吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。ムツゴロウこと畑正憲さんの知られざるハードコアな素顔について、玉袋筋太郎さんと話していました。
(玉袋筋太郎)じゃあ、ねえ。ムツゴロウさん。行ってみようか?
(吉田豪)ムツさんも話題ですよ、いま。
(玉袋筋太郎)この人もすごいね。
(小林悠)では、その畑正憲さんのあらすじとその筋をご紹介します。1935年 福岡県福岡市のお生まれで現在80才となる畑正憲さん。東京大学理学部を卒業後は学習研究社(学研)で記録映画の制作に携わり、1968年には本格的な著作活動をスタート。72年には北海道に動物王国を建国し、動物たちとの心あたたまる交流を書き続け、第25回菊池寛賞を受賞します。以降映画『子猫物語』の監督ほか、テレビ番組『ムツゴロウとゆかいな仲間たち』で活躍され、その体当たりのレポートと優しい笑顔でお茶の間の人気者になります。
(玉袋筋太郎)うん。
(小林悠)ご存知、ムツゴロウさんであり、作家、動物研究家、映画監督など多数の肩書をお持ちです。そして吉田豪さんの取材によりますと、畑正憲さんのその筋は、その1。『収入ゼロ生活でも、夫婦で寝袋生活でも、とにかくなんでも楽しむの筋』。その2。『イカサマをやる人には負けない。ムツゴロウの麻雀王国の筋』。その3。『うちにいる資格無し。王国に詐欺師が住み着いていた筋』。その4。『海外で機関銃を突きつけられて一言。俺はハングリーだ!の筋』。その5。『下水OK、ネズミOK。丈夫な身体に自分でもびっくりの筋』。その6。『象に踏まれようが海に落ちようが、どんな状況でも身を任せちゃうの筋』と6本の筋が張ってらっしゃいます。
(玉袋筋太郎)もう、このその6の筋なんか稲川淳二さんだもんね。リアクション芸人の。
(吉田豪)(笑)
(玉袋筋太郎)『象に踏まれようが、海に落ちようが』だもん。
(吉田豪)稲川さんも踏まれてはいない気がしますよ(笑)。
(玉袋筋太郎)踏まれてはないけどね。うん。いや、やっぱでもイメージとしてさ、小林さん。北海道なんだから。
(小林悠)いや、そうですよ。やっぱり偉大な存在であり、動物大好きな優しいおじいちゃんっていうイメージでずっといたんですけども。
(玉袋筋太郎)やっぱりこう、王国を築く人ですからね。結局は。
加藤紗里さんも尊敬するムツゴロウさん
(吉田豪)あれですよね。狩野英孝さんのいまの恋人も『ムツゴロウを尊敬している』って言っていて。
(玉袋筋太郎)ああー!そうなのか!?ムツゴロウ。
(吉田豪)そう。騒動の最中ね、ムツゴロウさんの名言を次々とリツイートしてますよ。
(玉袋筋太郎)(爆笑)
(小林悠)本当ですか!?
(玉袋筋太郎)よーしよーしよーし!あーしゃあーしゃあーしゃ!いや、たまにね、俺はあんまり好きじゃなくて、見てなかったんだよ。ムツゴロウ王国ね。
(吉田豪)反発しますよね。やっぱね。キレイ事を言ってそうなイメージがあったんですよ。
(玉袋筋太郎)そう。『何言ってやがんだ!?』ってね。最近ね、CSとかで再放送やって見るとね、爆笑だよ。やっぱ。いい人だよ。本当に。ガンガン犬とかひっぱたくからね。
(小林悠)嘘!?そんなの流れてましたっけ?
(吉田豪)そうなんですよ。
(玉袋筋太郎)躾とか。すごいよ。
(吉田豪)結構イメージ、狂いますよね。発言とかも。
(小林悠)あれ、勝手に頭の中で思い描いていたイメージってことなんでしょうか?
(吉田豪)だってよく、『かわいいですね、これ!』って言いながら食べたりしますからね(笑)。
(玉袋・小林)(笑)
(吉田豪)あの、そのへんがやっぱり普通とズレているんですよ。うん。
(玉袋筋太郎)でも、作家さんとしてはすごい作家さんですもんね。
(小林悠)菊池寛賞ってびっくりですよね。
(玉袋筋太郎)そう。じゃあ、どの筋から行こうか?豪ちゃん。どれがいいかな?
(吉田豪)まあ、適当に順番から行きますかね?
