星野源さんが2023年8月22日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で自身がテーマソングを提供した世界陸上2023を夢中になって見ていることについてトーク。今大会のグッと来た瞬間などを話していました。
(星野源)今週……今日までも含めて、いろんなことがありましたね。星野源、働いていおります(笑)。俺、2018年ぐらい働いてる。本当に(笑)。今年の前半、潜っていたんですよ。基本的には。で、潜っているんだけど。今年の前半プラス、去年の後半ね、割と潜っていたんですけど。ずっと、なんかしらやってたんですよ。で、そのなんかしらをやってるし、今年も実は忙しくずっとやっていたのが夏以降にどんどん出ていくっていうね。かつ、その出ていくのがただ出て行くだけじゃなくて、実働がいっぱいあるんで(笑)。これは今ね、2018年の頃の忙しさを思い出して。
それで1個、思うのは2018年の時ってやっぱりその忙しさが初体験なわけですよ。たとえば2016年から17年が一番大変だったんですけど。それはなんでか?っていうと、あまりにも初体験だから。ドカーン! みたいな忙しさで。今、どこにいるのか、ちょっと自分でもわかりませんみたいな、そういうのがあるじゃないですか。で、それにまだ慣れてないからっていうのもあって、大変なね、ちょっと倒れちゃったりとかもあったんですけど。
それで1回落ち着いてからの2018年の、また忙しいみたいな。それをひとつ乗り越えて、でもまだガッツリ忙しいよ、みたいな。で、それが「大変だ! ワーッ!」てなってからの、いろいろとセーブしましょう。セーブしていったり、1回落ち着きましょうっていう風になって。で、2018年に『POP VIRUS』っていうアルバムが出てね。その後、2019年に五大ドームツアーをやらせていただいて。そこで一旦、なんかもう僕は「休む!」みたいな気持ちにもなって。それでドームツアーの3日後ぐらいに『罪の声』の主な撮影が始まるっていう(笑)。全然休めていないんですけど。
でも、やっぱり何かを同時にやるとか。ドラマと音楽を同時にやるみたいなのも圧倒的に減っていったんですよ。で、あとはその制作をたくさん抱えるみたいなのもなくなっていって。だから、それ以来ですかね。2018年以来の忙しさみたいなのを経験しているんだけども、やっぱり前に1回、やってるから。なんか知らないけどね、大丈夫なんですよ。で、大丈夫かつ、やっぱり俺ね、なんか心が安定するみたい。その、忙しかったり、実働が多い方が。
制作を家で黙々とやっている時は、やっぱりあんまりいい感じではなかったのよ。なんか、世間のニュースとかも含めて「しんどいわ……」みたいな感じだったんだけど。今、実働がすごい多いんで。『サブスク堂』の撮影以来ぐらいかな? 6月、7月以降ぐらいかな? そこらへんから、もうなんかもう心が安定しちゃって、安定しちゃって。だから、いいんだな。僕にとってやっぱり仕事は楽しいものなんだなと改めて思いつつも、「これは忙しいぞ」という発表がいろいろあって。
まずは、あれですよ。ライトハウスというね、Netflixのオリジナル番組。僕とオードリー若林さんの2人の番組。で、プロデュースは佐久間さんという、もう面白そうな……(笑)。僕が傍から見ていたら「ああ、なんか面白いんだろうな」ってたぶん思うような番組が今日から全世界配信されまして。で、その感想がたくさん届いております。ありがとうございます。それを後でちょっと読んでいったりとか。
あとは先週の土曜日かな? サマーソニック、東京の方のビーチステージをですね、1日僕は全部プロデュースする。そしてキュレーションもして、呼ぶ人を全員僕が選ぶ。で、僕もライブをやるっていうのを“so sad so happy”っていうタイトルにして、丸々1日やるという。それの感想もたくさん届いておりますし。その裏話みたいなのもちょっとしていきたいなと思っております。
あと、新しいCM始まったりね。積水ハウスの新しいCMが始まったり。あとはオードリーのオールナイトニッポンに来週の土曜日、私がゲストで呼んでいただきまして、出演させていただきます。そのメールも来てたりとか。あとは今日はですね、ちょっと特別な……まあ激暑の夏ギリギリということで納涼スペシャル。怖い話を『マツケンサンバ2』とともに読んでいこうという。それは2時台にお送りしますから。もう話すことがありすぎて。本当は丸々2時間、そのスペシャルをやろうかなと思ってたんですけど。話すことが多すぎるんで、もう1時台はその話をみっちりしていきますね。で、このCMの後、いろいろまとめてワーッとお話をしていくんですが……まず、ちょっと言いたいんですけど。世界陸上、おもしろすぎませんか?(笑)。めちゃめちゃ面白くない?
