宇多丸さんが2025年11月10日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』で亡くなったラッパー晋平太さんを追悼していました。
(宇多丸)そんな中でちょっとこのオープニングでいろいろお話ししなければいけないこと。番組からの嬉しいお知らせも当然あるんですけど、ちょっとこれ、どうしても私がやってる番組として触れないわけにはいかないということで。ちょっとまた悲しいお知らせになってしまうんですが複数の方からもメールを頂いてますが、この方のを読みますね。「宇多田さん、初めてお便りをお送りします。もうご存知かと思いますが2025年11月8日、かねてよりウェブ上に拡散された疑惑が……」。まあ、どうもそういうことになってるんじゃないか? みたいなね。最初はちゃんと公表はされない方向でしていたみたいなんですけど、まあ広まっちゃって、みたいな。
「……が現実のものとなってしまいました。2年前より希望していた体調不良による休業からのカムバックがついに途絶えることを知りました。ご親族がXにて晋平太さんの死去を公表されました」。晋平太というラッパーがおりまして。この番組でも実は2018年9月10日(月)。初年度ですね。当時、彼が携わっていたレペゼンLOCALプロジェクトというプロジェクトについて話を伺ったり。この番組にも出ていただいてます。ラッパーの晋平太くんです。
で、ちょっと勝手ながらメール、省略させていただきますけども。「通常だったらここでその追悼曲として彼の残した曲を流すところだけど、ちょっとそういう気分にならない。なぜなら、個人的にとても思い入れが強くて……」という。まあ、地元が近くて、彼がいろいろ活動していたり、本人を見かけた話とかも書いていただいて、ちょっと整理がつかず……みたいなことも書いていただいて。とてもわかります。
そもそもね、ご家族が最初は公表を控えられていて。でも結果、広まっちゃって。で、まあ追って公表という形になったんで。なのでこの場でこういう風になにか言うこと自体、ちょっと僕も「いいのかな?」っていう感じがちょっとするのかな? なんていうのかな? だし、この方とはまたちょっと違う意味で僕も本当になんて言っていいかわからないというか。全然、なんていうか、どういう言葉を発するのが適切かが自分でもわかってない感じです。
だし、自分が今どう思ってるかもちょっと整理がついてない感じもあります。ですし、わかんないことの方がよっぽど多いんで。わかんないのに勝手なこと言いたくないんですよ。みたいなのもあるし。まあ、ひとつ言えるのは晋平太さん、ラッパーとして活躍して。特にやっぱりMCバトル。本語における即興フリースタイルバトルのもう巧者中の巧者。まあR-指定級と言えばお分かりいただけるでしょうか? トッププレイヤーはいくらでもいますけど、晋平太もその1人というかね。
なおかつ、そうですね。僕はいわゆる日本のフリースタイル即興バトル、試合形式のちゃんとしたバトルの走りというか。、それを仕組みとかを組み立てて最初にやった初期の試みとしてB BOY PARKというのがあって。90年代末から2000年代頭にかけてあって。後にはいろんなね、あれに受け継がれていく。よりプレイヤー側の視点に立った、より洗練されたというのかな?
MCバトルになってくるんですけど。その最初のレールをこう作ったB BOY PARKのMCバトルがあって。その中の、中の人というか。一応、その先輩世代としてやって。で、司会とそのルール作りと構成っていうのかな? みたいなことをやってたんです。初期の大会は。で、その中で様々な才能が出てきました。それこそMSCの漢くんとか出てきたとか、いろいろあるんだけど。で、晋平太はまさにそういう、そこでグイグイ出てきた才能の1人です。
で、その後からもちろん、いろんな人が出てくるんだけどB BOY PARKに出ていた組のことは僕はやっぱりすごい直でやり取りしてるから。その後もいろんなところで見たり会ったりするにつけ、やっぱりなんて言うのかな? 「頑張ってね!」みたいな感じで。ちょっとこう、なんと言うのかな? 学校の先生っていうとなんか教えたわけじゃないんだけど。なんかこう、「頑張ってね!」みたいな感じが常にある世代というかな。その組の子たちというのかな。なんかそんな感じもあって。
だから晋平太もまさにそれで。で、晋平太は特にいわゆるハードな生い立ちとか、ハードな背景みたいなものを売りにするタイプではなく。ごくごく普通の日本の若者として。あともうひとつ彼の特徴はそれを社会にどうフィードバックするか、みたいなことをすごく真剣に常に考えていて。そのスタンスみたいなのも……だからこそこの番組に出て、そういう話をしてもらったけど。その、なんというか「自分さえよければいい」というタイプじゃないんですよね。
日本語ラップから受け取ったものをいかにして社会にフィードバックするか?
(宇多丸)要するに彼が日本語ラップとかから受け取ったものをどうフィードバックするか、みたいなことを常に真剣にやっている人で。日本語ラップというのを使って何ができるか、みたいなことをね。そう。なので、そういうことを頑張ってた人なんですっていうことはもちろん皆さん、ご存知の方は多いと思いますけど。晋平太というラッパーがそういうことやってたんですよということはまず、ちょっと覚えておいていただくというのがひとつ、ここで言えることかなという感じがいたします。
ちょっと、すいませんね。なんかこう、シャキッとした追悼にはなっていないかもしれませんが。ちょっともうなんとも言えない……なんかもう、わかったようなことは言えないんです、みたいな感じです。うん。いやー、晋平太くん、うん。よかったよ、君。とってもよかったよ。いいよ!っていう感じ。で、そんな中で、そんなニュースを知った中で、だからこそRHYMESTERのブルーノートのライブ、頑張らなきゃと思って全力を尽くしてやってですね。いいライブできたと思います。はい。
晋平太さんの突然の訃報、とても驚かされました。まだお若いのに……宇多丸さんもB BOY PARK時代からのつながりがあったということで、とても残念そうでしたね。御冥福をお祈りいたします。


