吉田豪 天龍源一郎を語る

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吉田豪さんがTBSラジオ『小島慶子キラ☆キラ』で2011年12月にしたトークの書き起こし。ピエール瀧さん、小島慶子さんの代打、水野真裕美さんにプロレスラー天龍源一郎について話しています。


(水野真裕美)さあ、今日はですね、プロレスラー天龍源一郎選手ということなんですけども。

(吉田豪)はいはいはい。

(ピエール瀧)ねえ。2011年を締めくくるのは天龍だと。

(吉田豪)(笑)。水野さんはプロレスね、『DIG』でちょっと、多少詳しくなりましたからね。

(水野真裕美)はい。ちょこっとだけです。

(吉田豪)話しやすいかなと思いまして。1950年生まれ。中学三年生の時に二所ノ関部屋に入門し、天龍の四股名で西前頭筆頭まで上り詰めた力士の方なんですが。76年に廃業して全日本プロレスに入団。で、僕のこのコーナーの登場テーマ曲はジャンボ鶴田さんの入場テーマ曲『J』で。天龍さんはその鶴田さんのライバルで。

(水野真裕美)うん。

(吉田豪)現在61才。ジャイアント馬場さんが亡くなった年と同じ年なのに、いまも元気に現役を続けている。

(水野真裕美)現役でやってらっしゃるんですね。すごい。

(吉田豪)いまだに頑固親父ぶりを発揮している感じなんですけど。BUBKAという雑誌でインタビューしまして。初インタビューなんですよ。これまでかなりの数のプロレスラーや芸能人をインタビューしてきましたけど、まあ桁外れの緊張感でしたね。

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桁外れの緊張感の天龍源一郎取材

※天龍源一郎さんインタビュー収録単行本

(ピエール瀧)えっ、最近はじめてインタビューしたってことですよね。意外ですね。豪さん。

(吉田豪)接点持ちづらい状況だったんですよね。僕、だから天龍さんと敵対していたターザン山本っていう元週刊プロレスの編集長の人がいて。その人と仲が良かったんで、あまり近寄れない感じではあったんですけどね。で、会ってきて。その異常な威圧感の中で探り探り話していたのが、要は天龍さんがMXテレビで『5時に夢中!サタデー』っていう番組がありまして。あれを好きで見てるって聞いてちょっぴり安心したと。接点ありそうだと思って言ったら、『そうそう。あの番組は面白れーな。一般の人にしゃべりかけているような言葉で風刺のきいたようなことを話しているから。玉袋金太郎も出ていて』っていうね。

(ピエール瀧)惜しい!(笑)。

(吉田豪)惜しい!そのままです!って感じでね(笑)。『筋太郎ですよ!』っつって、『ああ、そうか』って言いながらね。で、さらに『あと、グラサンかける男が出てるけど、彼はラッパーなの?』って言っていて。

(ピエール瀧)宇多丸くんね。

(水野真裕美)ああ、宇多丸さん。

(吉田豪)ライムスターの宇多丸さんのことも認識してたと。で、先月号のBUBKAを見ながら、『BUBKAも見たことありますよ。だから今日はちょっと風刺のきいたことを書いてください』っていうね。いきなり向こうから仕掛けてくる感じで。『普通のことを聞いてくるんじゃないよ』的な。なので、僕も多少踏み込みながら話してみたんですけど。

(水野真裕美)うん。

(吉田豪)まず、だから最初に気になったっていうのが天龍さん、相撲で実績を残してからプロレスラーに転向した人なんですけど。最近少なくなったんですけど、昔は他のスポーツや格闘技で実績残してからプロレス入りっていう人が結構いて。アマレスでオリンピックに出たジャンボ鶴田さんとか、柔道で全日本選手権で優勝した坂口征二さん。坂口憲二の父ですね。

(ピエール瀧)マサ斎藤とかね。

(吉田豪)そうですね。ただ、まあそういう実績を残した人って、プロレスに対してお仕事的な感じが入ってくることが多いんですよ。鶴田さんとかはまあ、『就職します』って言って。なんだろう?プロレスにそんなに本気は出さずっていうか。仕事として、力七分ぐらいで、こなしていきますよっていう感じの。