面白すぎる世界陸上
(星野源)俺、もう興奮しちゃってさ。すごいっすね。いや、なんかもちろん面白いと思って見ていたし。「選手の皆さん、本当にすごいな」って思って見てたけど。自分の『生命体』という新曲がテーマソングとしてもう随時、鳴っているっていうのもあるんですけど。こんな……なんというか、日本人の選手の方が当たり前のように各種目で決勝に行っていて。それを当たり前のように見てるみたいなところで、なんですかね? もう沸々とした興奮を抑えきれないっていうか。
で、その選手の皆さんの表情みたいなこととか、そういうのを見ていくうちに、自分が音楽をやってるっていうのもあるのかもしれないけども、感情移入が半端なくて。「行けーっ!」みたいな。もう興奮しながら見てるんですよ。で、もちろん日本人の選手だけじゃなくて、たとえば砲丸投げのライアン・クルーザーね。すごいっすね! すごかったね。大会記録を出して。で、その大会記録を出した後に、超大幅にその大会記録を超えるっていう。その自分の記録をさらに超えていくみたいな。またさ、その後に選手同士でハグしたりとかさ。なんか「スポーツマンシップ、いいな!」みたいな。もう見てて気持ちよくて。大幅に記録を更新した時の、会場の一体感で「うわーっ!」みたいな。だから、そういう感じとかもすごく面白いですし。
(星野源)あとハードル、すげえかっこよかったな! 男子110mハードルね。で、泉谷駿介選手の日本人初の決勝進出ね。準決勝を1位で走り抜ける、あのかっこよさ。なんかすごく、1位だった後の表情とかも穏やかにも見えるっていうか。なんか平然とされてるように見えるっていうか。もちろん、いろんな思いがあるんでしょうけど。それで、その後の決勝の……これ、ネタバレになっちゃうけどもいいよね? いっぱいニュースになってるし。決勝で両足をスタート後にすぐ攣っちゃって。でも5位っていうのも、すごすぎない?
