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ダースレイダー 日本語ラップ界 名A&R佐藤将の足跡と功績を語る

ダースレイダー 日本語ラップ界 名A&R佐藤将の足跡と功績を語る dommune
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ダースレイダーさんがDOMMUNEで急逝した日本語ラップ界の名A&R、佐藤将さんを特集。P-VINEやBLACK SWANで手がけた日本語ラップアーティストや楽曲を通して、佐藤さんの足跡と功績を振り返りました。

ダースレイダー 日本語ラップ界 名A&R佐藤将の足跡と功績を語る

(二木信)どうもこんばんは。今日は鎖グループとBLACK SWANの共同企画のHIPHOP番組。5時間ブチ抜きでやります。で、前半。BLACK SWAN presents 佐藤将追悼特集ということで。『THE SHO a.k.a. 佐藤将~ある日本語ラップ狂の唄~』ということでお送りして、その後、『9SARI OFFICE presents 鎖グループ&BLACK SWAN公開記者会見&SPECIAL LIVE!!!』という二本立てですね。

(ダースレイダー)二本立て!で、前半部。ブラックスワンというレーベル。僕が2代目のブラックスワン代表なんですけども。初代が佐藤将という日本語ラップ狂の男なんですけど。彼の魂がこの黒鳥には宿っているんですけども。その佐藤将という男がそもそもどんな人物なのか?っていうのを、功績を踏まえて。初代がいかにイカれた男だったか?っていうのをね、二代目が務めとして。禊として。きっちり成仏してもらうためにも、ここでみんなに知ってもらおうと思っています。で、二代目を継いでからですね、僕の具体的なブラックスワンの活動としてはですね、この東京WALKERの『100人が選ぶ極上カレー』にランクインしましてね。

(二木信)いきなり宣伝。

(ダースレイダー)40位に僕が入っているので。松尾貴史の横にいるのがブラックスワンの2代目だぜ!っていうことでね。このへん、立ち読みしておいてください。東京WALKER。

(二木信)ということで、前半。出演者は今日、司会をつとめさせていただく、私、二木信と、ブラックスワン現代表ダースレイダーさん。と、もう1人。

(ダースレイダー)ええと、昔佐藤将が作った『月刊黒鳥』っていうホームページにのっている企画があるんですけど。そこに出ている、猿のTONY!

(トニーボーイ)イエーイエー!

(二木信)座談会をやっていて、そこに登場しているトニーボーイ。

(ダースレイダー)トニーがHIPHOPクレイジーな猿なんで。このトニーが見た、トニーの目から見た佐藤将っていうのを。

(二木信)じゃあ、トニーボーイからちょっと一言、挨拶を。

(トニーボーイ)イエーッ!俺がトニー。ASKAじゃねーから、NOシャブモリー!佐藤将は俺のホーミー!イエーッ!

(ダースレイダー)いきなりフリースタイルかましてね。もうすごいよ。まあね、早すぎる男、ASKA特集も次回にね、お送りしたいと思いますけど。まあ、そんな佐藤将。レーベルの代表で、元々はP-VINE RECORDSのA&Rという職で。A&Rっていう職業はなにをやっているのか?ってあまり知れてないので。

(二木信)そういうところもやっぱり突っ込みたいですよね。

(ダースレイダー)でも佐藤将っていう男がどういう男だったのか?っていうのを、まずはゆかりのある人たちからコメントをもらってきているので。そこからちょっと佐藤将の人物像を辿っていければなと思うので。まずは佐藤将に向けてのコメント集を見ていただければと思います。

(コメント集映像が流れる)

(二木信)いや、だいぶこれで佐藤将というA&Rの・・・

(ダースレイダー)愛のあるコメントでしたね。

(二木信)それこそ、ダースレイダーさんはどういうところで佐藤将さんと出会ったんだろう?

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佐藤将さんとの出会い

(ダースレイダー)僕は、ええと佐藤さんはP-VINEの社員だったので。当時P-VINE、ブルース・インターアクションズから出ていたBMRっていう雑誌でライターもやっていて。で、僕がその時にやっていたマイカデリックっていうグループのレビューを佐藤さんが書いてくれてて。それが結構、あの人にとっても1本目か2本目くらいのレビューで。

(二木信)ライターとしての。

(ダースレイダー)そう。だから気合が入ってるんですよ。なんか言ってやろう!みたいな。で、結構すごく褒めてくれていたんですけど。それで、僕、佐藤将っていう、いまMUROさんの周りにいる幼なじみがいて。それで、マイカデリックのファーストで、サンクス欄にその幼なじみの佐藤将を、名前入れてたんですよ。したら、佐藤さんがレビュー書いたから、自分のことを書いてくれたと思って。すげー喜んじゃって。

(二木信)(笑)

(ダースレイダー)『和田・・・ダースレイダーさ、なんか1本レビュー書いただけで俺の名前、サンクス欄に入れちゃってくれて、ありがとね!』とかいきなり言われて。ちげーんだけどな・・・みたいに思いつつも、その場は『いやー、いいレビューだったんで。ありがとうございます』みたいに言って、すげー喜んでもらったみたいなのが最初ですね。

(二木信)だからいま、すごいいろんな人のインタビューがあったじゃないですか。そこでも触れられてましたけど、2000年代の日本のラップ、HIPHOPを振り返るとしたら、それは東京とか首都圏限定じゃなくて。佐藤将っていうA&Rを通して見ると、実は浮き彫りになるっていうか。

(ダースレイダー)うん。浮き彫りっていうか、アンダーグラウンド、地下水脈に関しては、かなり掘っていた人で。実際、そういう匂いとか場が好きだったと思うんですけど。まあさっき言いかけたのが、P-VINEでの佐藤さんの仕事っていうのが、A&Rっつって。Artist and Repertoire(アーティスト・アンド・レパートリー)の略なんだけども。まあ、いろんなアーティストを発掘して、契約して、育成するっていう仕事で。それに関しては相当やっていると思うんですね。発掘は本当にいろんなところからデモレベルで見つけてくるし。それをP-VINEなり、P-VINEで受けられないものも、いろんなレーベルに紹介とかもしてたし。それで、なんか、こうした方がいいんじゃない?とか、こういうところがあるから、こうした方がいいよっていう育成も、たぶんあの人目線で相当してた人で。

(二木信)だから、たとえるならば、やっぱり音楽業界におけるA&Rっていうのは出版業界における編集者みたいなもんじゃないですか。

(ダースレイダー)漫画家と編集者みたいなね。

(二木信)関係。で、なかなか深く付き合っていく編集者が時代とともに減っていくように、ああいうA&Rっていうのがすごい少なくなってきていて。

(ダースレイダー)まあね、相当エネルギーが必要だと思うんですね。で、そのエネルギーの根源、佐藤さんの場合は本当、情熱的なまでのHIPHOP愛っていうか。日本語ラップ愛。日本語ラップのシーンに、ずーっと自分が聞いていて、関わりたい!っていう気持ちがあったけど、ラッパーでもDJでもないから、どうやって俺は関わるんだ?っていったところで、裏に回って。すごい、だからある種天職っていうか。本当に幸せな時間を過ごしていたとは思うんですよ。ただ、まあ変な人なんで。その気持ちがかなり暴走する時とかもあって。で、川崎に住んでるんですけど。

