東京ポッド許可局 『激おこぷんぷん丸』論 書き起こし

東京ポッド許可局 『有吉横綱』論 書き起こし 東京ポッド許可局

TBSラジオで放送中の東京ポッド許可局。マキタスポーツさん、プチ鹿島さん、サンキュータツオさんが今回は若者言葉『激おこぷんぷん丸』などについて語っていました。

(ナレーション)ここは東京のはずれにある事務所、東京ポッド許可局。例によって暇を持て余した局員たち。今日もおしゃべりが止まらないようです。3人が語らっているのは『激おこぷんぷん丸』論。一体どんな話が飛び出すのやら。ちょっとのぞいてみましょう。

(マキタスポーツ)あのさ・・・

(サンキュータツオ)マキタさん、声どうしたんですか?

(マキタスポーツ)いや、あのちょっとライブがあってね・・・

(プチ鹿島)なんか隣に談志師匠がいるんですけどね。さっきから。ざわざわしてるんですけど。

(マキタスポーツ)(笑)

(サンキュータツオ)初めて聴いた人、何事かと思いますよね。

(マキタスポーツ)(立川談志をマネて)鈴本でね・・・

(プチ鹿島)談志局員が今日、やってくださる。

(サンキュータツオ)しかも落語協会にいる頃の談志師匠じゃないですか。ちょっと泣けて来ました。

(マキタスポーツ)あのね、週末ライブとかが重なって、打ち上げが続いて腹立ったことがあって。いま、ライブが続いたからこんな声になってるんだけど。

(プチ鹿島)高座じゃないですからね。寝ちゃダメですよ!『夢になるといけねえ』なんてね。

(サンキュータツオ)やかましいよ!

(マキタスポーツ)(立川談志をマネて)人形町の末広亭は・・・

(サンキュータツオ)もういいから!それも人形町の末広があった時じゃないですか。もうちょっと涙ぐんじゃいました。いいですから。

(マキタスポーツ)で、立て続けにここんところ打ち上げに出るんだけどさ、ライブなんて大方そんな予算あるわけじゃないから、程度のあんまり高くない居酒屋とか行くんだけど。

(サンキュータツオ)まあ、セット2500円、3000円ぐらいのね。

(プチ鹿島)そりゃそうだ。

(マキタスポーツ)ふと思ったんだよ。ふと思ったのは、なんか刺身とか焼き鳥ってのが当たり前に出てくるじゃん?

(サンキュータツオ)あー、居酒屋行くとね。その、とりあえずみたいなね。

(マキタスポーツ)俺ね、これたとえば昭和の苦しい時代を知っている大人が聴いたら「何を!?」と。「前のそれは、怒りじゃない」と言われてしまうと思うんだけど。

(サンキュータツオ)動力源が石炭とかだったころの人にとって。

(マキタスポーツ)俺、誰に向けてこの怒りをブチまけられるかって言ったら、あんたらしかいないんだよ。微妙なこの怒りっていうのは。分かる?

(サンキュータツオ)(爆笑)

(プチ鹿島)ぶつけちゃいなよ!

(マキタスポーツ)あれ、美味しくないじゃん?あの焼き鳥、ひとつも美味しくないんだよ。

(サンキュータツオ)『あの』って言っても共有できてないけど(笑)。

(プチ鹿島)だから『記号』を出しているだけなんですよ。『焼き鳥、刺身、もう豪華でしょ?』って。

(マキタスポーツ)そうそう!そうなのよ!自動的にそうなっているわけ。

(プチ鹿島)『ウチ、もう悪いところないでしょ?』っていう、そういうことでしょ。

(マキタスポーツ)美味しくないよ。マグロだってスジなんか入っちゃっててさ。ほんでだいたいマグロとね、イカと甘エビとサーモン。あれ、出しときゃいいでしょ?的なさ。3000円払ったら、あれぐらい出しときゃお前ら納得するでしょ?的な。