で、なんだっけ? ゼッケンかなんか、手にくっついちゃったんだっけ? それで5位で走り抜けるって、すごすぎない? で、なんかさ、インタビューでも「いやー、両足を攣っちゃって……」みたいな。朗らかっていうかさ。「強すぎる!」みたいな。なんか、そういうのもすごく興奮……もう興奮しか言ってないな。興奮なんです。本当に。
(星野源)あとサニブラウン選手のインタビューもなんかすごく「うおーっ!」ってなりましたね。「マジ悔しい!」って言っていて。なんかそれが、すごい素敵だなと思っちゃったんですよね。なんか……いや、もちろん本当に悔しいだろうし。それをなんていうか、素直に出してる感じもすごく素敵ですし。もっと、またその次の年だったり、これからの活躍を楽しみにしたいなって思うし。もちろん……どんどんさ、いろんな種目がやるからさ。楽しすぎる&テレビで……僕はその、サマソニで1日、夜中までいたんで。最初の日は見れてなかったんで、録画とかで見たりとかしたんですけど。で、あとテレビでも見てるのに、YouTubeにガンガン上がるじゃないですか(笑)。TBS陸上ちゃんねるに。で、また見ちゃうみたいな。
で、今話したこととか、ハイライトとかはTBS陸上ちゃんねるっていうYouTubeですごい、もうなんか何時間おきとかに上がってるんで。「まだ見てないよ」っていう方は、見てください。ルールとか知らなくても面白いよね。たぶん、きっとそうだと思うんですよ。「なんかすげえ!」みたいな。だからやっぱりそこでね、自分の音楽が鳴るっていうのが本当に光栄だなっていうのを思います。僕が思うのは、クラウチングスタートってあるじゃないですか? あれは400m以下だったっけな? それで走る種目のスタートの時に、両手をついて、かがんでスタートするやつですね。で、クラウチングスタートの、かがんで「セット」って言われて、パーン!って鳴るじゃないですか。あそこまでの間が、すごくすごく好きで。
僕、今日ちょっとジムに行ってたんですけど。そのジムのトレーナーはずっと陸上の方に付いてた人なんですよ。で、もちろん陸上のことに詳しくて。だから僕、ずっと言えなくて。「世界陸上のテーマソングをやります」って言えなくて。で、それが決まった1年ぐらい前かな? それのもうちょっと後かな? そのぐらい前に急に……もちろん自分でも見てたんだけど。そのトレーナーの人に細かい陸上の質問をしだすっていう(笑)。今まで陸上の質問とか、したことなかったのに。「あの種目って……」とか「選手とかって、どんな気持ちだと思います?」みたいな。なんかそんな話は急に聞き出すみたいな。「その謎が解けました」みたいな。
で、今日「本当に世界陸上、面白いですね」ってトレーニングしながら話していたりとかしていて。それで、そのずっと陸上の方にトレーナーとしてついてた僕の先生から「『生命体』、めちゃくちゃ合ってます」って言ってもらって、すごく嬉しかったっていうのがまず、あるんですけども。そこで、スタートのパーン!っていう発砲音があるじゃないですか。それって、人間がやるじゃないですか。なんでかっていうと、あの間を機械でやって、全く同じ秒数にすると、それで練習しちゃうからなんですって。だから、フライングが出ちゃうのは、やっぱりそれで練習させないようにっていうか。いつ、鳴るかわからないっていう。で、その中でちゃんと鳴ってからスタートするっていうのを全員に共通にさせるためで。
だから、その秒数で覚えちゃうと、それで聞かずに走れちゃうからっていうことらしくて。「ああ、そうなんですね!」っていう。だから人間がやってるんだっていう。だから、やっぱりあそこの間って、なんていうんですかね? たぶんすごいいろんな瞬間が詰まっていて。で、僕は見てると、いつもなんか知らないけどギャーと入り込んじゃうタイプなんで。スポーツとかは特に。その選手の方の目線になるんですよ。なんか知らないけど、見ている時に。だからそのクラウチングしてる時の目線からの、パン!って鳴ったらグーッと走り出すみたいなところの、あの時の「何を考えてるんだろう?」とか。たぶん、これまでの練習とか、いろんなことを思うんだろうなと思って。あの間に、いろいろ詰まってるなとか。そういうのを勝手に想像したりするのが……。
