宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』でクラブ営業に関する風営法の改正案が閣議決定されたニュースを取り上げ、ダースレイダーさんの解説コメントを紹介していました。
(宇多丸)で、ですね。ちょっとここ時事ネタ的なちょっと話をさせてください。そんなディスコの神様も気になっているはずのニュース。日本でこんな報道がされました。テレビなどでも扱われたのでご存じの方も多いと思います。あと、TBSラジオではすでにSession22で急遽取り上げられたりなどもしていたというこのニュース。この番組でも追いかけ続けてきた風営法改正案。ね。何度か私もこの番組でも。僕の要するに活動領域。元々HIPHOPグループ。活動領域がまあ、クラブ。DJもやっておりますし。ということもあって非常に関係が深い風営法改正案というこの問題。何度か取り上げて参りましたが、これについて大きな動きがありました。
ちょっとですね、昨日の日経新聞から一部引用させていただきます。『政府は24日、ダンス営業の規制を緩和する風俗営業法の改正案を閣議決定した。現行法は踊りや音楽、飲食を客に提供するクラブを風俗営業に指定し、営業時間、原則午前0時までや店内設備などを厳しく規制している。改正案では店内の明るさの基準などをクリアすることを条件に、風俗営業からクラブを外して24時間営業を可能にするという閣議決定が昨日、なされた』というね、ことでございます。ということで、この結果について以前からこの番組で、この問題を伝える時にですね、ゲストとしてお招きしてきました。クラブとクラブカルチャーを守る会のメンバーにしてラッパー。ダースレイダーさんに、ええと、電話?あ、失礼しました。ダースレイダーにコメントを取材してきていますので。その件ちょっと、放送作家の古川耕さんにですね、伝えていただくと。
(古川耕)はい。作家の古川でございます。ダースレイダーさん、ちょうどいまの時間、ライブに出ているということなんですよ。なので、電話の出演が難しいということで。
(宇多丸)かき入れ時でございます!
(古川耕)かき入れ時。金にならない活動でお馴染みのダースレイダーさん、いま、金を稼ぐという。
(宇多丸)数少ない、金を稼ぐ瞬間でございます(笑)。これ、あれね。クラブとクラブカルチャーを守る会の活動、すごい大変そうなんですけど。一銭にもならないという。
(古川耕)無償で。本当に素晴らしいんですけど。なんで、いま、お金を稼いでいるので、代わりに僕がコメントを取ってきました。今回閣議決定された風営法の改正案では、クラブが風営法というカテゴリーから外れてですね、まったくいままでなかった新しいカテゴリー「特定遊興飲食店営業」っていうカテゴリーができたと。まあ、遊んだりダンスできたりする飲食店のこと。というのをですね、許可制の条例として作って、この条例の中で管轄するよっていうことになったんですね。つまり、クラブ用の新しいカテゴリーを作ることにしましょうということです。
(宇多丸)なるほど、なるほど。
(古川耕)で、この条例が定めているのはですね、クラブっていうものを照明の明るさで規制をしましょうということなんですね。これが、いまのところ出ている数値としては、10ルクス以上。
(宇多丸)あ、本当に具体的な。
(古川耕)10ルクス以上とされていて。10ルクスというのは目安で言うと、映画館の休憩時間中ぐらいの明るさ。上映が始まる前に、ちょっとほんのり明るいですよね。あのくらいの明るさがあれば、特定遊興飲食店営業の許可を出しますよと。
(宇多丸)いままでのクラブ感からすると、ちょっと明るめではありますね。
(古川耕)はい。これがキモなんですけども。この照明の明るさが、どこで計測するのか?っていうのがキモになるんですけども。これはですね、ダンスフロアではなく、飲食スペース。バーカウンターだったりとか、飲食をする場所でこの明るさを基準に測定しましょうと。
(宇多丸)あー、なるほど。
(古川耕)つまり、クラブフロア、ダンスフロアに関しては、演出なんかもあるでしょうから、測定をしないということに。
(宇多丸)あ、でもそれはぜんぜんいいですね。
