町山智浩 アメコミ映画の魅力を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『荻上チキSession22』に出演し、アメコミ原作映画の魅力を語っていました。

(南部広美)ここからはセッション袋とじ。今夜は荻上チキが町山さんに聞きたい!アメコミ映画の魅力と題してお話を伺います。

(町山智浩)はい。

(荻上チキ)今日は是非、直接教えを乞いたいなと思ってですね。というのは、私最近映画館に映画を見に行けないものですから。子供ができてね。どうしても、置いていけないということで。となると、DVDをね、見ることが増えるんですけども。つい最近、『アイアンマン3』がDVDでレンタルを開始しまして。見て、楽しく見させていただいて。そしたら今度はハルクとアイアンマンの映画も撮られると。それから、スーパーマンシリーズの『マン・オブ・スティール』もやってるじゃないですか。『アヴェンジャーズ』も今後、続編が楽しみだということで。

(町山)はい。2はもう、2015年かなんかの予定ですよね。

(荻上)やっぱりアメコミ映画を見ると、もう『うわー、かっこいい!』ということで。血がたぎるんですけども。なので、アメコミ映画の見所や、注目ポイントを是非。町山さんはどういう風に見ているのか?ということを伺いたいなと思いまして。

(町山)ああ、そうですか。

(荻上)町山さんが一番好きなアメコミ映画っていうのは、ここしばらくですと・・・

(町山)最近だと、通しで全部アメコミ映画の中で一番好きなのは、『バットマン・リターンズ』ですね。

アメコミ映画で一番好きなのは『バットマン・リターンズ』


(荻上)リターンズ?

(町山)ですね。はい。あれが一番すごい感じがするんですよね。なんて言うか、ティム・バートン自身がいじめられっ子でずっと来たから、敵で出てくるペンギンっていう異形の男がいまして、それが世の中に対する無差別テロを繰り返していくんですけども。それにどんどん監督自身が加担していくんですよ。精神的に。で、世の中の健常者の社会を全部破壊してやれ!みたいな。全然それ、ヒーローものの方になってないんですけど・・・みたいなものになっていって。それが結構すさまじい映画で、僕好きなんですよ。バットマン・リターンズが。

(荻上)ええ。

(町山)でも、最近だとやっぱり『ダークナイト』が好きで。やっぱり同じ話だな。僕、ヒーローものよりも、敵の方に加担してますね(笑)。

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(荻上)でも、悪をどう魅力的に描くか?っていう。

(町山)そうなんですよ。

(荻上)やっぱりその、ジョーカーが魅力的すぎて。

(町山)すごいですね。ジョーカーになっちゃうと、今度はバットマン・リターンズと違って、恨みすらないんですね。純粋な、アンティシシスっていう、なんて言うか。世間一般にある、まともと考えられているもの全てをひっくり返していくという、価値観自体の破壊しか目的がないという、非常に形而上学的な敵になってくるんですね。

(荻上)アンチそのものみたいなね。

(町山)ただのアンチであって、なにも求めるものがないみたいなところがすごかったですね。

(荻上)ただの『荒らし』ですよね。

(町山)そうそうそう!目的、ないの。目標もないの。ただの荒らしなの。それで、みんが荒れてると喜ぶっていう。まさにジョーカーっていうね。名前通りの存在ですよね。

(荻上)で、ダークナイトでは勝てなかったじゃないですか。作品の終わりまで。で、続編ではジョーカー、出てこないわけですよね。いなくなってしまって。

(町山)あれ、ジョーカーどこ行ったのかわからないんですけど。主演俳優が死んでしまったのでね、わかんないです。あれ、ジョーカーぶら下がってたままで終わっちゃったんですけどね(笑)。ダークナイト、なんかよくわかんないけど。あれもよかったのは、ジョーカーに勝ったのはバットマンではなくて、無辜の市民が勝ったんですね。あれもよかったですね。

(荻上)だからこそ、ヒーローの価値っていうものが揺らぐような形になったわけですよね。でもこう、ダークナイト僕、好きなんですよ。ブルーレイディスクも持っていてですね、結構頻繁に見てたんですけど。『アイアンマン』見た時に、アイアンマンの方が金持ちだし、発明力も高いし、かつ昼戦えるし、強えじゃねーか?と思いましてですね(笑)。


