渡辺志保 ビヨンセ 『Lemonade』を語る

渡辺志保 ビヨンセ 『Lemonade』を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でビヨンセの最新ビジュアル・アルバム『Lemonade』についてトーク。アルバムタイトルの意味などを解説しつつ、ケンドリック・ラマーとの共演曲『Freedom』を紹介していました。

(渡辺志保)あとはもうね、日本時間の昨日発表されたビヨンセ(Beyonce)の新しいビジュアル・アルバム『Lemonade』。みなさん、もうすでにチェック済みでしょうか? なんと、2時間半ぐらい前ですかね。日本のiTunesでも発売が開始されまして。全12曲プラス全曲分の、ミュージックビデオじゃなくて丸々65分間ぶっ通しの映像。『Lemonade Film』っていう風に書いてありますけども。楽曲と65分間の映像。あと、デジタルブックレットがセットになって2500円で、日本のiTunesでも売りだされました!

というわけで、ぜひぜひゲトッてほしいし、本当に圧倒的なエネルギー。圧倒的なパワーを本当に随所随所に感じるし。全部、彼女がビジュアルとメロディーとリリックで表現したいことを表現しきっているアルバムなんですけど。本当に1秒たりとも聞き逃せない、見逃せないような内容になっているので。ぜひともね、チェックしてほしいと思うんですけども。

タイトル『Lemonade』の意味

ちなみにタイトル『Lemonade』っていう。レモネードっていうのはレモンで作ったドリンクの名前ですけど、なぜタイトルに『Lemonade』とつけたのか?っていうのが、『Freedom』っていう楽曲が(アルバムに)収録されているんですけど、そこにひとつ、ヒントがあって。この『Freedom』っていう楽曲、この後に流したいと思うんですけども。ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)をフィーチャーしてるんですね。

で、最後に、おばあちゃんのスピーチがフィーチャーされているんですよ。そのおばあちゃんの名前はハッティー(Hattie)おばあちゃんっていうんだけど。このハッティーおばあちゃんって誰か?っていうと、ジェイ・Z(Jay-Z)のおばあちゃんなんですよ。で、ジェイ・Zのおばあちゃんの90才の誕生日の時に、おばあちゃんがみんなにおしゃべりしたスピーチの音声がそのまま入っているんですね。

その中に、アメリカのことわざがひとつございまして。「もしもレモンをもらったら、レモネードにしちゃいなさい(When life gives you lemons, make lemonade.)」みたいなことわざがあって。それって、レモンは酸っぱいじゃないですか。だからもらってもそのままみんな、生で食べたくないし、捨てちゃう人もいるかもしれないんだけど。でもちょっとのお砂糖と水があれば、それを美味しいレモネードに変えることができるということで。「もし、辛いことや悲しいこと、逆境におちいってしまっても、自分のちょっとした工夫でそれをチャンスに変えることができますよ」っていうアメリカのことわざなんですよ。

なのでそれがそのまま、アフリカン・アメリカンであること、もしくはアフリカン・アメリカンかつ女性であること。で、その逆境にいても、自分の努力や工夫次第でいい状況に変えられますよというイメージが『Lemonade』というタイトルに込められているということなんですけど。

すごいのよ。もう、最初さ、「あんた、浮気してんの?」っていうラインからアルバム全体が始まるんですけど。それで前半ね、これでもか!っていうほどね。「これ、もうジェイ・Z、家に帰れないよ!?」っていうぐらい、もうビヨちゃんがジェイ・Zに向かってバッコンバッコン、「てめー、嘘つきやがって!」とか「あんたが結婚したのは普通のビッチと違うんだよ!」とか。そういう感じでどんどんどんどん責めるんですけど。

そこの合間にさ、マルコムX(Malcolm X)のセリフを引用したりとか、自分の逆境をそのままアフリカン・アメリカンの女性のみなさんの問題にトレースして、彼女が問題提議をしていたりとかして。本当ね、聞きながらドキドキハラハラしちゃうし、このアルバムはどういう風に終わっちゃうんだろう?って思ったら、最後はすっごい感動的な映像で。自分のお母さんの結婚式の映像とかを使ったり、ジェイ・Zが自分の娘のブルーアイビー(Blue Ivy)ちゃんと遊んでいる映像なんかを挟んだりとかして。

本当、女であれば涙なくしては聞けないみたいなアルバムなので。本当、百聞は一見にしかずっていう日本のことわざもありますので。ぜひぜひみなさん、聞いていただいて。歴史の証人になっていただきたいなと思います。では、ここで1曲。ビヨンセの『Lemonade』からお送りしましょう。『Freedom feat. Kendrick Lamar』。

Beyonce『Freedom feat. Kendrick Lamar』

はい。というわけでいまお送りしましたのはビヨンセの最新ビジュアル・アルバム『Lemonade』から『Freedom feat. Kendrick Lamar』でした。この曲ね、ベースはマーカス・ミラー(Marcus Miller)が弾いていて。マーカス・ミラーは他にも何曲か参加してるんですけども。この『Freedom』。自由っていう意味ですけどね、本当にフックの部分でも「自由を求めて私は動けない。(Freedom! Freedom! I can’t move)」「だけど、自分に巻きついているチェーンは自分で破る(I break chains all by myself)」「勝者っていうものは絶対自分自身に対して諦めない。それが勝者なんだ(Hey! I’ma keep running Cause a winner don’t quit on themselves)」というところをフックでも歌っていまして。

去年はね、ケンドリック・ラマーの『Alright』がみんなの、民衆の声を代表する今年の1曲みたいになっていましたけど、今年はこのビヨンセの『Freedom』がね、いろんな人の言葉を代弁する1曲になるんじゃないかなと思っていまして。本当に、これについてずっとしゃべり続けちゃいそうなんですけど。まあ、ヤナタケ先生がねえ、私にご厚情くださいまして。今度、またビヨンセの『Lemonade』について、私が60分しゃべるというのをやりたいなと思っていますので。楽しみにしておいてください。

(中略)

で、来週ちなみに私、ビヨンセのライブを見にわざわざアトランタまで行って参りますので。また帰ってきたらそのレポートも兼ねて、『Lemonade』特集ね、お送りしたいと思っております。

渡辺志保『Lemonade』完全解説特集

渡辺志保 ビヨンセ『Lemonade』徹底解説
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<書き起こしおわり>

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