(プチ鹿島)刺身アリバイですよ。

(サンキュータツオ)『あれ出しときゃいいでしょ?』JAPANね。

(マキタスポーツ)そう。で、あと何だよ、あの焼き鳥。何だか分からない焼き鳥。タレの付きの浅い・・・

(サンキュータツオ)塩で食べたいよね。

(マキタスポーツ)で、塩とかも、もう一つ・・・

(サンキュータツオ)申し訳程度にある。美味しくないです、あれ。たしかに。

(マキタスポーツ)美味しくないんですよ。

(サンキュータツオ)いわゆるチェーン店のそういうやつね。

(マキタスポーツ)でね、両方家庭料理的じゃないと思うんですよ。ツマミで、ああいうところに行ったから食べるものなんですけど。その隙をついてね、どうもそれを作って操作した人たちは、操作できる人たちは、頑張ってないぞ。ルーティーンだよ。止めてるんだよ。更新されてないと俺は思ってる。

(サンキュータツオ)あー、そうかも。たしかに昭和から止まってるね。

(プチ鹿島)たぶん、発想がもうマッチョですよね。『魚と肉、焼き鳥を一緒に出しとけば、もう豪華じゃん?』っていう机上の論理ですよね。

(サンキュータツオ)酒飲みじゃないからかどうか分かんないけど、居酒屋でのそういうルーティーンメニューには手つけないです。僕。

(マキタスポーツ)あ、それはお前、冷静だよな。酒を飲んでない分だけ、一歩引いてるわけだよ。俺なんか、みっともねえよ。だってさ、腹減ってるんだもん。

(サンキュータツオ)だって結構お腹減ってる状態で、負け戦したくないじゃないですか。もう敗戦投手じゃん。

(マキタスポーツ)打ち上げ行った時にはすでに、お腹は空いてる、ビールは飲みたい。ね?その状態で行ってるから。あと、安堵があるじゃん?そこで癒したいということもあるから、3つの欲望を抱えて俺は行くわけですよ。だから腹減ってるから、気がつくとそのマズい刺身を食ってんだよ!

(プチ鹿島)そうそうそう。

(サンキュータツオ)何だ、この話(笑)。

(プチ鹿島)俺、怒りは無くとも、似たような・・・ビール飲みたい、お腹空いてる、それは焼肉屋行った時にどっちをどうすればいいのかな?って。よくあるじゃない?大人の男は肉だけとかつまんでビール飲みますよって。だけど意外と今、若衆はすぐご飯をたのむんですよ。で、ご飯で、そんな酒飲まない人とかね、肉を食べはじめる。俺、どっちも出来るんですよ。

(サンキュータツオ)ビール、焼肉、ご飯。

(プチ鹿島)どっちでも。全部まとめてやれる。でもそれってよく考えると、カッコ悪いなって。あなた、昔言ってたよね?マキタさんはそういう時は、ちょっとガマンしてでもご飯は食べない。でも、俺食べちゃうんだよ。

(サンキュータツオ)それはね、鹿島さんのさじ加減。店側の都合じゃないから。

(マキタスポーツ)(笑)

(プチ鹿島)でも、どうしてもさ、『ビール飲みたいけどお腹へってる』JAPAN、あるじゃない?

(サンキュータツオ)JAPANの使い方、間違ってるよ(笑)。

(プチ鹿島)絶対そうなんだよ!で、結局ガツガツ食べちゃうっていう。それ、何ですか?

(マキタスポーツ)俺もね、食欲との問題で言うとね、人生のキャパシティって自分の中で見えてるんです。もう。そこが見えてるの。だから一生かけて食べられるものの量ってのも、見えるんですよ。回数とかも見えるんですよ。

(サンキュータツオ)山田風太郎先生なんかは、『あと千回の晩飯』なんてのもありましたけど。大体あと30年、40年ぐらいですもんね。

あと千回の晩飯 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)

(マキタスポーツ)そんなん言ったって、俺どんなに希望的観測ったって、まあ2・30年ですよ。言ってみれば。

(サンキュータツオ)だから2・30年×365ぐらいのメインディッシュしか食べられない。

(マキタスポーツ)食べれないんですよ。そんな時にね、俺、なんであんな居酒屋の更新が止まっているメニューに口をつけて、ちょっと腹が満たされてるんだよっ!

(サンキュータツオ)すげー怒ってる。

(プチ鹿島)それは分かるわ。なんか『1回損した』感あるよね。

(マキタスポーツ)ある!

