ヤマザキマリ ミラノ・コルティナ五輪開会式・NHK中継の解説を振り返る

ヤマザキマリ ミラノ・コルティナ五輪開会式・NHK中継の解説を振り返る 安住紳一郎の日曜天国

ヤマザキマリさんが2026年4月26日放送のTBSラジオ『日曜天国』に出演。ミラノ・コルティナオリンピックのNHKの開会式中継で解説者を務めたことを振り返っていました。

(安住紳一郎)そして驚いたのはミラノ・コルティナオリンピック開会式、NHKの開会式の中継で「解説はヤマザキマリさんです」ということになりました。

(ヤマザキマリ)あれはね、しゃべり足りなくて困った。もう言いたいことがもっとあるのに……。

(安住紳一郎)十分、しゃべってましたよ。

(ヤマザキマリ)そうですか? だけども、どんどんほら、画面が展開するし。あと、やっぱり一緒にいらっしゃるアナウンサーさんの方たちも、ちょっと心配して私を見てるんですよ。自分たちが言うべきところまで私がかぶるんじゃないか、みたいな。それを慮りつつ、抑制して、足りなかった。

(安住紳一郎)ああ、そうですか。

(ヤマザキマリ)「あの人についてはもっとしゃべりたかったな」とかね、いろいろあったんですけどね。

(安住紳一郎)そうですか。じゃあ、それでも抑制しながらしゃべっていたと?

(ヤマザキマリ)抑制しながらしゃべった。もう全部終わった後でまず一言、「足りなかったな。もっと言いたいことあったな。あーあ」みたいな感じで。はい。

(中澤有美子)すごく良かったですよね。

(ヤマザキマリ)ありがとうございます。

(中澤有美子)本当に次から次へ、マリさんの解説があるからこそわかること。そして身近に感じることができて。

(ヤマザキマリ)自分でもね、他の国でやっているのを見て「これ、何? これ、誰? 地元の人は盛り上がってるけどこの人、誰よ?」みたいなのもあるじゃないですか。でも今回は本当にイタリア版の踊る黒柳徹子さん出てきたんですよ。

(安住紳一郎)ああ、あれはやっぱりそういう人なんですか?

(ヤマザキマリ)そういう人です。一発目で見た時に「この人を誰と形容したら日本の人に通じるだろう?」と思った時には黒柳徹子さんしか思い浮かばなくて。めちゃくちゃ早口なんですよ。で、本当にもう国民的スターで、しかも歌って踊れるというね。もう亡くなってるんですけど、そのオマージュが出てきた時に「今回のこの開会式の解説、私が呼ばれてよかった!」って。

(安住紳一郎)あれは予備情報とか資料なしで?

(ヤマザキマリ)ないです。

(安住紳一郎)ああ、ないんですか?

(ヤマザキマリ)ないです。

(中澤有美子)素晴らしい解説でした!

(ヤマザキマリ)で、一応、前の日がリハーサルで私、見に行ったんですけど。土砂降りでみんな、雨ガッパをかぶってやっていたから誰が何だかさっぱりわかんない。

(安住紳一郎)じゃあ本チャンの衣装を見られなかったわけですね。

(ヤマザキマリ)見られてません。で、何だかもよくわかりません。それで実際、当日は晴れてたんで、もう光り輝く中にあの人たちが出てきた時は私の大内のスイッチの制御を利かなくなってしまって、大変なことになってしまって。

(安住紳一郎)やっぱりヤマザキさん自身が興奮して。「ああ、これだ。イタリアのこれを伝えようとしてるな」みたいな。

(ヤマザキマリ)そうそう。もう鼻息がすごかったと思うんですけれども。マイク拾わないように意識してやってたんですけれども。でも本当にあれから……で、私がそのイタリアに留学してた時、本当に貧しくて食べるものもない時にめちゃくちゃ流行ってた流行歌があったんですよ。それが今回、そのロッシーニ、プッチーニ、ヴェルディという三大オペラ巨匠が替え歌で歌ってたんですよ。