(町山)別に身分も隠してないしね(笑)。

(荻上)そうそうそう。でもモテモテだしと。

(町山)はいはい。モテモテね。

(荻上)あれを見た時に、なんでダークナイトはあんなに背負う必要があったのか?って思っちゃって。

(町山)ねえ。条件としては同じなんだけど。金持ちで発明家でケンカが強くて女にモテる。でも、全然暗くないし、『俺、アイアンマンですけど』とか言っちゃうんですね。アイアンマンはね。あれ、スタークだっけ?トニー・スタークか。

(荻上)トニー・スターク。自分の住所言ったらすぐテロリストに攻撃されて。

(町山)あれ、バカじゃないか?って思いましたね。『俺がどこそこで待っているから来やがれ!』っつって、来たら『たすけてー!』って言ってるんですけど(笑)。

(荻上)対策、ぜんぜん取ってないんですよね。

(町山)ぜんぜん取ってないですね。あれ、なんなんでしょうね?

(荻上)でもその無鉄砲ぶりがまた、あれですよね。それでもなんとかできるヒーローというか。

(町山)それでもっていうか、家、完全に木っ端微塵になってましたけどね(笑)。

(荻上)あれだけ最強だからこそ、ピンチを招くために何ていうかな?無計画じゃないと、ピンチを招けないじゃないですか。逆に言えば。

(町山)はいはいはい。問題は、彼は酒がね、酒癖が悪くて。原作の方でもそうなんですけど。アル中になっちゃうんですよ。原作で。映画版の方でも、なんか酔っ払った勢いでめちゃくちゃなことを言う人なんですよ。そのへんがね、すごいなと思いますよね。

(荻上)そうですよね。1回やっぱりあえてピンチにしないと、続編は作らないってところがね、ヒーローものであったりするじゃないですか。

(町山)『アイアンマン3』はでも、元ネタがあるから。あれは。


(荻上)元ネタ?

(町山)あれ、『クリスマスキャロル』がそうです。だから意味なくクリスマスなんですよ。クリスマスキャロルっていうのは、現在の幽霊・過去の幽霊・未来の幽霊ってのと会うっていう話で。途中で出てくる・・・ネタバレになっちゃいますけど(笑)。

(荻上)みんな見れますからね。

(町山)緑色の敵が出てくるんですけど。マンダリンっていう。あれはクリスマスキャロルに出てくる、現在の幽霊のコスチュームを着てて。完全にクリスマスキャロルをやろうとしてるんですよ。それで、過去の幽霊と会うっていう部分は、発明好きの男の子と会うんですけど。あれは過去のスタークを象徴してるんですよ。で、未来のスタークっていうのは、要するにクリスマスキャロルだと金持ちのスクルージって男が、このまま金持ちでケチで意地悪でいつづけるとどういう風になるか?っていうのを見せられるんですけど。それは軍事産業をやっている、ガイ・ピアースが、スターク自身の悪しき未来なんです。

(荻上)うん。

(町山)だから完全にクリスマスキャロルのストーリーをなぞってるんですよ。アイアンマン3は。

(荻上)やっぱり引用元とかルーツが分かると、映画をいろいろな楽しみ方ができますからね。

(町山)ま、そういうことを言うやつが嫌われるんですけど(笑)。

(荻上)映画好きってそういうこと、語りだすとね。

(町山)それってクリスマスキャロルが元ネタだぜ!って言っている俺だけ得意になっていて、聞かされる方は『バカ野郎!』って思ってますからね(笑)。

(荻上)それは、TPOですからね。

(町山)そう。そういう職業なんでしょうがないですね。はい。

(荻上)そういうことは、求めている人が町山さんを聞いているわけですから。飲み会でいきなり話しだしてもねってところはありますけど。

(町山)これが、カミさんだったり相手がすると、『うるさいわね!』っていうことになるんですけどね(笑)。

(荻上)映画好きだと、映画好きの人と付き合っていてほしいよなって思ったりしますけどね。

(町山)あ、そうなんですか。これで、付き合いはじめだけですよ。『あ、すごいわ』って言ってくれるのは。だんだん、『ウザい』って言われるようになります。今では、娘に言われてます。はい。あまちゃん見てても、『アーマーゾーン!』って出てくるんですけど。いっそんが『アーマーゾーン!』って飛んでくるところで、『あれは仮面ライダーアマゾンっていう仮面ライダーがいてね』とか言うと、『知らないよ』って言われましたね。『知りたくないし』とかね。

(荻上・南部)(笑)