(二木信)住んでたんですよね。

(ダースレイダー)僕、東京の杉並なんですよ。だから結構離れているんですけど。よく、夜12時過ぎに電話かかってきて。『たまたま近くを通ったから』みたいな。あり得ないんですけど。それは。わざわざ絶対来てるんですけど。ウチの近くまで。で、『なにやってんの?』『家にいますよ』って言ったら、『じゃあちょっと寄るわ』って、3分くらいで来るんですよ。

(二木信)完璧に狙い撃ちですね。

(ダースレイダー)隣の角ぐらいで停まって待ってるんですよ。で、電話してきて、家にいたら来るみたいな感じで。で、『上がるのも悪くて。そんな用事ないから立ち話でいいよ』って俺、玄関まで出て行ったら、外で話が始まって。外で話して2時間ぐらい離されるんですよ。もう上がってくれ!って話なんですけど。そういう男なんで(笑)。

(二木信)かなり変態ですね。

(ダースレイダー)変態なんですね。で、家に入ってから、1回家に来た時に、MF Doomっていうアンダーグラウンドアーティストがいるんですけど。それの特典で仮面があって、俺、持ってたんですよ。そしたら、突然、俺と佐藤さんしかいないのに、部屋入った瞬間、そのMF Doomの仮面をかぶるんですよ。

(二木信)(笑)

(ダースレイダー)いやじゃないですか。2人でいて、仮面かぶっているヤツがいるの。で、しかもそのことを俺には別にギャグとして振るとかじゃなくて、ただかぶるんですよね。それでなんか日常会話をされるんですけど。これ、どこでやめさせればいいのかな?みたいな。

(二木信)まあそのギャグ、ノリをわかれよって。

(ダースレイダー)わかれよ、みたいなね。で、俺40分ぐらい話した後、『あ、佐藤さん。写真、撮りましょうか?』っていったら、それそれ!みたいな感じで(笑)。写真撮ってほしかったのか!みたいなね。そういう人なんでね。なかなか扱いに困るところもあったんですけど。

(二木信)だから手がけたアーティストで言うと、MSC、もちろん。韻踏合組合。

(ダースレイダー)サイプレス上野もですね。

(二木信)マイカデリック、サイプレス上野とロベルト吉野。あと、やっぱSCARSとか、SEEDAくんの『花と雨』の前のP-VINEのね。

(ダースレイダー)花と雨ね。

(二木信)あと、なんだろう?

(ダースレイダー)まあね、実は佐藤さん、さっきこの上野のヤサ(部屋)が映っていて。上野の部屋に、俺と佐藤さんで遊びに行った時があるんですよ。その時がちょうどマイクアキラのアルバムが出た時だったんですよ。それでマイクアキラのアルバムが出て、佐藤さんがさっき車でどんどん聞かせるっていう話をしてて。で、佐藤さんの車で行った時に俺も『これ、できたんだよ』って言って、聞かせてくれてて。

(二木信)僕もよく車の中で聞かされましたよ。新しい音源を。

(ダースレイダー)そうそうそう。もう聞かせるのが大好きで。『これ、ヤバくない?』って聞かせて。で、マイクアキラのアルバムを聞かせてくれてて。『おー、面白いっすね』って言ったら上野の家に着いて。で、上野がラジオを録っていて。CD-Rで売っていた。ほいで、『じゃあせっかくだからマイクアキラ。電話インタビューしちゃいましょうよ!』って言って。佐藤さんも『あ、いいねいいね!ちょうどぜんぜん媒体とれなかったんだよ。上野、ありがとう』みたいな感じで言って。その場でマイクアキラに電話インタビューをしたんですね。

(二木信)おー。

(ダースレイダー)それで上野と俺で『こんちわーす!アルバム、いま聞きましたよ!』とか言って。それで、もうノリで『マイキー、その場でアルバムの曲、1曲歌ってくれないすか?電話で』って言ったから、俺が言って。したら、『ああ、いいんすか?』『宣伝だと思って、バッチリ歌っちゃってくださいよ!』っつって。で、俺さっき聞いたばっかだから、曲順も曲名もなんもわかんないから、とりあえず、『じゃあ、6曲目、お願いします!』って言ったんすよ。アルバムの真ん中へんにたぶんいい曲入ってるだろうと思って。1曲目はイントロかもしれないから、6曲目ぐらいだったらたぶんいい曲入っているだろうと思って、言ったらマイキーが『フンフンフンフンフン♪』みたいな鼻歌が始まって。やべー、イカれてるって思って(笑)。

(二木信)うん。

(ダースレイダー)鼻歌来たぞ!とか思って。上野と俺で身構えるぐらいの。電話口に。ヤベえ!っつって。したら、鼻歌歌って、『フンフンフンフンフン♪』で終わったんすよ。それで。『こんな感じですね』って。

(二木信)それだけで?

(ダースレイダー)うん。で、フロウを鼻歌で表してきた!って思って。結構あたらしすぎるだろ?って思って。ほんでもう、ちょっと笑っちゃって。それで、その横で佐藤さん、ニヤニヤしてるんすよ。で、電話切って。『いやー、マイクアキラはイルだねー!イルボーイフレンドだね!』って言って。言った後に、佐藤さんが『ダースさー、6曲目さ、インストなんだよね』っつって(笑)。

(二木信)(笑)。ダメじゃないですか!

(ダースレイダー)インストを、マイクアキラさんが鼻歌で歌ってくれたんですよ。普通、怒るじゃないですか。『それ、ラップ入ってないし!』みたいな。それを佐藤さん、止めずに。自分の作品ですよ?なのに鼻歌、完全に歌わせて(笑)。その後、『実はあれ、インストなんだよね』とかって言ってくるっていう。

(二木信)だからかなりプロデューサー的な素質というか資質というか。

(ダースレイダー)まあ素質とか資質っていうとちょっとニュアンスが違うんですけど。感覚ですね。

(二木信)そのイルっていう言葉で説明していても難しいから、ちょっといま話していたマイクアキラの『イルボーイフレンド』をちょっと。いきなり危ないの、いってみましょうか?

(ダースレイダー)映像があるんでね。

(二木信)トニーさん、これ何年の曲ですか?

(トニーボーイ)これは・・・すいません。何年か?と言われると・・・2000年代・・・

(ダースレイダー)2000年代(笑)。広いな!

(二木信)だから佐藤さんの仕事としては、佐藤さんが亡くなられる結構晩年ですけど。

(ダースレイダー)まあ、後期の仕事ですけど。このね、ビデオはなかなかのものですよ。

(ダースレイダー)いやー、これヤバいね。イルすぎる!