(ピエール瀧)ねえ。っていう。はいはい。

(吉田豪)『そういう中で、なんか天龍さん、そっち方向に行かず。生き様からしてプロレスラーみたいな感じになったのが不思議なんですよね』って聞いたら、天龍さん曰く、『だって、自分の職業だから』って言っていて。『仕事ではなく、職業。まあ、相撲をやっていた頃はプロレスを見てて、「プロレスなんか明日にでもやってやるよ」っていう感じでナメてたんですけど、実際にプロレスをやってみて、本当に自分の体を痛めてリングに立つのが大変だとわかった』と。

(水野真裕美)うん。

(吉田豪)『だから、プロレスが人から悪く言われたら、この野郎!という気持ちになって。それがまたエネルギーになって次の何かにつながる。だから周りから見ると面白い生き方をしてるように見えるんだけどね』って言っていて。

(水野真裕美)一筋なんですね。

(吉田豪)一筋ですね。K-1とか総合格闘技が盛り上がっていた時はプロレスラーがそっちのリングに上がって勝ったり負けたりしていたけど、天龍さんのポリシーは餅は餅屋で。もし格闘家がプロレスに来たら、5回、6回受け身を取ればたぶんバカ負けしてもうやらなくなるっていう考えで。『よく格闘技で俺がいちばん強いとか言うけど、それはちょっと疑問ですよね。餅は餅屋ですよって。要は、なんでこんな受け身なんか取らなきゃいけないんだ?』って。まあ、無駄だろうって普通だったら考えちゃうだろうってことなんでしょうけどね。

(ピエール瀧)うん。

(吉田豪)と言いつつ、天龍さん、『もし総合格闘技からオファー来ていたら、こういう性格だから、もうちょっと若かったらのったかもしれないけど。この年齢でオファーしたっらオファーした方がバカだと思うよ』なんて。

(ピエール瀧)まあ、オファーした方がバカだと思うよなっていう、バカを装ってオファーする人も結構いますけどね(笑)。

(吉田豪)バカですから!って(笑)。谷川さんはそれが出来る人ですけどね。で、『相撲からプロレスに転向して、カルチャーショック的なことはありましたか?』って聞いたら、天龍さん、13才から相撲の世界に入って。『同じスポーツ界だから相撲とプロレス、同じような感じで見ていたけど、実際にはぜんぜん違った。プロレス社会は閉鎖的で、そのちっちゃさにびっくりした』と。要はもっとオープンでスポーツライクなところだと思っていたんですよね。

(水野真裕美)うーん。

(吉田豪)で、よく言うところのプロレス村だけで部外者は入れないっていうところにもうんざりしたし、まあ馬場さん時代の全日本プロレスは特にそれを徹底していた。馬場さんが守ってくれる安心感はあるんだけど、プロレス村にどっぷり浸かることで、プロレス以外のことは、なにも身につかない。天龍さんはそれでトップレスラーに対して怒ったこともあったと。

(水野真裕美)うん、うん。

(吉田豪)『職業レスラーってことに対しては、もっと毅然たるものを持ってくれよ』みたいになって。『要はそれ、ジャンボ鶴田さんに思っていたりしたんですよね?』って振ると、『そうですね。まあ、ジャンボは本当にただの兄ちゃんでしたから』って。まあ、その兄ちゃんぶりが面白かったんですけどね。

(ピエール瀧)うん。

(吉田豪)で、まあ『実は僕、いちばん好きなレスラーはジャンボ鶴田さんだったんで』って言ったら、天龍さんもいちばん最初にプロレス見た時に、いちばん気安く応援しやすかったのは鶴田さんだったと。『ジャンボがんばれよ』とか勝手に思っていたけど、でも鶴田さんはもっとできるだろ?と思っていたから、鶴田さんを覚醒させたっていうか。どんどんどんどん追い込んで、本気のジャンボ鶴田を見せようとしたっていう。で、天龍さん曰く、『ジャンボは体が大きかったから、適当に流してもやり過ごせるところがあった。馬場さんにもそういうところがあったと思う。でも、猪木さんのサイズだと必死こいてやらなきゃいけなかったと思うから、まあ新日本プロレスの方が別物に見えた部分はあっただろう』っていう。