「うわっ、あの曲だ!」と思ったけど、共有できる人がいないじゃないですか。1人で「あの曲! あの曲!」ってなって。で、この間、しょうがないからイタリアの大使……同い年なんですけど。「この間のミラノ・コルティナであの曲、かかったよね?」「そうだよね!」ってなって。やっと共有できる人が見つかって、2人で興奮しましたけれども。

誰にも共有できなかった楽曲

(安住紳一郎)じゃあちょっと、そういう歌謡曲っていうか、若者に流行ったようなものを三大テノールが歌うっていうおもしろさを……。

(ヤマザキマリ)80年代のチャラいイタリアを知ってる人にしか言えないような、そういうのが出てきて。だからもう、嬉しくなって周りを見るんだけどみんなポカーンと私の顔を見てるだけでね。「通じないかな、この興奮?」みたいな感じで。

(安住紳一郎)日本だとパラパラを日本舞踊の先生方が踊るみたいな?

(ヤマザキマリ)そうです、そうです!(笑)。そうです、そうです。

(安住紳一郎)それで「うわっ! それ、やるんだ?」みたいな。

(ヤマザキマリ)そうそうそう。「お願い。誰か反応してよ! じれったい!」みたいな感じになっちゃって。

(中澤有美子)それはそうですね(笑)。

(安住紳一郎)でもそれ、開会式でやっぱり見たら自分のイタリア時代のいろいろな思いもあって。

(ヤマザキマリ)ええとね、舞台監督をやられた方がちょうど私より少し年上ぐらいの方だったんですよ。だからその辺、ピンポイントでどんどん出してきて。それでやっぱりこう、外国向けのみんなが知ってるイタリアを演出しないっていうところが私はイカしているなと思ったんですよ。イタリア人しかわからない、たとえばそのラファエラ・カラっていう(黒柳徹子のような)司会者の方を出したりとか。イタリアでしか流行ってない歌謡曲を出したりとか。でもそれが、要するにイタリアなんだと。

「アルモニア」は「響き合い」

(ヤマザキマリ)今回のテーマは「アルモニア」っていって。日本語では「調和」ってなってるんですけども私はあえて「調和」じゃなくてこれは「響き合い」。もうそれぞれ、違うコンテンツを持ってる人たちがオーケストラみたいにもう一緒にワーッと奏でることで大きな交響楽になるんだよと。そこにそういうものも全部入れてきたところが素晴らしいなっていうことで、これでこの話だけで今回、終わりそうだからちょっとどこかで制御しないとダメですよね。すいません。はい。っていうぐらい、本を1冊書けるかなっていう。ミラノ・コルティナオリンピック解説裏話みたいなことを書かせてもらいたいですよね、どこかにね。

(中澤有美子)本当ですね。

(安住紳一郎)でもやっぱりなんかイタリア人の洒落っ気っていうか、茶目っ気っていうか。なんか全開な感じで良かったですよね。

(ヤマザキマリ)超全開でした。もう、さすがだなと思って。だけどきちんと要所要所でいいところを出してくる。アルマーニは出てくるし、ダ・ヴィンチは出てくるしね。はい。

(安住紳一郎)ただヤマザキさんも抑制がかかってるなと思ったのはプラカードを持っている皆さん方の衣装があの高級ダウンメーカーのモンクレールだったんですけど。

(ヤマザキマリ)ですから、言っちゃいけないじゃないですか。

(安住紳一郎)NHKはね、あんまりね、そういうメーカー名を言っちゃいけないから。

(ヤマザキマリ)だけども、やっぱりウォークマンが出てきた時に「ウォー」まで言っちゃって。「ウォー、の小さいあの電子……要するにカセットテープレコーダーですよ」みたいな感じでやったけど、もう逆にわざとらしいみたいな感じで。

(安住紳一郎)モンクレールのことはなんて表現したんですか?

