松尾潔 Janelle Monae『Make Me Feel』とプリンスを語る

松尾潔 Janelle Monae『Make Me Feel』とプリンスを語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で2018年にリリースされたプリンス・ミネアポリスサウンドの影響を受けた楽曲を紹介。Janelle Monae『Make Me Feel』、Aaron Camper『So Cold』について話していました。

ダーティー・コンピューター

(松尾潔)続きましてご紹介しますのは、プリンス関連のナンバーでございますね。プリンスが亡くなったのは2016年の4月のこと。もうそろそろ2回目の彼の命日がやってきますね。早いですね。プリンス、この間のスーパーボウルでもジャスティン・ティンバーレイクがプリンスへのオマージュを捧げたことで影響力が改めて取り沙汰されましたけども。まあ、ジャスティンに限りません。いまの30代、40代。このあたりはね、やっぱり多感な時期にプリンスの音楽が自分のなにかの扉を開けてくれたという、そういうミュージシャン、アーティストっていうのは多いですね。

これからご紹介しますジャネル・モネイ。彼女はいま32才。1985年生まれの、映画の方で女優としても大きな成功をおさめて、もちろんシンガーとして、そしてレーベルオーナーとしても精力的に活動する才女と誉れ高い、そんなジャネル・モネイなんですが。そのジャネル・モネイがプリンスに捧げたとしか思えない、まあ実際にそういうコメントも残しておりますけども。これは音が雄弁でございます。そんな曲。そうですね。プリンスが亡くなって2年もたてば、こういうものが出てくるっていうことなんでしょうね。いま、バックに流れておりますのは、プリンスが全てを仕切って作られたと言われておりますヴァニティー・シックスという女性グループの『Nasty Girl』という曲なんですね。

まあ、これはプリンス名義ではありませんが、もうプリンス流儀のファンクとしてはかなり有名なものかと思いますが。その曲など――あえて「など」と言いますが――などを踏まえて作られたのがジャネル・モネイの新曲です。これも2018年の新曲なんですけども、もちろんいまの曲であり、80年代の曲であり、タイムレスな魅力を持った曲でありという、なんとも摩訶不思議な立体的な魅力を持った曲です。聞いてください。ジャネル・モネイ『Make Me Feel』。

Janelle Monae『Make Me Feel』

Aaron Camper『So Cold』

2016年4月に亡くなりましたプリンス。そのプリンスを思わせる、あえて「プリンス関連」と言い切ってもいいんじゃないかと思いますが。そんなナンバー、新曲2曲を続けてご紹介いたしました。まずはジャネル・モネイで『Make Me Feel』。これはさっきも話しましたけどもヴァニティー・シックスというグループの『Nasty Girl』という曲がありまして。その曲を下敷きにしているんじゃなかろうかと思しき曲です。ジャネル・モネイというのは本当にさっきもお話しましたけども、女優として成功を収めておりますね。去年のアカデミー賞の候補作になっていましたね。『ドリーム』という映画で重要な役どころを演じておりまして。

この番組で時々名前を出しますチャイルディッシュ・ガンビーノという男性アーティストがいますね。ミュージシャンの時はチャイルディッシュ・ガンビーノ。そして役者さん、劇作家としてはドナルド・グローヴァーという名前でやっているんですけども。ドナルド・グローヴァーとジャネル・モネイ、それぞれにミュージシャンとしても役者さん、演劇人としても他の代えがたい個性を持っているというところで。本当に才人っているもんだなという風に思いますね。この曲も本当にプリンスへの眼差しももちろん感じますけども、やっぱり音楽を通して見れるのはこのジャネル・モネイという人のとてつもない才能ですね。ウネウネしたシンセベースの向こうに、ちょっと毅然とした女性像みたいなものも見えたりして。このあたりは彼女の真骨頂と言えるんじゃないでしょうか。この番組では『Electric Lady』という曲を以前にご紹介した記憶がございますけども。

まあ、いろんなスタイルの音を取り込む。でも、いつもジャネル・モネイっていうのは彼女が以前からリスペクトを表明して実際に共演も果たしておりますエリカ・バドゥ。彼女なんかにちょっと似た佇まいですね。続いてご紹介しましたのはアーロン・キャンパーという男性アーティストの『So Cold』という曲でした。このアーロン・キャンパーという人はこの番組ではじめてご紹介すると思いますが。80年代っぽいサウンドを身にまとうのを特徴にしている人でして。『Heat』という曲で僕は彼に注目するようになったんですけど、『Heat』という曲はチェンジの『The Glow Of Love』というディスコクラシックスを上手くいまの音に落とし込んでいましたが。

この『So Cold』という曲では、かつてジャム&ルイスがメンバーだったことでよく知られますザ・タイム。もちろん、ミネアポリスのプリンスの子飼いバンドでもあったわけですが。そのザ・タイムの『Get It Up』という曲を下敷きにしましてね。今様のミネアポリスファンクを仕立て直しておりました。

ザ・タイムの『Get It Up』という曲は後にTLCがカバーしたことでも知られますけども。ちょっと猥雑な、なんともストリート風情。ちょっとやさぐれた感じの怪しい魅力の曲でございます。その曲を取り込んで再構築して。そしてちょっと耳馴染みのいいメロディーで歌っているのがこの『So Cold』という曲ですね。アーロン・キャンパーという人の名前を覚えておいてください。

<書き起こしおわり>
https://www.tbsradio.jp/234446

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