吉川きっちょむ『HUNTER×HUNTER』ビノールトが果たした多くの役割を語る

渡辺範明『HUNTER×HUNTER』「念能力」設定が生み出す効果を語る アフター6ジャンクション

吉川きっちょむさんが2026年8月25日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の中で『HUNTER×HUNTER』の好きなキャラクターについてトーク。ビノールトを挙げ、登場する話数は少ないものの、実は物語の中で大きな役割を果たしていると話していました。

(宇多丸)吉川さん、サブキャラも選んでいただいてるんですね?

(吉川きっちょむ)はい。サブキャラがですね、ちょっと「ここに行くの?」っていうところなんですけど。グリードアイランド編に出てくるビノールトというキャラクターですね。

(渡辺範明)フフフ、これを聞いた時、一瞬「誰だっけ?」って思いましたよ(笑)。

(宇多丸)ああ、やっぱりそうなんだ(笑)。

(吉川きっちょむ)切り裂き美容師というか。シザーハンズっていう念能力を使っていて。愛用しているハサミで髪の毛を切って、それを食べるとその人の肉体の情報が誰よりも、本人以上にわかるという。

(宇多丸)気持ち悪いなー。

(渡辺範明)これはもう、ド変態能力ですね。

(吉川きっちょむ)で、まあ猟奇殺人鬼なんですよ。22歳ぐらいだったかな? その女性の肉を食べるのが一番好きみたいな、もうヤバい奴なんですよね。で、こいつは本当にただの噛ませ犬みたいな感じで出るのかなと思っていたし、最初に読んだ時はもちろんそう考えてました。だけど後々、読み返すたびにすごく心に引っかかるんですね。このビノールトっていうキャラクターが。5話分ぐらい出てくるんですけど。こいつがこの物語に果たす役割っていうのが実はものすごいいっぱいあることに気づいたんですよ。読み返したら。

(上坂あゆ美)へー!

(吉川きっちょむ)たとえばこのグリードアイランドっていうゲームの世界に入ることになるんですけど。ここにいろんな念能力者たちが入ってくる。その中には邪悪なプレイヤーたちがいて、人を殺してしまうこともすごくあるわけですね。で、ゴンとかキルアっていうのはすごく純粋なキャラクターで。すごく成長性のある、才能を持ったキャラなんだけど、まだまだ戦うには甘い。なので邪悪なプレイヤーにやられてしまう可能性があるっていうところのお手本としてまず、出てくるわけですよ。まずここで1個、その役割を果たしてんですけど。その後にお助けキャラとして彼らの師匠になるキャラでビスケット=クルーガー、ビスケと呼ばれてる少女の格好をした57歳の女性がいるんですけど。で、このキャラクターが果たして本当に強いのか? みたいなのを一気に見せてくれるという役割も果たしていて。

(渡辺範明)なぜならその髪の毛を食べるとその人のことがわかるからね。

(吉川きっちょむ)そうなんですよ。「なんという鍛え抜かれた肉!」ってなって。もうとんでもなく鍛えられた……本当は巨漢のマッチョ女性なんですよね。

(宇多丸)はいはい。見たところね、たしかにかわいい。

(吉川きっちょむ)でも、めちゃめちゃ強いんですよね。で、その強さを見せるための物差しでもあるし。その後、ゴンとキルアの修行のために死と直面しながら2人と戦う2週間を過ごすわけですよ。それは実際には10日間になるわけですけれども。そこでもやっぱりその修行するための人という役割になっていくわけですね。なんなら1日でもう乗り越えられそうになるけども。もっとちゃんと戦えるように、もっとちゃんと倒せるようにっていうことでちゃんとゴンとキルアが強くなれるようにする役割もあったし。

あと、その邪悪な相手だったんですけども武闘家としての矜持っていうのを彼はちゃんと持ってたんですよ。で、その鍛え抜かれた肉であるビスケを見た瞬間に「ちゃんと戦わせてくれ」ってハサミを1回、置いて。「武闘家として手合わせ願う」って言うんですよ。ここがやっぱりこの『HUNTER×HUNTER』という物語の深さだと思うんですよね。ちゃんとこいつにもその裏の矜持があるし。

「なんという鍛え抜かれた肉」「武闘家として手合わせ願う」

(吉川きっちょむ)で、その戦いを経ていってゴンとかキルアのその純粋さとか、まともにちゃんと相対してくれてる感じを経て、自分の中の忘れ去られた善良さを彼は思い出すんですよ。「そうだ。子供の頃、自分は貧民街で暮らしていて。財布を拾ってあげただけなのにボコボコにされて。自分はまともに扱われたかっただけだったんだ」っていうことで。その戦いが終わった時に「自分は自首します」って言うんですよね。善良さを取り戻すことができるんだっていうところも表してて。彼は一体、1人で何役をこなすんだろう? たった5話で。

(上坂あゆ美)たしかにねー。なるほど。

(吉川きっちょむ)これがちょっとすごいなって。サブキャラ、噛ませ犬にしてはちょっと物語的役割がすごすぎるなと思ったんですよ。ということで僕はビノールトでございました。

(宇多丸)はい。きっちょむさんに推していただいたこのビノールトはこちらのリスナーさんも実は推していただいてます。メールをいただいてます。「私が好きな俺じゃなかったら見逃しちゃうねキャラはビノールトです。正確には認知はしていたが、魅力を見逃しちゃってる方が多いのではないでしょうか?」っていうので、まさにきっちょむさんがおっしゃってるようなポイント。

「武闘家として手合わせ願いたい」っていうので。「その後、ぶっ飛ばされるんですが、その男気に惚れ込みました」っていう。で、いろいろあってちょっと省略しますけど。「彼の生い立ちまで語ると文字数が足りなくなるので割愛せざるを得ないのが非常に心苦しい」っていう。だからさっきおっしゃったようなバックグラウンドもあってというようなことですかね。

(吉川きっちょむ)これをその短いスパンで、こんな噛ませ犬でやると思わないじゃないですか。最初は読み飛ばしちゃいますって。そんなの。

(渡辺範明)この作品のキャラって登場時と最終的な印象が違うキャラがめっちゃ多いんですよ。

(宇多丸)ああ、それはもういい作品だね。

(渡辺範明)いや本当にそうだと思う。っていうか、みんなそうとも言える。

(吉川きっちょむ)そうですね。そこが結構感動するっていうところ、ありますよね。

(宇多丸)ということで、ありがとうございます。きっちょむさん、熱いプレゼンいただきました。

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ビノールト、後から考えると本当にいろいろな役割を果たしているんですよね。多層的な側面を持つ、とても魅力的なキャラクターだと思います!

アフター6ジャンクション2 2026年8月25日

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