(サンキュータツオ)いや、でも最近すげーお腹減ってる時に、何を食べたら勝ちなのか?ってちょっと自分と向き合うんですよ。でも、なんかあんまり勝てないの。その、置きに行っちゃうの。

(マキタスポーツ)みっともないやつだろ?みっともない。お前、みっともないよ。でも、俺も分かる!俺もみっともないんだよ。

(サンキュータツオ)あれ、どうしたらいいんだろうね?

(マキタスポーツ)本当、恥ずかしいよ。自分が。結果的に。あんなもんに口つけてるなんてさ。

(サンキュータツオ)結局、空腹に負けてしょっぱいメニューを食べちゃうんでしょ。居酒屋でも。それは負けですよ。

(マキタスポーツ)俺が食いたいものはね、たぶん居酒屋に行って食べたいものって違うんだと思うんだよ。

(サンキュータツオ)何食べたいの?それはさ、周りの人たちは食べてるの?

(マキタスポーツ)食べてんだよ。だけど絶対問題意識ってあると思うの。誰しも。

(サンキュータツオ)『居酒屋のメニューいかがなものか?』問題。

(マキタスポーツ)だけど、あいつらは・・・俺は気がついたけどね。あいつらは『こういうもんだ』と。

(サンキュータツオ)なるほど。思考停止スイッチなんですね。

(マキタスポーツ)思考停止をしてるんですよ。居酒屋のああいう自動的なメニューっていうのは、俺らは別に食べてるんじゃなくて、国の誰かにリードを付けられて働かされてる人たちの養分として、エサとして与えられているようなものなんじゃないかと思ったら、俺は完全にそれに対して問題意識が今までなかったかと思うと、本当くやしい。

(プチ鹿島)だからマキタさん、そういう時は声を上げなくちゃいけない。いや、本当に。僕この間、まったく同じ状況で、いつも行く仲間で打ち上げがあったんですね。で、やっぱりいわゆるチェーン店なんですよ。『ああ、まあいつもどおりの居酒屋か』って思ってたら、1人、「ちょっとテンション上がんないな。韓国料理にしない?」って。店変えて。そしたら、良かったんですよね。みんなのテンションも上がって、そこの・・・だって移動中にもう、『あの、いつものところか』って言ったらまあいいんだけど、ちょっと色かえて個別の韓国料理屋ってなった途端、そっからもう宴が楽しかったですよ!

(マキタスポーツ)でも、そういうことが出来るとしたら、水際でよく踏みとどまった。

(サンキュータツオ)頑張った方です。戦った方です。

(プチ鹿島)戦ったよ!

(マキタスポーツ)戦った。たとえば、5000円ぐらいのレベルの・・・

(サンキュータツオ)じゃあ、5000円だったらマキタさんはどんなメニューがいいの?

(マキタスポーツ)答えましょう。答えはね、ガンモとかを煮たようなものに、さやいんげんとかを薄く切ったものがちょっと乗ってるようなやつとか。

(サンキュータツオ)でも、5000円の居酒屋だったらそれぐらい出るって!5000円って結構高いよ。

(プチ鹿島)高いよ。

(マキタスポーツ)俺が言いたいのは、『外でしか食べられないもの』って世の中にはあると思うんですよ。それがたしかに刺身とか焼き鳥とかっていうものだと思うんですよね。あるいはもっと言うとラーメンとかも家では作らないものじゃないですか。だから外に出て外食する時はそういうイベント性を帯びるわけですよ。だけど俺ね、本当に今食べたいものって、外に出て、家庭で食べられるもののランクの上のものを食べたいの。ガンモの煮物も・・・

(プチ鹿島)食べりゃあいいじゃねーか、じゃあ(笑)。

(マキタスポーツ)俺なに?考えすぎてるだけ?これ。

(サンキュータツオ)でもちょっと待って。だからそれは5000円だったら、いいところはあるよ。

(マキタスポーツ)そう。だから5000円出さないとそういう家庭料理・・・サムシングのある家庭料理食べられない。

(サンキュータツオ)でも、俺の言いたいのは3000円で、あるいは3500円で飲み放題込みで、セットメニューかなんかで納得いくメニューを作ったら、そのチェーンは結構勝てるんじゃないの?っていう話ですよ。