(荻上)そっか。仮面ライダーアマゾンも説明する時代なんですよね。今ね。

(町山)そうなんですよ。アマゾンだけじゃわかんないんですよ。で、いちいち説明するとウザがられるんですよ。

(荻上)昭和のアイドルとかいっぱい出てきますからね。

(町山)いっぱい。出てくる度に説明しようとすると、ウンチクをかたむけようとすると、ヘケッて顔されますね。

(荻上)ヘケッて。おぼっちゃんみたいですね(笑)。

(町山)そうそう。おぼっちゃまくん(笑)。そんな感じですけどね。

(荻上)僕は家族長続きしてるのは、みんな映画好きだからっていうのが、我が家ではあったりする気がするんですけど。だからこう、恋愛ものとかで、たとえば『スパイダーマン』。前のスパイダーマンってそうなんですけど。2・3とかで不仲にするために、なんか別のヒロインをあえて出して、痴話喧嘩で引っ張ろうとするじゃないですか。なんでわざわざ痴話喧嘩しなきゃいけないのか?ってところに間延び感を感じたりしてですね。

(町山)あ、そうですか。スパイダーマンはでも、原作がそういう世界なんですよ。

(荻上)そうですか。MJとの。

(町山)あの、映画にはなってませんけど、スパイダーマンってずっと年とってっちゃったんですよ。実際に。で、結構いい年までスパイダーマンやるんですよ。結婚してから。するともう、夜中に抜け出して、奥さんと結婚してるのにスパイダーマンやりに行くんですよ。夜中に。すると、スパイダーマンやって戦って家に帰ってくると、奥さんこうやって睨んで家で待ってるわけですよ。『アンタ、この夜中にどこ行って来たの!?』って言うんですよ。

(荻上)え?わかるだろ?

(町山)『ちょっと・・・正義・・・』みたいなこと言っても、『なに言ってるの、この!?』って言われる。ねえ、こっそり抜けだして。そういう話になっちゃったんで、途中で全部やめて高校生の話に戻したりしてるんですよ。原作の方は。

(荻上)原作の方、結構シビアな話もありますよね?スパイダーマン。だってこう、MJと付き合わなかった未来はあり得るようなストーリーを・・・

(町山)はい。彼女は目の前で死んだりとか。そういうのやってましたね。はい。

(荻上)あとは『アヴェンジャーズ』シリーズとかだとね、アイアンマンとこう、バトルをしたりとか。まあ、しばしばぶつかるわけですよね。

(町山)アヴェンジャーズの面白いのは、あのチームの全員がものすごく仲が悪いっていう(笑)。ものすごい仲悪いんですよ。それで、どうしてこいつらが一緒に組んでやってられるのか?っていうところがいちばん面白くて。やっぱりアイアンマンがキャプテン・アメリカをいじめるところがいちばん面白いですね。

(荻上)ああー。そうですね。


(町山)キャプテン・アメリカってあれ、少年の頃に筋肉増強剤っていうか超人血清でもって超人になって。で、戦ってすぐに氷漬けになったから。それで70年経ってるのか?設定が。だから、童貞なんですよ。彼は。


(荻上)あ、童貞ですか?

(町山)童貞です。70年、氷漬けの童貞です。

(荻上)そうですよね。それまで華奢で。増強剤を打たれたら、もう・・・

(町山)そうそう。へなちょこで、小倉一郎さんみたいな人だったんですよね。それが、いきなりスーパーヒーローになったんだけど、童貞を捨てそこなってるんですよ。

(荻上)あらあらあら。

(町山)それで70年間、氷漬けですよ。

(荻上)その間の、たとえばツアーとか。なかったんですかね?そういうの。

(町山)ないんですよ。あれ、彼女もいたんですけど、死んじゃったんですよ。とっくに年齢を追い越しちゃってるから。氷漬けになってる間。で、出てきたらいきなりだってアイアンマンとケンカして、『俺はモテモテの金持ち』とかって言われるんです(笑)。

(荻上)(笑)。わかってるけど。

(町山)そう(笑)。『俺はモテモテの金持ちで、お前は70年の童貞』みたいな。ムカッとくるんですけどね。あそこでね。すごいですよ。あのシーンは。ってどこ見てるのかって。

(荻上)たしかに、キャプテン・アメリカはパートナーがいないじゃないですか。スパイダーマンはやっぱりいますし。アイアンマンもいますし。

(町山)キャプテン・アメリカもパートナーは原作ではいるんですけど。まあ、今度のキャプテン・アメリカの続編でね、いろいろと出てくることになると思いますよ。はい。

(荻上)でもアヴェンジャーズ2って、まだスパイダーマン出てこないですよね?映画。

(町山)はいはいはい。

(荻上)これはずっと出てこないんでしょうか?どうなんでしょうかね?

