町山智浩 イスラエルとアメリカのイラン攻撃を語る

町山智浩 イスラエルとアメリカのイラン攻撃を語る こねくと

町山智浩さんが2026年3月3日放送のTBSラジオ『こねくと』の中でイスラエルとアメリカがイランを攻撃したことについて話していました。

※この記事は町山智浩さんの許可を得た上で、町山さんの発言のみを抜粋して構成、記事化しております。

(町山智浩)アメリカとイスラエルがイランを先制攻撃しました。それで今、アメリカでは世論調査だと国民の59%はこの戦争に反対しているという状況なんですね。なんでこんなことをしなきゃならないのか、よくわからない。何のためだ?って。で、トランプ大統領は「イランからミサイルで攻撃される可能性があったからだ」と言ってるんですが、ミサイルといっても別に大陸間弾道弾とかじゃないから、アメリカ本土がイランから直接攻撃を受けることはないんですね。イランはそのような武器を持ってませんので。じゃあ、何のための攻撃なんだろう?っていうことで、まあこれ、動機があるのはイスラエルですよね。

イスラエルはずっとイランと小競り合いを続けてますから。で、前に『ネタニヤフ調書』という映画をここでご紹介したんですけど。イスラエルのネタニヤフ首相は実はずっと、汚職でイスラエルの警察から追及されていて。すでに起訴もされて、裁判を待っている状態だったところにハマスというパレスチナのテロを受けまして。それで戦争を拡大することでその裁判を延期しているという映画でしたね。

『ネタニヤフ調書』

町山智浩『ネタニヤフ調書 汚職と戦争』を語る
町山智浩さんが2025年10月7日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『ネタニヤフ調書 汚職と戦争』について話していました。

(町山智浩)でもガザをもうほとんど、虐殺して殲滅してしまってそのガザとの戦争は終わりかけているわけですよ。そうすると、ネタニヤフさんは裁判にかけられちゃうんですね。ならば、戦争を拡大していくしかないですよ。ただ、一緒になってアメリカがイランへの攻撃に参加するということに対して、アメリカ国民の59%は「なんでそれをやっているのかが、わからない」と言って怒っていて。イランに対して差し迫った危機がアメリカにとってはないんですよ。

ただ、トランプにはあります。エプスタイン文書です。現在、少女売春を組織的にしていたエプスタインという大富豪の文書が300万ページ、公開されたんですが。それは非常に不完全なもので「トランプ大統領との関係がどこかにあるはずだ」という風に追求が続いてるんですね。それで、まあすごくトランプの支持率が落ちています。特にトランプ関税というものを世界中にかけまくってたんですけれども、「その関税をかける権限が大統領にはそもそもない」という最高裁判決が出まして。あれだけ、日本とかにもものすごい関税をかけて。80兆円かなんかの投資をさせるとか、約束させたんですけど。そもそも、その関税を彼がかける資格がなかったという最高裁判決が出ました。

それで支持率が38%……36ぐらいまで落ちてるんですよ。これは大統領史上、最低ぐらいなんですね。それでまあ、ここで戦争を始めたと。で、反対をしている59%の残り、41%の人というのは、アメリカにはイスラエルを支援してる人たちがものすごくいるんです。その多くがキリスト教福音派と呼ばれている、非常に保守的なキリスト教徒の人たちなんですね。

で、彼らはイスラエルとアラブ(イスラム教)の戦争というものが起こっているんだっていう。これはトランプ自身も言ってるんですが「これは西欧文明、ユダヤ・キリスト教文明とイスイスラムの戦いなんだ」という風に考えて、イスラエルを支援してる人たちがいるんですね。これを「文明の衝突論」というんですけれども。その人たちはイスラエルを支援しているので、今回の戦争に賛成しています。ハッチンソンという人が昔、「将来の戦争は政治の戦争ではなく、文明の戦争になるんだ」っていうことを言って、それにかなり影響されている人たちがいっぱいいるんですね。

で、そういう状況の中で何が起こったかというと、まずそのイラン……イスラム教国なんでイスラム教の最高指導者のハメネイ師という宗教的指導者が自宅にいるところをミサイル直撃されまして。それで、お孫さんまで亡くなりました。1歳2ヶ月のお孫さん、女の子だったみたいですね。で、そこに正当性はあるのか?ってことですよね。イランはイスラム教の非常に厳しい国で、民衆の弾圧とかをしたり、拷問とかもしてましたね。デモに対する銃撃とかもしてましたけど。でも、この1歳のお孫さんは? 何もしてないですよ。それと、イランの女子小学校にミサイルが落ちて165人の7歳から12歳の女の子たちが亡くなりました。

今後4、5週間程度は継続する見込み

(町山智浩)それが今、起こってることなんですけれども。さらにトランプ大統領は戦線を拡大していく。4週間ぐらいはやるみたいです。これ、4週間か、5週間ぐらいって言っていてそれ以降は撤退するみたいなこともヘグゼス戦争長官が言ってるんですけど。これ、実はその議会の承認を得ない戦争行為っていうのは60日までしか許されてないんですよ。アメリカの憲法では。で、今回は議会の承認を全く得ないでトランプが独断でやってるんで、60日以内に集結させないとならないんですよ。

だからそれを見越してそう言ってるんですね。議会の承認を得ないで済むので。これが問題なのは徹底的に破壊しておいて、その後は何もしないんじゃないかと。つまり、そこに治安維持のための軍隊を送るためには議会の承認が必要なんですよ。地上軍を送らなければならないんですけど。それに関してはヘグゼス戦争長官が「地上軍を送る気はない」ってはっきり言っちゃったんで。徹底的に空爆で破壊しておいて、あとは何もしないみたいですね。

アメリカ国内での反応は、攻撃が始まってすぐにこのサンフランシスコとかオークランドでは反対デモがありました。反対デモはあったんですけれども、じゃあ報道とかはどうかというと今、非常に批判的に報道しているいるのはCNNとNBCですね。で、前にも言いましたけどCBSテレビは報道局がパラマウントによって支配されて、完全にトランプ大賛成テレビになっちゃったんで、批判をしてません。

というような事態で。アメリカは次々とニュースメディアが……CNNもワーナーの傘下にあるんで。ワーナーはパラマウントに買われちゃったんで、たぶん今後はトランプ批判をやめます。大変な事態に大本営発表状態になっていく状況ですね。今、アメリカは。もちろん、コメディアンの人たちは徹底的に戦っています。『サタデー・ナイト・ライブ』っていうNBCのお笑い番組では攻撃があったその日に生放送でいきなり「エプスタイン文書をごまかすために戦争するよ!」っていうトランプギャグ、コントをやっていました。

こんなことが起きないようにするために、普通は議会の承認っていうのがあるんですよ。大統領とか権力者が勝手に戦争を始めることはできないようにするために。ところが、議会の承認を得ないでいきなりやってますから、もう止められない状態になってるんですよね。もちろんアメリカの議会は「止める」と言ってますけれどもね。という状況です。

アメリカ流れ者 2026年3月3日放送回

タイトルとURLをコピーしました