爆笑問題・太田さんが2025年2月18日放送のTBSラジオ『爆笑問題カーボーイ』の中で自身がナレーションを務めるフジテレビの番組『ぎりぎりをせめるので続くだけやります法律お笑い』が放送休止となった件についてトーク。『爆笑ヒットパレード』で「日枝、出てこい! Aプロデューサーって誰?」とネタ中に入れ込んだ理由などを話しつつ、中居正広さん・フジテレビ問題を経て、自分たち世代は引くべきなんじゃないかという考えに至ったことを話していました。
(太田光)それでね、そのフジテレビの黒木さんがライフワークみたいにして撮っていた京都の磔磔っていうライブハウスのドキュメンタリー(『京都・磔磔〜酒蔵ライブハウスの50周年』)。結局、黒木さんって去年、亡くなっちゃったんですけどもその時、その後を継いで『いいとも!』をやっていた鈴木くんっていうのが……この番組でも散々、話したんですけど、それを完成させたんですよ。ちょうどこのスタジオの時、年末の時に持ってきてくれて。「これが黒木の遺作です」って。
でも彼が完成さしている。で、何度も繰り返しになりますがその磔磔っていうライブハウスで仲井戸麗市さん、チャボさんが「サンキュー、Mr.黒木!」って言ってくれた。要するにそのドキュメンタリーを作って。「今、君の若い部下たちが親分だった、ヘッドだった君の意志を継いだ若者たちがこうやって今日も撮ってくれているよ。みんな、見てね。サンキュー、Mr.黒木!」って言っていた、あの映像が残ってるんですよ。その鈴木が撮った映像の中に。で、それがすごく感動したっていう話をしましたよね?
で、その元旦の『爆笑ヒットパレード』が終わって家に帰って2日目ぐらい……それで今度、日曜日のサンジャポが仕事始めだったじゃないですか。で、その間に俺、熱を出してなんだりしながらも、全然見れてなかったそれを見たっていう話をここでしたと思うんですよ。で、その時も俺はだからそのフジテレビ問題があって。俺は何が言いたかったか? 奥歯に物が挟まったような言い方をしましたけど「フジテレビ、若いやつらがちゃんと育ってるよ。だから俺たちの世代は覚悟しなきゃいけないんじゃないの?」っていう。
つまり、それはどういうことか?っていうと「もしかしたら俺たち、引かなきゃダメかもしれないよ」という意味ですよ。つまり「俺たちの世代がテレビを壊した可能性がある。だとすれば、俺たちは引っ込まなきゃいけないんじゃないの?」っていうことをフジテレビの上層部も、自分も含めてですよ。
俺たちの世代がテレビを壊した可能性がある
(太田光)だって若いやつらを守らなきゃ、どうすんの?っていうことですよ。「楽しくなければテレビじゃない」っていう我々が憧れたフジテレビのキャッチフレーズがあるけれども、我々世代がそれを進化させられなかったとするならば。そしてここ数年、オワコンと呼ばれているこのテレビ業界、あるいはこのエンターテイメント業界に20代の若者が……もう若者がみんな離れてるのに。そんな中、我々と同じように夢を見てテレビに入ってきてくれた若者たちをもし失望させたとするならば、我々50代、60代ぐらいの世代の人間はもう引くべきなんじゃないのかな?っていう思いが僕はあったんですよ。
僕はでも「引く」っていうあんまり言いたくはなかった。まあ、そういうことを言ったんですよ。「覚悟をしなきゃね」っていうことを言ったんだけど。その時も俺の思いは伝わらないっていうのがよくわかったのは田中のリアクションが「そんなに大好きなフジテレビに対して、お前は!」っていうツッコミをしたから。
(田中裕二)フハハハハハハハハッ! そうだっけ?(笑)。
(太田光)「こりゃあ、話は通じねえな」とは思ったんですけれども。要するに俺はそういう思いがあってですよ。でね、結局、黒木さんっていうのははっきり言いますけどスマスマを作った人なんです。で、僕らは黒木さんが亡くなる3日前に、黒木さんの病室に行って。びっくりするほど元気で。起き上がって。「ああ、すいません!」って言ってくれて。
(田中裕二)いつもの黒木さんだったもんね。
(太田光)「いやいや、寝ていてくださいよ」「いやいや、そんな、お忙しいのに来ていただいて」って。その3日後に亡くなる人ですよ? で、「なんだ。元気じゃん」っつって、そこから要するに「じゃあ黒木さん、治ったらやりましょう」っつってバラエティの話をさんざんしましたよね。で、部下のディレクターがそれを全部、「お前、メモっとけ」ってい風に黒木さんが言って。で、俺が言っている……もう耳にタコだと思いますけども。最初に漫才やって。で、歌あり踊りあり。歌手の人を呼んできて。で、壮大なコントをやって。トークもありっていうバラエティ。基本、生放送っていう。さんざん、もう今まで何度も言っている。で、もう何週、その話をするんだ?っていうぐらいだけど。この番組のリスナーにはね。
で、それを黒木さんに言ったんですよ。「お願いしますよ、黒木さん。治って、出てきたらこれ、やろうね」って言ったんです。そこから数日後に亡くなったっていう知らせを聞いて愕然とするわけですけども。もちろんでも「良くない」っていう話はずっとわかっていたんで。で、その後、俺はフジテレビの他のスタッフやなんかと……特に今、営業の人たち、頑張ってます。すごい大変な……一番、たぶん大変なんだけど。話をする機会があったんです。フジテレビの人はみんな黒木さんのこと、大好きですから。で、その時に話したのは「黒木さん、あの時に亡くなって。自分が大好きだったSMAP関連の今のこの事態を知らずにすんでよかったかもしれない」っていう話はしたんです。それは、なんていうのかな? 不謹慎な言い方かもしんないけども。