(二木信)ちょっとイル過ぎましたね。最初にしては。

(ダースレイダー)これね、NIPPSとマイクアキラの。20時周辺にかけちゃいけない映像ですね、これ(笑)。これね、NIPPS仕事の中でもね、イカレ具合はね、かなり高い方だと思うんですけど。佐藤さんはマイクアキラさんが大好きで。とにかくなんとかマイクアキラのヤバさをみんなに知ってほしい!っていう気持ちですごい動いていて。かなりね、相談にものっていたと思うんですね。

(二木信)マイクアキラの相談にものっていた?

(ダースレイダー)にも、のっていて。どっちかって言うと引きづられちゃっているみたいな。正月からいきなり電話がかかってきちゃったりして。結構大変だったと思うんですけど。やっぱ、こういったところに目がいっちゃうね。マイクアキラさんとかを見つけちゃう才能っていうのがあるのね。

(二木信)発掘する才能が。

(ダースレイダー)発掘しちゃってるんですよ。再発掘ですね。四街道ネイチャーでね、元々は。でも、こんなキャラだとは思ってなかったですからね。

(トニーボーイ)さんぴんキャンプとLBまつり両方出た男だからね。

(ダースレイダー)両方出た男ですからね。でも、いまのはまあ、いきなり濃いところいったんですけど。結構コメント欄で出てて。今日、この後の鎖グループにもつながる流れとしては、やっぱり結構その、MSCを世に出したっていう男でもあるわけで。そういった意味でもちょっとね、初期音源の中でも。

(二木信)じゃあ、さっきその佐藤さんが勝手にP-VINEに内緒でCD-Rを卸していたっていうMSCがB-BOYパークとかで売っていた・・・

(ダースレイダー)P-VINEの、たぶんデュプリケーター使って焼いていたっぽいっすよね。

(トニーボーイ)そうそうそう。あの、Street Knowledgeっていうレーベルで。本当に白黒のジャケで。でも、ユニオンだと高く売れるらしいけど、売っちゃダメだぞって。

(二木信)B-BOYパークで売っていたってことは、2002?

(トニーボーイ)なんだけど、漢くんに聞いたら、2000年の音源なんです。じゃあちょっと、その中から、『幻影』のデモバージョン、ちょっと流させてもらいます。


※別バージョンです

(ダースレイダー)ヤバいね。これもね、『なにからなにまでハマってなーい』って。『顔に傷もないのにブスにキスもらい』って。

(二木信)これは後に『宿ノ斜塔』っていうMSCのEPにバージョン違いで。トラック違いで入るんですけど。

(ダースレイダー)こっちの方が不穏さはね。不穏さがすごいんですけどね。言ってることは、最近よく一緒にいるんですけど、言ってることは変わってないんですよ。もう14年ぐらいたっても変わってなかったっていうね(笑)。同じ世界で生きている人だったっていうね。だからそういった意味ではブレてないんですけど。結構この時代に、これをちゃんと見つけて、出すっていうのはね。勇気がいると思うんですよね。

(二木信)そうですよね。この音が2000年ぐらいの作品だとすると・・・

(ダースレイダー)だからNITROとかがドーン!といっている頃だからね。

(二木信)いってる時代ですからね。全く時代に逆行してますよね。

(ダースレイダー)でもね、そこを早めに見つけちゃうっていう嗅覚っていうか。なんかそのダウジング能力みたいなのがね。こう、ピピピッて見つけるっていうのは、佐藤さん、相当あったと思うんですよね。このへんは、だから結構MSとかをいろいろ、古川(耕)さんとかもそうだけど、に紹介したのは間違いなく佐藤さんなんで。

(二木信)そうですね。MSとか、新宿のクルーで。こういう不穏な曲も作りつつ、佐藤さんが僕、面白いなと思ったのは韻踏合組合を見つけてきたっていうか。韻踏合組合を評価してるじゃないですか。

(ダースレイダー)ね。スプリットでやったって、ヒダやんさっき言ってたけど。同時期に、アンダーグラウンドの水脈っていう意味での、ぜんぜん違う流れを。でも、いまの大阪を見たら韻踏合組合ありきって間違いなく、特にアメ村中心にあるから。

(二木信)韻踏合組合をなんか1曲、聞きましょう。

(トニーボーイ)韻踏合組合で、俺がいまPVとか撮らせてもらっている中で、いちばん最初に関わらせてもらった仕事で。まあ、監督もできなかったから、佐藤さんに『いや、俺が行かないと駄作になるから!』って言って、電車代を出してもらって・・・

(ダースレイダー)すごい理由だな(笑)。

(トニー)VHSに1本、ただHIPHOPのPVをぎゅうぎゅうに詰めたのを持ってって。『こういう感じでHIPHOPはカット割りが早いんで、こんな感じでお願いします』って大阪に渡しにだけ行ったっていう。

(ダースレイダー)VHSを渡しに行ったのに、交通費要求した。

(トニーボーイ)出して。本当に予算のない中で、奇跡的なあれをしてもらった韻踏合組合の『揃い踏み』っていうPVを見てみましょう!

(ダースレイダー)ねえ、これ韻踏、めちゃめちゃね、勢いあるんだけど。韻踏のこのスタイルと、MSCのあのスタイルが結構その当時、セットで語られることが多くて。だから、それは佐藤さんの功績だと思うんですよね。佐藤さんが、そうやったパッケージングっていうか。『これとこれがいまヤバいんだよ』っていうので並べて見せていたから。ぜんぜん違うスタイルでも、韻踏とMSっていうのは結構、セットで。

(二木信)セットで語られるような音楽性じゃないんじゃないか?っていう。

(ダースレイダー)世界観も、いろいろ違うんですけど。でも、一緒に遊べる仲間みたいなとこもあって。なんかそういう意味でシーンを作っていくことを、そういったところを一緒にして出すことでパーティーとかも作っていくことができたし。だからそういった功績は実は佐藤さんはすごくあって。いまの韻踏の勢いとかを見てもね、これはなんとかしなきゃなっていう気持ちはすごいわかりますね。こいつら見つけたら、これはとりあえずみんなに教えておいたほうがいいだろ?っていう勢いはすごくあって。

(トニーボーイ)ちなみに、いまのビデオでHIDADDYが道頓堀から飛び込んでるんですけど。その後、逮捕。

(ダースレイダー)ね。連行されていって。

(トニーボーイ)連行されてるっていう。

(ダースレイダー)もう、マジリアルバカっていうね。HIDADDYの。でもHIDADDYも、14年ぐらいたっても変わらないですね。全く同じです。

(トニーボーイ)ちょっとボケが進んでるんじゃないか?って。

(ダースレイダー)逆にツッコミやすくなっているみたいなね(笑)。

(二木信)あとこれから、後に僕が思うのは、MSC、韻踏合組合、さっきビデオでも磯部涼と古川耕さん出てきて、『homebrewer’s』っていうコンピレーションを作ったわけじゃないですか。で、それを作って、その数年後にSEEDA。SCARSっていう人たちを発掘してくるっていう、また展開があるわけじゃないですか。

