大島育宙 ドラマ『SHUT UP』を語る

大島育宙 ドラマ『SHUT UP』を語る 文化放送

XXCLUB・大島育宙さんが2024年2月27日放送の文化放送『西川あやの おいでよ!クリエイティ部』の中でテレビ東京で放送されていたドラマ『SHUT UP』について話していました。

(大島育宙)大島育宙のオーシマが推します。

(西川あやの)今日は完結したテレビドラマということですけれども。

(大島育宙)1月29日に完結したドラマなので、もうU-NEXTなどで一気に見ることができます。『SHUT UP』というテレビ東京系列のドラマでございます。こちら、40分×全8話っていう長さなので結構、土日とかで一気見できちゃうんじゃないかなという長さですね。今ね、地上波ドラマがもう乱立しすぎてしまっていて。全部が4月、7月、9月、1月に始まるっていうことじゃなくなってきてるんですよね。

(西川あやの)ああ、そういうこと? だから絶妙なクールなんですか。

(大島育宙)そう。こういう谷間みたいな感じで放送されて。なんか、みんながそんなに気づかないうちにすごい良作が流れていくことも結構多くて。この作品は12月4日からスタートして1月29日に終わってるっていう、もう何ドラマなんだ?っていう。秋ドラマと冬ドラマの谷間をまたいでいる作品なんですけど、非常に一部では話題になっていて。残っていく作品になるんじゃないかなと僕は強く思いますね。ここでちょっと、見れる方は見ていただきたいんですけれども。

作品としてはですね、「貧しい女子大生たちが企てる100万円強奪計画」というですね。なんかポップな『オーシャンズ11』とかみたいな感じの説明がね、ホームページには書いてありますけども。中身はもうちょっと重い感じで。このメインの主人公の4人の大学生、女子大生たちが非常に貧しい苦学生なんですよね。で、大学の寮で一緒に生活してることで絆があるっていう感じなんですけど。その中の1人の女の子が、とある……他大学なのかな? の、イケイケの男子大学生に妊娠させられてしまうというところから話が始まるんですよ。

で、その相手っていうのが運悪くすごくミソジニーが強い、女性蔑視で、自己責任論的な感じで。「それ、本当に俺の子供なの?」みたいに典型的な言い逃れをするみたいな感じで、取り合ってくれないっていう。そんな最悪なところからスタートをして。で、子供を育てることはできないので、中絶手術費用を捻出するっていうところから話が始まるんですよね。で、これを「4人で手術費用を分担して作ろう」ってなって。で、自分たち若い女子だからパパ活……みんなで、その売春のラインまで超えない形で。おじさんたちとご飯に行くというところまでのことをしてお金をもらってそれを持ち寄ろうっていう話になるんですよ。

「それぐらいだったら私たちでもできるからさ」みたいな感じだったんだけども。あとちょっとで目標金額に到達しそうだってなった時に、1人の人がちょっと行き過ぎたパパ活おじさんに「この後、どうですか?」っていう感じで売春を誘われてしまって。「ここで自分がみんなに言わないで『意外とたくさんお金もらえた』って言えば、このプロジェクトは終わることができるな」っていう判断をしちゃって。それで彼女は売春に手を染めてしまうんですね。で、その様子がですね、隠しカメラみたいなので撮られてて。「パパ活から売春をしてしまうみっともない女」みたいな感じでSNSで切り取られて拡散されてしまって。で、それを法的に手続きして動画を取り消させるために相談をする費用っていうのがまた、必要になってしまう。ここまでで2話です。

(西川あやの)ええーっ! まだ2話?

(大島育宙)まだ2話です。ここからものすごいいろんな展開があって。ネット社会の本当によくないところが加速してる部分であるとか。男女同権になってるはずなのに、その男女のインカレサークルみたいなところでは男尊女卑がまだ残っているみたいなこととかがどんどん、浮き彫りになっていくっていう話なんですけど。その嫌な部分をただずっと描いているっていうわけじゃなくて。途中で野呂佳代さんが非常に重要な人物として出てくるんですけども。その性暴力の被害とか、ケアとか、あとその性的なことに関する同意についての啓発を行う団体の人として野呂佳代さんは出てくるんですよ。

そこで、たとえば「流されてそういう行為をしてしまう」とかっていうのは大学生のちょっとソフトな空間というか。曖昧な、ハラスメントの認識とかが甘い空間とかだと「恋愛の始まりとかではそういうことは我慢しなきゃいけないことなのかな?」っていう風にみんなは思っていたりするんですけど。「そういうことじゃないよ」っていうことをひとつひとつ、個別に具体的に。「その行為にはこういう名前がついてます。その行為はこういうラインまで行くと犯罪となる行為です。我慢しなきゃいけないことではないです」っていうのを野呂佳代さんが全部、教えてくれるんですよ。

