漫画家でWEBライターのカメントツさんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』にゲスト出演。最新WEB漫画事情について宇多丸さん、宇内梨沙さんと話していました。
(宇内梨沙)日替わりゲストと旬の話題についてうかがうカルチャートーク。今日は漫画家でWEBライターのカメントツさんです!
(宇多丸)いらっしゃいませー!
(カメントツ)よろしくお願いします。
(宇多丸)カメントツさん、今日はどんなお話をしに来ていただいたんでしょうか?
(カメントツ)はい。今日はWEB漫画事情について説明するために来ました!
(宇内梨沙)まずはカメントツさんのご紹介をさせていただきます。漫画家でWEBライターのカメントツさん。あの、大出版社小学館から単行本『カメントツのルポ漫画地獄』『カメントツの漫画ならず道』などを発売されています。そして取材に基づいた体験を描いたルポ漫画がびっくりするぐらい面白いと大評判に。また、あの素晴らしい大人気サイト『オモコロ』でもびっくりするぐらい面白いと話題の記事を多数執筆されています。
(宇多丸)本当に面白いよ。
(宇内梨沙)そしていまはケーキ屋を運営する小熊と人間の店員との日常を描く『こぐまのケーキ屋さん』を連載していて、こちらCMでのこぐまの声優はSKY-HIさんが担当されているということなんですね。
(宇多丸)そうなんですね。
(宇内梨沙)そして単行本は一ヶ月で20万部のヒットを記録し、大変なお金持ちになったと評判です(笑)。
(宇多丸)なんていう紹介の仕方なんだよ!(笑)。ひどいですね。すいませんね。
(カメントツ)いえいえ、こちらこそ。お金持ちのカメントツです。どうもよろしくお願いします。
(宇内梨沙)アハハハハハッ!
(宇多丸)しかも本日、カメントツさん。トレードマークというか、正装。仮面を……。
(カメントツ)そうですね。今日は仮面を……全くラジオで伝わらないことをやっていますけども。
(宇多丸)声がマスクで若干くぐもりが……。
(カメントツ)マイクに近づきます。すいません。
アフター6ジャンクション聴いてくれた方ありがとうございました!
アベンジャーズのネタバレが怖いので帰ります???♂?#utamaru #アトロク pic.twitter.com/b5yfMtt3bK— カメントツ@こぐまのケーキ屋さん (@Computerozi) 2018年5月10日
(宇多丸)さっき宇内さんと「まさか、かぶってくるのかな?」って。「いや、まさかそんなことはないんじゃない?」とか言っていたら、本当にいらっしゃって。光栄でございます。
(カメントツ)ありがとうございます。
(宇多丸)いや、本当にさっき、打ち合わせ中もずーっと宇内さんと読んでゲラッゲラ笑って。
(宇内梨沙)フフフ(笑)。
(カメントツ)いやー、うれしいです。ありがとうございます。
(宇多丸)特に『カメントツのルポ漫画地獄』の中の腸内洗浄の回で。
(カメントツ)フハハハハハッ!
(宇多丸)まずその、お医者さんが腸内洗浄をね、「医学的な効果は、ない」とかね、言い切るくだりから始まって。
(カメントツ)ないんかい!っていうね。
(宇多丸)で、この管を入れられるくだりの「メリッサ」っていう、このお尻になにか入った瞬間の擬音が面白い(笑)。
腸内洗浄(メリッサ)
メリッサという擬音は、君の手で引き裂いた時や愛に焦がれて何かを貫いた時に使う擬音です。鋼の錬金術士とはおそらく無関係です。
カメントツのルポ漫画地獄/腸内洗浄行ってきた編http://t.co/C8k9oxNdD3 pic.twitter.com/G4hpVpP8Qu
— カメントツ@こぐまのケーキ屋さん (@Computerozi) 2015年3月16日
(宇内梨沙)フフフ(笑)。
(宇多丸)そっからのこのずーっと目に寄っていく……(笑)。
(宇内梨沙)瞳からいったいどのようなことが感じられたのか?っていうのが伝わってくるっていう(笑)。
(宇多丸)最高なんですよね(笑)。
(カメントツ)ありがとうございます。
(宇内梨沙)「メリッサ」ってすごい音ですよね。
(宇多丸)「メリッサ」とかさ、「ズゴック」とかいろんな擬音が面白いんですよね。
「腸内洗浄(メリッサ)」「腸内洗浄(ズゴック)」
【カメントツのルポ漫画地獄】腸内洗浄に行ってきた編|オモコロ https://t.co/0FMJG7mEAY #utamaru pic.twitter.com/HEedtZdVyX— みやーんZZ (@miyearnzz) 2018年5月10日
(カメントツ)フフフ、ありがとうございます。
(宇多丸)あと、宇内さんがこの『こぐまのケーキ屋さん』を普通に読まれているんですよね?