(マキタスポーツ)そういうことよ!俺だって思うわけ。

(プチ鹿島)でもさ、迎える側の問題じゃなくて行く側の問題も、もう1回言うけど、あると思うんですよ。だって3000円も5000円も。5000円出せる人は、6000円出したっていいじゃないですか。それはたとえばイタリア料理の銀座の美味しい店。この間、乙武くんがね、いろいろやってましたけど。でも、乙武くんは手間ひまかけて、そういう店を見つけてるわけでしょ?やっぱりその惰性で、『いつものじゃあ、打ち上げ、居酒屋でいいや』っていう。同じ銀座だとしてもよ、そこには行かないんですよ。乙武くんは。

(サンキュータツオ)でもやっぱりその、『いつもの』感はどうしてもほしいわけじゃないですか。説明不要の。全国共通のあそこっていうね。

(プチ鹿島)じゃあ、普通に入る居酒屋、どこにでもあるチェーン店の底上げをしろってこと?俺、それは知らねーわ・・・

(マキタスポーツ)俺ね、『そのまんまでいいの』JAPANを・・・『そのまんまでいいの』JAPANでしょ?

(サンキュータツオ)だからたしかにずーっと更新が止まっているやつね。

(マキタスポーツ)そこにまだ、ベンチャーとかチャンスはあるんじゃないか?

(サンキュータツオ)まだ居酒屋チェーンだったらね、いっぱいあるじゃないですか。だったら他の店と差をつける意味でもルーティーンな、若者だけが喜ぶような油っこいメニューじゃなくて、大人が喜べるようなメニューがあった方が絶対勝てるじゃないですか。

(マキタスポーツ)だからこれ、テレビの状況とやっぱり似てない?あの、刺身と焼き鳥じゃんかよ。若手芸人って。それ出しときゃあ、このぐらいの価格帯で、これ出しときゃ持つでしょ?っていうことが制作サイドにはあるんじゃないですか?

(サンキュータツオ)視聴率と同じだよね。そのメニューってね。まあ、居酒屋っつって打ち上げ行って、串と刺身があったらとりあえず視聴率読めるじゃないですか。そこは。僕ら絶対串焼きじゃないじゃん(笑)。

(マキタスポーツ)俺らは、何だろう?もずくを揚げたようなやつとか。

(サンキュータツオ)(笑)人気ない。もずくを揚げちゃった!?

(マキタスポーツ)ただそれはものすごく特化して、考えてやってるんじゃないですか。

(プチ鹿島)ダイオウイカの刺身ですね。同じ刺身でもね。

(マキタスポーツ)美味しくないね。

(プチ鹿島)美味しくない。

(サンキュータツオ)美味しくない。せめて美味しくありましょうよ!

(マキタスポーツ)ずいぶん前に、我々再三語りました。あのコロッケそばって、俺更新止まってると思うんです。

(サンキュータツオ)はいはいはい。

(マキタスポーツ)俺、今年に入ってから10回は食べましたよ。

(サンキュータツオ)(笑)結構いってますねー!

(プチ鹿島)それは何?リサーチですか?ちょっと好きだった感じ?

(マキタスポーツ)いや、好きにはならなかった。なぜ好きじゃないのか?って自分で考えたらね・・・

(サンキュータツオ)好きなものがつまってるのにね。

(マキタスポーツ)そうなんですよ。僕が好きなのはコロッケ、汁、麺、ぐちゃぐちゃ。全部揃ってるんです。全部つまってるのに、それがトゥーマッチになぜか僕の中で考えられるのは、『甘さ』だと思ったんです。

(サンキュータツオ)ほー、甘さ?

(マキタスポーツ)あのコロッケって、コロッケそば専用に考えられて作られたコロッケじゃないです。だからそれ以上考えられてないんです。だからコロッケって従前の状態でも、おかずの一品になるぐらいのポテンシャルあるから、それだけの味付けがされてるのね。で、出汁もちゃんと濃い味がするわけでしょ?プラスプラスだったら甘さに変化してしまうんですよ。で、俺甘さに敏感じゃん?