それで「ああ、これって嫌だけど、黙ってなきゃいけないとか、そういうことじゃなかったんだ」っていう風に1人1人が目覚めていって。で、「権力」っていうほどでもないんですけども。その、ある種の男社会ですよね。それをどうやって崩していくのか?っていう話に途中からなっていくんですけど。ある意味、勉強にもなるというか。「ああ、なるほど。そうやって言語化することは一般の社会では当たり前になりつつあるけれども、学生や、性に目覚めてそういうことが楽しい時期みたいなところで水を差したくないとか。そういう闇もあるのか」みたいなことがあって。僕は非常に面白かったですね。

(西川あやの)これ、テレビ東京がオリジナルの脚本の作品なんですね。

オリジナル脚本のドラマ

(大島育宙)そうなんですよ。原作の漫画とか小説とかがありそうなぐらい、よくできた話なんですけど。オリジナル脚本なんで、どうなっていくかわかんないっていうのもあるし。原作物だと、どうしても原作はちょっと前に作られた作品になるわけですけれども。オリジナル物なので、最新の空気が入ってるんですよね。2022年、23年ぐらいの空気がギュッと入ってる感じなので、非常にリアリティがあって、ぞわぞわしながら僕は一気に最後まで見てしまいました。

(西川あやの)ご出演されてる方も、CMでめちゃくちゃ見かけるっていう俳優さんばかりじゃなくて。

(大島育宙)そうですね。たぶんわざと有名すぎない人を使ってるんじゃないかなっていうところもあるんじゃないかな? これから来そうな人たちを使ってるっていう感じもあるし。意外と性暴力の話とか、性被害の話っていっぱい僕が口に出してるから、そういうシーンがたくさんあるのかな?って思うと思うんですけど。そういうシーン自体は1個もない。でも、話題にはなるんで。その話を聞いてフラッシュバックしちゃう方とかは気をつけてくださいね、みたいな。そういうこともSNSとかですごく真面目に注意喚起とかもしていて。

ハリウッドで「#MeToo」以降、そういう作品ってたくさん作られるようになったんですね。この番組でも、月曜日の山内さんとか、金曜日のブルボンヌさんとかを中心にいろいろ紹介してくださってる作品群というのはいっぱいあるんですけど。ハリウッドはそういう基準になりました。海外ドラマもある程度、そういう基準になりました。日本のドラマでそういう基準のものって出てきてますか?っていうと、恥ずかしながら、そういうところにはまだ、たどり着いてないなと思っていた部分はあるんですけど。やっと、恥ずかしくない作品が出てきたかなっていう感じですね。

「#MeToo」の海外作品群と同じ基準で作られている

(大島育宙)そのホームページの設計とか、予告の作り方とか、SNSでの告知の仕方とかも含めて、ちゃんとそういうラインについて、ひとつひとつ検討してるなっていう作品でもあるし。真面目な授業のビデオみたいな感じじゃなくて、ちゃんと『オーシャンズ11』みたいな、100万円を強奪するっていうくだりがあるので。これ、イベントサークルのその男がたぶん、脱税をしてるんですよ。

クラブを借り切って、100万円をスポンサーみたいな人から集めて、みたいなことをやってるんですけど。「現金でしかやり取りしちゃいけない」みたいなことを言ってるんで、怪しいんですよね。だからそれを内側に入って知ることによって、「ここにこの瞬間、100万の札束がある」っていうことを認識して、それを取りに行くみたいな。エンタメとしてサスペンスで面白いところも結構あったりして。なんか非常によくできたドラマだったので、お時間あればぜひとも、見ていただきたいです。

(西川あやの)工夫してますね。

(バービー)ねえ。40分のあの枠ですよね。

(大島育宙)あの「家に帰った時にたまたまつけたら、すげえ面白そうなの、やってんな」の枠です(笑)。

(バービー)いつも、大島さんが教えてくれないと見逃しちゃう枠かもしれない。

(大島育宙)なかなかね、腰を据えて見るのも難しいと思うんですけど。でもなんか、地上波での放送がグッと視聴率を取るっていうよりかは、早めにU-NEXTとかに格納して。それで一気に見てもらうっていう、そんなビジネスモデルで作ってるんじゃないかなっていう気もしてるし。『今夜すきやきだよ』っていうドラマ、このコーナーで話しましたっけ? それと同じプロデューサーの人がやっていて。『チェリまほ』とかもやっている本間かなみさんっていう方が作ってるんですけど。なんかね、そういうブランドがテレ東でどんどん育ってきてるなっていう感じも結構、意外なところで面白いんじゃないかなと思いますので、よかったら見てください。

(西川あやの)ドラマ『SHUT UP』はU-NEXTとLeminoで今、全話配信中ということですね。大島育宙のオーシマが推しますでした。

<書き起こしおわり>

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