(カメントツ)ありがとうございます。
(宇内梨沙)そうなんです。これがカメントツさんの作品って最初は知らずに読んでいて。トーンが全く違いますよね?
(カメントツ)そうですね。『こぐまのケーキ屋さん』はもともとちょっとシャレみたいな感じで。「こんなの、書いてみたらどうかな?」ってパッとやったものが結構評判がよかったので続けてみようという企画なので。本腰を入れるというか、どちらかと言うと僕のメインはさっき言った腸内洗浄とかの方なんですけども。
(宇多丸)腸内洗浄(笑)。
(カメントツ)はい。メインは腸内洗浄なんですけども。
腸内洗浄>こぐま
(宇多丸)アハハハハハッ! 他のもやってますけどね。まあ、ルポ系とかね。
(宇内梨沙)断食道場とかもやられて。
ルポマンガです!今回はマジでアレでした…
【カメントツのルポ漫画地獄】断食道場行ってみた(前編)|オモコロ http://t.co/RWD0LKm8PX pic.twitter.com/Bmve1MlMo4— カメントツ@こぐまのケーキ屋さん (@Computerozi) 2015年7月14日
(宇多丸)自己啓発セミナーとか。添い寝カフェもすごいですね!
ルポマンガを描きました!読んで下さい?!
【カメントツのルポ漫画地獄】添い寝屋に行ってきた編|オモコロ http://t.co/MAxZQT4oxa pic.twitter.com/nIUEKpzBtS— カメントツ@こぐまのケーキ屋さん (@Computerozi) 2015年4月23日
(カメントツ)そうですね。そういう潜入みたいなものが基本的にはメインだったんですけども。はい。
(宇多丸)だけど、ちょっとやってみたら。今日もね、STUSSYのくまちゃんですし。
(カメントツ)そうなんですよ。くまちゃんが好きで。
(宇内梨沙)ということでカメントツ先生の傑作コミック『こぐまのケーキ屋さん』を抽選で9名様にプレゼントしてくださるということで。ありがとうございます。
(宇多丸)太っ腹!
(カメントツ)そうなんですよ。お金持ちなんで買ってきました。
(宇多丸)ああ、ありがとうございます(笑)。
(宇内梨沙)もう大層なお金持ちということで(笑)。
(宇多丸)でも、だとしたら9名ってなんなんだ?って感じですけども(笑)。
(カメントツ)本屋さんに9冊しかなかったんで……。
(宇多丸)ああ、そういうことか(笑)。ありがとうございます。このリアルな……(笑)。
(プレゼント情報省略)
(宇多丸)といったあたりで今日はそのWEB漫画事情についてお話いただくということなんですけども。全然僕、門外漢というか。もちろんわからないですけども。デジタル形式で漫画を読むことはありますけども。WEB漫画の定義の部分はわからないので。そこからよろしくお願いします。
(カメントツ)ちなみにみなさん、インターネットを使って漫画って読まれますか?
(宇多丸)物によって。ダウンロードするとかじゃなくて、アクセスしてそこで見るみたいな感じですよね。
(カメントツ)そうですね。まず、WEB漫画の定義というか、そもそもWEB漫画とは何か?っていうご説明をさせていただきますね。まず、「インターネット」と「WEB」の違いっていうのをそもそもみなさん、あんまりよくおわかりでないので。そもそも、インターネットっていうのはたとえるなら電話線とかシステムの話ですね。で、電話線を使った「電話」があったり、「FAX」とかのサービスがありますよね。なので、インターネット漫画っていうのとWEB漫画っていうのは区分が違うんですね。なので、WEB漫画っていうのはどういうものか?っていうと、たとえばグーグルで検索すると出てくるとか、アドレスを入力して出てくるものがWEB漫画っていう形ですかね。
(宇多丸)ああー。だからたとえば電子書籍で買ってダウンロードして見るみたいなのはWEB漫画ではないという。
(カメントツ)そうですね。厳密に言うと違うので。なので、今回はWEB漫画と言いましたが、「デジタル漫画」と呼ばせていただきます。
(宇多丸)ああ、じゃあそういうダウンロードして読むようなものも含むと?