(サンキュータツオ)甘さに敏感ですね。甘さGメンですもんね。

(マキタスポーツ)そう。甘さGメンだから、すぐピリッて分かっちゃったわけ。だったらこれは、コロッケそば専用のコロッケを考えるか、あるいはコロッケそば専用の出汁を考えれば、いいものが出来るんじゃないかと。

(サンキュータツオ)マキタさん、結構お忙しい方だって聞いたんですけど、そういうこと考える時間はある・・・

(プチ鹿島)で、食べながら考える時間はあるんだよね。コロッケそば。

(マキタスポーツ)あとね、PKさん言ったじゃない。ぐちゃぐちゃさせて食べたりするのもいいって言ったけど、俺はね、たとえば(コロッケは)1枚でいいの?もっと、同じ体積を分けて3枚ぐらいのものにして。で、サクサクも食べたいし、したしたにもしたいし、最終的にはぐちゃぐちゃにもしたいし・・・止まってるじゃん。考えてないじゃないですか!

(サンキュータツオ)たしかに。

(マキタスポーツ)あと、ネギは?普通に切ったネギを普通に入れてるだけじゃないですか。おんなじ。

(プチ鹿島)でもさ、マキタさん、実はそういうところにビジネス・チャンスってあるんじゃないの?自分でやれば、もしかしたらですよ・・・

(サンキュータツオ)食べ物に対するツッコミがハンパないっすね。もう。みんな、普通のメニュー、ボケてるみたいな感じになってる。

(プチ鹿島)だからそれを自分でやっちゃいましたみたいな。

(サンキュータツオ)でもさ、じゃあトッピングコロッケってあるじゃん?マキタさんさ、コロッケそばでトッピングコロッケを2枚買って食べてみたら?

(マキタスポーツ)でも重いのよ。そしたら。そばコロッケじゃん。

(サンキュータツオ)そばコロッケだね。そうなったらね。牛丼特盛りみたいなことだもんね。

(マキタスポーツ)そう。よく分かんなくなっちゃうじゃん。俺はだから、コロッケを3枚に分けて薄めにして・・・

(サンキュータツオ)何かマキタさんの中に具体的なプランがあるんですね。コロッケそばの(笑)。

(マキタスポーツ)見える。だから自分で作りたいんです。で、ネギはあれどうなんですか?なんで当たり前にあの普通のネギなんですか?白髪ネギ、どうですか?

(サンキュータツオ)ああ、たしかにね。そうですね。

(マキタスポーツ)でしょ?だからPKさん、いま言った、いみじくも。そういうところにビジネス・チャンスがあるってことを思えは、コロッケそばは止まってるんです。

(プチ鹿島)だからこの、今マキタさんが言ってる不満・共感はサイレントマジョリティーで、誰か言わないけど、マキタさんがそれ出してきたら「これ、食いたかったんだよ!」っていうのが、多数になればビジネス成功するけど・・・マイナーだったら、店はイマイチだよね。お金だけかかった高い料理になっちゃう。

(マキタスポーツ)よくいる町の発明家オヤジみたいな。困った発明家オヤジみたいな。何の役にも立たない。

(サンキュータツオ)でも、あるよね。これもっとアップデートしてほしいみたいな。俺、それ言うならコタツだよ。コタツ止まってるよ。

(マキタスポーツ)コタツ止まってる?止まってるか?

(サンキュータツオ)俺は、リモコンで足の高さが調節できるコタツほしいもん。

(プチ鹿島)何?足の高さ?

(マキタスポーツ)なにそれ?

(サンキュータツオ)コタツって四本足じゃないですか。でも、あれ元々足の高さ、決まってるでしょ?あの高さをリモコンで高低を変えられれば、座椅子にも対応できるし、寝っ転がりにも対応できるんですよ。で、寝っ転がる時ちょっとね。俺なんか体がおっきいからコタツ持ち上がっちゃうし。あと5センチほしい!みたいな時、あるから。それをリモコンで上げられればいいなと。

(マキタスポーツ)ホームセンターに行くとゲタ履かせるやつあるけど、そうじゃなくて。リモコンで上下動が出来ると。

(サンキュータツオ)そうしたら、完璧じゃない。

(マキタスポーツ)なるほど。考えられてない!コタツ止まってた。

(サンキュータツオ)コタツ、止まってるよ!

(プチ鹿島)俺は満足してるけどね。

(マキタスポーツ)(笑)あんた、サイズ小さいから。入れるじゃん。すっぽり。なるほどね。ていうことで言うと、俺つい最近TENGA社の人とお話をしたんです。TENGAってさ、まさにオナホールって止まってたんですよ。あれは。

(サンキュータツオ)たしかにそうだわ!