(町山)わかんないですけど、スパイダーマンってニューヨーク以外では何もできませんから。

(荻上)(笑)。ビルがないとね。

(町山)ビルがないとなにもできないですよ。砂漠行って、テキサス行っても何もできないですよ。

(南部)たしかに(笑)。

(町山)本当に。グランドキャニオン行ったらできるけど。他のところでは何もできないですよ。ロスアンゼルスとかも、ビル街でしか何もできないですからね。

(荻上)まあでもたしか、原作の何かのシリーズで、アシダカグモか何かのようなガジェットを誰かに、アイアンマンだったかな?作ってもらって、だいぶ飛べるようになってた気がしますけども。

(町山)(笑)。いろんなものつけないとダメなんですよ。だから本当に都会から出れない男ですからね。一歩も出れないですから。ちょっと隣町のロングアイランドとかニュージャージーに行っただけで役立たずっていうね。電車で30分移動しただけで役立たずになっちゃうのがスパイダーマンですからね。とんでもないヒーローですよ、あれ。

(荻上)地形効果が限定的なんですね。

(町山)限定的なんですよ。ものすごく。

(荻上)なるほど。いま、『マン・オブ・スティール』上映中じゃないですか。町山さん、どうですか?僕、まだ見てないんですけど。

(町山)あ、そうですか?あれはまあ、映画館で見たほうがいいと思いますよ。

(荻上)もちろん見たいんです。すいません、先ほどの事情がありまして・・・なかなか見に行けないんですけど。

(町山)そうですね。これはもう、本当にスーパーマンというものの持っている神話性をすごく強調していますね。スーパーマンっていうのは特に神話的な要素が元々強い作品ですからね。原作者はユダヤ系の人で。で、旧約聖書でモーゼの話を元にね。キリストの話とモーゼの話を元に、スーパーマンという人を想像してね。で、今回の映画版でもっとそこを強調されていて。スーパーマン、33歳になるまで無職なんですよ。

(荻上)無職?

(町山)ニートなんですよ。何もしてない。フラフラフラフラして。33になるまで。でも、キリストがそうだったから。

(荻上・南部)(笑)

(荻上)説得力(笑)。

(町山)キリスト、大工やってたよ!って思うんですよ。キリストの方が偉いと思ったんですね。

(荻上)働いてますからね。

(町山)働いてましたから。大工してましたから。ねえ。でもこのスーパーマン、33になるまでフラフラフラフラしてるんで。だから結構みんなフラフラしている33の人とかは、キリストかもしれねーよ?とか言っておくといいと思うんですけど(笑)。俺、スーパーマンかもしんないとかね、言っとくといいと思うんです。

(荻上)(笑)。適当力ですね。

(町山)適当なね。その時、34になっても何もできなかったりするんですけど。ブルース・リーなんか32で死んでるよ!とか、いろいろあるんですけど。このへんはね、本当にキリストやろうとしていて。それで何度も十字架にかけられるようなポーズをしてみたりとか、そういう話ですね。すごく。

(荻上)あの、スーパーマンって『スーパーマン・リターンズ』で別の監督が撮った時とか、もうヒーローがいらない、スーパーマンがいらない時代なんだというか。そういったものをモチーフに描こうとしてたじゃないですか。で、9.11が意識されるようなビルの倒壊みたいなものがね、あったりしたんですけど。今回、たとえば見所ってどうなりますかね?


(町山)今回は・・・言っちゃっていいのかと(笑)。思いますけど。

(荻上)私はね、ネタバレ大歓迎なんですけどね。聞いている方はどうなんでしょう?

(町山)聞いている人は、あんまり困ると思うんですけど。スーパーマンより無茶苦茶強い人が出てくるんですよ。で、スーパーマンを倒せるのはスーパーマンより強い、要するに自分と同じ星から来た男だけなんですよ。ゾッド将軍っていうんですけど。そうすると、実は1対1で戦うと、スーパーマンそんなに強くないんですよね。それがはっきりとわかってね。

(荻上)ええ。

(町山)だからこのゾッド将軍っていのは、なかなかいい男でね。あの、スーパーマンって、あの着てる服っていうのは下着なんですよ。

(荻上)下着?

