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松尾潔 R&B定番曲解説 Isley Brothers『Between The Sheets』

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松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でR&Bの定番曲、Isley Brothersの『Between The Sheets』を紹介。様々なカバーバージョンを聞き比べながら解説していました。



(松尾潔)続いては、いまなら間に合うスタンダードのコーナーです。2010年3月31日に始まった『松尾潔のメロウな夜』。この番組は、メロウをキーワードにして、僕の大好きなR&Bを中心に大人のための音楽をお届けしています。さて、R&Bの世界でも、ジャズやロックと同じように、スタンダードと呼びうる、時代を越えて歌い継がれてきた名曲は少なくありません。そこでこのコーナーでは、R&Bがソウル・ミュージックと呼ばれていた時代から現在に至るまでのタイムレスな名曲を厳選し、様々なバージョンを聞き比べながら、スタンダードナンバーが形成された過程を僕がわかりやすくご説明します。

第11回目となる今回は、ジ・アイズレー・ブラザーズ(The Isley Brothers)が1983年に発表しました名曲『Between The Sheets』について探ってみます。はい。もうこのいまなら間に合うスタンダードがスタートした時から、いつ、この大本命をご紹介しようかと考えあぐねているうちに11回目になりました。もういま、いちばんいいタイミングだと思います。と、申しますのは、アイズレー・ブラザーズの、この人たち、キャリアが長いですからね。なにしろもう、デビューして半世紀たっているわけですから。

キャリアの初期から80年代あたりまでの作品。アルバム23枚組のボックスセットが先ごろ、発売されました。23枚組ですよ?もうこれがね、ちょっとよく計算が合わないっていうぐらい非常に安価に出回っていることにも驚きます。逆に言えば、それぐらいもう減価償却するぐらいに初期の作品は売れまくったってことなんじゃないかな?なんて。そんな計算式も立ててみるんですが。まあ、それはともかくですね。そのボックスセットの中には、レア音源もたくさん入っているんですね。



あの、有名曲のインストゥルメンタルバージョンですとか、トラック違い。あと、デモトラックと呼んで差支えがないようなもの。そしてね、これまで存在が噂されていながら、正規にリリースされたわけではなかったスタジオライブアルバムなんていうのもね、丸々入ってますから。それを聞くだけでも、ボックスセットに手を伸ばす意味合いはあるかなと思います。別に僕は回し者ではございません。今日はその中にも当然収められている曲、『Between The Sheets』の話をしたいだけなんですけど。

まあ、この曲がどうこうっていうよりも、やっぱりアイズレー・ブラザーズっていうのがこのR&Bシーンでどれだけのブランドであるか?っていうのを痛感しております。最近、特に。まあいま、バックで流れております『At Your Best (You Are Love)』。



これ、アイズレー・ブラザーズの切ない、やるせない歌声ですけども。まあ、このメロ夜リスナーみなさまにおかれましては、どっちかっていうとアリーヤ(Aaliyah)のバージョンが有名なんじゃないでしょうかね?



アイズレー・ブラザーズの中では決して代表曲という位置づけでもなかったですよ。そもそも、アリーヤが取り上げるまでは。うん。アリーヤっていう人はね、まあR.ケリー(R.KELLY)のバックアップによってデビューした90年代の頭から、まあデビューアルバムにはアイズレー・ブラザーズのこの『At Your Best (You Are Love)』のカヴァーが入ってましたし。あと、『Between The Sheets』の替え歌と呼べる、『Old School』っていう曲が入っていました。



そして、R.ケリーと別れた後に出した2枚目のアルバム『One in a Million』の中では、アイズレー・ブラザーズの『Between The Sheets』の次のヒットでした『Choosey Lover』という曲をカヴァーしておりました。



