町山智浩『赤と白とロイヤルブルー』を語る

町山智浩『赤と白とロイヤルブルー』を語る こねくと

町山智浩さんが2023年8月15日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『赤と白とロイヤルブルー』を紹介していました。

(石山蓮華)そして、町山さん。本日ご紹介いただく作品は何でしょうか?

(町山智浩)今週紹介したのは、もう日本でもAmazon Prime Videoで配信中の作品ですけども。『赤と白とロイヤルブルー』という映画なんですね。これね、アメリカの大統領の息子とイギリスの王子様が恋をするっていう映画なんですよ。いわゆるBLですね。はい。これ、原作はBL小説で、女性が書いてるんですけど。これはベストセラーになったものの映画化なんですけど。これは、とんでもない内容ですよ。

(石山蓮華)いや、ちょっと想像できないけれど、でもありえてもおかしくない話ですよね?

(町山智浩)会うわけですよね。外交でね。で、その大統領の息子がイギリスの王子様と会って、恋に落ちてくっていう。そこまではなんかこう、ちょっとうっとりする感じなんですけど……結構モロでした。

(でか美ちゃん)ばっちりラブシーンがある感じ?

(町山智浩)がっつり、そういうシーンがあって。ただ、やっぱりAmazonで配信してるから、ギリギリのとこでカットが変わるわけですよ。そうすると、窓の外にあるエッフェル塔とかが……(笑)。

(石山蓮華)ちょっと示唆的な(笑)。

(町山智浩)なんか塔が映るんですよ。「あっ!」っと思いましたけどね(笑)。象徴のようにね。ただ、これはケラケラ笑いながら見れるんですけど。もう本当に男性も女性も見て楽しめるところはあるんですが。実は結構シビアな内容で。これ、原作者が結構政治のことについて、わかってる人なんですね。ジャーナリストだった人なんですね。

(石山蓮華)そうなんですか。

(町山智浩)これね、大統領って言っても、女性大統領なんですよ。主人公のお母さんが大統領なんですね。その大統領は民主党の人なんですね。で、テキサスで今度の選挙で勝たないと、大統領として再選されないっていう問題を抱えていて。それでもし、息子がゲイだってことが世間に知られたら、テキサスの人はこの大統領には投票しないんじゃないか?っていうサスペンスがあるんですよ。

(石山蓮華)なるほど。政治の物語。

(でか美ちゃん)そうか。テキサスはちょっと、考え方がそういう感じなんですか?

実際のアメリカの政治状況とリンクする

(町山智浩)テキサスは保守的で。たとえば、テキサス州とか南部はだいたいそうなんですけれども。現在、女性の中絶を完全に禁止しています。それだけじゃなくて同性愛とか、そういったものも禁止する方向に持っていこうとしてるんですよ。だから実はこの映画は単にそういうところから、政治的なところにどんどん入っていくんですね。で、今現在、アメリカではそれが争われてるという、まさにその最中なんですよ。フロリダ州とかテキサス州の州知事が「中絶とか同性愛とかを禁止する」っていうことで票を集めて、大統領候補になろうとしているという現状があります。

(でか美ちゃん)なるほど……。

(町山智浩)でも、それがもしかしたらひっくり返るかもしれないという希望もあって。それが背景になってるんで。それがわかるとね、この『赤と白とロイヤルブルー』は2倍、楽しめますんで。結構本当の話だよっていうことですね。

(石山蓮華)なるほど。じゃあ現状と比べながら見れるっていうことですね。

(町山智浩)一番いいのはね、この息子がお母さんに「実は僕はゲイなんだ」って言って。「実はイギリスの王子様と肉体関係があるんだ」って話をお母さんにとうとう打ち明けるというシーンがあるんですけど、そこが非常にいいので。お母さんはなんと答えるか? これはもうお楽しみにというところで。

(石山蓮華)じゃあ、これもぜひ見てみましょう。今日はAmazon Prime Videoで配信中の映画『赤と白とロイヤルブルー』をご紹介いただきました。町山さん、ありがとうございました。

(でか美ちゃん)ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

『赤と白とロイヤルブルー』予告

<書き起こしおわり>

石山蓮華とでか美ちゃん『赤と白とロイヤルブルー』を語る
石山蓮華さんとでか美ちゃんさんが2023年8月22日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で前週、町山智浩さんが紹介した映画『赤と白とロイヤルブルー』について、感想を話していました。
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