ラッパーのMC漢さんがDOMMUNEに出演。自身がかつて所属したレーベル、Libra Recordsの放漫経営や未払いについて告発を行いました。その後、宇川直宏さんとの質疑応答で、これからの音楽ビジネスのあるべき姿について話していました。
(宇川直宏)いまタイムラインが素晴らしすぎて。いま、2万人ぐらい見ていて。
(MC漢)これ、DOMMUNE的に2万人っていうのは?
(宇川直宏)あ、いいんじゃないですか。めちゃくちゃいいと思いますよ。それでね、今回の話っていうのは、HIPHOPだけじゃなくて。昭和の時代から続いてきた音楽のクリエイティブ・メディア全般に対して言えることだと思うんですね。
(MC漢)そうだと思います。
(宇川直宏)で、かつてCDをリリースするとか、まさにそれ以前だったらレコードをリリースするっていう現実っていうのは、特権性があった立場の人がアーティストを抱えてリリースするっていう文脈があったと思うんですね。で、そっから、もはやいま、インターネット以降、独自がリリースを重ね、そしてそれに対してフックアップしたい人が購入するっていう、きちんとしたエネルギー循環があると思うんですね。そこで、やっぱりミュージックビジネスも崩壊している。で、そのミュージックビジネスの崩壊っていうのは、それ以前にメディアの問題があって。
それまでは、98年ぐらいまでは、パッケージを購入して、音楽を聞くっていう状態があったと思うんですよ。でも、インターネット以降、特にYouTube以降っていうのはそうじゃなくて。iPod以降かな?は、そうじゃなくて。自分が原音をネットに上げたらそれを聞けるっていう、リスナーとの直のコミュニケーションスタイルがきちんと確立されていて。そして中間搾取がなくなった時代だと思うんですよ。で、この中間搾取の話っていうのは、深く考えたら、本当に演歌のドサ回りしていた演歌歌手が、7インチ(レコード)を売りたいがために全国行脚して。そして、クラブとか・・・
(MC漢)いろんな利権取りですよね。その場の。場所とか、当時ここで俺らが先歌ってっから、今度からここで歌うやつは俺らに何%払えとかっていう、いまの演歌の状況ですよね?
(宇川直宏)そうそう。そうですよね。
(MC漢)そのバビロンシステムみたいなの。
(宇川直宏)そのバビロンシステムっていうのは、テキ屋文化だったと思うんですよね。で、テキ屋文化っていうのはなにか?っていうと、中間搾取業者みたいなのがいて。エネルギーが、間で誰かがせき止めていて。そのせき止めを外したところでようやく開放されるのに、ずーっとせき止められているから飼い殺しにされたりとか。たとえばその7インチをドサ回りして売れたところで、自分に還元されるのは作詞作曲した人たちだけじゃないですか。で、歌っても印税って、著作印税は入ってこないので。ほとんど言ってみればあれですよ。自分が働いている労力っていうものは還元なく、ただ自分自身が存在しているっていうことの表明だけ。そうそうそう。それが生活には全く一切還元されない歴史っていうのが長くあったっていうことですよね。
(MC漢)だから僕、さっき言ったように自分の評価ができないんですよ。お金が全てじゃないけど、それがいちばんわかりやすいのが数字なんですよ。お金だったり、あと、まあいま時代があれだから、騒いでもらったり、閲覧数でもいいんですけど。そういう、逆に言ったら俺ら、閲覧数あんのにお金がないとか。そういう時はまさしく、わからなくなるんですよ。自分らの評価が。本当の。
(宇川直宏)そうですよね。で、やっぱりその著作権を持っていないと。つまりは、シンガーソングライターがなぜ潤ったのか?っていうのは、自分で曲を作って、自分で歌って売ったからなんだと思うんですけど。HIPHOPアーティストってみんなそうじゃないですか。それ以前に、そのサンプリングっていう概念自体が盗用なので。どこに著作権があるのか?っていうことを不明にして、ボーダーを突破した歴史がきちんとHIPHOPにはあると。それを前提にして考えて、さらには音楽を聞く状態が変わったいま、レーベルに頼らず・・・今回、前回漢さんがDOMMUNEに出てくれた時のインタビューの中で、僕が『ここは絶対に読んでほしい』と思ったね、発言をつぶやいたんですよ。一昨日。5件くらい。
そのうちの1つに、『やっぱりプレイヤーがレーベルをやらないといけないだろう』っていう発言があったんですよ。これ、すごい説得力があるなと。つまりは、いままではプレイヤーじゃない人がミュージックビジネスを牛耳っていたと。そこで、ようやくプレイヤーが介在することによって、そのプレイヤーへのリスペクトがレーベルに反映していく時代だと思うんですよね。もしいま、レーベルをやるならば。で、そっからインターネットで活動している若手の人たち。ネットレーベルの人たちを見ていったら、やっぱり独自が表現して。今日作った音楽を、いま上げて、それを売っていくってう時代だと思うんですよね。そうなってきたら、やっぱりもうパッケージからも開放されているエネルギー循環がきちんとあるので。だから漢さんが今回立ち上げた鎖グループの方法論っていうのは、まったく正しいと思うし。今後のミュージックビジネスに風穴を開ける歴史になるんじゃないかなと。その歴史配信が今日出来て、感無量です。ありがとうございました!韻、踏んだんだよ、ちょっとだけ!感(漢)無量で!