(マキタスポーツ)あれ、完全に更新が止まってたところに、考えてみたらTENGAとビートたけしは似てるってなったの。

(サンキュータツオ)マジですか!?

(マキタスポーツ)たぶんね、当時ビートたけしがお笑いをはじめる時にあたって、お笑いってステータス低かったでしょ?つまりね、ビートたけしは何をしたかっていうと、『お笑い』を『カッコいい』と結びつけたんですよ。お笑いと相性悪くて一番距離のあったものを結びつけたから、あの人はスゴいことになったんですけど。TENGAって、みっともないものじゃないですか。恥、恥ずかしいものと、TENGAってデザインかっこいいじゃないですか。まさか!だってオナホール作ってた下町の工場のオヤジとかは、『そんなもん、カッコいいなんていらねーよ!あいつら、コイて捨てるだけだ!』って言ってたかもしれない。それをTENGA社の人は、『カッコいい』と『恥』を結びつけたから、あんな大成功したわけだよ。

(プチ鹿島)だって、TENGAって人前で語れるじゃないですか。そこの勝利じゃないですか。で、ネタになるじゃないですか。

(サンキュータツオ)名前も中身もデザインしたんだよね。

(マキタスポーツ)そう!刷新したわけでしょ。デザインを。

(プチ鹿島)ただまあ、TENGA論についてはひとしきりしゃべってるんですよ。この番組でも。早くも2回目の登場。TENGA論。中3週くらいで。

(サンキュータツオ)これ、プロ野球でいってもかなりの登板頻度ですよ。

(プチ鹿島)北別府よりスゴいですね。

(マキタスポーツ)使い回しTENGA?高級TENGAですから。

(サンキュータツオ)北別府よりスゴいTENGA(笑)。

(マキタスポーツ)だけど、腹が立つことが良きことなんじゃないの?問題意識のことじゃないですか。これは。よい方向に転がったら、絶対ビジネス・チャンスになるわけだから。

(サンキュータツオ)でも、どこの業界でも・・・たとえばお笑いでもそうだし、アニメとか見ててもそうなんですけど。新人ってよっぽどのことがない限り出ませんよ。もうだいたい知っているメンバーが、持ち回りみたいな感じの、組み合わせなんですよ。たぶん。キャスティングというよりは、組み合わせ論なんですよね。

(マキタスポーツ)カップリング?

(サンキュータツオ)そう。カップリングっていうと2人だけになっちゃうんですけど、座組みで。芸人5種類いるみたいなことを話しましたけど、やっぱり役割分担がはっきりしている中での、じゃあ誰の起用にする?みたいな。ここはあんまり知らない人いれようっていう『知らない人』枠まで計算されちゃっているから。なんか見たことがないものが生まれにくい感じがするよね。だってその方が視聴率稼げるんだもん。だから、不況ってやっぱりそういうことだと思うんですよ。それはもうスポンサーも付かないから保守的な番組になるだろうし、思いっきり冒険も出来ないだろうし。食に関しても、これ以上技術革新したって勝負になっちゃうから。それ考えたら、『言葉』って結構アップデートされてるなって思います。

(プチ鹿島)言葉?

(サンキュータツオ)たとえば、怒ってる状態の時、マキタさんなんて言いますか?自分が怒ってる状態を。

(マキタスポーツ)怒ってる状態の時は・・・プンプン。

(サンキュータツオ)でも、ちょっと前、『イラッと来る』みたいなの、ありましたよね。『イラッと来る』ブームとかありましたよね。

(プチ鹿島)あったね。あった。

(マキタスポーツ)『カチンと来る』とか。

(サンキュータツオ)『むかつく』。

(プチ鹿島)『トサカにくる』とかね。あったよ。

(マキタスポーツ)それ、古いですけど。

(サンキュータツオ)今は、『激おこぷんぷん丸』っていうんですよ。

(プチ鹿島)何だ?何ですか?

(マキタスポーツ)長げーよ!

(サンキュータツオ)『激おこぷんぷん丸』。

(プチ鹿島)『激おこぷんぷん丸』!?

