NHK FM 電気グルーヴ サウンドクリエイターズファイルでピエール瀧さんと伊集院光さんが、映像制作について話していました。
(伊藤亜希)続いてはミュージックビデオのお話を伺いたいなと。
(石野卓球)伊集院も最近、いろいろ(映像の)編集とかやってるんだよね。
(伊集院光)そうなんですよ。いわゆるバラエティ番組の自分の自由なのを作りたくて、そういうの編集室入って・・・もうずっと前からやってるよね、二人とも。プロモーションビデオみたいなの自分でやるの。
(石野卓球)映像はね、でも瀧だね。
(伊集院光)どれぐらい、もう?何から?最初作ったの、言われてみれば何?
(ピエール瀧)電気のやつで一番最初に作ったのは、『CATV』って曲かな。デビューの時。
(石野卓球)デビューちょい前くらいかな?高城剛に憧れてたころだよね。
(ピエール瀧)高城・・・そうそうそうそう。
(伊集院光)スーパーメディアクリエイター時代の?
(ピエール瀧)ハイパーメディア。
ハイパーメディアクリエイター瀧
(伊集院光)あっ!これが45(歳)のクオリティーだね(笑)。45ってなんかそういうフワッとしたところ・・・
(ピエール瀧)まあ、言ってみたらインディーズというか、宝島のビデオマガジンなんかが出て、そこにまだデビューする前の電気グルーヴのPVみたいなやつを編集したのが俺なのかな。
(伊集院光)今思えば、機材とかもすごい笑っちゃう・・・エフェクトとかも。
(ピエール瀧)まだ当時・・・
(石野卓球)セル画でしょ?
(ピエール瀧)セル画。あと砂絵。
(石野卓球)影絵!
(ピエール瀧)影絵。
(伊藤亜希)分かんないよ(笑)!
(石野卓球)でもさ、そのビデオやる前も、電気結成するちょい前に、(瀧が)映像会社に勤めたんだよね。
(ピエール瀧)制作会社に、電気グルーヴの前の人生っていうバンドやってたんだけど、そのバンドを解散した後に、映像の制作会社に1年ぐらい。
(伊集院光)俺、その話なんかで聞いたな。それこそプロモーションビデオで使うんで、砂浜に半分埋まってる自動車の画が撮りたいからって・・・
(ピエール瀧)そうそう、埋めろって言われて。
(伊集院光)埋める方ね。言う方じゃなくて、埋める方でっていうね。
(ピエール瀧)退廃的な感じの画を撮りたいから、砂丘に行って、車を屋根のところだけ見えるくらい埋めろって言われたから、ウーン・・・って考えて、そんなの1人じゃ無理って思って。で、中古車屋みたいなところに、車の廃棄所に行って、すいませんって言って、車の屋根のところだけ切って持ってって、砂浜にサクッてさして、「はい、これでいいですか?」って。
(伊集院光)出た、アイデアマン。
(石野卓球)トンチで乗り切った!
(伊集院光)トンチで乗り切った(笑)。そこから始まってるんでしょ、映像制作自体は。
(ピエール瀧)そうだね。でも小さい制作会社でさ、ADと制作進行と全部一緒みたいな感じだから、それ全部やってて。それ1年ぐらいやってたから。それでちょっとは編集のやつとか分かってたというか、知っているだけなんだけどね。
(石野卓球)編集やってんでしょ、伊集院も。
(伊集院光)今、そのDVDの編集をするときに、なにが恥ずかしいって、もう45、恥がかけない年になってるじゃない?音楽の、それこそMAみたいなの立ち会うの。そうすると、なんとなく、「今のところ、もうちょっと大きくしてほしい。」とか、「エコーを深くしてほしい。」って指示出すじゃない。なにが怖いって、たとえば「ちょっと今のところ、エコー深くしてください。」ってなるじゃない?なって、「良くなった。」って言ったら、「いや、まだ何もやってないです。」って言われた時。
(ピエール瀧)あるあるあるある!
(伊集院光)あの時のもう、「すいませんでした!」っていう・・・
(ピエール瀧)「あ、いやこれからです。」「エエッ!?」って。
(伊集院光)そうそう。「いやいや、まだです。」って言われた時の、あの感じスゴいね。あとやっぱり勇気いるね。『違う』って言うの。一旦出来上がって、結構苦労しているのも見ているのに『違う』って言ったりとか。あと、それこそ車埋めてくれじゃないけど、こういう画ほしいと思って結構手間かけさせたのに、『いらない』みたいなのを言うのの、俺気が小さいから、もう戦いで。若手の子のギャグとかこっそり削って、本番の時には何度もやり直させてるのに、入らなくて切った時に、急に(若手の子に)電話して、お酒を飲みに・・・ご飯をおごってあげたりとかして。急に。
(ピエール瀧)そうなんだ。そうか、そうだよね。
(伊集院光)尊敬する。ディレクターとか監督みたいな人が。センスとかは負けるもんかって思うけど、そういうのについて・・・
(石野卓球)ある程度冷酷じゃないと出来ないでしょ、そういうのって。
(ピエール瀧)まあ、何がしたくてコレ作ってるのかって考えたら、そうせざるをえないよね。やっぱり。
(石野卓球)お前の場合は、『有名になりたくて』だろ?
(ピエール瀧)そりゃそうだよ。もちろん。
(石野卓球)それ以外はなに?