(MC漢)なんでね、いま宇川さんが言ったところに触れたプレイヤー云々っていうところの言葉の裏付けを取ると、要は経営者って最初のうちはHIPHOPレーベルだったり音楽レーベルは、プレイヤーじゃない経営者がやっているレーベルは、最初はプレイヤーに大感謝するんですよ。みんな。自分のね。100%いいと思ったやつを誘って、売れて、ありがとう!って。それが続いて、会社が右肩上がりになっていくと、経営者が自分の力と思い込みだすんですよ。経営がうまくいっている以上。お金が入っていく以上、自分の力と勘違いしだすんですよ。なんで、プレイヤーだと、その勘違いはないんで。ということなんですよ。
(宇川直宏)なるほどね。それでやっぱり、今日前半にね、佐藤(将)さんの番組がやれたっていうのはすごいいいことだなって思っていて。言ってみれば、まあ二木(信)さんも言ってましたけど、普段脚光が当たらないシーンを支えている、1人のディベロッパーというか、開拓者の話が今日、できたかな?って思うんですよね。で、それはなにか?というと、プレイヤーじゃない人のエネルギーが循環されてリスナーに届いてるっていうことを表現できたと思うんですよ。表明できたと思うんですよね。今日ね。で、(佐藤さんが)亡くなった後、この番組っていうことがね、すごい残念なんですけど。で、ツイートを見てたら、『今日の番組をいちばん驚いているのは佐藤さんだろうな』っていうつぶやきがあったんですけどね。で、そういう意味でも、支えてきた人たち、音楽業界を。
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(宇川直宏)だからメジャーレーベルアンチじゃないんですよ。僕自身は。長らくミュージッククリップやらせてもらっていたし。で、そのミュージッククリップを作るっていうことに対しての意識っていうものもね、本当にその音楽を作っている人たちの表現を好きになって、ようやく僕がその音楽に画を付けられるって喜びを持ってね。すごい、なんでしょうね?まだパッケージビジネス華やかなりしかった頃の時代に、宣伝費が使える。その宣伝費で表現をさせてもらった自分自身の歴史もあるので。だから、メジャーレーベルはメジャーレーベルで、アーティストとの建設的なコミュニケーションを成り立たせる方法っていうのがあると思うんですよ。で、今日話していたのは、やっぱりブラック企業の話になってくるので。そうそうそう。で、『ブラックミュージックだけに、ブラック企業』っていうつぶやきがあったんですけど。それ、まさにその通りだなって思ったんですけどね。だから、全てのミュージックビジネスが黒くはないっていうことも言いたい。
(MC漢)そうですよ。
(宇川直宏)もちろんそう。黄色も白もあるだろう。
(MC漢)うん。それを証明したいのが鎖グループだったり、ブラックスワンなんですよ。
(宇川直宏)ブラックスワン、ブラック企業。んなわけねーだろ!って(笑)。
(MC漢)さっきいちばん言い忘れたんだけど、言葉のマジックかもしれないので気をつけて聞いてほしいんですけど。リスナーとかラッパーたちには。一応、僕が鎖グループを立ち上げている上で、会社立ち上げ前からのコンセプトだったり、自分の会社やっていく上での姿勢は、『日本でいちばんアーティストが』・・・ここは言葉のマジック、あります。『1%でも、日本でいちばん高い還元率の会社』にしているつもりなので。そういうところを、期待はしないでもらいたいんだけど、そういう意味で嘘なく。いろんなところをリサーチして、俺らが比率で言ったらいちばん貰えているでしょ?ラッパーの返しっていうのはやっていこうを思ってますね。
(宇川直宏)なるほど。素晴らしいですね。
<書き起こしおわり>
※MC漢Libra Records告発動画 39:00あたりからスタートします