(ピエール瀧)ああ、なるほど。もう体が大きいんで、ポテンシャルが違うと。猪木クラスだと必死になってなくちゃいけないけど、その必死さが視聴者に伝わる感じがあるっていうことですよね。

(吉田豪)そうです。それがだから、猪木さんが『新日本は本物だけど、全日本はショーだ』とか。全日本プロレスが手を抜いているように見えたっていうのは、そういうことだろうって言ってたんですけど。まあその、『新日本は本物だけど、全日本はショーだ』って言われた時に、天龍さん曰く、『あれはめちゃくちゃ頭にきた』っていう。ただまあ、本当割に合わない商売で。『新日本に比べて収入も低かったと言われてるんですけど』って聞いたら、『それが違うんですよね』って。

(水野真裕美)うん。

(吉田豪)そう。『新日本の方が給料がいい』って定説だったんですけど、天龍さん曰く、『俺が馬場さんから直接聞いたのは、長州も安かったな』っていう。要は長州さんが新日本を辞めて全日本に参戦したことがあったんですけど。新日時代の長州さんのギャラを聞いて驚いたと。安い!っていう。ぜんぜん、余裕で払えるな、これっていう。

(水野・瀧)へー。

(吉田豪)ただ、新日本はTシャツの売上とか、サイン会に行ったらどうだとか、そういう副収入が圧倒的に多くて。全日本の副収入は非常にグレーだったと。

(水野真裕美)なるほど。

(ピエール瀧)人気さえあれば、新日本だってやれていたってことですね。

(吉田豪)ものすごい稼げる。副業でっていうね。全日本は副業の収入が入らないシステムですっていうか。まあ、グレート・カブキさんからそういう話、聞いたことあったんですよ。カブキさんのアニメ化の話が来たら、馬場さんの奥さんにつぶされたみたいなね(笑)。

(ピエール瀧)(笑)

(吉田豪)もう聞いたら、はぶいていこうっていう。ちょっとジェラシー的なものがあって。下の人間が人気出るのがちょっとよくないとするようなのがあったっていう。そんな中で天龍さんはそのギャラを、それだけ収入のよかったギャラを全額使うどころか、いわゆるハガミ。前借りまでして、宵越しの金は残さないぐらいの勢いでお酒を飲んできた人なんですね。

(水野真裕美)おおー。ハガミ。

(吉田豪)ハガミって相撲用語ですね。で、馬場さんも鶴田さんも飲まない人だったから天龍さんとしては『俺が全日本プロレスの宣伝部長。外交的な部分は俺が請け負う』っていうスタンスでガンガン飲んでいたと。その飲みっぷりのよさは伝説になってるんですよ。本人曰く、『あれはヤケクソで飲んでいた』っていうことなんですけど。まあ当時、野球選手で億とか稼ぐ人が出てきていて、それからいったらプロレスラーの給料は微々たるものだったけど、天龍さんとしてはイキの良さだけはプロ野球選手とかにも負けたくない。

(水野真裕美)おお!

(吉田豪)だからプロ野球選手がヘネシーを飲んでいると聞くと、お金ないなと思ってもヘネシーを飲んでいたと。アホみたいにって。野球選手が銀座に行くって聞けば、じゃあこっちも行ってやろうかっていう。で、天龍伝説では支払いの時に財布がなくて困っている人がいた時に、ぜんぜん知らない人なんですけど、『話は聞いた!俺に任せろ!』っつって、天龍さんが払ったっていう話とか。

(ピエール瀧)(笑)。かっこいいね!

(吉田豪)かっこいいんですよ。冬の札幌で飲んで帰る時に道路工事している人が寒いのに仕事をしているのを見て、酒買って渡したとか。

(水野真裕美)やさしい!

