司も来てましてですね。なんか長々と挨拶をされるんですけども。おとなしく、しおらしく聞いてるんですけども、こちらは人間ドックですからね。
(中澤有美子)(笑)。ちょっと堂々としづらいですね(笑)。
(安住紳一郎)そうですね。私も大至急ね、もうあの、『ちょっと着替えさせてください』みたいなことを言ったんですけども。『まあまあまあ・・・』なんて言われて。ビールを注がれちゃって。人間ドックの最中にビールを飲んじゃっているみたいなことになって。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)サプライズが苦手な人からの上申書、ポイント1。『着替えの時間を与えてください』。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)当人のプライドがありますので。本当にね。みんなは盛り上がってるんですよね。『騙されたー!』って言ってね。『あの疑り深い安住が、騙されたー!』って。
(中澤有美子)『ぜんぜん気づかなかったよー!』って?
(安住紳一郎)私はそれどころじゃないんです。着替えたいんだ!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)朝2時。スタッフ120名。大型バス2台に分乗して東京に戻って行きましたね。
(中澤有美子)朝2時?
(安住紳一郎)もう、だから『やったぜ!』っていう感じでグワッ!と戻って行きましてね。
(中澤有美子)撮影に関係ない方たちは。
(安住紳一郎)余韻なく、引き上げていきましたよ。そしてその、芝居をして私を宴会場まで導いた女のADさんに、『じゃあ、明日の朝6時からの撮影っていうのも嘘なんだね?』って聞いたら、『いいえ。安住さんの旅費がもったいないので、撮影はしてもらいます』って。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)もう、寝る時間ないじゃない。サプライズが苦手な人からの提言その2。『サプライズを受けている人のその後のスケジュールを考えてほしい』。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)あまり考えませんよね?その後の行動のことをね。
(中澤有美子)たしかに(笑)。
(安住紳一郎)私の寝る時間がグッ!と短縮されて。『準備が大事』って言っている人間の準備の時間がグッ!と無くなっちゃって。
(中澤有美子)(笑)。えっ?やっぱり8時ぐらいからにしますとか、10時からにしますっていうのもなかったの?
(安住紳一郎)全くないですね。本当、それが何よりのサプライズっていう感じがしますけども。
(中澤有美子)本当ですね(笑)。
(安住紳一郎)驚きました。ありがたいことですけどもね、内輪の話で恐縮ですけども。いい仲間と仕事ができていることが何よりの贈り物のような気がします。
(中澤有美子)本当ですねー。
(安住紳一郎)不惑の40、1日目の朝から惑わされっぱなしという、この番組をお聞きのみなさまからも、たくさんの激励をいただきました。深くお礼申し上げます。ありがとうございます。今年も1年、どうぞお付き合い、よろしくお願いいたします。
<書き起こしおわり>