(サンキュータツオ)っていうのは、これ若者言葉なんです。ギャル語で。たとえば、いま怒ってる状態は『おこ』って言うんです。ちょっと略すの。

(プチ鹿島)『おこ』ってひらがなで?えっ、怒ってねーじゃん?かわいいじゃないですか。

(サンキュータツオ)まあ最後まで聞いて下さい。その後、激しく『おこ』な状態を『激おこ』って言うんです。で、ものすごくさらに怒った時は、『私、激おこぷんぷん丸』って。

(プチ鹿島)ふーん。

(マキタスポーツ)ほう。

(サンキュータツオ)ただ、これその次があるんです。これ、ハマチみたいに。出世魚みたいにバージョンアップしてくんです。『ムカ着火ファイヤー』。

(マキタスポーツ)(爆笑)

(サンキュータツオ)ムカついて、怒りに火がついたことを『ムカ着火』。

(プチ鹿島)それ、すげー怒ってるってこと?

(サンキュータツオ)で、さらに『ムカ着火インフェルノォォォォオオウ』って。(※ただしくは『カム着火インフェルノォォォォオオウ』)

(マキタスポーツ)『ムカ着火インフェルノォォォォオオウ』!?

(サンキュータツオ)『インフェルノ』は『地獄』とか『大きい火』みたいな言葉なんですけど。で、いま最上級。怒ってる状態の最上級が『激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム』。もう、必殺技になっちゃってる。

(マキタスポーツ)うわー、スゲー。

(サンキュータツオ)でも、いまマキタさん言いましたけど、『プンプン』ってかわいくないですか?

(マキタスポーツ)かわいいね。

(サンキュータツオ)怒ってるのに余裕あるじゃんって思っちゃうんです。『激おこぷんぷん丸』もそうなんですけど、何だろう?自分が思っていることを外側からちょっとラッピングして、かわいく提案するみたいな。

(プチ鹿島)ちょっと俯瞰して落ち着いてますよね。

(サンキュータツオ)これはやっぱりアップデートされてると思うんですよね。言葉は。常に自意識の中にあるというか。『これでいいのか?』っていう。表現、これでいいのか?っていうの。だからこれ、みち局長、『激おこぷんぷん丸』はネットで流行ってるんですけど、言いはじめたのは誰なんですか?

(みち)元々はですね、渋谷とか東京の女子高生と言われてるんですけども、きゃりーぱみゅぱみゅさんがツイートしたことによって、全国へというか、広がりを・・・

(サンキュータツオ)渋谷発で、きゃりーぱみゅぱみゅが使ったことで、東京ポッド許可局にも・・・

(プチ鹿島)本当に、怒ってる時、きゃりーぱみゅぱみゅが何?激おこぷんぷんファイヤーなんとかって言うんですか?

(みち)つぶやきされたそうです。

(プチ鹿島)それは彼女が怒ってる時なんですか?

(サンキュータツオ)そう。そういうことらしいよ。怒ってる状態をかわいく表現してるっていうね。この自意識!だから『直情的になってはいけない』という自制が働いてんのかな?とは思うけど。でもたとえばマキタさんがイラッとしたとして、「あっ、今マキタさん、ちょいおこ?」みたいな。

(マキタスポーツ)うわっ、腹立つね、それ!

(サンキュータツオ)でも、たとえば居酒屋についてもの申す時、『激おこぷんぷん丸』って言われたほうがちょっと笑えるじゃん?っていうこと。だから俺は、日本語って割と『おもしろい』と『かわいい』っていうのが最優先事項なんじゃないかなって思うのね。これね、万葉仮名の時代からそうなんです。言葉がなかった時代に、『い』っていうのを、『馬の声』って書いてるんです。

(マキタスポーツ)『馬の声』?

(サンキュータツオ)昔は、馬って『ヒヒーン』じゃなくて『イイーン』って鳴いてるって思われてたから、『い』っていうのを『馬の声』って書いて読ませてたの。

(マキタスポーツ)シャレてんだ。

(サンキュータツオ)シャレてんのよ。だから俺、『ウケる』とかもそうだと思うの。『面白い』って言わずに。『ウケてる』って基本、演者側からお客さんに向かって『今日はウケた』とか『スベった』とかじゃないですか。でも、『ウケる』っていうのは自分を外から見た表現ですよ。

