中川家のお二人が2024年1月5日放送のニッポン放送『中川家 ザ・ラジオショー』の中で2023年末になくなった坂田利夫さんを追悼。思い出話などをしていました。
(中川剛)去年は、ちょっと寂しかったですけど。坂田利夫師匠がね、お亡くなりになりましたね。
(中川礼二)昨日がお通夜で、今日が告別式というね。
(中川剛)生前はいろいろお話させていただいて。僕はもう、心の病の時には坂田師匠にね、「どうしたらいいですか?」言うたら、「アホみたいな顔して笑って、ニコニコやろうぜ。こんな仕事、あってもなくてもええんや」みたいなことを言われた時、それがもう、忘れないですからね。25年ぐらい前でしたけども。
(中川礼二)でも相当、楽になったやろ? それを言ってもらって。
(中川剛)楽になりましたね。本当に。「アホみたいな顔していこうぜ」って、僕みたいな後輩にね、言っていただいて。本当に。
(中川礼二)楽しい、面白い師匠やったもんね。ほんまに。
(中川剛)面白い。ほんまに。普段「アホ」言われたら怒るんでね。
(中川礼二)そうそう(笑)。
(中川剛)一度、ご飯をご一緒させていただいたんですけど、全然しゃべらへんの。坂田師匠って普段は2枚目で。俳優気取りでね。
(中川礼二)「気取り」って(笑)。まあ、俳優さんみたいな感じでな。
(中川剛)寿司屋にね、連れて行ってくれたんですけど。「大将、いいのを見つくろってくれるかい?」みたいな。ちょっと標準語みたいになってね。
(中川礼二)ああ、それはもう、素でそういう感じになんねや。
(中川剛)素でそういう感じで。ほんで、お笑いの熱い話をしていただいたんですけどね。
(中川礼二)ねえ。ほんまに。
(中川剛)で、僕ら的にはね、坂田師匠のね、頭をはつくのが目標でね。「あれ、はつけるようになったら一人前や」みたいなこと言われながら。まあ、寛平師匠を筆頭に、頭をパンパン叩いてましたけどね。いつも。もうね、僕はこの世界入ったばっかりで。坂田師匠が頭をはつれるたんびに、そのはついた人に「ありがとう」って言いに行くのよ。それで「俺、すごい世界に入ってきたな」と思って。「ありがとなー」みたいな。
(中川礼二)いつも言うてはったね。
(中川剛)だから寛平師匠がね、僕ら若手みたいなのにも「どんどん行けよ。坂田さんの頭、パンパン行けよ」言うて。「はいっ!」みたいな。でも坂田師匠はね、怖い顔をして。「はついてもええけどな、受けへんかったらあかんで?」って。「怖っ!」っていう。
(中川礼二)怖っ!(笑)。「なんでもええわけちゃうんや」って(笑)。
(中川剛)なんでもええわけちゃう(笑)。「受けたらOKやからな」って。
(中川礼二)口調が怖いんやな(笑)。
(中川剛)口調が怖いんよ。「ああ、こういう世界なんや」って。
(中川礼二)ああ、そうか。若手の時。新人の頃ね。
(中川剛)まあ、最後まではつくことはできませんでしたけどね。
(中川礼二)なかなかね。
坂田師匠の頭をはつくのが目標だった
(中川剛)ただ「うるさい、クソジジイ!」というのは1回、言えたのがありましたけどね。
(中川礼二)それで受けた時に「ニヤーッ」って笑いはるんよ。
(中川剛)笑いはる。で、許してくれるんですよね。で、あの人、芸歴ももう50年ぐらい経つのに、なんか師匠っていう感じじゃなかったよね?
(中川礼二)なかったね。みんなからなんか、ねえ。
(中川剛)なんかかわいらしいおじいちゃんやったですね。
(中川礼二)おしゃれやったしね。ほんで。
(中川剛)そう!
(中川礼二)もうアメ村で服、揃えてたもんね。全身、買いに行ってね。
(中川剛)で、アメ村で髪を切りに行って。「切るところ、ないねんけどな」みたいに言うて。「ハハハッ!」言うてね。「でもわし、最近ハゲてきてな」って。楽屋で俺の眼の前でね、昔これ、ちょっと流行ったんすけどね。クシで頭をポンポンって。「これ、刺激したら毛が生えてくるらしいわ」言うて。俺の目の前でね、クシをポンポンポンポン、ポンポンポンポン……って。「大丈夫ですか?」「大丈夫。毛が生えてくるから」って。ポンポンポンポン、ポンポンポンポン……ってやってたら、チュルッて鼻血が出てきて(笑)。
(中川礼二)フハハハハハハハハッ!
(中川剛)「アホやなー!」って(笑)。
(中川礼二)「師匠、鼻血が出てますけど」って(笑)。
(中川剛)毛が出んと、鼻血が出たっていう(笑)。「おお、こらまいった、まいった」言うてましたけども(笑)。
(中川礼二)なんちゅう会話や(笑)。面白かったなー。
(中川剛)本当に愛される師匠でした。寂しいな。
(中川礼二)寂しい。ほんまに寂しいね。だから、何年か、もう出てへんかったしね。ずっと病院でね。
(中川剛)そうですね。
(中川礼二)だから会いに行くこともできず。もう数年、会わないまま。
(中川剛)最後の最後まで、アホな役をやってましたね。
(中川礼二)やってたよ。
(中川剛)面白かったなー。
(中川礼二)映画とかドラマとかもね、いっぱい出てはったし。ほんまにずっと。
(中川剛)かっこいい師匠でしたね。
(中川礼二)いつも帽子、かぶってね。
(中川剛)帽子をかぶって。おっしゃれなダメージデニムジーパンを履いてね。おしゃれな師匠でしたね。
おしゃれでかっこいい坂田師匠
(中川礼二)それとまた正反対の西川きよしさんと、ものすごい大親友やったっていうね。
(中川剛)一緒に住んでたみたいですからね。
(中川礼二)昔はね。そうそうそう。ヘレンさんときよし師匠の間に坂田師匠が寝ていたらしいから。そんな生活も。
(中川剛)今回ばかりはきよし師匠も「もう一切、何の言葉もありません」って。
(中川礼二)ああ、言ってた?
(中川剛)「もう一言では言い表せない大親友やったんで……」みたいな。
(中川礼二)そらそうやろうな。そらコメントもな、そんな簡単には出せんわな。ほんまに。いや、ほんまに……だんだんでも、こうやって周りの人がこう、僕らが知っているような人がね、減ってきたりするからね。
(中川剛)まあ、これがね現実なんで。しょうがないんですけれども。我々も、そうやって言われますよ? 「最近、中川家、見いひんな」って。劇場に行って「おはようございます!」って。(小声で)「なんで来てるの? 今日。中川家さん、なんで来てるの? あの兄弟、なんで来てるの?」って。
(中川礼二)寂しいな(笑)。
(中川剛)「弟さんの方、チャック開いてなかった?」って。言われるで。俺らも(笑)。
(中川礼二)言われるな(笑)。「なんか礼二さんの方、ずっと病院に入っているらしいで?」とか。陰でコソコソコソコソ、言われるねんな(笑)。
<書き起こしおわり>