(ダースレイダー)あの、だからそこも常に地下水脈をディグり続けている現れで。そういう時に湧いて出てきたものを、いち早く汲んでいるっていうのがあって。そういった意味で、SEEDAを。特にSEEDAって実は僕らがマイカデリックで出た時に、SHIDAっていう名前でP-VINEから出てるんだけども。その後も、結局そのすごいアンダーレイテッドな時代でも、ちゃんとサポートし続けて。作品をちゃんと出し続けてるっていうのが、やっぱりいまにつながっているっていうのは間違いなくて。

(トニーボーイ)PVが、最初やっぱり降神がすごい人気だったんだけど。その降神のPVの後ろに強引にSEEDAくんのPVをくっつけて。I-Deaくんのやつで世に出すっていう、もう本当にプッシュしたいと思ったらなりふり構わないっていう。

(ダースレイダー)もうやり方はいろいろ考えちゃうっていう感じだよね。

(二木信)俺が驚いたのは、降神の『暴風雨』ですよね。暴風雨っていう曲と、SEEDAの曲をセットにしてて。あのPVというか映像を見た時、驚いた人多いと思うんですよね。なんか全く毛色の違う人が、SEEDA、出てきたっていうのと。それこそDABOみたいな、英語と日本語のラップを使い分けるラッパーとか、もちろんいたと思うんですよ。ZEEBRAさんをはじめ。ただ、なんかSEEDAのバイリンガルラップのセンスって、ちょっと違ったじゃないですか。もう。

(ダースレイダー)あのね、でも実はSHIDA時代からね、そこのアプローチでずっと実は来ていて。ただ、本当みんな気づかなかっただけで。『あ、実はずっとやってんだ』っていう。

(トニーボーイ)SEEDAくんのSHIDA時代のやつは、マッケンジーと並んでP-VINEでもいちばん売れなかったCDのベスト3に入っていたらしいから。当時は。

(二木信)それがある時期、SEEDAはスターになるわけじゃないですか。カリスマに。シーンの。

(ダースレイダー)だからそこも佐藤さんがね、起爆剤というかね、なっているんで。そのSEEDAの映像もあるっていうんで。じゃあトニー、お願いしますよ。

(トニーボーイ)ブレイク前夜のSEEDAくんの、その暴風雨の後に入っている『Whoa』を。

(二木信)SEEDAに何度かお話を聞いた時に、SEEDAが最初、英語だけでラップしてたじゃないですか。彼は。で、なんか英語だけでやって、フロウは自信があるからそれでやってたけど。やっぱり伝わらない、これはいまの日本のシーンじゃ、と。それで日本語も混ぜて、ミックスしてラップをするようになったって聞いたんすけど。

(ダースレイダー)結構初期っていうかね、SHIDA時代に出してからね、SEEDAがね、非常に嫌いなラッパーが1人いてですね。なんかその人とブエノスで一緒になった時に、その人のアナログをわざわざ自分で買ってきて。10枚。その場で割るっていうパフォーマンスをやって(笑)。これね、なかなかの人だなと思って見てたんですけど。まあ、そん時に『英語でやるのを日本のヘッズがフィールしてくれない』って言っていて。『フィールさせるためのフックを自分でつけるために、いろいろ探しているんだ』っていう話をしていたんだけど。この映像の時はね、それこそMobb Deepのセカンド・アルバムを萩谷さんっていうライターが『若いボクサーの試合を見るようだ』って表現をしていたんですけど。まさにそのね、ハングリーなボクサーのね、あしたのジョーみたいな、頬のこけ方を・・・

(音声途切れ)

(ダースレイダー)・・・これから取りに行く感が満載で。で、それがフロウにも出てて。後々、いまから振り返ってみると、やっぱりその積んでる感がすごい出て。でも、積めたのも、佐藤さんがちゃんとそういった積める環境をなんとか用意しようっていうのは大事だったと思うんですよね。それこそ、志人、降神の後ろにくっつけちゃうっていうのも。A&Rの仕事ってアーティストの発掘、契約とプロモーション、宣伝だから。もう、ここにブチ込もうっていう判断で吉と出るっていうのが、結構佐藤さん、カマすな!っていうところはあるんですけど。まあ、このSEEDAも才能なんだけど、まあいろいろな才能を見つけているっていう話を佐藤さん・・・

(音声途切れ)

(ダースレイダー)・・・の中で、ラップの天才っていうのがね、日本のHIPHOPシーンでは何人かいて。それこそTWIGYとかもそうなんだけども。やっぱりその2000年代の『こいつ、天才だろ!』って言われたのはやっぱりBESだと。

(二木信)BES。間違いないね。

(ダースレイダー)で、BESもずっとSPICY SWIPEっていう名前でラップやってたんだけども。EISHINとかと一緒に。それが名前がSWANKYに変わって、それをちゃんと作品として。このBESっていう人もね、作品を作るのが非常に苦手なタイプのラッパーなので。だからそれをちゃんとまとめて送り出すっていうところまでしたのは、佐藤さんは偉かったなっていうね。

(トニーボーイ)相当早いうちから、やっぱりSWANKYのデモCDをみんなに聞かせまくっていたっていう話が、すごいあるからね。

(ダースレイダー)じゃあちょっとその曲。言ったからにはSWANKYもね。

(トニー)じゃあSWANKYはPVが。『Process』っていうのを。あと、俺らの当時、すごいセンセーショナルを起こした『評決のとき』っていうのがあるんだけど。どっちがいいかな?ダースくん。

(ダースレイダー)ねえ。評決のとき、見たいね。あ、聞きたいね。

(二木信)これは何年ぐらいの曲?

(トニーボーイ)これは2006年とか7年とか。

(二木信)2006年ってことは、MSCがセカンド・アルバム出して、SEEDAくんが『花と雨』出している同時期ってことですね。

(トニーボーイ)じゃあちょっと、評決のとき。これは、本当はSEEDAくんとかSCARSのメンバーがこの後にヴァースを入れる予定だったんだけど。あまりにも凄すぎて、誰も入れられなかったっていう。

(二木信)凄すぎるっていうのは、BESが?

(トニーボーイ)まあ、聞いてもらえれば。一応、評決のときっていうのは、ちょっとだけピー音じゃないですけど、センサーが入っているバージョンなんですけど。じゃあちょっと、聞いてみましょうか。

(ダースレイダー)お願いします。トニーくん。

(ダースレイダー)いやー、すさまじいラップを。

(トニーボーイ)すさまじい。この後にはラップ、できないですよね。実際。

(ダースレイダー)この後は、大変だね。

(二木信)ダースさんが考えるBESの凄さは、どこにあると思います?