つまり、初めの2枚のアルバムでアイズレーのカヴァーとかオマージュソングっていうのを3曲も歌っているんですよね。これ、ちょっと固い言い方で言うと、アイズレー・ブラザーズのイメージを借用してスターになったのがアリーヤと言えるんじゃないでしょうかね。まあ、こういう当時10代だった女性シンガーにも愛されるおじさまたちの感覚。それは当然、同性である男性の、しかもちょっと強面と言われるラッパーたちにも好まれておりまして。

ノトーリアスB.I.G.の『Big Poppa』っていう曲なんていうのは、そうですね。サンプリングされている曲の中では最も有名なヒップホップチューンかもしれませんが。



まあ、そんなカヴァー、そしてサンプリングしたナンバー続出となりました83年の、彼らにとってちょっとキャリアの分岐点となるような『Between The Sheets』を今日はお聞きをいただきたいと思います。これは同名のアルバム『Between The Sheets』に収録されておりました。アルバムの方は見事にR&Bチャート最高位1位。当時、ソウルチャートと言っておりましたっけね。シングルチャートの方でも最高位3位を記録しております。文句なしのアイズレー・ブラザーズの代表曲でございます。聞いてください。『Between The Sheets』。
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The Isley Brothers『Between the Sheets』



いやー、この曲僕、人生の中で何回、何百回、何千回聞いてきたんでしょうか?そして、この後もずっと聞き続けるんだろうなと思いながら、身をゆだねておりました。『Between The Sheets』。ジ・アイズレー・ブラザーズ。1983年の記念碑的な作品ですね。先ほど、アリーヤですとかノトーリアスB.I.G.という人の名前を出しましたけども。まあ、アフリカンアメリカンのアーティストに限らず、この人たちのグルーヴを借用する人たちっていうのは後を絶ちません。

グウェン・ステファニー(Gwen Stefani)の『Luxurious』っていうのも、いわゆるモロ使いっていう感じで。このネタを使ってますね。



で、数ヶ月前にこの番組でもご紹介しましたギャビー・ウィルソン(Gabi Wilson)という人の『Something to Prove』という曲。この曲なんかではもう、替え歌ですね。これ、まあアリーヤの『Old School』っていう曲と同じ流儀でやってますね。替え歌ですね。



もうとにかく、このグルーヴに身をゆだねていたい。そして、この甘美なメロディーと戯れていたい。アフリカン・アメリカン、そしてアフリカン・アメリカンカルチャーを愛する人たちにとっては、これは抗えない魅力ですね。まあ、ある種の黄金率と言ってもよい、そんなメロウグルーヴがここにはございます。アイズレー・ブラザーズっていうのは、知っている人っていうか、好きな人はもう、すごく詳しいんだけれども。知らない人にとっては、『えっ、その人たちって、有名?』とかって言われがちなんですよね。

まあ、それはテンプテーションズ(The Temptations)とか、フォー・トップス(Four Tops)とか。ああいうモータウン勢の名門グループとのいちばんの違いかもしれませんね。やっぱりもう、ブラックネスっていうのがど真ん中にあるんで。ちょっとこの世界から離れてしまうと、途端に無名になってしまうようなところがございますが。まあ、中心人物のロン・アイズレー。ロナルド・アイズレー(Ronald Isley)っていう人のちょっとやさぐれた魅力と相まって、音楽とイメージが錆びつかずに来てるっていうのがありますね。

なにしろ、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)がこのアイズレー・ブラザーズの準メンバーとしてギターを弾いていたっていうような話とか、この手の、彼らのキャリアの長さとか、彼らの大物ぶりを示すエピソードはもう本当にきりがないというか、枚挙に暇がないっていうか。たくさんあるんですけども。まあ、なにはともあれ、アルバム1枚まず、手にとって聞いていただけると彼らの魅力。そしてそのリードシンガー、ロナルド・アイズレーの似てる人が誰もいないっていうこの声質にかぶれていただきたいですね。はい。

