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サンキュータツオ珍論文『傾斜面に座るカップルの他者との距離』を語る

サンキュータツオ珍論文『傾斜面に座るカップルの他者との距離』を語る TBSラジオ
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サンキュータツオさんがTBSラジオ特番『嗚呼、素晴らしき珍論文』で厳選した珍論文を紹介。『傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離』の著者、小林茂雄さんと論文について話し合っていました。

(ナレーション)珍論文ナンバー1。『傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離』。小林茂雄、津田智史。日本建築学会環境系論文集第615号より 『本研究の目的は海に面する傾斜面に着座するカップルの滞在行動に着目し、滞在時間や密着度に与える他者との対人距離の影響を明らかにする。また、本研究の特徴は、滞在する場所や時間、そしてカップルに特有な密着度が前後左右の他者のどの程度の距離から影響を受けるか?を観察と実権を通じて明らかにしようとするところである』。嗚呼、素晴らしき珍論文。研究手法が特徴的なこの論文の著者、東京都市大学建築学科 小林茂雄教授がお一人目のお客様です。

(サンキュータツオ)傾斜面に着座するカップル。まあこれは要は土手に座っているカップルですね。これをまあ、大げさな感じがまた論文の味わい深いところなんですけど。小林先生、よろしくお願いします。

(小林茂雄)よろしくお願いします。

(サンキュータツオ)これ、どんなことを調べた論文なんでしょうか?ざっくり言いますと。

(小林茂雄)まあ、パブリックな場所でですね、カップルがどういう場所で密着しているのか?っていうのを調べた論文ですね。

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カップルがどういう場所で密着しているのか?を調べる

(サンキュータツオ)カップルに興味があったわけですか?

(小林茂雄)そうですね。まあ、カップルっていうか、恋愛する人々がこう、なんていうか、閉じこもったような場所で恋愛するんじゃなくて、みなさんがいるような公の場所でいかに恋を育むのか?っていうことを、興味があったんですね。

(小林悠)(笑)

(小林茂雄)ちょっとこう、彼女と手をつなぎたいと思っても、そういう場所もないと。そういうような若いカップルが、本当に人の目を気にしないで密着できる場所っていうのはどういう場所なのか?っていうのを調べると、まあ今後の建築空間のデザインとかに活かしていけるんじゃないか?と思いまして。

(サンキュータツオ)あ、ようやくいま、目的が出てきました(笑)。建築空間に活かせるんじゃないか?っていうところがないと、単なる偏執狂みたいな感じのことなんですけど。

(小林悠)あと、先生。恋愛体質なんですか?

(小林茂雄)恋愛・・・(笑)。僕は恋愛、苦手なんです。まあ逆に、ですから恋愛に興味があるんでしょうかね。

(サンキュータツオ)なぜできない、わからないのかっていうところなんですね。

(小林茂雄)そうですね。

(サンキュータツオ)ただね、この論文、やっぱ気になるのは研究手法ですよ。まあその、横浜港の大さん橋で700人以上のカップルを見てきたわけですよね。どのぐらい、いま離れた!とか、いま寄り添った!とか。いま近くに人が来たから立ち上がったぞ!みたいなのを、ずっと見てると。

(小林悠)先生お一人で観察されているんですか?

(小林茂雄)まあ観察、いろんな場所でしてるんですけども・・・

(臨時ニュースで一時中断)

(小林茂雄)・・・を、選んで。

(タツオ・小林悠)へー!

(小林茂雄)男子と女子を選んで。その、いる人たちの服装に紛れるような服装をしてもらって、調査してもらうんですよね。

(サンキュータツオ)探偵ですね。もうやっていることが。すごいですよね!

(小林茂雄)カップリじゃなくてもカップルのように見えるような格好をしてもらって。まあそういう2人で常に移動しながら。

(サンキュータツオ)そうですね。スーツというよりは、なんかちょっとチェックのシャツを着てるような雰囲気みたいなことですね。

(小林茂雄)で、荷物も大きな荷物を持たないで、身軽で。で、カメラとか絶対に写真撮影しないんですよ。ビデオも撮影しないと。それはやっぱりプライバシーの侵害になるんで。で、かならずメモをするんですけど、メモ帳も大きいと怪しまれるので、手のひらに隠れるぐらいのメモ帳でこう、調査して。どこに人がいて、いまどういう状態で、密着度はどの程度か?っていうことをまあ、記録していくわけです。

(小林悠)データを取るというのは、どのぐらい細かく取るものなんでしょうか?