(玉袋筋太郎)行こう、行こう。『収入ゼロでも、夫婦で寝袋生活でも、とにかくなんでも楽しむ』。
(吉田豪)ちょうどいま、ムツさんが話題になっているんですよ。ある媒体で『70才を超えた頃から動物愛がフッとなくなった』って発言をしていて。『ショック!』みたいに言ってるんですけど。『なにをいまさら言ってるんだ?』なんですよ。
(玉袋筋太郎)(笑)
(小林悠)ええっ!?
(吉田豪)『みんな、知らなすぎるよ!ムツさんのことを』っていう。
(玉袋筋太郎)うん。
(小林悠)あれは『愛』ではなかったんですか?
動物好きのおじさんではない
(吉田豪)動物好きのおじさんだとみんな思っちゃってるんですよ。違いますよ。動物の話とかインタビューで聞かれると、テンションが下がる人なんですよ(笑)。
(玉袋・小林)(笑)
(吉田豪)『また動物の話かよ!?』みたいな感じで。
(玉袋筋太郎)すごいよね。
(小林悠)専門家じゃないんですか?
(吉田豪)あの、安田大サーカスとの対談を僕、組んだ時がすごい印象的で。団長が『ずっとムツゴロウの愉快な仲間とか見てましたよ!』とか言っても、ずっとスカすんですよ。『ん?ああ、そう。うん。はいはい』みたいな感じで、一切そこに食いついて来ない出。クロちゃんが『麻雀をやる』って聞いた瞬間にスイッチが入って。『あんた!麻雀やるの?あんた!』みたいな人ですよ。
(玉袋筋太郎)おおー!
(吉田豪)興味の方向はそっち。だから僕が最初、15年前にインタビューしたんですよ。『TVチョップ』っていう5号でなくなった雑誌でムツさんをインタビューして。で、すごい面白かったんですけど、面白すぎて僕のデビュー作の『男気万字固め』っていう単行本にその連載をまとめたんですが、ムツさんは入らなかったんですよね。
(玉袋筋太郎)ああー。
(吉田豪)あの、『世間のイメージを壊す話をしすぎた』っていうことで。『雑誌ならいいけど、単行本に入れるのはマズい』っていう風に(笑)。
(小林悠)お蔵入りですか?
(吉田豪)お蔵入りしたんですよ。
(小林悠)ええーっ!?
(吉田豪)まあ、それはいま、検索すればネットで読める状態なんですけども(笑)。
(玉袋・小林)(笑)
(吉田豪)だから15年前の記事がいまだにたまに、『すげー!この記事!』みたいな感じで騒がれていて。だから、そのぐらいから知ってる。みんな、わかってよ!っていう話なんですよ。ムツさんは、動物愛はそんなにないですよっていう(笑)。
(小林悠)へー!
(玉袋筋太郎)なんだったんだろうな。あの王国は。うん。
(小林悠)そうですよ。みんなしてテレビ見て。
(玉袋筋太郎)見てな。
(吉田豪)なんだろうな?本当に変わった人です。わかりやすく言うと。その、収入ゼロ生活っていうのも、もともと東大の大学院まで行って研究してて。学生結婚して。で、食べられない時間がすごい続くんですよ。で、何で食べていたか?っていうと、麻雀だったっていうね。
(玉袋筋太郎)ああー、麻雀でね。うん。
(吉田豪)そう。稼ぐってことを知らなかったらしいんですね。知らないから、定期的にお金がいる。普通の人はそうしてるってことを思いつかなくて、しょうがないから麻雀で稼ぎ。後は、八百屋に行って『野菜クズください。動物にあげるから』って言ったりとか、サンドイッチ屋に行って『パンの耳をとっておいてください。ネズミが好きなんですよ』。で、魚屋に行って『刺し身にした残りのアラ、それ、捨てないで』って。そういうのを毎日もらっていたと。
(玉袋筋太郎)ほう!施しを受けて生活。生きてたんですね?
