石野卓球と高木完 Lou Reed『Metal Machine Music』を語る

石野卓球と高木完 Lou Reed『Metal Machine Music』を語る TOKYO M.A.A.D SPIN

石野卓球さんと高木完さんが2023年10月24日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』の中でLou Reed『Metal Machine Music』とノイズミュージックについて話していました。

(石野卓球)ルー・リードの『Metal Machine Music』ってあるじゃないですか。あれって、8トラのメディアでも当時、発売されていたんですね。

(高木完)ああ、そう? それ、広告がルー・リードの伝記本に書いてあったかも。

(石野卓球)それで、いわゆるマルチチャンネルで聞こえる、あのノイズに包まれるっていう、拷問のような(笑)。

(高木完)えっ、それで『Berlin』とか『Transformer』があればいいのにな。

(石野卓球)でも、あの『Metal Machine Music』が後にBlu-rayで出たの、知っています?

(高木完)いや、『Metal Machine Music』のことをそんなにちゃんと俺……ごめんなさいっていうぐらい、ちゃんと聞いてないですよ。持っているけど。

(石野卓球)Blu-rayで出て。それはその8トラックのあれを再現したっていう。Blu-rayだと、サウンドで聞けるじゃないですか。それで、あのノイズにまみれるっていうね。

(高木完)『Metal Machine Music』、急に今、その話になったから聞くけど。好き?

(石野卓球)最初は「なんだ、これ?」って思ったけど、あとから……後々に聞いてみると気持ちがいいなっていう。

(高木完)ああ、そう? 今度、聞き直そう。

(石野卓球)向き合い方がわかってなかったなっていう。

(高木完)最近、ルー・リードの伝記を読んでいたら、「この人、この次のアルバム、普通のアルバムを作ってんだ」とか。若い頃は時系列、俺も後追いだったからあんまり気にしてなかったけども。順番に一気に読んでいくと、よく作ったなっていう(笑)。

(石野卓球)嫌がらせじゃねえかっていうね(笑)。

(高木完)じゃあ、サラウンドで聞ける状態にスタジオもしているの?

(石野卓球)いや、うちはサラウンドじゃないんですけども。Blu-rayで、なるべくいい音で2チャンネルで聞いたんですけど。それでも……だからあれを「苦行」と捉えるのか。その、それとも「苦行の向こう側にある快楽」っていうところにたどりつくんですよ。その、『Metal Machine Music』によって解脱するっていう(笑)。そうするとね、心地良くなるんすでよね。

「苦行の向こう側にある快楽」にたどりつく

(高木完)昔、俺が山塚アイちゃんと初めて会って話した時、アイちゃんに「ハーシュノイズってどこが好きなの?」って聞いたら、「終わった後で『シャーッ』っていう感じ、するじゃないですか」って(笑)。「ああ、その意見は初めて聞いた」って思って。その時に納得したけども(笑)。

(石野卓球)「聞く」っていうよりも「浴びる」っていうね(笑)。

(高木完)だから終わった後にすっきりするみたいなこと(笑)。

(石野卓球)森林浴みたいな感じでノイズ浴っていう(笑)。

(高木完)ノイ浴(笑)。

(石野卓球)そう。ととのうんですよ。意外に。

(高木完)ワーッて浴びて。滝に打たれるみたいな(笑)。

(石野卓球)そう(笑)。ランナーズハイとか(笑)。

(高木完)つらいけど、なんか達成感が(笑)。汗かいて。

(石野卓球)達成感と、あと無になる状態っていう(笑)。

(高木完)自分でも……今、話しているから聞いてるけど。ノイズミュージックを作ろうって思ったことはある? ライブでもいいけど。

(石野卓球)ありますね。若い頃っていうか、音楽を始めたばっかりの頃って、そのノイズミュージックっていう手法と初めて出会った時に、やっぱり衝撃を受けて。で、やっぱりまともな音楽を作ろうと思っても、できないから。「これだったらできるんじゃないか?」っていう方向の、何だろう? アバンギャルドの履き違えっていうか(笑)。

(高木完)ノイズの音楽を初めて知ったきっかけって、どこですか? 僕はあれですよ。『Revolution 9』。ノイズって言っていいのかわかんないけど。ビートルズを聞いてるうちに「なにこれ?」っていう。あの『Revolution 9』。

(石野卓球)俺はね、やっぱり80年代のノイズ・インダストリアルのみたいな……SPKだったりとか。

(高木完)そこにタトゥー、ちゃんと入ってますけど(笑)。

(石野卓球)そうそう(笑)。そういった類の。それが、なんだろうな? それまでの自分の音楽感とはもう全く違うものだったから。「こういうものも音楽としてあるんだ!」っていう。あとはその音楽の持つ攻撃性というか、破壊的な部分っていうか。

(高木完)破壊ね。破壊でいくと、ちょうどだからエマーソン・レイク・アンド・パーマーでキース・エマーソンがガーッてやるのとか、リッチー・ブラックモアがギターを壊すとか(笑)。

(石野卓球)そういった、ノイバウテンだったらチェーンソーとか、グラインダーとか。

(高木完)ドドドドドッて。あれを初めて聞くまでは、そこまでは70年代の『ドロロンえん魔くん』とか家のカラオケもあったけど。でも、じゃあその次は? 小学生、中学生になってくると?

(石野卓球)それで、テレビのその歌謡曲とかだったんですけど。音楽を自覚的に聞くようになったのは、その洋楽のポップスとか、洋楽チャートとかですね。当時だとポール・マッカートニーの『Coming Up』とか。リップスの『Funkytown』とか。

(高木完)ああ、それは語自分でも『Funkytown』を?

(石野卓球)それは小学校の頃、親戚のお姉ちゃんでディスコにすごい通っていたお姉ちゃんの部屋にあったレコードを聞いて。「今まで聞いたことない音楽だな」って。

(高木完)うんうん。

Lipps Inc.『Funkytown』

<書き起こしおわり>

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