(小林茂雄)そうですね。それ、だいたい予備調査で決めるんですけども。予備調査した時にはカップルの密着度が、たとえば周りの風景の見え方とか、明るさとか、傾斜面の傾斜の度合いとか。そういうことによって変わってるんじゃないか?って言うことをいろいろ調べていたんですけど。予備調査した結果、いちばん決定的に決まって、密着度に営業があるのは、人との距離だっていうことがわかったんですね。

(サンキュータツオ)ああ、なるほど。予備調査で、だいたいその見当がついたと。

(小林茂雄)予備調査をしないでいきなり本調査をやっちゃうと、無駄なデータがたくさん・・・やっぱりデータっていうのは何百人のデータを取るんですけども。全てのデータを取れないわけですね。どこに着目するか?どのデータを取ると結果が現れるか?っていうことを予備調査でこう、判断する。何を調べるのか?っていうのは予備調査して。ここでは、対人距離だと。カップルと他の人との距離がいちばん影響を与えているってことで実際の本調査にしたんですけども。その本調査をする時に、どのぐらいのサンプルを取るのか?っていうことにいつも僕たち、悩むわけです。

(サンキュータツオ)はいはいはい。

(小林茂雄)観察調査っていうのは、人によっていろいろ違いますよね。

(サンキュータツオ)まあ、そうですよね。

(小林茂雄)たとえば密着度の高いカップルもいたら、そうじゃないカップルもいるし。座っている場所も違うので。そういう時に、何人ぐらいのデータを取ると、人の距離の影響が統計的に優位になるか?っていうのを推測するわけです。調査をする前に。で、ここではたぶん700人とか1000人近いデータを取ると、おそらく優位な結果が出るだろうと。

(サンキュータツオ)(笑)

(小林悠)しかも、『密着度』ってさっきからおっしゃっているんですけど。それは、座り方ですか?どういうことですか?密着度っていうのは。

(小林茂雄)どれぐらいこの2人の男子と女子が身体的に密着してるのか?っていう。

(サンキュータツオ)(笑)。体のタッチですよ。タッチ度合いってことですよ。

(小林茂雄)そう。心の状態ってわからないので、客観的に観察して、どのぐらい密着してるか?っていうことを。

(サンキュータツオ)細かくちょっと、見たってことですよね。

(小林茂雄)そうですね。最終的には、数値化しなくちゃいけないので、五段階で。

(サンキュータツオ)五段階(笑)。

(小林茂雄)五段階に分類したんですよね。まず、こう密着していない状態。2人が離れている。接触面がない状態。

(小林悠)まだ付き合ってないのかな?

(サンキュータツオ)そうね。これから仲良くなる。初デートみたいな。

(小林茂雄)で、密着度1っていうのが、寄り添っているっていうか、体がこう、接触している。

(サンキュータツオ)肩と肩が。

(小林茂雄)肩が肩がこう、接触している。

(サンキュータツオ)映画を見た帰りかな?

(小林茂雄)で、その次の密着度が、手と手をとりあっている。握りあっている。

(サンキュータツオ)これはもう、何回かデートしたぐらいの感じですね。

(小林悠)ちょっともう、両想い。わかってますね。

(小林茂雄)で、その次が、肩や腰に手をがっちり回している。

(サンキュータツオ)いや、これはちょっと。これ、なかなか勇気いりません?

(小林悠)結構なんかアメリカンな感じというか。フレンチな感じといいますか。

(サンキュータツオ)あっ、まあでもちょっと夕暮れになってくると、これぐらいまで行くみたいなのもいるっていうね。

(小林悠)『寒いわ』みたいな感じなんでしょうかね?

(サンキュータツオ)たしかに。まだ上がある?

(小林茂雄)で、最終段階。その次のレベルが完全に抱き合っている。体と体が完全に抱き合っている。

(サンキュータツオ)『エイドリアーン!』っていう状態ですよね。

(小林茂雄)そうですね。

(小林悠)この土手に座るカップルの研究をして、結果的にはなにがわかったんですか?