(町山)下着なんですって。

(荻上)あの星のとかですか?

(町山)そうそう。あの青い、『S』って書いてあるの。で、あれは本当はその上に鎧をつけるんですって。

(南部)ええー!?

(町山)その説明がでてくるの。

(荻上)じゃあパンツで戦っているような・・・

(町山)パンツで戦っている。タイツで戦っているっていうか。だからなんて言うのかな?江頭さん状態ですね。スーパーマンは。

(荻上)防御力、ないですねー。

(町山)そうそうそう。モジモジくんみたいな形で戦ってるんですね。スーパーマンは。で、それに対してゾッド将軍が『お前、なんて格好で戦ってんの?本当は鎧を着るんだよ』って、鎧を着てスーパーマンをボコボコにするんですけど。

(荻上・南部)(笑)

(荻上)フェアじゃないのね(笑)。

(町山)フェアじゃないでしょ?そしたらゾッド将軍がいい男でね、『よし、わかった。俺、鎧をとってやる』って鎧をとってくれるんですよ。戦っている最中に。

(荻上)パンツレスリングじゃないですか。

(町山)そう(笑)。悪役なのにいいヤツなんですよ。で、1対1になって戦うんですけど、どっちがいい人なのかわからなくなってくるんですけど(笑)。なんか不思議な映画ですよ。その点で。

(荻上)33年間ね、長く働かなかった人に、なんか人生のやり方を教えてるみたいな。

(町山)そういうところ、ありますね。だからフェアなんです。敵の方が。いろんな意味で複雑な映画だったんですけど。

(荻上)そういう魅力がある悪役、いいですね。

(町山)悪役が結構いいですよ。本当にデカい人がやっていますけどね。巨大な人ですけども。あとやっぱり、ケビン・コスナーのお父さんとかも、すごく困ったオヤジでね。『絶対にスーパーマンの力を出すな!出すな!』って言われてるから、出せないんですよ。スーパーパワーを。主人公は。で、『出すな!出すな!』って言っている間にお父さん、死んじゃうんですけど。

(荻上)あらあら。

(町山)これも間違った教育じゃねーか?と思うんですけどね。いろんな点でいろんな疑問が残る(笑)。

(荻上)結果、ものすごいトラウマを与えましたからね。

(町山)あとね、やっぱりタイアップがキツすぎますね。この映画。マン・オブ・スティールは。とにかく戦っていると、アイホップっていうパンケーキ屋さんがあって。とにかく戦っていると、そのコンビニとかで戦うんですよ。

(荻上・南部)(笑)

(町山)なんなんだ?って。看板が大写しになるんですよ。アイホップとかね。

(荻上)(笑)。鷹の爪団みたいな。

(町山)そう。とんでもないなって。この間の『ワールドウォーZ』っていう映画でもそうで。世界が破滅する!とかいう状況なのにも関わらず、思いっきりペプシのステマしてるんですよね(笑)。

(荻上・南部)(笑)

(町山)大変だ!っていう状況でもね、ペプシをゴックン!っていうね。ブラッド・ピットが。もう今、おそろしいことになってますよ。映画界は。タイアップが本当にもう。

(荻上)タイアップから見る映画史で、どこにそれが紛れているか?って追うだけでも楽しそうですね。これね。

(町山)見ればすぐわかりますよ、それは。

(荻上)露骨すぎて。

(町山)だってもう、看板出まくるんだもん。バンバンバンバン。だからすごく冷めるんですよ。でも、お金をいま集めるにはそれしかないんですね。

(荻上)スマートなやり方がいいですよね。

(町山)スマートなやり方って、どういう風にやったらいいですか?

(荻上)僕はやっぱり『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』見た時に、やっぱり・・・

(町山)あれは上手い!あれは上手いですよ。『E.T.』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のステマは最高に上手いですよ。あれは。

(荻上)(笑)。露骨すぎますけどね。あれ。ステレスじゃない。

(町山)ステレスでもないけど。でもちゃんと商品名が入ってるんだけど、そんなにクドくないですよ。

(荻上)やっぱり『2』はペプシか!とか。思わせる効果がありましたからね。

(町山)ねえ。スーパーマンとかね、ワールドウォーZのね、すごいですよ、もう。この究極の状況でもってペプシ!?みたいな(笑)。めちゃくちゃおかしいですよ。

(荻上)そうですよね。なんかたしか『ゾンビランド』でスナック菓子を探し求めるシーンが・・・


(町山)はいはい。トゥインキーっていう。

(荻上)そうそう。あって、僕食べたことないんですけど、あれ食べたくなりましたもん。

(町山)あれ、ものすっごくマズいです。

(荻上)マズいんですか?