(吉田豪)そうなんですよ。で、『実際にネズミにあげてたんですか?』って僕が聞いたら、『そんなもん、あげてたまるか!』って(笑)。
(玉袋・小林)(爆笑)
(吉田豪)『俺が食うんだよ!』っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)『あげてたまるか!』まで言われちゃったよ。
(吉田豪)『ネズミになんでそんなもん、やらなきゃいけないんだ!?』って(笑)。
(玉袋筋太郎)これはもう、暗にディズニー批判でもあるね。これは。うん。すごいよ、これは。
(吉田豪)そういう人です(笑)。わかりやすく言うと。
(玉袋筋太郎)まあでも、サバイブしてたってことですよ。
(吉田豪)サバイブです。
(小林悠)生命力、強いですよね。
(吉田豪)で、奥さんが妊娠した時に、『こんな不安定な生活で子供が育てられるか?』と初めて考えて、『俺に考える時間をくれ』って言って、悩んだ末に家出。で、山谷で暮らすっていうね。
(玉袋筋太郎)山谷でな!うん。
(吉田豪)で、最終的には子供をちゃんと育てなきゃっていうことで、勤め始めてっていうね。
(玉袋筋太郎)うん。そうだよ。娘さんとかも出てたもんね。番組。
(吉田豪)やってましたからね。コンサートを。
(玉袋筋太郎)やってたな、おい!
(吉田豪)でも、娘さんとの思い出とかを聞いても、おかしな話ばっかり出てくるんですよ。当時の、要は局部ですね。男性自身の温度がどういう風に変化するか?とかを知りたくて、そこに体温計を挟んで、娘さんにその体温をチェックさせていたりとか。
(玉袋筋太郎)がきデカだね。やってることは。その。
(小林悠)ねえ。不思議ですね。
(吉田豪)そういう、研究家体質なんですよ。
(玉袋筋太郎)ああ、研究家なんだよ。それは。
(吉田豪)それに家族を巻き込む感じの(笑)。トラウマになりますよ。そりゃあ(笑)。
(玉袋筋太郎)だんだんムツゴロウさんが。イメージが。
(小林悠)ちょっと崩壊していきますね。どんどんね。
(玉袋筋太郎)王国崩壊。ええーっ!?
(吉田豪)2個目、行きますかね。
ムツゴロウの麻雀王国
(玉袋筋太郎)そうだよ。『イカサマやる人には負けない。ムツゴロウの麻雀王国』ですよ。麻雀はすごいですよ。
(小林悠)いやだー。
(吉田豪)『いやだ』じゃないですよ。
(小林悠)だって、ムツゴロウ王国がムツゴロウ麻雀王国になっちゃったわけですよね?
(吉田豪)ムツさん、だって麻雀で何回も日本一になったぐらいの強さなんですよ。『仕事で4日とか徹夜してると眠れなくなるから。そういう時は2日間麻雀すると、よく寝れるんだよね』って。
(玉袋・小林)(笑)
(吉田豪)6日寝てないですよっていうね。清原的なものをやってるんじゃないか!?っていう。
(玉袋筋太郎)清原!本当だよ!
(吉田豪)疑われますよ(笑)。
(玉袋筋太郎)ケミカルかよ、おい!
(小林悠)自然とアドレナリンが出るんですね。
(吉田豪)そうですよ。あの、ぜんぜん関係ないですけど、僕が清水健太郎さんを取材した時の大好きな話が、清水さんが『もう俺はドラッグやめたんだよ』って言っていて。『いまは本当にすごい健康だから。俺に密着すればわかるよ。俺ね、寝ないんだよ』って言っていて(笑)。
(玉袋・小林)(爆笑)
(玉袋筋太郎)ぜんぜん健康じゃねーじゃねえか!っていう(笑)。
(吉田豪)『疑われるから、言わない方がいいですよ!』って言ったっていう。僕の大好きな話なんですけどね。
(玉袋筋太郎)いい話だー(笑)。
(吉田豪)はい。置いておいてね。そうなんですよ。ムツさんはだから、食べれなかった時代は相当バイトもいろいろやって、麻雀もやったんだけど、麻雀の世話にならなくなったのは31才とか32才の頃。それまでは麻雀で食べていた。あの王国の設立資金も一部は麻雀。馬の器具とかも200ぐらい買ったのも、全部麻雀。
(玉袋・小林)へー!
(吉田豪)『どれぐらい稼いだのか?は聞いたら引くから言わない』って言って。ただ、2005年にインタビューをやった時の唯一のNGが麻雀のレートの話だったんですよ。
(玉袋筋太郎)レート。そりゃ言えないよね。うん。
(小林悠)なんですか?それ。
(吉田豪)レート。
(玉袋筋太郎)お金の賭け。
(吉田豪)麻雀、お金を賭けるの、そもそもアウトですからね。ただ、クロちゃんが麻雀できるって聞いた瞬間にスイッチ入って。『あんた!いまいくら持っている?』って言い出して(笑)。『いま!?いま、やる気なんですか?』『いまやろう!』って言い出して。
(玉袋筋太郎)すげー!(笑)。
(吉田豪)ちなみにレートの話は載せなかったですけど、クロちゃんの50倍でしたね(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)。すごい!じゃあ、蛭子さんと同等ぐらいで(笑)。
(吉田豪)蛭子さん、安いですからね。
(玉袋筋太郎)安い。激安だよ。うん。で、イカサマやる人には絶対負けないんだ?
