荻上チキ 久米宏を追悼する

ジェーン・スー 久米宏を追悼する 荻上チキSession22

荻上チキさんが2026年1月13日放送のTBSラジオ『荻上チキ Session』の中で訃報が伝えられた久米宏さんを追悼していました。

(片桐千晶)最新のニュースをお送りするDaily News Session。続いてはこちらのニュースです。久米宏さん死去。訃報です。元TBSアナウンサーの久米宏さんが今月1日、肺がんのため亡くなりました。81歳でした。所属事務所が明らかにしました。

久米宏さんは1967年に大学卒業後、TBSにアナウンサーとして入社。『ぴったし カン・カン』や『ザ・ベストテン』をはじめ、テレビ朝日系列『ニュースステーション』などの番組で活躍。TBSラジオでは『久米宏の土曜ワイドラジオTOKYO』。そして『久米宏 ラジオなんですけど』など数多くの番組を担当してきました。

(荻上チキ)久米宏さんは『荻上チキSession-22』2017年12月13日の放送にゲストとしてご出演されています。その中で久米宏さんと1時間近く、じっくりとお話をするという機会がありました。番組冒頭に続いて、ここでもその音声を一部、聞いていただければと思います。

<音源スタート>

(久米宏)『ニュースステーション』をやっている時って、家へ帰ってね、「寝る」というよりも「お酒で気を失う」っていう方が正確でしたね。

(荻上チキ)おお、それは危ないですね。

(久米宏)危ないです。寝たんじゃなくて、気を失って。翌日、目が覚めて、ご飯食べて、仕事場に向かうっていう繰り返しでしたね。だから土日がちょっと調子が狂うっていう感じがありました。どうせだったら土日もやりたいっていう。正直言ってね、ずーっとやっちゃいたいとも思ってました。土日に体調がね、おかしくなるんですよ。仕事がないから。大変なのはわかってますよ。土日もやったら。でも、どうせだったらやっちゃいたいっていう風に思ってましたね。

(荻上チキ)たぶん土日の体の方が正直な声を上げてたんでしょうね。

(久米宏)そうだと思います。どうしていいか、わからない。やることはいっぱいあるんです。土曜も日曜も。資料を読まなきゃいけないし。だけど仕事場に行かないっていうんでね、リズムが狂うんですよね。自分の。で、かえって土日が眠れないとかね。翌日、仕事がないと思ったら眠れないとかね。変な感じでしたよね。

(荻上チキ)それはとてもよくわかりますね。土日のその使い方がすごく難しいので。僕は物書きですから、たとえばその日は原稿を書きにちょっと喫茶店に行ってみるとか。あるいは講演会とか、そうした類いのものは全部土日に入れるので。仕事があった方がそのままスッといくんですけども。でも仕事ばっかりやってると、倒れますね。体が、やっぱり限界になります。

(久米宏)僕、だって土曜日はね、『ニュースステーション』をやっている頃は出かけそうになりましたからね、夕方。

(荻上チキ)「行かなきゃ」と?(笑)。

(久米宏)「仕事場に行かなきゃ……ああ、土曜日だったんだ!」っていう。日曜もそうですよね。で、日曜はちょっと憂鬱なんですよね。明日からまた1週間、あるので。また5日、やらなきゃいけないっていうね。

(荻上チキ)サザエさん症候群が始まるわけですか。

(久米宏)5日って結構、長いんですよね。1日やってもまだ4日、残っていますから。結構5日、こなすのは長いです。

(荻上チキ)特に日数が「あれ? 今日、まだ水曜日なの?」みたいな。そうした風に思うようなぐらい月火のニュースが重い時とか。

(久米宏)水曜日って、真ん中ってつらいですね。結構。その前に2日、こなして。あと2日、残ってるっていうのはね。結構つらいですよね。まあ、『ニュースステーション』やって10年過ぎたぐらいから「いつまで続くんだ、この番組は?」っていう。なんて言うんですかね? 脱出口が見えないっていうのがちょっと不安ではありましたけどね。

(荻上チキ)一番最終回でもやっぱり「いつ終わるのかがわからないのが一番つらかった」ってお話されてましたよね。

(久米宏)そうなんです。いつ終わるのか、わかんない。来週もあって、来年もあって、再来年もあってって思うと、なんか無限地獄に落ちてるような感じがあってね。それがつらかったですね。