(ダースレイダー)BESはね、俺もずっと池袋BEDっていうところで、十何年前。もう1年目からやってるんだけども。そこにいつもいるやつで。すげー人懐っこい時と、すげーラップマシーンになっている時と。だいたい覚醒する時間が4時20分くらいだったんですね。それぐらいになんないと、いいライブがないみたいな。それぐらいにライブをやらせると、すごいライブをやるみたいな。で、結構その『うぇーっす、すいませーん』みたいな感じなんだけど、結構実はすごいものもあって。

(二木信)それは衝動を抱えている?

(ダースレイダー)衝動、相当あって。ただ、力がありすぎてコントロールできないみたいなところもあって。それが口からビューッ!っと出た時にすごいラップになって出るみたいな。でも、池袋にいる時はやっぱりそのホームにいる感じで落ち着いていて。

(二木信)こういうリズム感を持っている人が日本のラッパーでいなかったですよね。

(ダースレイダー)軟体動物みたいなね。俺の仲間だったグッドフェローズっていうグループが、たぶん録音は最初にBESをデビューさせていると思うんだけども。まあそこでも、ぜんぜんリズム感の取る場所が違うっていうのが結構衝撃的だったんだけども。まあ、そのBES。そしてさっきのSEEDA。こうやってね、どんどん新しいラップスタイルみたいなのが出てきて。そのへんを佐藤さん、すごいたぶん面白がりながらね、わーヤバい!ってやっていて。で、それが川崎でひとつのクルーとしてね、出てくるっていうのも2000年代の日本のHIPHOPを語る上でね。あいつら、出てきたか!っていうのが、SCARS。

(二木信)佐藤さんはSCARSとどういう付き合いだったんすかね?結構、トニーボーイはそこらへんは詳しいんじゃないですか?SCARSのメンツなんて、それこそMSCもそうですけど。なかなかまとまりのない、大変なクルーなわけじゃないですか。

(トニーボーイ)あの、SCARSは元々地元で組まれた、たぶんチーム的なものが最初だったと思うんですけど。その近くで一緒につるんでいたSEEDAくんとか、それこそBESくんとか。あと、I-DeAのコガワくんが加わって。その頃ちょうどSEEDAくんとI-DeAの担当が佐藤さんだったっていうので。それで、こいつらヤバいんじゃないか?っていう、たぶんそういうことだったと思うんですけど。実際、アルバムが出た時、みんなまだラップ始めて1年足らずとか。bay4kの韓くんとか。

(二木信)SCARSの『THE ALBUM』の時。

(トニーボーイ)そうですね。とか、STICKYくんとかも本当にラップ始めたてらしいんですけど。でも、それが逆にすごいみたいな。これもまた、言葉で、口で言っていてもよくわからないからね。

(ダースレイダー)あの、SCARSに関してちょっと1個言っておきたいのは、このアルバムが出たタイミングっていうのがたしか9月2日とかなんだけども。その日に、渋谷のGAMEっていうところで僕が蝕っていう日本のHIPHOPのイベントをやっていて。それで、佐藤さんから電話があって。『アルバムが出るんだけど。SCARSっていうのの発売日だけど、盛り上がりが作れない。みんな宣伝とか得意な連中じゃないから、言ってもやんねーんだよ』みたいに言っていて。で、なんかないかな?っつったら、『蝕が発売日になるから、ちょっとライブやらしてくれ』って頼まれて。で、俺ぜんぜんSCARSだったらもう、やってよ!っていう感じで。で、蝕で。その日はTWIGY&D.O、SCARSって組んでイベントをやって。それで、SCARSが全員揃ってライブをやったんですよ。

(二木信)はい。

(ダースレイダー)全員揃ってライブをやって。なんだけど、全員揃ってライブをやったその直後に、GAMEのあるビル自体が漏電で全部電気止まって。ほいで、DJもなにも、照明も空調もぜんぶ壊れちゃって。で、しばらくはみんなでハンドクラップしながらラップとかやっていて。やってたんだけど、まあ200人以上客が入っていて。それでTWIGYさんも来てるんだけど、もう30分くらい待たせちゃってて。で、これはもう無理だと思って。で、D.Oが出てきて、『待たせたな!でもやんねーよ。次までよろしく』っつって、そのまま解散!みたいな感じで。お客さん、全部出しちゃったんですよ。そしたら、深夜の3時半とか4時とかに、すごい人数の人が街にあふれたせいで、当然のごとく通報されまして。そして渋谷GAME、その次の週にですね、警察官が『ここは何の営業をしてるのかな?』ってですね、いま話題の風営法というやつでですね、摘発されてしまうというね(笑)。

(二木信)おお!

(ダースレイダー)SCARSきっかけみたいな感じで。SCARSのせいではないけど、ビルの漏電のせいなんだけど。SCARSのせいではないんだけど、D.Oのせいでもないんだけど、やっぱりそういう人たちを一同に集めると、そういうことが起こるんだな、みたいな。呼んじゃったな、みたいな。

(二木信)危険な地場が。

(ダースレイダー)なんかあったんだけど。そん時だけなんですね。SCARSが全員揃ってライブしたっていうのはね。だから結構、歴史的なショーだったと思うんだけど。そんなSCARSがどんな存在だったのか?っていうのをね。

(トニーボーイ)じゃあ1曲、聞いてみましょうか。SCARSで、『SCARS』。

(ダースレイダー)イエーッ!A-THUG、STICKY、BES、SEEDA・・・

(トニーボーイ)あと、MANNYくんね。

(ダースレイダー)MANNY、そしてbay4k。あの、bay4kくんもね、『俺はもう、真面目にやっていくことに決めたんです!』って言って一週間後に連絡が取れなくなるっていう。まあ、そういうキャラで。そん時も佐藤さん、『俺、あいつに金貸してたんだよな』みたいな。まあ、そういうキャラですけど。ここまでね、振り返ると佐藤将、偉大なやつなんじゃねえか説っていうのが出てくるぐらいの、クラシック連発なんですよ。

(二木信)そのための、佐藤将追悼ですからね。

(ダースレイダー)やっぱり、裏にいる人っていうのが実際なにをやっているのかわからないっていうのもあって。気づかれないことも多いんですけど、アーティストっていろんなヤツがいるんで。それが才能を引き出せるかどうか?っていうのは、やっぱり環境づくりだったり、マインド、レコーディングブースに入る時も、どんな言葉かけて行かせるんだよ?とか、出てきた時にどういったことを言ってやるんだよ?とか。曲が集まった時に、ちゃんと『ここがこうじゃん』とか言ってあげるとか。『お前、ここがいいところなんだからこうした方がいいよ』って言う人がいる、いないでぜんぜんそのアーティストの運命は決まっていくっていうのがあって。

(二木信)うんうん。

(ダースレイダー)そういった意味では、いい裏方の人に会えるかどうかっていうのがすごい大事で。そんなの、ビートルズでもなんでもそうだから。そういった意味で、2000年代初期のいろんなラッパーだったりDJだったりの、ちょっと方向性を。『お前、こっち向いた方がいいよ』ってだけでもぜんぜん違うから。顔の向きをね。なんかそういう方向性とかを決めてあげてたのが佐藤さんだと思うんですよね。

(二木信)だからなんか、ele-kingっていう音楽情報サイトに佐藤さんの追悼文を書かせてもらったんですけど。

[参考リンク]R.I.P. 佐藤将 ele-king

(ダースレイダー)あれ、よかったですよ。

(二木信)そん時にも書いたことなんですけど、別にネガティブなことばっか言ってもしょうがないんですけど。日本だとちょっとその、たぶんHIPHOPっていう音楽ジャンルだけじゃなくて、A&Rっていうものの立場というか、評価が低いのかな?と。

(ダースレイダー)間違いない!