(ピエール瀧)編集所も・・・全部ハンチングかぶってるから。
(石野卓球)古いね!
(ピエール瀧)ハンチング、タレ目サングラス。
(石野卓球)で、メガホン。
(ピエール瀧)メガホン。
(石野卓球)古い!コントの映画監督だね。
(ピエール瀧)「よーし、やっちゃおう!」っていいながら入っていくから。
(伊藤亜希)伊集院さん、ミュージックビデオ撮りたいとかはありませんか?
(伊集院光)ミュージックビデオ・・・ミュージックビデオがスゴいのは、今DVDやっていてテレビの人もスゴいな、ミュージックビデオの人もスゴいなって思うのは、寸法の決まっているものって、スゴくない?結局、面白いやつずーっと繋いでいって、一応DVDに入る尺までで収めれば許されるから。だから最初にDVDの会社のメーカーの人から、「1時間位上2時間以下ならいい」って言われるから。ほいで撮り始めるし、編集もするからいいんだけど、ミュージックビデオって音楽終わってもずーっと出てちゃダメでしょ?
(石野卓球)そうでしょ。(それやっていいのは)スリラーのみ。それ、スリラースタイルだよ。
(伊集院光)スリラースタイルってあんまりダメなんでしょ?
(石野卓球)そうそう。あれはね、何百万枚と売れてないと出来ないやつ。
(伊集院光)えっ、音楽作ってる段階でプロモーションビデオのこと考えるの?それは全然別のこと?
(ピエール瀧)曲作っている時は考えない。
(石野卓球)曲作っている時は有名になることだけ。
(ピエール瀧)そのことしか考えない。
(伊集院光)もうモッテモテになること。
(ピエール瀧)トロフィーの貰い方とか。あと、どんなスピーチ言おうかなとか。
(伊集院光)プロモーションビデオに出してやるからって言って、騙して女を抱くっていうこととかを。
(ピエール瀧)そういう感じ。どの段階で家族に感謝しようかなとか。
(石野卓球)リストにこれから知る予定の『ブラッド・ピット』とか登録して。
(ピエール瀧)ひらがなで。
(石野卓球)『は』行に入れて。
(ピエール瀧)『ぶら』って。まあ、俺とか伊集院って、テレビのやつとか出て、ロケやってこんだけ回したのに、30分にする間に「そこ、切るんだ!」って時もあるじゃん?
(伊集院光)あるあるある。
(ピエール瀧)でもそれさ、別にそこ切られても恨んだりしないじゃん。
(伊集院光)でも、お笑いの若手はやっぱりそれに不信を抱くわけ、いつも。たとえばロケに行って、時間が長くなってくれば長くなるほど、『待てよ、ここからサービスし続けると、前半のアレが切られていくんだ・・・』みたいなことにあっちは知恵を働くようになるわけ。お笑いは。だから、逆に編集して初めて、『悪かったな・・・あの心を恨んで。』って感じ、俺は。
(ピエール瀧)ああー、そうなんだ。
(伊集院光)で、しゃべり方とかも変わる。ちゃんと、編集の時にみんなキャーキャー言ってこれ使いたいのに、後ろの方から次の若手のお笑いの子がしゃべるみたいなやつが使えないってなったりするのがわかるから、ちゃんと捨てられるようにしゃべるようになった(笑)。
(ピエール瀧)編集点を自分で作るようになるね。
(伊集院光)編集する時に「大丈夫です。僕、捨ててくれて構いません。」っていう感じのところでしゃべるようになる。
(ピエール瀧)それは、ある。自分で一枚・・・「ハイ!・・・でさ、」っていうね。
(伊集院光)自分の今までのコメントがヒドすぎた時に、ちょっと編集点作るようになった。割とさ、『体操◯歳』っていうシリーズ・・・
(ピエール瀧)体操シリーズ。体操30歳、36歳、42歳。
(石野卓球)また中途半端なね。
(伊集院光)次、いつなの?体操。
(ピエール瀧)決まってないけど。
(伊集院光)あれ、決まってないの。あの体操シリーズみたいな、元々無意味な映像みたいなのは、撮っておくの?何かのために。
(ピエール瀧)あの映像を?あれのために全部撮り下ろすんだよ。
(伊集院光)あっ、そうなの?
(石野卓球)しかも2日ぐらいで。バカでしょ(笑)。
(伊集院光)すごい手間だね!
(ピエール瀧)すごい手間。
(石野卓球)あと、すごい暇。手間であり、暇である。
(ピエール瀧)手間、暇、無駄(笑)。
(石野卓球)ゴミ作ってんだもんな。
(ピエール瀧)ゴミ作ってんだもん。だって。本当にね。
(伊集院光)あれって、俺ら面白くて見てるけど、海外の人とかの評判はどうなの?今、海外の人とか見るでしょ?電気グルーヴの。
(ピエール瀧)みたいですね。
(伊集院光)評判はどうなの?聞こえてこないの?
(ピエール瀧)評判は聞こえてこないね。うん。
(伊集院光)これを日本だと思われたら堪らないみたいな。
(石野卓球)そもそも評判聞く気、ないからね。こいつが聞く耳持たない。
(ピエール瀧)そうなんだよね。
(伊集院光)全てのものに対し。
(石野卓球)捨てたゴミの感想聞かないのと一緒だよね。「昨日のゴミ、どうでした?」って。
(ピエール瀧)そうなんですよねー(笑)。
<書き起こしおわり>
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