(カメントツ)そうですね。はい。デジタル漫画というのはデジタルデバイスで読める漫画のことですね。
(宇多丸)ああ、そういう意味ではどっちも同じですもんね。
デジタル漫画の現在の主流
(カメントツ)そうですね。なので、ちょっとそちらについてご説明をさせていただきます。デジタル漫画というものはいま、主流というか。やっぱりTwitterが元気でして。いちばんみなさん、投稿して読まれているものっていうのがいくつかあるんですけど。4ページ以内の短編がかなり主流になっています。
(宇多丸)サッと読める。
(カメントツ)そうですね。あとは、感情の共有型。自分の普段思ったこととか、あと日常で起こった面白い出来事なんかをコミュニケーションツールとして漫画を使うという。
(宇多丸)「わかる、わかる」っていう。
(宇内梨沙)たしかに日常生活物は多い気がしますね。
(カメントツ)そうですね。あとは二次創作だとか、知識系。珍しい生き物とか。あと、お料理のレシピなんかを紹介する漫画がありますね。
(宇内梨沙)うんうん。私も『こぐまのケーキ屋さん』、最初はTwitterで見たので。やっぱりTwitterが主流というのはよくわかります。
(カメントツ)そうですね。で、まあTwitterで公開している時点ではまだWEB漫画ではないんですけども。一応、『こぐまのケーキ屋さん』ってWEBでお金を払わずに全部読めるんですよ。
『こぐまのケーキ屋さん』(WEB版)
(宇多丸)おおーっ! ふんふん。
(カメントツ)なのでWEB漫画の定義には当てはまるということになっているんですね。
(宇多丸)なるほど。それにもかかわらず、フィジカルの本の方も売れるんだからすごいっすね。
(カメントツ)そうですね。ありがたいことです。
(宇多丸)本当のファンがついたっていうことですね。なるほど。ということで、割とたとえば知識系とか、パッと共感できたりとか。それで短めでっていうことで、やっぱりパッと見て手軽に楽しめるというか、そういうのが主流なんですね。
(カメントツ)そうですね。やっぱり大長編とか文学的なものというのはまだ評価されない傾向にあるというか。もちろん存在はしているんですけど、そういう傾向がありますね。で、やっぱりいまのブームはなんと言ってもかわいいキャラクターなんですよね。
(宇多丸)なるほど。まあ、いちばんキャッチーですよね。
(カメントツ)そうなんですよ。僕もそれのおかげで、ねえ。いい感じにさせていただきました。
(宇多丸)でも、すごいですね。やってみたらね。
(カメントツ)で、かわいいキャラクターはいろいろと出ていまして。かわいいキャラクターの利点としましては、グッズを追加で作ると本以外のものでも結構お金が……。
(宇多丸)ああーっ! 生臭い話に(笑)。
(カメントツ)フフフ、みなさんピュアに作っているとは思うんですが、そういう利点もあるんだなという感じで。で、これはTwitter以外でもPixivとかInstagramとか、そういうところでも……。
(宇内梨沙)いや、Instagramは増えましたよね。
(カメントツ)そうなんですよ。最近、バッと増えだしまして。
(宇内梨沙)私も何人か、漫画を書いてらっしゃる方をフォローしています。
(カメントツ)そうなんですね。へー、すごい! Instagramとかではどちらかというと感情の共有というか。いわゆるインスタジェニックというか自分紹介漫画だったり。あとはかわいい系みたいなものが主流。逆にPixivみたいなちょっとオタ向けみたいなところだと二次創作が元気だったりしますね。
(宇多丸)はいはい。
(カメントツ)全体的な流れみたいなものはどこも変わらないんですが、やっぱりスタイルというか、何を中心にするか? みたいなのは変わってくるという。
(宇内梨沙)Twitter、Instagram、Pixivで変わってくるんですね。
(宇多丸)で、なぜそういうものがいま増えているというか、盛り上がっているかっていう部分ですね。
(カメントツ)そうですね。まず、やっぱり漫画っていうのものは書くのがめちゃめちゃ楽しいっていうのがありまして。書くこと自体がちょっとエンタメになっているというか。そういうので始める方が多いとは思います。で、そこから書き始めると、火がつくとすごい早いんですよね。
(宇多丸)ふんふん。
(カメントツ)たとえば小学館とか集英社とか、大手の出版社の編集さんがもうInstagramとかTwitterを巡回しているんですよ。
(宇多丸)ああ、もう新しい才能を求めて?