(二木信)本来だったら佐藤さんが生きている間にこういう番組をやれれば、本当はよかったなっていう風に・・・

(ダースレイダー)まあ、照れ屋だからね。佐藤さんは。『いいよ、いいよ』っていう。

(二木信)そうそう。だから、裏方になる人って結構照れ屋なんで。前に出たがらない人も多いじゃないですか。だからなんか、やっぱりそういう人を取り上げることもなかなか難しいんですけど。たとえばその、アメリカのA&R25 25年の歴史って限定して、Complexっていう音楽WEBサイトで誰がトップ25か?20か。を選んでいて。その中でRZAとか、P.Diddy。いま、名前違いますか。あと、Dr.Dreとか。入ってくるわけですよ。やっぱ。

[参考リンク]The 25 Best A&Rs in Hip-Hop History Complex

(ダースレイダー)うん。

(二木信)だからA&R観みたいな。A&Rとは何者か?みたいなものも、日本のHIPHOPをなんて言うかもう少し、熟成させて土壌を作っていかないといけないなって思いますよね。

(ダースレイダー)P.diddyなんて、曲をミックスしている時に部屋入ってきて、『スネアの音、ちょっと1個だけ上げな』みたいな指示でおわりだけど、ぜんぜん変わるとか。曲が変わるみたいな。そういった指先も持っていたりするし。あとは、佐藤さんっていうのは元々日本語ラップヘッズで。もうすっごい日本語ラップが好きで。そういう気持ちを持っていた人で。HIPHOPっていうのはゲームだから、プレイヤーになんないと参加できないと思いがちなんだけど。佐藤さんみたいなやり方でHIPHOPゲームに参加することで、実はゲームをコントロールするっていうか。ゲーム盤を作ったりっていうところで関われるから。本当にヘッズの人たちっていうのは、マイク握ってやろうぜ!とか、ターンテーブル買ってやろうぜ!とかも、もちろんそうなんだけど。佐藤さんみたいな関わり方で、クラシックを自分で生み出していく現場に立ち会えるっていう喜びもあるから。そういった裏の人たちを、もっとスポットライトを当てることによって・・・

(二木信)そうですね。

(ダースレイダー)関わる。『あ、あれだったら俺もできんじゃねーかな?』っていうのを。『いや、俺友だちですげーヤバいラッパー知ってんだよ!』ってヤツが、それをそういったスキルでゲームに参加していくってことも出来ると思うんですね。

(トニーボーイ)そうだね。そういうことだね。実際、佐藤さんってそんなに軌道修正するとかじゃなくて。

(ダースレイダー)一緒にいるっていう感じだよね。

(トニーボーイ)その才能を信じて、ひたすらプッシュするっていう。そこに尽きる人だったから。

(二木信)あと、だから佐藤さんのA&Rスタイルっていうのは、我慢のスタイルでしたね。い続けるっていう。

(ダースレイダー)なんなら、2・3時間いるんですよ。『俺、留守番してようか?』ぐらい、いるんですよ。部屋に。『ちょっと出かけるんですけど・・・』『じゃあ俺、留守番してようか?』ぐらい、いる人なんですけど。もうずっといることで、信頼とかが生まれてって、ポロッとアイデアとかがそこで出るみたいな。

(二木信)だからA&Rにもいろんなスタイルがあると思うんすよね。すごいアーティストとかラッパーに対してアドバイスとディレクションしまくる人と、佐藤さんみたいに待つタイプ。待って待って待って。付き合いまくるっていう。だからそういうのももう少し見えてくると、音楽の楽しみ方もぜんぜん変わってくる。リスナーも含めて。

(ダースレイダー)そうですね。ストーリーがいろいろ膨らんでくるから。まあちょっとね、さっきもコメントもらっていたんだけど、サイプレス上野とロベルト吉野っていうアーティストも、ずっとやっぱりある種の飛び道具スタイルっていうか、ライブでずっとやっていて。それで、ずっとそのスタイルで来ているけど、やっぱり最初はね、みんなで『上ちょ、上ちょ!お前ヤバいな!』っていう状態ではぜんぜんなくて。

(二木信)サイプレス上野が。

(ダースレイダー)むしろまったく盛り上がんないところに、干しキノコとか投げているようなやつだったんで。そこから、『なんなの、あいつ?』みたいな。『客いねーところでダイブなんかしてさ』って言われていたのも、佐藤さんはやっぱりそこはもう、『いや、上ちょイケるよ!』って。

(二木信)『そのままでいいよ』って言うタイプなんだよね。

(ダースレイダー)『いいよいいよ、お前、ぜったいイケるから。とりあえず大丈夫』っていうのをたぶん横で言い続けていて。

(トニーボーイ)『homebrewer’s』の2に上ちょとロ吉の『女喰ってブギ』っていうやつを入れたのも佐藤さんだったしね。

(ダースレイダー)で、そこからいま・・・サ上とロ吉。上ちょがやっていることを見て、間違いねえ!って言うのは簡単なんだけど。昔、それを言うのは大変だったと思う。でも、それを佐藤さんは『大丈夫大丈夫』って言って。

(二木信)しかも、それを会社に通すのも大変ですからね(笑)。

(ダースレイダー)もっと大変(笑)。それはもちろん。

(二木信)まあ、そういうレーベルに所属してればね、個人の事情だけではないわけですからね。

(ダースレイダー)そう。だからそこのやりくりっていうか。ある種、ちょっと上を騙して1曲入れちゃうみたいな。それはさっきのSEEDAのPV作戦もそうなんだけど。要はちょっと忍ばせてなんとかするっていうのをやっていた人なんで。

(二木信)しかもだから俺がやっぱ佐藤さん好きだったのは、単純なマイナー志向じゃないところがあるじゃないですか。ちゃんとあの人自身の感性っていうか、嗅覚っていうか、色があるっていうか。ただちょっとマイナーだからいいとかっていうような、ざっくりした感覚ではないんですよね。

(ダースレイダー)マイナーだからありがたがるっていうよりは、あの人特有のピンとくるなにかがあれば、ぜんぜん付き合うよ!っていう人だったから。まあ、なんかそういった中でね、上ちょのね、サ上とロ吉の曲もちょっと。トニーくん、なんかあったら。