(吉田豪)いろんな話があるんですけど。天龍さん曰く、『お金のこととか気にして制限して食べているような奴らを見ると、「好きなもの食いなよ。払える限り払ってあげるよ」って言いたくなっちゃう』っていう。『なんなんでしょうね?俺は。究極の幸せ求め人ですよ』とか言ってたんですけど。

(ピエール瀧)へー。

(吉田豪)なんか、勝新とか好きな人らしいんですよね。やっぱ、天龍さん。その、飲み方も豪快で。タニマチとは飲まずに、マスコミ引き連れて、アイスペールにガーッ!といろんな酒を入れて、みんなで回すような感じって。

(ピエール瀧)精神が兄貴なんでしょうね。

(水野真裕美)うん。

(吉田豪)兄貴ですね。あの、『男の見栄で生きている』って言ってましたけど。『だから本当、あの頃みんなお金なくて酒飲んでバカやりたかった頃なんじゃないですかね?』って言っていて。『景気よくなかったけど、みんなで集まって青春してたんです。鶴田とか馬場さんの悪口言いながら、楽しい酒でしたよ』って。

(水野真裕美)あらあら。

(ピエール瀧)(笑)

(吉田豪)『最高に楽しかった。嫌な奴の悪口は最高に盛り上がるんだよ!』っていう。ただ、そんだけ豪快に飲んでお金使いまくった結果、当時稼いだお金、ぜんぜん残ってないんですよ。『まあね、あの時は1万円のお金が1万5千円も2万円も価値があったから。そういう意味では無駄なお金だと思ってないし。ただ、金残したレスラーがいるから、この野郎!と思うけどね。こいつら、ちまちま残しやがって!という気持ちはあるけど、だからってどうこうとは思わないですよ。あの時は本当に楽しく金つかっていたから。』って言いつつも、天龍さんが新日本プロレス出た時に、武藤さんと蝶野さんと橋本さんの闘魂三銃士が、『すごいね、ジャンボ鶴田さんの家って。ベントレー停まってて最高だね!豪邸で』って話していて、『それを聞いた時に、さすがにショックだったよ・・・』っていう(笑)。

(水野真裕美)(笑)

(吉田豪)『畜生。もうちょっと残せばよかった・・・』っていうね。

(ピエール瀧)鶴田ん家、そんなことになってんの!?と。

(吉田豪)ぜんぜん。だって、鶴田さんのケチぶりは有名でしたからね。全日本プロレスの道場にピンクの電話を設置したんですよ。自分のお金で。で、その10円玉を毎月回収に来て(笑)。ジャラジャラジャラーって。

(ピエール瀧)ちゃんと(笑)。

(ピエール瀧)っていうような人ですからね。誰にも奢らなかったって言われている(笑)。そこは悔しかったみたいなんですけど。『まあね、でもそんだけ残してもね、早く亡くなっちゃったら・・・神様、やっぱり不条理だよね』って言ってね。まあ、そんな楽しい青春時代も1990年に終わりを告げちゃうわけですよ。

(水野真裕美)うん。

(吉田豪)全日本本体から離れて、天龍革命っていうそのムーブメントを起こして盛り上がっていたんですけど。で、それで『面白いね』って友達に言われるぐらいだったのが、久しぶりに会場に来たその同じ友人に『面白くないね』って言われて。まあ、言われた途端にそのグループを解散して。

(水野真裕美)へー。

(吉田豪)さらには、契約更改の時に金銭的に評価されていないのを見て、『なんだよ、これ?』と。まあ、そんな時にメガネスーパーから『SWSという新団体のエースになってくれ』という話が来て。

(水野真裕美)おおっ!

