サイプレス上野 日本語ラップ解説 ILLMARIACHI『Young Gunz』

サイプレス上野 日本語ラップ解説 ILLMARIACHI『Young Gunz』 ザ・トップ5

サイプレス上野さんがTBSラジオ『ザ・トップ5』の中で、日本語ラップ初心者の外山惠理さんに推薦曲を紹介。ILLMARIACHI『Young Gunz feat.Shigechiyo & Kent』について解説していました。

(サイプレス上野)さて、このランキングの締めくくりは恒例のこちらのコーナー。『日本語ラップKILLA☆2016(1月最後の放送でも仮)』。気づいたら、もう最後の放送なんで。

(外山惠理)そうだ!1月。あと2ヶ月だ。

(サイプレス上野)すごいっすね。正月明けから、ワーッ!とか言ってたのに。今日終わったら、あと2ヶ月で終わりですからね。なるべくちゃんとね、日本語ラップをわかってもらえるようにがんばります(笑)。

(外山惠理)なるべくちゃんと。はい(笑)。

(サイプレス上野)このコーナーは私、サイプレス上野が惠理ちゃんに日本語ラップの名作を聞かせ、日本語ラップを好きになってもらうというチャレンジ企画です。惠理ちゃんはね、Eri The MCというラッパーとして、ラップデビューも近く。口では『嫌々』と言いつつ、その表情はまんざらでもなさそうです。

(外山惠理)いやいや、そんなことないからね!

(サイプレス上野)ラジオの前のみなさん、まんざらでもなさそうですよ。本当に。これは期待してていいと思いますんで。

(外山惠理)(笑)。んなことないよ!はい。

(サイプレス上野)で、そんな惠理ちゃんに今夜紹介する日本語ラップはイルマリアッチ(ILLMARIACHI)で、『Young Gunz feat.Shigechiyo & Kent』という。

(外山惠理)へー!いっぱいいるね。

(サイプレス上野)いっぱいいるんですけども。イルマリアッチというグループは1996年に名古屋で結成された、メンバーはラッパーのTOKONA-XとDJでトラックメイカーのDJ刃頭。この曲を収録したアルバム『THA MASTA BLUSTA』は97年の9月発売ですね。

(外山惠理)へー。

名古屋を代表するグループ

(サイプレス上野)刃頭さんというトラックメイカー・DJの方が名古屋の方で。音韻王者っていうグループとかもやっていて。そこに若手のTOKONA-Xを連れて来て。で、その残った2人がこのイルマリアッチになるという感じで。で、やっぱり名古屋のラッパーとか。たとえば熊本にも餓鬼レンジャーとかっていうラッパーとかいたんですけども。その当時、ネットとかもないんで、やっぱり伝わって来にくいっていう。地方のラッパーが。

(外山惠理)ああ、そうか。それだからこそ、知られるってすごいですよね。どこどこの誰がって。

(サイプレス上野)どこどこの誰が。ぜんぜんわからないんですよ。そん時に、『宝島』だったり『Fine』っていう雑誌とかで、たまに特集とかされたりして。俺は本当に、ページで言ったら名刺ぐらいのサイズでしか書かれていないんですよ。このグループとかも。『名古屋にこんな逸材がいた』とかそういうのを書いてあるのを俺、切ったりとかして。ファイリングとかしてて。

(外山惠理)偉いわー!

(サイプレス上野)そうなんすよ。抑圧された世界の中で、そういうのをずっと集めていて。で、絶対にこの人たちはヤバい!みたいなのを思ったりとか。けど、それぐらいしか情報がない中で、イルマリアッチはもう何度も言ってます『さんぴんCAMP』にも出てるんですね。

(外山惠理)ふーん!

(サイプレス上野)けど、『さんぴんCAMP』に出てるんですけど、もうそのステージが過激すぎてカットされているんですよ。ビデオとかも。

(外山惠理)過激だったの?

(サイプレス上野)はい。なかったことにされちゃっていて。それぐらい、俺もちょっと若すぎたんで全てを覚えているわけじゃないんですけども。とにかくかっこいい若い、俺たちと世代一緒じゃね?っていうラッパーが出てきて。ものすごい東京とかを煽って。会場が盛り上がったっていうのは覚えてるんですね。すげーの出てきたな!みたいな。で、その後にイルマリアッチはヤバいから。東京に呼ばれるようになっていって。

(外山惠理)うん。

(サイプレス上野)で、その時ヴェルファーレっていうavexとかがやっていたディスコがあるんですけど。六本木にあったヴェルファーレ。で、夕方にたぶんDev Largeさんかな?が、やったイベントか何かにイルマリアッチが出ていて。そん時に、もう昭和の映画俳優っていうか、ヤクザ映画の俳優みたいな感じのアロハシャツを着てサングラスをかけてスキンヘッドの本当ガラ悪いやつが出てきて。『名古屋だがやー!』っつって。もう客席、『ウオオオオーッ!なんだ、こいつ?超かっけー!』みたいになって。

(外山惠理)へー!

(サイプレス上野)で、そん時に披露したのがこの曲とかもあったりしたんですよね。で、とにかく東京に対する対抗心が半端じゃなくて。物騒な話とかも実際にあったりしたんですけども。それぐらい、名古屋でやっていることを、名古屋弁とかもすごい大事にしているラッパーなんで。言っていることがちょっとわかんないところもあるんですけど。その意志っていうのが確実にビリビリと伝わってくるんですよね。

(外山惠理)へー!