で、「本当にそうだな」と俺は思っていて。で、中居の一連のあれがあってね。俺は……だからここでこんな真面目な話をしてどうすんの?って話だけど。だから俺はれなちには申し訳ないんだけども。だけど俺、これは『芸人人語』で書いているんだけどね。でも、さんまさんが『ヤンタン』で中居くんがね引退っていう時に「あいつは同志だ。戦友だ」っていう風に言ったんですよ。「そうだよな」って思うわけ。で、俺はそこまで中居とはそんなに親密ではなかったけれども。ただ、やっぱりさんまさんってすげえなって思うわけ。そう思ったんですよ。
中居正広に言及した明石家さんま
(太田光)だから『サンジャポ』でいろいろ言いましたけども。俺がフジテレビが中居を……もしかしたら、前後の関係はわからないけれども。そこにフジテレビが関連していたんだとするならば今回、中居を切って終わりっていうのはないんじゃないの?っていうようなことを言って、また大騒ぎになったんだけど。ただ、俺はさんまさんがこの環境の中で「中居は戦友です。同じ時代を戦ってきた同志です」って言ったことに対して、明石家さんまっていう人の凄みというか。それは本当にそう思ってるんだろうし。翻ってフジテレビはどうしてるの?っていう、俺はそういう思いがあるわけですよ。
だって一緒に番組を作ってきた仲間ですよね? だからそれはあの記者会見を見ていても「彼に怒りを感じました」とか「ショッキングでした」っていう言い方をしていて。あれはどうなのかな?って俺は思ったわけ。それはもう、わからない。いろんな人がいろんな判断をすることだからわかんないけれども。で、そんな中でいわゆる俺がやりたいバラエティの話とかをこの間、サンドウィッチマンと明治座で会った時にも「お前らの世代がやれ。俺たちの世代はもうテレビを壊したかもしれない」って……で、それはなんでかっていうとだよ。この50、60のジジイたちがたとえば、20歳そこそこの若い女性が今まで行ったこともないような高級ホテルのスイートルームに行ったら50、60のオヤジがいた。それだけでもう恐怖でしょうよ?
(田中裕二)うんうん。
(太田光)って思うわけ。で、そんなことになっちゃった。そして失望して……今、このオワコンだってテレビが言われてる時代にテレビに夢を見て来た人にそれだけの失望させたんだとしたらですよ、我々は引くべきでしょうって思う。そんな気持ちがあって、俺はそれをサンドにも……「俺たちの世代じゃない。俺たちはテレビを壊したからお前たちの世代がやってくれ」って言っちゃったもんだから社長がまたそれを聞いて「あんたね、調子に乗ってるんじゃないわよ? あんたにそんな影響力、ないから!」って言われて。それで「はい……」って言うという、そんなやり取りはあったことは言っておきますが。それで一瞬、落ち込んで。でもずっと去年の暮れから俺はそんなことをモヤモヤモヤモヤ考えてた時に井上順さんが『日曜サンデー』に来てくれて。
「太田くん、僕から見たら君は青年だよ」って言ってくれた。「バラエティ、やるべきだよ」って言ってくれたこと。それはチャボさんが黒木さんを追悼する時に「俺から見たら青年なんだよ、彼は。だけど旅立ったんだよ、この間。残念でね」って言ってたのとすごく、その「青年」って言葉が……青年の主張!
(田中裕二)うるさいよ……(笑)。
井上順の一言で奮起する
(太田光)それで、要はそういう意味で言うと俺はだから先週、言ったように「よし、もう1回、企画を出してみよう」っていう。要はもう1回、諦めずに。俺たち、青年だからって思うわけじゃない。いいとも青年隊みたいな。で、それを喫煙所で秋葉に「もう1回、企画書を書くよ!」っつったら秋葉、「マジっすか? どこに出すんすか? 散々通らなかったのに……どこに出すんすか?」って。嫌な顔をしたんですよ。
(田中裕二)フハハハハハハハハッ!
(太田光)もう本当に傷つくんですよ。「まだ言ってんの、それ?」みたいな顔をされるんのは本当に傷つくんです。それをなんとか井上順さんの言葉によって「おい、秋葉! 野口! やるぞ!」って言ったら「マジっすか? えっ、どこに出すんすか?」っていう、ポカンとした顔をされて。本当に私は……今、ここにいます。貝になりたい。
(田中裕二)うるさいよ(笑)。
(太田光)松重さんともそんな話をして。俺、こんな話ばっかりしてるでしょう?
(田中裕二)毎週、似たような話をしてるよ(笑)。では、そろそろ参りましょう。火曜JUNK!
(太田・田中)爆笑問題カーボーイ!
太田さんのテレビに対する真摯な思いがものすごく伝わってくるトークですね。もしかしたらフジテレビの経営陣よりもフジテレビやテレビについて愛を持って考えているのかもしれません。テレビの短い尺では伝わらない太田さんの考えや思いが伝わってきて、あらためてラジオ『爆笑問題カーボーイ』は素晴らしいなと思った次第です。
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