(ヤマザキマリ)モンクレールは「ほら、みんなが欲しがるイタリアの、絶対欲しいあのダウンの会社の……」って言ったらすぐに反応してくれて。「ああ、モンクレールですね」って、みんな。

(安住紳一郎)通じてよかった(笑)。

(ヤマザキマリ)もうね、それだけでわかるってね。もう大変、大変。そこだけはね、本当に。はい。でもうまいことを自分ではやったなと思ってますけれども。

(安住紳一郎)そうですよ。

(中澤有美子)事前情報なしだなんて、信じられないです。

(ヤマザキマリ)でもね、いちいちね、たとえばほら、カメラマンがたくさん出てきて。「パパラッチが出てきました」って言ったらパパラッチっていうのはもともとフェデリコ・フェリーニの『甘い生活』っていう映画の中で初めて出てくるんですよ。その言葉が。「これは言わなきゃいけない!」と思うじゃないですか。

「パパラッツォ」っていう、要するに単数形で出てくるんですけど。それが複数刑だと「パパラッチ」になるんですけど。でも、それをどうしてもその「映画の中に出てきたものなんですよ」っていうこともたぶん、イタリアのその主催者側は意識して出してるんで。「それは伝えなきゃいけないな」と思ったりとかすると、めちゃくちゃ早口になるし。

(安住紳一郎)そうですよね。

伝えたいことがありすぎて早口に

(ヤマザキマリ)そう。私が常に意識して変えなきゃいけないと思ってるこの低い声の野太いオタクしゃべりにどうしてもなっちゃうっていうね。「しょうがないな」と思って。

(中澤有美子)いいです、いいですよ。すごくいいですよ。

(ヤマザキマリ)まあでも、そんな声でもなんか「聞きやすい」と言ってくれる人も中にはいるみたいで。

(安住紳一郎)もうなんかヤマザキマリさんの真骨頂っていう感じで。うん。ちょうどね、NHKの開会式中継に合わせていったっていう感じもあって。なんかすごく応援しながら見ていました。

(ヤマザキマリ)ありがとうございます。

(安住紳一郎)またあんまりね、開会式って相槌を打つタイプのアナウンサーじゃないから。なんかね、自分で頷きながら進めていくしかないんで。

(ヤマザキマリ)そうですね。もうどんどんどんどん出てくるんで、2人のアナウンサーさんもなんか途中で諦観して。諦観の笑みを浮かべながら、観音様みたいな顔になっていて。2人とも。

(中澤有美子)「おまかせしよう」と(笑)。

(ヤマザキマリ)「あっ、ここの国、モルダヴィアって言ったらワインが美味しいんですよ。ワインがお飲みになります?」「飲まないんです」ってその方、1回そこで落としちゃったんですけど。「でも、飲めるようになりたいと思います」ってなって。「よしっ、じゃあ今度、行こうね!」みたいな。そういうのも解説で全部、出ちゃったんで。すみません、みたいな(笑)。

(安住紳一郎)ねえ。面白い(笑)。

(中澤有美子)面白い(笑)。

(ヤマザキマリ)いや、もうしょうがないじゃないですか。そこまで言っちゃったんだから、もう。

(安住紳一郎)そうですよね。「飲めません」って言っちゃったからね。

(ヤマザキマリ)その方もそこで扉を開いてくれたんで、もう「ぜひ今度、いつかモルダヴィアのワインを飲む会を開こうね!」みたいな感じで。はい。あのね、国が出てくるとやっぱりその国について語りたくなるわけですよ。

(安住紳一郎)またいろんな国に行かれてるから。

(ヤマザキマリ)そう、そう。でもその国についてしゃべろうと思うと次に切り替わっちゃったりとかするから、あそこはたくさん制御した。本当に。うん。

(安住紳一郎)開会式の夜は眠れたんですか?

(ヤマザキマリ)爆睡しました。あ、爆睡したけど、ちょっと最初は興奮が残ってましたね。うん。それで実はお風呂に入ろうと思って。お風呂に入ったらちょっと落ち着いて寝れるかなと思ったらなんとね、お風呂のお湯があふれてしまって。それをまず拭いて。拭くところから始まったら、それでかなり疲れて。で、入った後はその解説の疲れも伴って、もうバタンキューで寝ました。

(安住紳一郎)ああ、そうですか。いや、もうそのね、本当に感想戦を聞いてるだけでなんか興奮してきますけど。

(ヤマザキマリ)もう本当に思い出しますね。

ヤマザキマリさんの解説、大評判でしたよね。言いたいことがありすぎてオタクのような早口になってしまうのも仕方ないぐらい、大ボリュームのトークが最高でした(笑)。

安住紳一郎の日曜天国

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