(トニーボーイ)あ、じゃあこれ。最初のデビュー曲じゃないんだけど。その後に佐藤さんが担当の時だした、『WONDER WHEEL』っていうアルバムから、じゃあタイトル曲の『WONDER WHEEL』のPVを。

(ダースレイダー)イエーッ!サイプレス上野とロベルト吉野『WONDER WHEEL』。

(二木信)こういう、だから意外にいままで聞いてきた流れからすると、佐藤さんが手がけたアーティストの中でだいぶポップなセンスもあるんですよね。

(ダースレイダー)佐藤さんは音楽性ってことじゃないんだよね。スタイルがどうっていうので好きっていうんじゃなくて、もっと根源的な、そいつの持っている何かっていうところで。まあ、この曲なんか本当に上ちょが想いをバチッとぶつけてて。実際、『別れもあるのが人生のアルバム』なんてね、このタイミングで聞くとちょっとグッとくるラインが入っているんだけども。佐藤さんはそこも、『お前ら、面白いよ』っていうのをちゃんとフォローしてたっていうね。だからもう、いまのサ上とロ吉のね、状態っていうかさ。まあ、吉野はちゃんと金返しなさいっていうのはね、ありますけど。そういったところを佐藤さんは見てて、まあ、『あいつら、なんかモテてそうで嫌だな』って言ってるんだけど(笑)。

(二木信)(笑)。そういう座談会、ダースさんやってたじゃないですか。トニーボーイも含め。

(ダースレイダー)うん。サ上が、要は『モテてんじゃねーか?お前、被害者ぶってるけど。「HIPHOPの呪いだ!」って言ってるけど、お前絶対いい思いしてる』っつって。『俺はしてない!』っていう思いのみで作った『月刊黒鳥』っていう対談がね、上ちょと僕とね、佐藤さんであるんですけど。

(二木信)いまもだから、インターネット上で・・・

(ダースレイダー)見れます見れます。ブラックスワンで。で、このP-VINEっていうレコード会社で、さっき言った会社の上の通すのも大変だっていうのも、佐藤さん的には相当・・・世に出てるものはこれ、あるんですけども。たぶん出そうとして、はねられたものもいっぱいあって。で、アイデアはあの人、『あいつ、面白いと思うんだよな』『あれとあれでこういう曲やったら面白いと思うんだよな』っていうのがすっごいある人なんだけど。まあ、実現できない。会社って組織の中では、やっぱり数字も出てくるし。『いや、お前これぜんぜん売れてねーじゃねーか』とか。『いや、これでもかっこいいじゃないですか』って言っても『ダメだよ、こんな売れてないもの出したら』っていう話になっちゃう場所にいる限界っていうのを佐藤さんも・・・

(二木信)感じてたんでしょうね。

(ダースレイダー)で、そん中で佐藤さん、P-VINEを辞めまして。その後、しばらくなんか謎の事務所に入って。韓国人のアイドルとかを担当してるっていう(笑)。時代もあるんですけど。

(二木信)実はそうなんですよね。1年・・・これ、別に言っても大丈夫ですよね?

(ダースレイダー)ぜんぜん大丈夫です。

(二木信)1年間ぐらい、アイドルの事務所で働いていたっていう。

(ダースレイダー)ミッドタウンとかに。『本当にストレスたまるから、メシ食いに来てくれ』って(笑)。呼ばれて、たまにカレーとか食いに行ってたんすけど。まあ、そういったのを経て、ずーっと貯めたアイデアと、アイドル担当期に溜めたストレスとかを発散するために自分のレーベルを作ったっていうのがBLACK SWANなんですよね。

(二木信)ブラックスワンね。

(ダースレイダー)で、ブラックスワンっていうのを作った時に、やっぱり自分の頭の中にあるやつを全部形にしたいと。佐藤さん的に。しかももう、相談なんかしなくても、これ面白い!って俺が思ったからやりたいと。

(二木信)しかも、ブラックスワンっていうレーベル名を俺、1回熱く語られたことがあって。『黒鳥』っていう意味じゃないですか。たぶん俺が説明するよりも、現代表のダースさんが説明した方がわかりやすいかという気がしますけど。これ、結構だから熱く考えてましたよね。このレーベル名について。あの人は。

(ダースレイダー)で、CDとかにも説明がついていて。オーストラリアで黒い白鳥が発見された!って。想定外。要はまあ、予想できるもんなんてつまんないんだよ。どんだけ裏切るかだって。で、しかもそれが面白いっていうのは佐藤さん、『俺はこれ、面白いってのは知ってるんだ。みんなは知らないから、それを形にして出したい』って。で、そういった思いでレーベルを立ち上げて、代々木八幡に事務所も借りて。

(二木信)借りてましたね。

(ダースレイダー)それで、ちゃんと法人にしたから、みたいなことも言ってからの1年ぐらい、なにもしてないんですよ!

(二木信)(笑)

(トニーボーイ)なにもしてなかったね。まったく。

(ダースレイダー)俺、もうびっくりしちゃって。で、『立ち上げたんだよ』っていってすぐに事務所にお祝いに行って。で、いろいろ構想は語るんですけど。こういうのやったらいいな、とか。本当になにもやんなくて。心配なぐらい。で、事務所行くといつもいるんですよ。それで、『なにやってんすか?』『YouTube見てた』とか。そういうので。これはもしかしたら、もしかするぞ、ぐらいの。

(二木信)それは、あれなんですかね?俺、いまでもその部分は謎な部分があるんですけど。ブラックスワンを佐藤将さんが立ち上げて、結構がっつり動き出すまでの空白の1年みたいなの、あるじゃないですか。事務所がある中で。こう、アイデアを温めてた?

(トニーボーイ)いや、ダイヤの原石が見つかったから立ち上げたんじゃなくて、立ち上げてからダイヤの原石を探しに行ったっていう。そういうことなんですね。

(ダースレイダー)結構だから、絶対順番はおかしいんですよ。絶対順番はおかしいし、すごい形から入っちゃうみたいな。結構ちゃんとした事務所とか借りちゃって。

(二木信)HIPHOPっぽいじゃないですか。でも(笑)。形から。いいじゃないですか。

(ダースレイダー)でも、あの人が最初に椅子を自慢してきて。『これ、椅子ヤバくない?』って感じで。こう、グーッと座る肘掛け椅子みたいなのを自慢してきて。『これで絶対仕事はかどんだよね』って言ってから、1年ぐらいなんにもやんなかったっていうね。結構ハンパなかったんですけど。その中で、でも思いはいろいろあったから。そん中で見つけた才能もあるけれども。まあ、結果的に佐藤さんはブラックスワンで6タイトル、リリースすることになるんですね。それも、そんなに多くはないんですけども。その1枚1枚にはあの人なりのすごいアイデアと、『これとこれでこういうことをやったら、面白いことになるんじゃないか?』っていう仕掛けと、仕掛けに対してびっくりする顔が見たいっていうところだと思うんですよね。その、『えっ、こことここでこんな曲やっちゃうの!?』っていう反応を見たいためにやっているみたいな。