(マキタスポーツ)そうだね。なるほど。

(サンキュータツオ)『激おこぷんぷん丸』と一緒ですよね。

(プチ鹿島)でもその『ぷんぷん丸』を言う人っていうのは、今ふと思ったんだけど、たくさんの人がいる、コミュニケーションを取ってる人っていう前提があるじゃない?女子高生もそうだけど。本当に孤独で1人だったら、そんなこと発信しても受け取る人いないじゃない。受け取る人がいるっていう前提だから、かわいくも見せたいっていう、そういうあれが働く・・・

(サンキュータツオ)だからせっかく、怒ってる時でも表現をするってことは誰かに伝わるってことを意識してるから・・・

(プチ鹿島)絶対多数の、何だったら友達が多い人とか。

(サンキュータツオ)だから最近あれですよ。『走れメロス』のことをいろんな風にアレンジする・・・だから文体論ですよ。

(プチ鹿島)『メロスは・・・』

(サンキュータツオ)そう。『メロスは激怒した。必ず邪知暴虐の王をのぞかなければならぬと決意した。メロスは政治が分からぬ。メロスは村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らしてきた。けれども邪悪に対しては、人一倍敏感であった。』これをね、女子高生がどうアレンジするか?ギャル語を使うとどうなるか?

(プチ鹿島)ほうほうほう。

(サンキュータツオ)『メロスは激おこプンプン丸した。』

(プチ鹿島)ああ、もう友達かわいそうだな。それ。

(サンキュータツオ)『鬼ひどツンツン王をハブしないと、マジヤバいって感じだった。メロスは政治ちんぷん丸。メロスは街のギャルである。』

(プチ鹿島)そんなメロスのために磔になりたくねーよ!

(サンキュータツオ)『オケで歌い、ズッ友と遊んで暮らしてきた。けれども、ちょ悪に対しては感度ビンビン丸であった。』

(プチ鹿島)(笑)

(マキタスポーツ)(笑)へー、これ面白い!こういうの、俺大好きですよ。

(サンキュータツオ)面白いでしょ?これ、twitterでも流行ってましたよ。つぶさんっていう人がツイートしたやつ。

(プチ鹿島)そういう言葉大喜利というか、遊びが。

(サンキュータツオ)これ、たとえばこれを、『メロスが激怒した』を美保純さんが言うとどうなるか?とか、矢沢永吉がメロスをしゃべったらどうなるか?とか。これ、文体論じゃないですか。ギャル語って、要するにこういう遊び要素があるなと思ったんです。単純に。そう考えたら、やっぱり感度、アップデートに敏感な人たちって、言葉も結構アップデートしてくんだなって。

(プチ鹿島)生まれた時からメールとか普通にあるからね。

(マキタスポーツ)なるほどな。

(サンキュータツオ)そう考えたら、アップデートしない、年を取っていく人が、最近の言葉みて『いかがなものか?』って思っている状態の方が、なんかこう俺は違和感がある。

(マキタスポーツ)でも意外と女子高生自体もそういう能力が備わっている日本人ってスゴいね。

(プチ鹿島)ちょっとスゴくないですか?

(サンキュータツオ)だから『面白い』か『かわいい』かに、やっぱり志向してるんですよ。言葉が。それは言葉だけじゃないのかなと思うね。

(マキタスポーツ)でもさ、言葉の使い手だったらさ、プチさんさ、政治家ってあれ、全然言葉刷新されてないんじゃない?

(サンキュータツオ)アップデートされてませんね。

(プチ鹿島)『誠に遺憾』とかね。

(マキタスポーツ)橋下徹とかって、生々しい言葉ワザと使いたがるじゃん?

(プチ鹿島)あれ、ずっとぷんぷん丸だね。周りもぷんぷん丸。橋下はぷんぷん丸ですよ。

(サンキュータツオ)石原慎太郎なんか、最高ぷんぷん丸ですよ!

(プチ鹿島)きゃりーぱみゅぱみゅが橋下徹が今度怒ったら、それに被せて『ぷんぷん丸!』とかツイートすれば、ちょっと和らぐんじゃないですかね。

(マキタスポーツ)(笑)

(サンキュータツオ)そうですね。まあだから、ちょっと取り乱して、「僕、激おこぷんぷん丸になってしまいましたけど、」とかだと、ちょっとかわいいじゃないですか。余裕を感じるというか。

(プチ鹿島)まあ総辞職だよね。そうなると。

<書き起こしおわり>

許可局2013年5月24日①「激おこぷんぷん丸 論」

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