(吉田豪)で、お金で評価されていないと思っていた時に、お金で評価してくれたというね。一説には3億円と言われていて。ただ、まあそれによって当時のプロレスマスコミ、まあさっき名前が出た週刊プロレスのターザン山本という人が、SWSのバッシングを始めて、大変なことになるんですよ。

(水野真裕美)ふーん。

(吉田豪)まあ、メガネスーパーの人たちはもっと好意的に、『よくぞこの業界に参入してくれた!』的に書いてくれると期待していたら、『金でプロレスを買った。天龍も金で流れた』みたいな感じで大バッシングになったんですね。

(水野真裕美)あらー。

(吉田豪)で、天龍さん、言ってたんですよ。『みんな、お金じゃないよって言ってたけど、いくらで俺が変わったと思ってんだよ!って言いたいです』って。『マスコミで言われるほどメガネスーパーから大金は貰っていないってことですか?』って聞いたら、『そんな安いか!?って言いたかったよ!』っていうね(笑)。だからこそ、俺は動いたっていう。

(ピエール瀧)うん。

(吉田豪)ただ、まあ本当、そうやってバッシングの記事を書いていた人が裏金貰って潤ったって聞いたのは最近。『本当、痰壺より汚い奴ですよ!』って怒っていて。どういうことか?っていうと、その週刊プロレスの編集長だったターザン山本が全日本プロレスサイドから裏金をもらって叩いてたとつい最近告白というね。

(水野真裕美)うーん・・・

(吉田豪)『お金で動いたのはどっちだったか?』っていう話になったんですけど。っていうか本当にこの、なんだろうな?当時、ネット時代以前って、簡単に人を騙せたんだなって思いますよね。

(ピエール瀧)ああ、情報操作ひとつしかないし。そこさえ抑さえちゃえばと。

(吉田豪)そうです、そうです。僕、だからターザン山本とずっと仕事してて。天龍さんとこうやって・・・っていうか、会わなくてもわかるわけですよ。どっちが金に汚いか?って(笑)。よくそれで天龍バッシングに世の中なったな!っていう・・・

(ピエール瀧)あー、なるほどね。そうか。その情報の裏の取り方もないですし。それをみんなで、その識者たちが議論する場もないし。

(吉田豪)雑誌で『ひどい!』って叩いて。で、読者が流されて、その読者のハガキを載せることによって世論を作れたんですよね。

(水野真裕美)へー!

(吉田豪)まあ、だからそりゃ怒りますよ、天龍さんっていうね。だから天龍さんからしてみれば、ターザン山本っていうのは絶対許せない存在だと思うんですけど、そこは男気あふれる人なんで。『まあ、許せないっていうよりも、プロレスのリングで戦ってみたいよね』って言っていて。『それでお客さんを呼んでボコッとやって、はじめてノーサイドにしてやるよって言いたいよ』っていう。

(水野真裕美)かっこいい。

(吉田豪)『いまなら俺、逆に負けるかもしれないけどね』っていうね(笑)。余裕だらけですよ(笑)。つーか、『そんなこと言ったらターザン山本って人はいま、本当困っているから話にのってきますよ』って言ってたんですよね(笑)。

(ピエール瀧)(笑)

(吉田豪)相手してくれた!っつって。さらにその後、女性の話になるんですけど。まあ、『プロレスではあっちこっち二股するのが嫌だ』っていうような話から、『俺は女と遊んだことないですよ。いつも1人だけです』っていう。どういうことか?と思ったら、『女房と結婚する時も、いままで付き合ってきたねえちゃんに「結婚するから」って言って文句言われたこともありました。結婚してから付き合ったねえちゃんは、「俺と付き合っていろんなことを俺はお前に求めるだろうけど、たぶんウチの女房には勝てないから。そっから先は考えちゃダメよ」』って。なんか、松方弘樹みたいだなって(笑)。

(ピエール瀧)言ってること、めちゃくちゃですからね。いまの一行ね(笑)。

(水野真裕美)結婚してから付き合って、結婚する前も付き合って。これ、二股なんじゃないですか?

(ピエール瀧)プロレスラーですから!