(二木信)うん。

(ダースレイダー)で、その、まさにレーベルイメージを表している曲を1曲、聞いてもらいたいと思うんですけども。まあ、ブラックスワンからね。BLACK SWAN CASE #3でMINTfeat.ECDで『想定外』。とりあえず、聞いてもらいます。じゃあトニーくん、お願いします。


※動画2:20あたりからスタートします

(二木信)この想定外。MINTが元韻踏合組合のメンバーで。だから佐藤さんがね、早い時期というか、2000年前半ぐらいに・・・

(ダースレイダー)ミンちゃんは韻踏の中でもね、特に変わった人物で。まあ、取扱注意なラッパーなんですけども。まあ、そこと石田さんっていうね、化学反応がやっぱり。佐藤さんが聞いてみたいっていう気持ちがぜったいあるんですよね。これ、2人やったらどうなるんだろう?って。佐藤さんが聞いてみたいから、きっとみんなも聞いてほしいに違いないと。いうそこの飛躍がレコード会社では非常に問題とされる存在なんですけども、それをやっちゃうっていうのがこのレーベルの強みだと思うんですけども。でも、この曲なんかは本当にね、おっ!っていうね。かっこいい方にバシッと決まってるし。たぶん仕上がりに佐藤さん、相当満足してると思うんですけど。こういった組み合わせ、コンピレーションの中で、このトラックにこういったラッパーを乗せてっていうのをブラックスワンではいろんなパターンをやっていて。そのへんはブラックスワンのコンピレーションシリーズで出てるんですけども。

(トニーボーイ)まあ、なによりもっていう感じですよね。なによりも、ブラックスワンと言えば・・・

(ダースレイダー)まあそれで、ようやく原石を探す旅の中で、1人、見つけて。そして世に送り出した。これがだからその佐藤さんのいままでのワークスの中での最新アップデートバージョンっていうか。旭川からね、当時17才のGOKU GREEN。GOKU GREENを見つけて、そして作品をちゃんと作って。で、アルバムをね、2枚出してるんですよ。で、ここはもう佐藤さんは相当熱をためて。やっぱ見つけて、みんなにとにかく聞いてほしいんだよ!って。最初のね、初期のデモから車で。車で聞かされるパターンなんですけど。もう車乗ったらぜったい聞かせてきて。『今度こんな曲録ったんだよね』って。

(二木信)最初、佐藤さんGOKU GREENをなにで知ってっていう形だったんですかね?

(ダースレイダー)ええとね、あのね、本人(GOKU GREEN)もいるんだけどね。いま。あとで聞いてみようかな(笑)。

(二木信)そうしましょうか(笑)。

(ダースレイダー)なんで、でも知らない人もいると思うんで。まずはね、そのGOKU GREENがどんな才能なのか?っていうのをね。曲を聞けばわかるタイプなんで。お願いします。

(トニーボーイ)GOKU GREENくんで、『The Movie Star』。

(ダースレイダー)GOKU GREEN!旭川の若き才能。これ、佐藤さんが本当に初期から聞かせてくれてて。で、オケをやっているLIL’OGIさんっていう人が担当していたり、Cherry BrownがLil’諭吉でやってたりするんだけど。とにかくね、そのへんも含め、全体のムードっていうのを彼。佐藤さん的にはかなり突っ込んで作っていたっていう。

(二木信)ああ、今回。GOKU GREENに関して。

(ダースレイダー)もちろん、自由に作らせていたと思うんだけども。結構佐藤さん的には攻める、攻めの姿勢はかなりあって。久しぶりにちょっと、前のめりに。やろう!っていう気持ちはあったと思うんですよね。で、高校生ラップ選手権。僕が公式レフェリーとかで参加しているのが、出てきた時にもGOKU GREENも高校生ラッパーとして出してたから、佐藤さん的にも動向を気にしてて。それで、『どうなの?そっちは』みたいな感じで、いつも佐藤さん、こういう感じで・・・口を隠しながらしゃべるんですけども。

(二木信)斜めに構える感じ。

(ダースレイダー)斜めに構えて口を隠しながら・・・

(二木信)ああ、(モニターに)佐藤さんの映像が流れてますね。あ、覆面かぶっちゃいました。

(ダースレイダー)これ、覆面かぶっちゃったけど、これ佐藤さんね。これ、事務所です。ね、みなさんお揃いでっていう感じで。この椅子です!自慢されたの(笑)。

ダースレイダー 日本語ラップ界 名A&R佐藤将の足跡と功績を語る

(トニーボーイ)これ、じゃあダース。軽く説明してもらってもいいかな?

(ダースレイダー)あの・・・(笑)。これはですね、ツイッターでファンの子たちを呼んで、内情を全部教えてやる!って言って、HIPHOPの業界の裏話を全部暴露してやるぜ!って呼び寄せたところに、怖い顔して待っていてびっくりさせようっていうね、佐藤さんの・・・

(二木信)ドッキリを。で、そんなことは俺とか誰も知らされてなくて。いきなり佐藤さんのノリで、覆面かぶってバット持って始まって、っていう状況ですね。

(ダースレイダー)うん。もう佐藤さんはノリノリなんですね。これ、相当面白いことを思いついたっていうね。

(二木信)感じなんですけど、周りは結構引いてるんですよ、これ(笑)。

(ダースレイダー)ちなみにこれも、このアイデアを思いついた時に電話で、もう笑いながら言っていて。『ダースさー、バット、目出し帽で待っていたら、ビビるでしょ?絶対』とか言っていて。『いや、ビビるっていうか、普通にビビッておわりじゃないですか?』みたいな。このね、謎なんだよね。一応ね、佐藤さんの中ではピーッ!っていうラッパーがモデルでいるらしいんですけど。名前はあえて言わないんですけども。

(二木信)モデルがあったんですね。

(ダースレイダー)ここにトニーくんもいるけど。そういったラッパーもいるんですけど、その人のノリで行きたいと。したら、相当ビビらせることができて、ツイッターとかで余計なことつぶやかねえだろうと。なんかそういうノリで呼んでたらしいんですけどね。

(二木信)で、この後来るんですよね。ツイッターで、『ここに来たい』と言った若い人たちが。

(ダースレイダー)ね、これね。なにやってんだ?ってことですけどね。

(二木信)周りがあんまり統一感ないですけどね。全くその佐藤さんのノリに合わせようとしていない(笑)。

(ダースレイダー)説明とか下手なんで。佐藤さんね。

(トニーボーイ)ブラック・スワンっぷりがよく出てる。

(ダースレイダー)これ、想定外。本人も想定外の事態になっているっていう。こういう人なんですけども。

<書き起こしおわり>

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