(小林茂雄)結果的には、まずええと、単に接触するっていうのは他の人がどれぐらい近くても接触はできるんですよ。

(サンキュータツオ)まあまあ、町を歩いているとかでもですね。

(小林茂雄)手をつなぐっていう場合には、だいたい女性の方が距離が長いんですけど、手をつなぐ場合には他の人が3メートル以内にいると、抵抗がある。手をつなぎにくい。

(サンキュータツオ)近くに、3メートルぐらいに人がいると手をつなぎにくい。

(小林茂雄)3メートル以上離れると、そうですね。手をつなぎやすい。

(サンキュータツオ)へー!

(小林茂雄)じゃあ、肩や腰に手を回すのは、周り何メートル以内に人がいるとやりにくいか?っていうと、5メートルなんですね。

(サンキュータツオ)まあ、でも5メートル。そうでしょうね、っていう感じですよね。

(小林茂雄)で、互いに抱き合うっていうのは6メートルの距離が必要です。

(サンキュータツオ)結構、近いですよね。

(小林茂雄)そうですね。

(サンキュータツオ)まあ、でもそうなると5メートルも6メートルも変わらないか。もう、ね。仲いいね、みたいな感じでね。

(小林悠)微妙に1メートルごとに違ってくるんですね。密着度合い。

(小林茂雄)でもまあ、田舎の場合には1メートルっていうのはあまり大きな距離じゃないんですけど、都会になると人が結構多いので、5メートルと6メートルの距離ってものすごく重要なんですね。

(小林悠)はー!

(小林茂雄)この1メートルの差で、抱き合えるかどうか?っていうのは関わってきますからね。

(サンキュータツオ)そうですね。

(小林茂雄)やっぱり抱き合うのと、肩や腰に手を回すのはぜんぜん違いますよね。まあ、男性にとっても。

(サンキュータツオ)うん。男性にとってもぜんぜん違いますよね。

(小林茂雄)だからその1メートルをいかに確保するのか?1メートルをいかに男性側が判断するのか?っていうことがまあ、重要だと。

(サンキュータツオ)なるほどねー。先生、現在おいくつなんですか?

(小林茂雄)僕はいま、47です。

(サンキュータツオ)はー、お若い。いちばん最初に論文を書いた時は、おいくつぐらいでした?

(小林茂雄)まあこういう研究をやりたいとずっと20代の時に思っていたんですけど。どういう手法でやるか?ってことをなかなか見当つかなくて。その当時は結構固い大学にいたので。こういう研究はあまり許されなかったんです。雰囲気的に。

(サンキュータツオ)ああ、そうなんですね。

(小林茂雄)で、いまの東京都市大学。昔の武蔵工業大学ですけど。かなり自由な校風で。自由自治を主張する自由な校風で。ここの大学に来た瞬間に、やってやろう!と思って。

(サンキュータツオ)ああ、そうなんだ!やっぱり、学校の雰囲気もあるんすね。

(小林茂雄)そうですね。

(小林悠)じゃあ先生はずっと胸の奥で、土手に座っているカップルの距離の研究をしよう!とずっと思ってたんですか?

(小林茂雄)そうです。僕はやっぱり神戸出身で。当時から鴨川の三条大橋と四条大橋に500メートルの間、ずっとカップルが並んでいて。あれ、有名なんですね。

(小林悠)座っている!

(サンキュータツオ)だから傾斜面じゃなくて・・・

(小林茂雄)土手に。鴨川カップル等間隔の法則とかって言われてるんですけど。ああいう研究をしてみたかった。なんで鴨川のあそこにはあれだけカップルがいて、等間隔に並ぶのか?とかっていうことを、もうちょっと、そういう現象を言う人はいっぱいいるんですけど、実際に研究している人はいなかったんですね。

(サンキュータツオ)なぜそういう現象になるのか?っていうね。

(小林茂雄)で、言っている人もだいたいその距離だけを言うんですよ。僕は、距離だけだったら面白くない。カップルっていうのはどれだけ密着するのか?っていうことが、カップルである・・・

(小林悠)こだわりますね(笑)。

(サンキュータツオ)大事ですよね!親密度もそうですしね。

(小林茂雄)ただ距離だけでなく、どの距離で、どの条件の時にカップルがどれだけ密着するのか?っていうことがまさしく重要であるってことで。そこをまあ、研究しようとしたんですね。ここがやっぱり新しいんじゃないかと。

(小林悠)夢が叶ったわけですね(笑)。

(サンキュータツオ)すごいわー!あと、小林先生はこういうことを調べてみたいみたいなの、あります?