(吉田豪)だから、本当にムツさん、実は怖いから。『ムツさんの前でイカサマとかやったら怖いですね』『いや、ぜんぜん。ぜんぜん。俺の前でイカサマできるなら、やってもらいたい』って言ってて(笑)。
(玉袋筋太郎)かぁー!後ろには動物、いくらでもいるんだから。
(吉田豪)(笑)。猛獣が。
(玉袋筋太郎)行け、こら!熊、行け!オオツノの旦那、行け!っつって。
(吉田豪)(笑)。『イカサマやる人は負けるから。どうせ、そんなやつらね。ぜんぜん気にしない。怖くもない。怒りもしない』っていうね。
(玉袋筋太郎)面白いなー!
(吉田豪)それぐらい強いんですよね。
王国に住み着いた詐欺師
(玉袋筋太郎)まあそんなね、『ムツゴロウ王国に詐欺師が住み着いていた筋』。これがたまんねえな!
(吉田豪)大好きな話ですよ。ムツゴロウ王国って、ぜんぜんチェックしないらしいんですよ。いろんな人が好き勝手転がり込んできて、居着いちゃうと。で、加納典明さんもそんな感じである日電話かけてきて。『行きたいんだけど、行っていい?』って。そのまま数年間居着いたっていう。
(玉袋筋太郎)へー!
(小林悠)写真家の方ですよね?なんのお仕事してたんですか?ムツゴロウ王国で。
(玉袋筋太郎)なにやっていたんだろうな?自然でも撮っていたのかな?
(吉田豪)(笑)
(玉袋筋太郎)馬のヌードとか撮ってたのかも。触りながら、こうやって。牝馬を。
(吉田豪)局部とかね。男女とも(笑)。これなら逮捕されないっていう(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)。典明!
(小林悠)これこれ(笑)。
(吉田豪)で、20年いたり、30年いたりとかそんな人もいる中で、中には詐欺師もいたっていうね。その人は『医者だ』って言い張っていて。で、周りに許可を取って居着いたんだけど、半年ぐらいたった頃、犬が病気になって。カルシウム注射しなきゃいけないと。で、医者がいるから、『カルシウム注射、打っておいて』って言ったら、注射を筋肉に打っちゃったと。
(玉袋筋太郎)(笑)
(吉田豪)それで医者じゃないことがバレて、ムツさんが激怒。『この犬を殺す気か?ちょっと来い!』って言って。で、両親に電話してみたら、やっぱり『医者だ』って言い張ってあちこちに迷惑をかけていたことが判明。『お前はもう、うちにいる資格がない』っていうことで、どうしたか?っていうと、真夜中の1時ごろに車に乗せて、いちばんわかりにくい北海道の原野に捨ててきたっていう(笑)。
(玉袋筋太郎)それ・・・『アウトレイジ』だぞ、やってること!そんなとこに捨てちゃったら(笑)。
(小林悠)完全に『アウトレイジ』ですよ(笑)。
(吉田豪)『北海道のわかりにくい原野』って、本当に怖いですよね。
(玉袋筋太郎)網走番外地だよ、おい!
(小林悠)本当。広すぎですから。
(玉袋筋太郎)ラスベガスの砂漠とか。そういう世界だよな。
(吉田豪)『犬を捨てるような感覚』っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)やべーなー!
(吉田豪)やりますよ。怖いんですよ。
海外で機関銃を突きつけられても動じない
(玉袋筋太郎)で、『海外で機関銃を突きつけられて一言。「俺はハングリーだ」』って。
(吉田豪)そうなんですよ。
(玉袋筋太郎)これもね、やっぱり行ってるだろうね。世界中。世界中、行ってますよ。
(吉田豪)海外で、本当にガイドを付けるのも拒否して。『そこに行くな』っていうところも勝手に乗り込んじゃうらしいんですよ。どんどん。で、アマゾンでトップレスの女の子に体を洗ってもらったりとか、そういうのが楽しいっていうね。
(玉袋筋太郎)おおー!