(古川耕)そうです。そうです。つまり、まあ比較的いまの状態、クラブの営業のそのままのスタイルでやるように、というような動きにいまのところなってはきているので。ダースレイダーさん曰く、何十年とこれまでずっと放置というか見逃されてきた風営法の問題が、昨日をもって大きく前進したと言って間違いはないと。
(宇多丸)これは間違いない。本当にね、ずっとグレイゾーンでね。綱渡りしながらみんなやってきたところが。
(古川耕)ただし、まあ問題というかですね、懸念される事項ももちろんあるということで。いまの国会というのはまあ、新聞報道などでもある通り、議員辞職などが相次いでですね。会期が圧迫されているんですね。その中でこの改正法っていうのは比較的優先順位は下の方になってしまっているので。まあ、今国会内で成立するかどうかは、微妙であると。
(宇多丸)ああー、なるほど。
(古川耕)で、あと実際にこれ、法律が決まったとしても、施行されるのは1年後だそうなので、この間にですね、クラブ絡みでまた事故・事件などがあったりすると、一気にこの風向きが逆風になってしまうおそれもあるということなので。それに比べて具体的な法整備であったりとか、測定方法の仕方っていうのを厳密に決めていくのはこれからだということなので。まだまだ、こうバンザイして浮かれていられるような状況ではないんですっていうことは、声を大にして訴えたいと仰ってました。
(宇多丸)これはだからクラブで仕事する側、お客として遊ぶ側もそうだけど。ここがちょっとフンドシの締めどころですぞと。
(古川耕)と、いうことでしょうね。で、彼の代表する、所属するクラブとクラブカルチャーを守る会では、いま『PLAY COOL』キャンペーンというですね、明け方のクラブの街の清掃したりとか・・・
(宇多丸)そうなんですよね。
(古川耕)地元の商店街と話し合いの場を設けるなどっていう活動は、これは法律とは関係なく、個別にずっとこれからやって行かなければいけないことなんだって。
(宇多丸)本来ね、そのクラブ営業というのの中で、そういうことはやっていくべきことだったのかもしれないと。
(古川耕)そういうことですね。というのは、今後も引き続き、今回の法令とは別にやっていかなければいけなんだということをダースレイダーさんは仰っていました。
(宇多丸)なるほど。はい。ということで、みなさんね。ちょっと、わかりやすく伝わったんじゃないかと思いますが。この問題についてはこの番組でまた、引き続き特集というか、お知らせしていきたいと思っております。また、このね、金にならない素晴らしい活動。志の高い活動でお馴染みのダースレイダーさんですが、ちゃんと金になる活動もしているので。みなさんね、ぜひお布施のつもりで。最新EP『REIDERS EP』がですね、先月発売されたばかり。BLACK SWANというレーベルも運営しながら忙しくしてるので。ダースレイダーさんのラッパーとしての活動も、ぜひみなさん、注目してください。
(宇多丸)えー、ということで、この問題を受けて。今日、ちょうどゲストtofubeatsくんなので。この曲。ちょっと曲をかけようかと思います。10月2日、トーフの日に発売されたアルバム『First Album』よりですね、もともと2010年からあった曲なんですが。もともとそういう意図がない曲、そういうつもりで作った曲ではないんだけど、いつの間にかその風営法改正運動のアンセムというかですね、合言葉のようになって来た曲なので。『だったら・・・』ということでフリーダウンロードにして、という風に2012年の時点ではtofubeatsさんが発言されているというこんな曲。非常に象徴的な、このタイミングで聞くと、響きになるんじゃないでしょうか。お聞きください。tofubeats『朝が来るまで終わる事の無いダンスを』。
tofubeats『朝が来るまで終わる事の無いダンスを』
(宇多丸)はい。tofubeatsくんはこの後、11時のスタジオライブに登場していただきます。
<書き起こしおわり>
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