(水野真裕美)あ、そっか。

(吉田豪)二股はしてるけど、本気にはならないってことですね。

(水野真裕美)なるほどね。

(吉田豪)あくまでも、遊びですから。

(ピエール瀧)いろんな人とタッグは組みたいですよ。本当に。

(水野真裕美)ああ、なるほど。

(吉田豪)同じパートナーだけじゃ、飽きるよってことですね。

(水野真裕美)なるほどね。でも、ウチの女房には勝てないと。

(ピエール瀧)いろんなツープラトンですよ。本当に。

(吉田豪)(笑)。天龍さん、話してても『松方弘樹・高倉健』の単語が出てくるんですけど。そういう生き様が好きでっていうね。作られた虚像が好きではないっていう。『たとえば極端な話、三菱とかトヨタのコマーシャルに出てるけど、お前、本当はベンツ乗ってるじゃねーか、この野郎!っていうのは好きじゃない』って言っていて。

(水野真裕美)ふんふんふん。

(吉田豪)で、まあインタビューの最後、天龍さんが『BUBKAって結構売れてるでしょ?若いので読んでいる奴、結構いるよ』って言ってきたんで、僕が『週刊プロレスよりは売れてますよ』って伝えると、『そうなのか!最後に「週刊プロレスよりは売れてるらしいね!ガハハッ!」って書いておいて!』って言ってったんですが、『いや、やっぱりやめよう。こっちは週刊プロレスから仕事もらってるんだから、これ以上敵作ってどうするんだよ!』って。

(水野・瀧)(笑)

(吉田豪)要はね、『嫌いだったのはターザン山本時代の週刊プロレスですからね』ってフォローしたら、『そう、山本。あの野郎だけは、新宿FACEのメインでガツン!とやってやりたいよ!でもね、それで試合の後、「天龍さん、これだけやられたんだから、もうちょっとお金くれ」とか言ったらね、ブチ殺してやりますよ!』って言ってったんですけど。これ、本当に天龍さんよくわかってらっしゃるっていう話で。

(ピエール瀧)うん。

(吉田豪)僕、そのターザン山本って人としょっちゅうトークショーやってたんですが、イベント終わった後で『ギャラが少ない!もっとよこせ!』ってゴネたりとかしょっちゅうしてて。

(ピエール瀧)(笑)

(水野真裕美)ええーっ!?

(吉田豪)1回、それで僕、ターザンとイベントやらなくなったんですよ。ガチ切れして、『俺をナメてんのか、こんな金で!?』って言って、あまりにも醜い争いをしてたから、お店の人が見かねて1万円上乗せしたんですよ。その瞬間、態度が変わって。『いままでのはギャグですよー。キャラですよー。そんな、本気で怒るわけないじゃないですか』って言って。『またね!』って言って帰って行って。こんな醜い大人、見たことがない!っていう。これはやりたくないね、イベントって(笑)。よくわかってらっしゃる!本当に、そういう人です。

(水野真裕美)へー!

(ピエール瀧)もう、わかってるんだね。天龍さんはね。

(吉田豪)みたいな話をさんざんした後で、最後のセリフが『でもね、ジャンボ鶴田がベントレー乗ってるって聞いたのはショックだった・・・』っていうね。

(ピエール瀧)(笑)

(水野真裕美)素敵な方。

(吉田豪)素敵ですよ。

(ピエール瀧)これぞプロレスラー。

(水野真裕美)本当に。

(吉田豪)本当、ミスタープロレスって言われるのもわかるっていうね。男気の塊。

(水野真裕美)61才。現役でね、なさっているという。

(吉田豪)元気ですよ。でも、現役なのもだからいま、これから長期欠場するんですけど。61才ですよ?ジャイアント馬場さんの晩年の試合見てたら、ぜんぜんもう、十分以上やってるんですけど。『こんなのは本物の俺じゃない』って言って、本気で体を治して、もう1回、ちゃんとやろうとしているってところがまたすごいですよ(笑)。

(ピエール瀧)これからオーバーホールをするために。

(水野真裕美)かっこいい!

(吉田豪)『ここ何年かの天龍は天龍じゃなかった』って言っていて(笑)。

(水野真裕美)仕事じゃなくて、職業と。かっこいい!ありがとうございました。豪さん。

(吉田豪)はい。

(水野真裕美)プロインタビュアーの吉田豪さんでした。

<書き起こしおわり>



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