(吉田豪)こういう話を、本当に喜々として話すんですよ。『ブラジルでね、ボディペインティングした時はね、あれ、あの時は俺も勃ったよ!』みたいなね(笑)。言わないでいいことをどんどん言うんですよ(笑)。
(玉袋筋太郎)かぁー!
(吉田豪)『吸い込まれるようにね、胸に、筆が・・・』みたいな(笑)。
(玉袋筋太郎)ムツさん!
(小林悠)いやだ(笑)。想像したくないよー!
(吉田豪)そういう感じの人ですよ。で、インド東北部でホテルに泊まっていた時に、町で軍人が機関銃を持って、銃口を群衆に向けていたと。で、翌日、ドアを開けたら銃口が見えて。廊下に軍人がウヨウヨ。戒厳令だったと。でも、俺は腹減ってるから、『もっと偉いやつを連れて来い!』って言ってね。『俺はハングリーだ!朝食を食う権利がある!俺が貧血で倒れたら、どうしてくれるんだ!?』ってキレて。そしたら、『しょうがないから出ていい』っていうね。ゴネ得で許可が出て。
(玉袋筋太郎)うん。
(吉田豪)で、スタッフは誰も出てこれなかったけど、ムツさんが1人で行って。で、食堂に行ってコックに目の覚めるようなチップをはずんだら30人前ぐらい作ってっくれたと。で、軍人のところに持っていって、『お前ら、食え!』って言ったけど、誰も食べなかったから兵隊たちの方を見て、1人で朝食を豪快に食べたと。
(玉袋筋太郎)かっけーな!
(吉田豪)こんな話ばっかですよ。本当に。
(玉袋筋太郎)こんな男になりてえな、俺も!ムツさん。
(吉田豪)でも、ちょっと似てるなと思うのが、あれなんですよ。松本零士先生に近いんですよ。
(玉袋筋太郎)そう!俺もそう思っていた。いま。
(吉田豪)あの、出身地も近いんですよ。出身地も年齢も近い。あと、松本零士先生は久留米出身の78才で、ムツさんは福岡出身の80才。やっぱ北九州の血なんですよ。
(玉袋筋太郎)九州男だよ!九州男児、すごいね!
(吉田豪)外国で一切ビビらないっていう(笑)。
(玉袋筋太郎)かっけーな!これ、強いね!
(吉田豪)そして九州男児の場合はこうやって聞いていて、『あそこが違う!』って電話をかけてくる可能性もあるっていう(笑)。
(玉袋筋太郎)電話(笑)。
(小林悠)松本零士先生、以前そうでしたから。
(吉田豪)ムツさんが(笑)。
(玉袋筋太郎)ムツさんから電話かかってきたら、どうしよう?
(小林悠)お待ちしてますよ。
ムツゴロウさんの丈夫な身体
(玉袋筋太郎)いいねー!で、『下水OK、ネズミOK。丈夫な身体に自分でもびっくり』って。そうだよな。あんな動物に触ってんだから。ジカ熱とか、ぜんぜん怖くねえと思うよ。俺。うん。
(吉田豪)病気でロケをリタイアしたことも1回もないし。薬とか注射とか、『事前にやってくれ』って言われたりとか、渡されたりしても、全部捨てちゃうんですよね。そんなの、いらないっていう。
(玉袋筋太郎)すごいよ。普通、そんな、アフリカとか行ったら大変だよ。注射とか。
(吉田豪)ライオンに噛まれて指をなくしても、そのままね。『あらゆるケガが勉強の材料になる』っていうことで、ロケも休まず。とにかく、現地のものを食べて、現地のものを飲む人なんですね。
(玉袋筋太郎)おおー!
(吉田豪)というスタイル。
(玉袋筋太郎)普通、『水は怖い』って言うじゃん?そんなところ行ったら。生水、飲んじゃう人なんだね。
(吉田豪)ぜんぜん飲みますね。僕、好きな話が南インドにイルーラっていう家を持たない人たちがいて。そこに行った時に、そこの人たちはネズミが頬袋に貯めるお米を巣から取ってきて。おかずはネズミという生活。で、ムツさんは100匹以上ネズミを捕まえて、その米を炊いたものをご馳走になったと。
(玉袋筋太郎)ほー!