(サイプレス上野)で、ここで呼んでいるShigechiyo & Kentっていう人たちは大阪のラッパーなんですよ。だからあっち側の名古屋とか大阪。西の方ではそういう風に若手同士が手を組んで東京を倒してやろう!っていうムーブメントがすごい広がっていたんで。それを神奈川に住んでいた、横浜の隅っこにいる俺たちもなんとなく、すごい感じるものがあって。応援したいな!っていう風に思ったんですね。

(外山惠理)うん。

(サイプレス上野)けど、この人たち、たぶん怖いなっていう気持ちではあったんですけど。それぐらいちょっとね、来た曲なんで。聞いていただきたいと思います。じゃあ、お送りしましょう。イルマリアッチで『Young Gunz feat. Shigechiyo & Kent』。

Illmariachi『Young Gunz feat. Shigechiyo & Kent』

(サイプレス上野)さあ、お送りした曲はイルマリアッチで『Young Gunz feat. Shigechiyo & Kent』でした。

(外山惠理)なんかこう、静かな感じでちょっと不気味な感じですけども。なんかこう、言葉とかもよくわからないところもあるから。なんか英語みたいに聞こえて。他の国のね。

(サイプレス上野)そうなんですよ。

(外山惠理)かっこいいですね。

(サイプレス上野)なんて言うか、まあ桑田佳祐の感じというか。なんか日本語なんだけど、なに言ってるかわかんないけど、かっこいいっていうので。で、TOKONA-Xっていうラッパー名自体が『常滑(トコナメ)』っていう。愛知県の常滑から来ていて。常滑弁っていう、本当に名古屋の人でもわからないかもしれないっていう言葉遣いで。まあ、横浜に住まわれていたこともあるんですけど。ちょっといま、お亡くなりになられてしまって。

(外山惠理)あ、そうなの?

(サイプレス上野)本当に日本のラップ界としてはめちゃめちゃ本当に宝物がいなくなったっていう。

(外山惠理)えっ、この低い声の人?ああ、そうなの!?

(サイプレス上野)本当にもう、宝を・・・ショックすぎて。めちゃめちゃ、その後の作っている曲とかも全てがかっこいいラッパーっていなくて。なんだろう?イメージしてもらえたら、本当、勝新とか。そういう昭和の大スターっていうんですかね?豪快な人っていう感じがする。

(外山惠理)いや、なんかいい声だなと思って聞いてたんだけど。

(サイプレス上野)いい声なんですよ。めちゃめちゃ見た目とかも渋いんですけど。

(外山惠理)そうなんだ。残念ですね。

(サイプレス上野)この曲、『東京口調』とかそういう風にあったりとか。要するに、気持ちとしてちょっと挑発している。『タブーおかしな』みたいな感じで言ったりとか。そういうのが含まれていたりとかするので。やっぱりそういうちょっと、上に行く感みたいなのが、歳が近い先輩がそれをやっていて。しかもデビューしているっていうので、めちゃめちゃ惹かれたんですよね。俺たちは。だからこの曲を、友達の文化祭で、まあDJイベントというか、ちょっとやろうという時に、普通はチャラチャラするじゃないですか?

(外山惠理)うんうん。

(サイプレス上野)この曲をずっとかけてましたからね。で、首をずっと・・・みんなすごい楽しそうに文化祭やってるんですよ。お化け屋敷とかやっている間、これでフードかぶってずっと、『Young Gun 1人・・・』とか言ったりとか。『もうちっと タブーおかしな』とか。もう1回かけよう、もう1回!とかって(笑)。

(外山惠理)(笑)

(サイプレス上野)ずーっとこうやって抑圧された生活をね、してましたよ。これを聞くと、そればっか思い出すんですよ。

(外山惠理)ふーん!

(サイプレス上野)ずーっとそればっかやっていて。ナンパとか、何もせず。純粋でしたから。

(外山惠理)まあ、硬派な感じでね。

(サイプレス上野)『俺はあんなやつらと違うよ』みたいな。だったら文化祭に行くんじゃねえよ!って感じが(笑)。

(外山惠理)(笑)

(サイプレス上野)『お前ら、聞いてくれ。この曲を!』っていう感じだったんですよ。

(外山惠理)うーん。聞いちゃうよね。なんか。

(サイプレス上野)聞いちゃいますね。やっぱり。ちょっと不穏な感じもするし。なんだ、これ?って引き込む感じがすごかったんで。こういう曲でございました。ぜひね、TOKONA-Xさんは名曲だらけなんで、またかけたいと思います。

(外山惠理)はい。お願いします。

(サイプレス上野)しばしお待ち下さい。さあ、これで日本語ラップが気になった人は、俺も出演しておりますテレビ番組『フリースタイルダンジョン』をチェックして見てください。テレビ朝日で今夜1時46分。明日にはYou Tubeでも配信されます。ねえ。本当ね、この番組のおかげでTwitterでもね、いろいろ絡まれておりますんでね。なかなか大変ですね。

(外山惠理)大変だねえ。

(サイプレス上野)はい。負けが込むと大変ですね。バトルは水物とはいえ、がんばりたいと思いますんで。みなさん、ぜひチェックをば。以上、『サイプレス上野の日本語ラップKILLA☆2016(1月最後の放送でも仮)』でした!

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/32118

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