(町山)ものすごく甘くて、死ぬほどマズいです。あれは。

(荻上)でも作中の中でも『なんでそんなものを?』っていう反応でしたね。

(町山)あれを食べてると頭がおかしくなって人を殺すとさえ言われていて。

(荻上)ヒドい(笑)。

(町山)あのハーヴェイ・ミルクっていうゲイの市会議員がいたんですけど、彼を殺した犯人が裁判でもって『彼を殺したのはトゥインキーの食べ過ぎだ』っていう風に言って、罪が減らされたっていうことが実際にあったぐらいなんですよ。

(南部)へー!

(荻上)ヒドい(笑)。

(町山)トゥインキー、この間つぶれましたけどね。そういう裁判が、トゥインキー裁判と言われてます。はい。

(荻上)とんだ濡れ衣じゃないですか!

(町山)濡れ衣なんですけど(笑)。というような、どうでもいいような話ですね。

(荻上)ゾンビランドはでも、続編撮られたら、トゥインキーはもう出てこないってことですかね?

(町山)トゥインキーはね、トゥインキーマニアの人たちが買い取って、いま再建しようとしてます。

(荻上)本当ですか?

(町山)どうでもいい情報ですが。はい。

(荻上)でもこう、いまコミックスがどんどん作品になるってアメコミでもね。これ、ドラマでも、『ウォーキング・デッド』とか、面白いのたくさんあるじゃないですか。やっぱり見応えが。見飽きないですね。もう、100年生きたい。100年後の映画、見たいです。


(町山)はいはいはい。やっぱりアメリカはね、すごく真面目にやるんで。ふざけないでやるんですよ。チャラチャラした感じではやらないですね。誰のこと言ってるのか?っていう(笑)。具体的に。言いませんが。

(荻上)翻って日本は・・・

(町山)翻ってみるとね、まあ日本はいろいろ大変ですよね。映画としてね。

(荻上)でも映画版でアニメの実写化とか、いろいろ出てきてますけどね。

(町山)はいはいはいはい。ああ、そうなんですよ。あれが大変ですね、やっぱりね。僕は『あしたのジョー』の丹下段平さんのコスプレとかね(笑)。あの、僕ぐらいの世代、45歳から50ぐらいの人たちがアニメとかマンガの映画化に出ると、思いっきり気合が入っちゃって。あの、自分を捨てて完全にそのキャラになりきるっていうのをね。あれもまた非常に迷惑で。香川(照之)さんのあしたのジョーにおける丹下段平さんとかね、『宇宙戦艦ヤマト』におけるギバちゃんの真田さんとかね。『ワイルド7』における、ああいうものがとにかくすごい気合が入ってて。一生に一度でいいからこれやりたかった!っていう。ものすごくおかしいんですね。

(荻上)愛がこじれたという。

(町山)愛がこじれててね。もう彼らにとっては子供の頃の夢を果たしてるわけですよ。中井貴一さんがね、ワイルド7って映画の中で本当にナニな映画なんですが、草波隊長やってるんですけど、完璧なんですよ。草波隊長に中井貴一さんがなりきってて。本当にワイルド7好きだな、コイツ!っていうところが出てるんですけど(笑)。あの空回りぶりがまた最高・・・

(荻上)それが伝わりすぎて。

(町山)伝わりすぎて。で、すごいですよ。宇宙戦艦ヤマトのギバちゃんって。声まで真似て眉まで剃って、完全にその真田さんっていう技師長になりきってるんですよ。で、役者としてのエゴを完全に捨ててますから。『俺は真田だ!』っていう感じで。『こんなこともあろうかと思って。古代!』とかいう声を出してるんですけど(笑)

(荻上)(笑)

(町山)なにをしてるんだろう?と思うぐらいね(笑)。愛が溢れまくって、ダラダラこぼれている感じがすごいんですよね。

(荻上)そうですよね。(真田の)モノマネしている町山さんも、映画愛がこぼれてますね。

(町山)あ、そうですか(笑)。

<書き起こしおわり>

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