松尾潔 Marteen『We Cool』を語る

松尾潔 Marteen『We Cool』を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でケラーニの従兄弟であるアーティスト、マーティーンの『We Cool』を紹介していました。

Nothankyou.

(松尾潔)この番組で常連的な位置にいると言っても差し支えないかな? ケラーニという、この2年ほど活躍めざましい女性シンガーがおります。そのケラーニ、この番組の年間トップ20にもランクインしているケラーニの従兄弟にあたる男の子、マーティーンというまだ10代の少年の作品をご紹介したいと思います。このマーティーンの曲というのはちょっと前……2年ぐらい前からですかね。ミックステープですとか、あと去年シングルがポンポンポンという風に出ていたんですが。そういったものをまとめて『NOTHANKYOU.』というアルバムが先ごろリリースされました。

Nothankyou.
Posted at 2018.5.27
Marteen
Warner Bros.

その『NOTHANKYOU.』というアルバム、R&Bを主体としたポップアルバムというのがいちばんわかりやすいかと思いますけども。最近の、ケラーニもそうですね。あとはフィフス・ハーモニーとかアイドル的な人気もあるし、実力もあるという。そしてアフリカン・アメリカンでもないメンバーもいたりするという、そういった……番組でも何度か話していますけども、R&Bというかつてイメージしていたソウル・ミュージックと呼ばれていた頃のアフリカン・アメリカンの専売特許みたいなところからどんどんどんどんイメージが広がっているというか、もう定義が更新されていくという、まさにその途上にあるわけですが。

まあ、このマーティーンもそういった存在ですね。うん。本名はマーティーン・エステベスという名前から垣間見えますけどもね。いろんなルーツを持っているという。ケラーニと従兄弟ということで、年齢で言うとケラーニお姉ちゃん・マーティーンくんというそういう関係なんでしょうけども。まあ、ケラーニよりももっとポップな印象が強い、そんな『NOTHANKYOU.』というアルバムなんですが、この曲はR&Bファン、メロ夜ファンにも支持されるんじゃないでしょうかね。聞いてください。マーティーンで『We Cool』。

Marteen『We Cool』

マーティーンで『We Cool』をお届けしました。これは本当に軽やかな曲で。でもR&Bということになんのためらいもないですね。いい曲です。昨年リリースされた曲なんですが、今年の2月。アルバム『NOTHANKYOU.』の方にもめでたく収録されました。プロデューサーを手がけますのはJRロテム。JRロテムはいま、40代前半でもう中堅というにはあまりにも大きなヒットが続いているというか、大物と言って差し支えがないでしょう。2006年のショーン・キングストンの『Beautiful Girls』あたりから、あとはリアーナの『SOS』あたりから名前が出てきて。そうですね。ヒットプロデューサーになってから長い人ですが。

このJRロテムという人自身がイスラエルから南アフリカに移民してきた両親のもとに生まれた白人、ジューイッシュで。で、いまはアメリカで活躍をしているという。もう何度も言いますけども、R&Bという言葉のイメージ、古い定義だけで語るとちょっと恥ずかしいですよっていうぐらいいまはどんどんどんどん意味合いも更新されているという気がいたします。まあ、「拡散」と言ってもいいのかもしれないですけどもね。マーティーンの『We Cool』、実に新しいポップスでございました。

<書き起こしおわり>

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