で、あのスタートでちょっとでも遅れると……勝敗って本当に0コンマいくつの数字で決まるじゃないですか。だから、本当にたとえば0.1秒違うだけで1位か2位かとかが全然変わってきちゃうっていうので。ものすごい世界だなっていうのを改めて思ったりしました。あと、なんだろうな? その選手の皆さんの表情というか、ゴールした後の、自分のタイムを電光掲示板で確認する時の表情とかがすごい好きで。なんていうんですかね? その、自分のタイムがパッと出た時の表情とかが……でも、すごい大幅に変わらないんですよ。大幅に変わらないんだけど、確実に心がギャーッと動いてるっていう顔をされてて。特にそれが大会ベストだったり、自己ベストだったりした時の表情の変化みたいなもの。そこらへんを見るとなんかね、すごいグッと来ちゃいますね。
だから、そんなのもあって、より思い入れを持って『生命体』という曲を、当たり前ですけどものすごく一生懸命作ってよかったなって思って。で、流れてきて、本当に自分でも「なんかすごく合ってる気がするな。非常に嬉しいな」と思いながら見ています。世界陸上、見てない方がいたら、ぜひ見てください。本当に面白いから。いつ見ても、たぶん面白いと思うんで。ぜひ見てみてください。
織田裕二『All my treasures』の後を引き継ぐ
(星野源)あと思ったんだけどさ、ずっと世界陸上を織田裕二さんがね、MCもされていて。で、曲の『All my treasures』もずっとやられてたわけじゃないですか。流れていたわけじゃないですか。で、俺はもっと、「前の方がよかった」とか、ネガティブな反応があると思っていたんですよ。それは当然だと思うんです。たぶん20年近く流れてるわけだから。そんなの、当然じゃない? 20年ぐらい続いたものが変わるっていうのは。で、それは覚悟して僕は引き受けたし。「それでも星野さんに頼みたいんです」っていうスタッフの皆さんの心意気みたいなものっていうか。新しいものだったりとか、新しいことへ変化していくっていうことへの意気込みみたいなものをすごく感じたので。「ぜひ受けさせていただきます。光栄です。その代わり、めちゃめちゃ一生懸命作ります!」っていう気持ちで作ったんですよ。
なんですけど、もう全然そういう声がなくて。もちろん、あるんですけど。ちょっとはあるの。でも、俺の予想の100万分の1ぐらいなんですよ。イメージとして。本当にそれぐらいないんですよ。っていうことは、それはもうないんです。100万分の1のネガティブワードはもう「ない」でいいんですけど。だから思ったのは、他と比べるわけじゃないんですけど。改めてこういうことを感じたことがあんまりなくて。20年続くっていうのは、なかなかないだろうし。まあ『ドラえもん』とかはね、ももちろんそういうのもあるかもしれないけど。でもなんか、スポーツファンの人だからなのかな? わかんないですけどね。なんか、そのスポーツマンシップを感じるっていうか。
あと、そういうところに対して、新しいものとか……それこそ、どんどん新記録だったり、新しい世代っていうのが出てきて。それを移り変わって繋いでいくっていう。さらにそこ合から人間の限界をどんどんどんどん広げていくみたいなものじゃないですか。スポーツだったりとか、そういう大会って。だから、新しいものとか、新しく来るものに対する敬意みたいな感じちゃって。俺は勝手に感動したんですよね。だからこそ、ずっと長いことを、そのテーマソングも含めてMCも務められた織田裕二さんにものすごく尊敬の思いを抱きますし。こういうすごい大会のものをずっとやられていたっていうのも思いますし。改めて、その後を務めさせていただいたっていうのが非常に光栄だなと思っております。そんなわけで、そんな世界陸上。この後、9月からはアジア大会という、また別の大きな大会のテーマソングにもなります星野源の新曲をぜひ聞いてください。『生命体』。
星野源『生命体』
(中略)
(星野源)東京都の方。「僕は中学の3年間、陸上をやっていましたが、中学生の世界でさえ、短距離走のスタートの緊張感は半端ないです。『セット』と言われ、お尻を上げ、パンと音が鳴るまでの間は世界でもトップクラスに濃い数秒間だと思います。選手の音に対する集中力、お客さんの音を邪魔してはいけないという気持ち……」。そう! それ、絶対にあるんだろうな。「息をのむ」ってこういうことなんだろうなって思うよね。「それらは目に見えなくても感じることができます。これは陸上を辞めてから数年経っても忘れません」という、19歳の方。いいメールをありがとうございます。すごい。今、読みながら想像して鳥肌が立ったね。
<書き起こしおわり>