まあ、じゃあここで、曲の方にまいりたいと思います。先ほど、『Big Poppa』っていう曲をご紹介しましたけれども。あの曲がいちばん有名な『Between The Sheets』ネタのヒップホップかと思いますけども。こと日本においては、こちらの曲が好きなヒップホップファンも多いんじゃないでしょうか?ア・トライブ・コールド・クエスト(A Tribe Called Quest)。彼らの『Bonita Applebum』という曲の(Hootie Mixという曲がこの『Between The Sheets』を引用しております。90年にリリースされた、ちょうど四半世紀前ですね。四半世紀前のシングルに収録されていたヴァージョンです。

そして、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)もね、この曲を取り込んでますよ。『One Of Those Days』という曲。まあこれは、彼女のアルバムでは商業的失敗作とよく言われます『Just Whitney』という2002年の、たしかに売れなかった。されど、愛しきアルバムに収められております。この曲のPVにはね、ロナルド・アイズレー自身が出演していたということも付け加えておきましょう。じゃあ、2曲続けてお楽しみください。ア・トライブ・コールド・クエスト『Bonita Applebum (Hootie Mix) 』。そしてホイットニー・ヒューストンで『One Of Those Days』。

A Tribe Called Quest『Bonita Applebum (Hootie Mix)』


Whitney Houston『One Of Those Days』



今週のいまなら間に合うスタンダード。1983年発表のジ・アイズレー・ブラザーズの『Between The Sheets』を特集いたしました。ア・トライブ・コールド・クエストの『Bonita Applebum』。1990年のリリース。これは、なんか僕、90年の時点では『ちょっと渋いネタを使うな』なんて思いましたけど。いま考えてみると、もうリリースされて10年もたたないうちに出している曲だったんですね。

ホイットニー・ヒューストンの『One Of Those Days』。これは2002年でございますからね。もうこの曲の評価がかなり定まった、ヒップホップシーンで定番化されたネタとしての価値を持った。そんな時代にレコーディングされた曲です。まあ、ホイットニーでもこういう曲を歌っているよという、まあその証となる曲です。あの、アイズレー・ブラザーズっていうぐらいで、兄弟グループなんですね。いちばん多い時で6人いました。

まあ、6人のうち、実の兄弟は5人。それだけでも十分な人数ですけれども。もう1人、クリス・ジャスパー(Chris Jasper)っていう親戚が、鍵盤弾きがいましてね。このキーボーディストが60年代の終わりから80年代にかけて、もちろん70年代をすっぽりと含むわけですが。この時代のアイズレー・ブラザーズの快進撃を支えます。で、この83年の『Between The Sheets』はもう本当に、1人だけアイズレーって言う苗字じゃないジャスパーが牽引した曲だったんですね。クリス・ジャスパー。

で、もともと3人。そして合計6人になったんですが、また再分裂しましてね。若い方の3人。今度、クリス・ジャスパーを先頭とする若い方の3人でアイズレー・ジャスパー・アイズレー(Isley-Jasper-Isley)っていう新しいグループを作ります。で、まあこちらの方もね、本当に素晴らしい、『Caravan Of Love』なんていう曲もございました。僕も大好きでした。自分でリミックスする時にネタ使いしたこともあるという、そんな人たちなんですけども。



このクリスジャスパーさんはいま、もうゴスペルの世界に行ってまして。もう、びっくりするぐらい精力的に作品を出しているんですが。似たような曲を延々とこのサウンドでずーっと出してますね。歌っている内容はずっと宗教音楽というね。ゴスペルソングということなんですけども。そして、リードシンガーのロナルド・アイズレーですね。なんと言ってもこの人なんですけども。74才でございます。1941年生まれの74才なんですけども、いまだ現役というところが驚くじゃありませんか。

いまでは、まあギタリストでありますアーニー・アイズレー(Ernie Isley)というね、弟。この人も看板メンバーですけども。彼と2人でアイズレー・ブラザーズを名乗っていることが続いておりますね。もうアイズレー・ブラザーズ。いつか丸々、番組1時間、取り上げたいぐらいの人たちでございました。その中でも1曲ということで、今日は『Between The Sheets』をご紹介いたしました。

<書き起こしおわり>
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