(小林茂雄)最近研究したのは、やっぱり町の中でもぜんぜん、いろんな面白いことが行われていないと。で、どこで、一体どの時間帯で行われているか?っていろいろ調査すると、渋谷の終電後だってことに気づいたんです。

(タツオ・小林悠)ああー!

(サンキュータツオ)渋谷の終電後ね!

(小林茂雄)終電後の午前1時から午前4時ぐらいまでが、渋谷のセンター街周辺ってものすごく面白いんです。いろんなところで宴会してるし。

(サンキュータツオ)座っている人もいますしね。

(小林茂雄)座っているし。寝転んだり、ナンパしたり。喧嘩したりとかかしているし、なんかライブとか。六本木とかで終わったバンドの人が来て、路上で演奏したりとか。むちゃくちゃ面白いんですよ。

(サンキュータツオ)(笑)

(小林茂雄)で、そうするとそういうところに学生と一緒に終電後、ずっと・・・まあ、『終電班』っていう研究グループがありまして。

(タツオ・小林悠)(笑)

(サンキュータツオ)終電班っていう研究グループが!

(小林悠)学生さん、大変!

(小林茂雄)六本木とか渋谷とかいろんなところで。やっぱり自由があるんですよね。終電後には、町に。

(小林悠)『終電後に自由がある』って、名言ですね(笑)。

(サンキュータツオ)ねえ。町の人に声をかけない夜回り先生ですよ。

(小林悠)本当ですね。そっと見守っているという。

(小林茂雄)まあ、ええと警察には職質をよくされます。やっぱり怪しまれるんでしょうね。その、夜になんか調査をしてたり。照度計とかを持って、夜、明るさとかも計っているんで。

(サンキュータツオ)照度計とか(笑)。先生、ストリートウォッチングの本も出されていて。その、7つ道具みたいなのの中に、まあサングラスとかね、望遠鏡みたいなのがありますけど。これ、職務質問されて、その道具出てきたら、もう完全にクロじゃないですか。それ。

(小林茂雄)うん。だからその時には、『ここの光環境、明るさがいかにこの町の安全を確保するために重要なのか?っていうことを、まあ私の名刺をだして説明すると。したら大体納得されて。『夜の安全を守ってください。そういう研究をしてください』って言われますね。

(サンキュータツオ)ええ、なるほど。やっぱりそう。だから先生はね、『草食系男子の恋愛のすすめ』っていうね、本も書いていて。

(小林悠)えっ?そうなんですか?

(サンキュータツオ)原稿は書き上げたんだけど、その出版社がなんか潰れちゃったんでしたっけ?

(小林茂雄)そうですね。

(サンキュータツオ)なのでいま、引受先を探してるんですけど。その原稿、めちゃくちゃ面白いんですよ。まあ、その恋が生まれやすい空間っていうのがあるんだよっていうのをまあ・・・

(小林茂雄)それはまだカップルになるような前の人たちが、いかに出会って互いに声をかけあったりとか、親密な雰囲気になるのか?っていうことをちょっと・・・

(小林悠)じゃあたとえばまだカップルになる前の男女が電車に乗るとして、どこの席に座ったらいいとか、あるんですか?

(サンキュータツオ)どのへんに立つとか?

(小林茂雄)うーん。やっぱり座るよりもまず、立つんですよね。吊り革に立って。で、女性が吊り革で揺れるような。で、なにかの拍子に、こう・・・

(タツオ・小林悠)(爆笑)

(小林悠)いま、腕を触りましたね(笑)。

(サンキュータツオ)ちょっと待って下さいよ。それ、何か・・・オタクの妄想みたいな感じなってますけども。

(小林悠)これ、研究なんですね。

(サンキュータツオ)研究。ばっちり研究ですよ。要員としては、そういう環境の方が・・・っていうことですからね。

(小林悠)なるほど(笑)。

(小林茂雄)だからあまり揺れない電車よりも、若干揺れがある・・・

(タツオ・小林悠)(爆笑)

(サンキュータツオ)小田急ですよ!これからは!

(小林悠)そうですね(笑)。

(サンキュータツオ)そうですよ。すっごい揺れるやつです。

(ナレーション)珍論文ナンバー1。『傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離』。東京都市大学建築学科教授 小林茂雄さんでした。

<書き起こしおわり>


https://miyearnzzlabo.com/archives/25542

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