(荻上チキ)普通、他のテレビですと、たとえばドラマだとこれだけであるとか。あるいはこういった番組ですと、これぐらいとりあえず続いて。で、まあ契約を更新しましょうとか、いろんなやり方があると思うんですけど。たしかに報道はどうするのかっていうのはなかなか見えないですもんね。

(久米宏)特に僕は最初から2年契約だったんですよ。で、始めた時は全然ダメで「2年、もたない。たぶん1年で打ち切りかな?」と思ったら、18年半続いちゃったんですけど。結局……まあ10年を過ぎた頃から「やめる時は自分で決めるしかないな」と思いましたね。自分でやめるって決める以外、決める人はいないって思ったんですよ。周りを見回しても「やめよう」って言い出しそうな人、いないんですよね。どうも見当たらない。代理店も放送局も僕のマネジメントをやってる会社も。「やめよう」って言い出す人はどうも見当たらない。じゃあ、僕しか残ってないじゃないかって思いました。

(荻上チキ)ええ。

<音源おわり>

(荻上チキ)はい。2017年12月13日の放送にゲストとして出演していただいた久米宏さん。その話の一部を聞いていただきました。今、こうやって聞き返してもなんか無限にいつまでも聞いていられるような……。

(片桐千晶)いやー、本当に「久米さんの声だ」って思いながら聞いてました。

(荻上チキ)もう久米さんの声としか言いようがない、何でしょう? 独特の響きとかリズムというものが染み込んでますよね。

(片桐千晶)そうですね。温かみがあって、本当にスッと入ってくる素敵なお声だなと思いながら今、聞いてました。

(荻上チキ)やはり久米さんのお仕事をされていた時代というのはテレビとラジオの時代でもあって。マスメディアが政治をどう報道するのか? メディアが政治に対してどういう風に監視するのか? というのがとても問われたタイミングでもありましたよね。で、久米さんはもうキャスターとしてその役割というものを一身に担ってですね、いろんなゲストの方と向き合っていく。で、当時は筑紫哲也さんもそうでしたけれども。文化人などとコミュニケーションを取りつつも、政治家であるとか、それから事件などと向き合いながら今、社会で何が起こっているのかということを手探りで語り起こしていく。言葉にしていく。その様というものがリアルタイムで放送されることによって、多くの人たちは今、何が起こっているのかということをゆっくりゆっくり探っていくということを行っていたわけですね。

時代は変わり、社会の語り方も当然変わりましたけれども。久米さんはテレビから離れた後もラジオでゆっくりと語りかけていらっしゃって。そこでもたくさんの方とお話をされて。私もお邪魔したり、来ていただいたりしながらオリンピックのこととか、それから広告産業のこととか、いろんなことをお話したりしながら、まあ忌憚なき言葉で愚痴をこぼしつつ、今のメディアはどうなのか? その役割を果たすとは何なのか?っていうことを問いかけ続けてましたよね。

久米宏の問いかけ

(荻上チキ)その問いかけというものはたぶんこれからも残っていくでしょうし、そこで投げかけられた問いというものを背負っていろんなキャスターやパーソナリティーというものがニュースと向き合っていくことが必要なんだなと、まあニュース畑の人間としてはそういう風に感じましたね。

(片桐千晶)ニュースであってもバラエティであっても面白く、そしてわかりやすく伝えるっていうことをとても大事にされてましたよね。

(荻上チキ)「受け手っていうものに何を伝えるのか?」ということを懸命に考えるということが重要なんだという風に思いました。以上、Daily News Sessionでした。

久米宏と荻上チキ 最近のニュース・ワイドショー報道を語る
久米宏さんがTBSラジオ『荻上チキSession-22』にゲスト出演。荻上チキさんと最近のニュース番組やワイドショーの報道について話していました。TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」(平日22時?)【音声配信】久米宏さんと荻上チキ...

久米宏さんが荻上チキさんの番組に出演された回は今でもよく覚えています。お二人で真剣に「報道をすること」について話されていましたね。今回の放送でその一部がまた聞けてうれしく思いました。

荻上チキ・Session 2026年1月13日放送回

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