出版社の編集がSNSを巡回
(カメントツ)そうです、そうです。ちょっと前の渋谷のスカウトマンみたいな感じで。
(宇多丸)ああ、そう? じゃあもうある意味、Twitterにサクセスのチャンスが転がっている?
(カメントツ)そうです。インターネットドリームが。
(宇多丸)でもいちばんインターネットの正しい活用の仕方っていうかね。才能と直でつながれるというか。
(カメントツ)そのへんはもう、いい感じにつながっていただければ……やっぱりいままで漫画家の出ていくところって出版社に持ち込んだりとかして何度も何度もボツを食らってようやく雑誌に乗るっていう流れが主流だったんですけど、それがちょっとインターネットに出すと、むしろ出版社の編集さんの方からオファーが来るっていう形で。
(宇内梨沙)昔はだって持ち込んで、お願いしますっていう……。
(宇多丸)で、「ここはこうした方がいいんじゃない?」とかね。「次、がんばって」みたいなのがありましたけども。
(カメントツ)僕も『こぐまのケーキ屋さん』を公開してから20社とか30社ぐらいからオファーが来て。
(宇多丸・宇内)えええーっ!
(カメントツ)ちょっとすごかったですね。
(宇多丸)本当に『スター誕生!』だ。こうやって札が上がるっていうね。
(カメントツ)フフフ、その世代じゃないんでわからないですけども(笑)。まあ、サクセスの事例といたしましては、まず始祖といわれる鴻池剛さん。これはサクセス始祖ですね。『猫のぽんた ニャアアアン!』という作品がまずドカッと来まして。
(宇多丸)うんうん。
(カメントツ)まあそこから僕の友達のぬまがさワタリさんという作家さんの『なんかへんな生きもの』。これは豆知識系ですね。
(宇多丸)ああ、はいはい。
(カメントツ)で、しろまんた先生の『先輩がうざい後輩の話』。これはちょっとラブコメなんですけども。
(宇多丸)ふんふん。
(カメントツ)そのへんがやっぱりドカドカッと来ていまして。どんどんサクセスが生まれているというか。
(宇多丸)でね、「これ面白いよ!」ってなったら拡散っていうか。それもネットだから早いわけですもんね。
(カメントツ)良くも悪くも広がるのは早いですね。
(宇多丸)「良くも悪くも」?
(カメントツ)そうですね。やっぱり悪口とか炎上とかって広がりやすいので。
(宇多丸)ああ、「こんなのつまんねー」とか「こんなこと書いてやがる」とか?
(カメントツ)そうですね。やっぱりこぐまみたいなキャラクターをいじめたがる人も中にはいるので。そういうのが広がるのも早かったりするので。
(宇多丸)「いけ好かねえ!」っつって。ねえ。カメントツさんが実はね、そんな腸内洗浄がメインだって知らないで。やっぱりね。
(カメントツ)そっちも読んでほしいですよね。僕がどんだけ苦しんでやっているかって。
(宇多丸)アハハハハハッ!
(宇内梨沙)まあ、そういう意味でやっぱりリツイート機能のあるTwitterっていうのが本当に主流になるんですかね。
(カメントツ)そうですね。やっぱり「いいな!」って思ったものがどんどんエネルギーになっていくのはすごくうれしいことですね。
(宇多丸)あと、漫画アプリがあるんですよね。
(カメントツ)ああ、そうですね。漫画アプリの方も結構元気でして。やっぱりいまのところ出版社が運営しているものというのが元気だなという印象ですね。本来本屋さんでしか買えなかったりするものが無料でお試しで読めたりみたいな感じはありますね。これはビジネスモデルとしては書籍につなげようとするサンプル的な要素が結構大きいというか。
漫画アプリの人気
(宇多丸)そうかそうか。ここだけで回すというよりはね。その中でもヤバいのがあるらしいじゃないですか。
(カメントツ)そうですね。みなさん、ダウンロードしているとは思うんですけど。小学館作家なのにこんなことは言いたくないんですけど、『ジャンプ+』っていう集英社のアプリが本当によくできているんですね。
(宇多丸)『ジャンプ+』。それでさっき、「あの大出版社、小学館」みたいな。
(カメントツ)配慮していただいたんですかね(笑)。
(宇多丸)『ジャンプ+』。これはなにがそんなにすごいんですか?
