宮藤官九郎さんが2023年8月12日放送のTOKYO FM『土曜日のエウレカ』に出演。大人計画に入るきっかけとなった、一番最初に松尾スズキさんに渡した台本が今、思えば韓国映画『パラサイト』にそっくりだったという話をしていました。
(川島明)宮藤さんはですね、1991年。21歳の時に大人計画に参加されます。これ、経緯からちょっと教えていただきたいんですが。
(宮藤官九郎)元々僕、東京に出てきた時にやっぱり小劇場の舞台っていうのを見たことがなかったんで。
(川島明)ああ、そうですか。
(宮藤官九郎)その頃、柄本さんの東京乾電池とか、三谷さんのサンシャインボーイズとか、いっぱいあったんですよ。で、高校生の頃に雑誌では見たことがあったけど、実際には見たことなくて。で、見に行って。大人計画はやっぱりずば抜けて変だったんですよね。で、「なんかここだったら、俺みたいな人間もいてもいいんじゃないか?」って。
(川島明)ちょっと変化球だなと(笑)。
(宮藤官九郎)みんな思ってたと思います。そういう人たちの集まりなんですけど。でも俺、役者やる自信なかったし。元々、作家になりたいっていうのがあったんで。「文芸部というのがあります」ってチラシに書いてあったんで。
(川島明)文芸部?
(宮藤官九郎)その頃、たぶん松尾さんしかいなかったと思うんですけど。事務所に電話して、松尾スズキさん本人が出たんですけど。
(川島明)ああ、それだけ小さかったんで、出ちゃったんだ。
(宮藤官九郎)今、思えばたぶん家なんですよね(笑)。
(川島明)事務所というか(笑)。
(宮藤官九郎)それで、出て。「文芸部って何をするんですか?」っつったら「本を書いたり、演出したりしてもらおうと思っている」って。「じゃあ、やりたいです」って言ったら「じゃあ、なんか書いたものを持ってきてよ」って言われて。それで、その時にちょうど僕が大学……大学とは関係なく書いたのかな? 台本があって。それを下北沢の駅前に劇場があって。そこで公演をやってたんですけど。外で待っていて。出待ちして台本を渡そうと思ってたら……。
(川島明)もう、ラブレターだ。松尾さんに対する。
(宮藤官九郎)で、今思えばあれ、俺が直接渡してたら、たぶん松尾さんは引いたと思うんですよね。でも松尾さん、出てこないもんだから。僕、今うちの先輩なんですけど。池津祥子さんという役者さんが来たから。「これ、松尾さんに渡しください」っつって(笑)。
(川島明)なかなか失礼な話ですけどね(笑)。
(宮藤官九郎)松尾さんじゃなくて、役者さんに渡したんですよ。
(川島明)出てこないから。
(宮藤官九郎)なんか待ってても松尾さん、来ないから。もう池津さん、知ってる。見たことあるから。「渡してください」っつって、それで渡してもらったんですよ。そしたら後日、池津さんから電話がかかってきて。「松尾さんが稽古場に来いって言ってる」って言われて。それで稽古場に行くようになって……っていうのが最初の関わりなんですよね。
(川島明)その時の台本って、何を書いたか覚えています?
(宮藤官九郎)これね、この間思い出して。これ、嘘じゃないですよ? 「金持ちの家をホームレスの家族がちょっとずつ侵食して乗っとる」っていう話なんですよ。これ、『パラサイト』じゃないですか(笑)。
(川島明)モロに。完全に『パラサイト』。
モロに『パラサイト』
(宮藤官九郎)うん。これ、そんなに面白くないんですけど。全然、そんなに面白くはないんですけども。
(川島明)設定は。
(宮藤官九郎)俺、この間、誰かに同じ質問をされて。「この話、思い出したぞ?」と思って。
(川島明)それ、『パラサイト』を見た時に「あっ!」って思わなかったんですか?
(宮藤官九郎)全く思わなかったんですよ和rわ。
(川島明)「おもろ!」って思って?(笑)。
(宮藤官九郎)俺、『パラサイト』が大好きだから3回、見たんですけども(笑)。
(川島明)それ、記憶を変えてません?(笑)。
(宮藤官九郎)いやいや、本当に全く思い出せなくて。でも3人家族かな? が、普通に……金持ちではなかったかな? 幸せに暮らしている家族を貧しい家族がちょっとずつ、1人ずつ侵食していくっていう話で。
(川島明)「1人ずつ」っていうのも一緒ですけどね。
(宮藤官九郎)本当ですよね(笑)。それで「ああ、『パラサイト』じゃん! めっちゃ『パラサイト』だよ!」って思うんですけども。今、言ってももうダメでしょうね(笑)。
(川島明)結局、それは公演したんですか?
(宮藤官九郎)してないです。
(川島明)結局、目を通して「興味があるから」っていうんで松尾さんが呼んでくれて。
ポン・ジュノ監督との対談の際にも思い出せなかった
(宮藤官九郎)で、だから僕、それで大人計画に入ったから、それでいいんですけど。僕、ポン・ジュノさんとの対談も1回、したんですよ(笑)。なのに覚えてないっていう(笑)。全く思い出せなかったですね。
<書き起こしおわり>