(カメントツ)これはまずね、インターフェイスというか、まあ読みやすいんですよ。あとは新しい企画をどんどんやって、受けなかったものは消していくっていう工夫ですね。
(宇多丸)新しい企画。
(カメントツ)たとえば編集者目線での記事とか。あとは新しい変化球の漫画みたいなものをどんどんどんどん投入していって、なにか新しいものを作ろうというエネルギーがすごいんですよね。
(宇多丸)そこらへんはジャンプっぽい新陳代謝をね。
(カメントツ)そうなんですよ。悔しいんですよね。ちょっとそのへんは恐怖ですね。
(宇多丸)あと、インターフェイスというか漫画そのもののあり方もきっと変わっていくようなものがあるんじゃないですか?
(カメントツ)そうですね。縦読みというか。『comico(コミコ)』とか『XOY(ジョイ)』ってご覧になったことあります?
(宇内梨沙)『comico』は私、見ていますね。
(カメントツ)ああ、本当ですか? やっぱりデジタルデバイスってそもそも「ページ」っていう概念がないじゃないですか。
(宇多丸)うん。ずっとひと続きでね。
(カメントツ)そうです、そうです。なのに漫画っていうメディアを使う時にどうしてもページめくりっていう概念がいままで付いてきていたんですけど、それを取り払ったものがどんどん誕生しているんですよね。
(宇多丸)ですよね。生まれてこなきゃおかしいですよね。見開きで効果的な視線の誘導みたいなのをしているのと同じな訳がないというか。
(カメントツ)そうです。なので、『comico』とかあと韓国のアプリで『XOY』っていうのがあるんですけど。いろいろと他のもあるんですけど、ここが元気で。
(宇多丸)はい。
(カメントツ)あと、カラーだったりして。
(宇内梨沙)そうですよね。フルカラーですもんね。
(カメントツ)そうなんですよ。もともと漫画って印刷を前提としたメディアなので、そもそも白黒であることがちょっとおかしいというか。カラーで表示されるものをあえてモノクロで表示するというのはちょっと不自然だったりするという。
(宇多丸)いまだったらデジタルで色を付けるのも簡単ですし。
(カメントツ)そうなんですよ。で、たまに漫画の中でも動くやつっていうのもあるんですよ。
(宇多丸)コマがちょっとあれしたりとか?
(カメントツ)そうです。
(宇多丸)へー! でもそれもできるなら、やればいいですよね。
(カメントツ)そうです、そうです。なので、そのへんがどんどん逸脱していって。もしかしたら漫画がなにか違うものに変化していくんじゃないか?っていう時代が来ていますね。
(宇多丸)たしかにさ、本のこういう漫画の形式がずーっと続くのも不自然な話かもしれないですよね。
(カメントツ)そうですよね。やっぱり音楽と同じでレコード盤を置いて針を落として聞くみたいなものの良さももちろんあるんですが、その分やっぱりYouTubeとかiPhoneで聞くのも便利だよね、みたいなものもあるので。
(宇多丸)それに合わせて音楽のあり方も形を変えたりっていうのもあるから。
(カメントツ)そうですよね。
(宇多丸)あと、その縦スクロール問題で言うと、これは今日のニュースで週刊少年ジャンプ編集部が主催する新たな漫画賞、ジャンプ縦スクロール漫画賞が創設されたという……。
(カメントツ)もう! こういうことをしてくるんですよ、ジャンプって!
(宇多丸)これ、すごいね。だから先ほど言った、まさにジャンプイズム。
(カメントツ)ちなみに、この賞が発表される数週間前に僕が小学館にたのみこんで作ってもらった「4ページ漫画賞」っていうのができたんですけど。それは結構新しいって言われたんですけど、完全にかぶせて来て(笑)。
というわけで、サンデーうぇぶり新人賞に応募しようぜ! カメントツ先生が審査員で、テーマは「4ページ」! この賞の担当してるです。
第2回サンデーうぇぶり新人賞 新たな歴史をキミの漫画で刻め!! テーマ部門とフリー部門の2部門で募集!! https://t.co/XvRKOgMb90 #サンデーうぇぶり
— M田 (@emu_da1234) 2018年5月1日
(宇多丸)アハハハハハッ! カメントツさんがでも、それで小学館を動かしたわけだから。
(カメントツ)まあまあ、すっごいお願いをして。結構額を傷つけながら(笑)。
(宇多丸)ガチャーン!っていう(笑)。でも、あちこちである意味同時多発的に新しい漫画への動きが起こっているという。
(宇内梨沙)形態が変わってきているっていうことですね。
(カメントツ)なので本当に過渡期というか。そういうものが変わってくる時期なんだなというのが実感としてありますね。
(宇多丸)はい。あと最後、駆け足になっちゃうんですけども。『漫画村』。いろいろと報道もされていましたけども。
(宇内梨沙)最近ニュースで話題になりましたね。
(カメントツ)ただやっぱり、あれ『漫画村』は悪いことばっかりじゃなくて、「無料ですごく便利に読める」という部分は漫画家の間でも評価に値するっていう話は出てきていたんですよ。
(宇多丸)やっぱり読んでほしいからっていうね。
(カメントツ)で、広告収入みたいなものを漫画家に還元できればそれでいいんじゃないか?っていう話で。いわゆるYouTubeの再生数で広告収入が伸びるみたいな。ですけども、この前、すごいニュースがありまして。「著作権侵害サイトのブロッキング要請に関する緊急提言シンポジウム」っていうちょっと長いやつがありまして。それで『漫画村』の月収が6000万円程度だったというのがわかっちゃったんですね。
(宇多丸)ああー、全体としてだったら相当低いと。
(カメントツ)そうなんですよ。6000万円はね。
(宇内梨沙)相当数の漫画が掲載されている中、6000万円っていうのは。
(宇多丸)全然儲かっていないんじゃないかと。
(カメントツ)そもそも漫画のマネタイズ自体がかなり難しいっていうのが課題としてデカいというか。
(宇多丸)これも音楽に似てる。やっぱり定額制のSpotifyだ何だみたいなサービスってあるけど、あれも作っている側はあんまり入ってこないシステムですからね。
(カメントツ)そうなんですか。やっぱりプレイヤーはなかなか儲からないんですよね。
(宇多丸)だから別のことで……僕らだったらライブ、グッズ販売みたいなことで。やっぱりキャラクタービジネス化していくか、とかね。
(カメントツ)そうですね。あとは、やっぱり本人に会えるみたいな。サイン会みたいな感じで、みたいな感じですかね。
(宇多丸)でもデジタル漫画だとね、どこにサインをしてもらうんだろう?っていうね。
(カメントツ)本当ですよね。そうですよね。でも、僕この間iPhoneにサインしましたよ。
(宇多丸)今後、でもそういうのもね、まだまだ過渡期感はあるのかもしれないですけども。
(カメントツ)そうですね。また大きな変化があった時に呼んでいただきたいなと思います。
(宇多丸)でも、それが面白いですよね。過渡期だから面白いじゃないですか。漫画のあり方そのものも。
(カメントツ)もうどこが死ぬか、生きるかみたいな。戦争ですからね、これはね。
(宇多丸)物騒だな(笑)。そう考えると、やっぱり小学館作家としてはジャンプの勢いとか、他のいろんなものもにらみつつというね。
(カメントツ)そうですね。変えつつ、維持しつつという感じですかね。
(宇多丸)いや、でも勉強になりました。短い時間で申し訳ありませんでしたが。カメントツさん、なにかお知らせごとなどありますか?
(カメントツ)はい。まず先ほども言いました4ページ漫画の新人賞がありまして。「サンデーうぇぶり新人賞」というので検索していただければサイトが出てくると思います。ぜひ、チャレンジしてサクセスしてみてください。
(宇多丸)はい。
(カメントツ)あとは単行本のお知らせです。『こぐまのケーキ屋さん』という本が出ております。だいたい1000円ぐらいで買えるので手にとってみてください。
(宇内梨沙)すごいかわいらしいので。
(宇多丸)あとルポ体験系も本当に最高なんで!
(カメントツ)うれしい! ありがとうございます。
(宇多丸)体張っているだけあって、もう最高です!
(カメントツ)がんばります(笑)。
(宇内梨沙)ということで、今日のゲストは漫画家でWEBライターのカメントツさんでした。ありがとうございました。
(カメントツ)ありがとうございました!
(宇多丸)ありがとうございました。
<書き起こしおわり>