(吉田豪)で、『奥さんにね、その時こっそりお金を掴ませたらね、ものすごい喜んでくれたんですよぉ!』って言って。『で、「食え!食え!」ってなってネズミを次から次へと食べたんけどね。向こうの人はお金、すごい喜んでくれるんですよぉ!』ってね(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)。ヤバいよ、それは。うん。
(吉田豪)無邪気ですよね。
(玉袋筋太郎)肉食親父だよ、これ。やってることは。
(小林悠)ちょっともう、びっくりしちゃった。想像を超えてました。
(玉袋筋太郎)ねえ!ここでもネズミを食ってるってことは、やっぱ反ディズニーだな。これは。
(吉田・小林)(笑)
(玉袋筋太郎)うん。ネズミ食っちゃってるんだもん。すごい。
(吉田豪)食料としてネズミを飼っていた可能性、ありますよね。
どんな状況にも身を任せる
(玉袋筋太郎)(笑)。かもしれない。すっごいよねー!そして、この『象に踏まれようが、海に落ちようが、どんな状況でも身を任せちゃう』という。でもこれ、なんとなくわかるんだよな。そういった状況に抗うと、余計にケガしたりするから。そのまま任しちゃった方がいいんじゃないの?
(吉田豪)猪木が言うところの、風車の理論みたいな。
(玉袋筋太郎)まあ、風車の理論だよね。うん。だからムツさんもそれをやって。象に踏まれるって大変だよ、これ!
(吉田豪)2トンの象に踏まれて殺されそうになっても、その時、その状況に全て委ねるっていうね。そう。海に放り出されても、なるようになれ!と思ったら、だいたい2日は大丈夫っていうね。
(玉袋筋太郎)かぁー!ねえ。だから本当、サバイバーだよね。
(吉田豪)そう。象に殺されそうになった時は、川の流れに身体を持っていかれて助かったっていうね。
(小林悠)これ、野生の象にってことですか?
(吉田豪)思いっきり踏まれたんですよ。川で。
(小林悠)動物園じゃないんですね。
(吉田豪)ぜんぜん、ぜんぜん、ぜんぜん。
(玉袋筋太郎)すごいね。象が踏んでも壊れない筆箱って昔、あったけどね。それと一緒だよ。
(吉田豪)(笑)。ムツさんも壊れなかったっていう。
(小林悠)えっ、どう踏まれたんですか?
(吉田豪)もう全身ですよ。そのままガン!といかれて。川がこう流れていたんで・・・
(玉袋筋太郎)そこがね、クッションになったんだよ。良かったー!
(吉田豪)で、『その時にみっともないと思いながらも、体の震えが止まらなかった。びしょ濡れだし、みじめ。でも僕、そういうのがすごーい好き!』って言ってて。
(玉袋筋太郎)(笑)
(小林悠)伸ばしたんですか?『すごーい』って。
(吉田豪)そうそう。『ああいうの、興奮するんですよ!』って(笑)。人間の世界じゃ与えてもらえなくなった感情の起伏がそういう時に与えられるっていうね。『バカにされて、命まで落とすようになって、震えが止まらなくて、みじめで。もうそのままね、眠れないぐらいにうれしかったんですよぉ!』っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)やっぱちょっと感覚が、すごい人なんだな。人間としてのステージがやっぱ上だよ。
(吉田豪)レベルが違いますよ。
(玉袋筋太郎)うん。格闘技も好きなの?
格闘技マニアのムツゴロウさん
(吉田豪)そうですね。格闘技の話も。昔、猪木・アリ戦の時に猪木を批判しまくる原稿を書いていた記憶があって。そのことを振ったら、本当にスイッチが入ったんですよね。『本当にあの時の猪木は最悪だった』って(笑)。
(玉袋筋太郎)なに!?いま、逆に評価されてるんだけどね。あの試合は。
(吉田豪)ねえ。『寝転がっているだけで、何もしない!』って。ただし、当時の小川直也は認めていたんですよ。15年前のね。
(玉袋筋太郎)ああ、15年前の。
(吉田豪)あの頃の。『猪木・アリ戦がパンクラスみたいなああいう格闘技の草分けになっていたことは認めるけど、お金を取る興行としてやった以上ね、やっぱり戦ってもらいたかった。戦いを放棄したことに僕は怒った!』って言っていて。基本、ボクシングマニアの人なんですよね。
(玉袋筋太郎)へー!
(吉田豪)だから、会うたびにそういう話を振っていて。10年前に会った時には、『最近、ボブ・サップがちょっと良くなってきましたね。いいパンチを打つようになってきましたよ』とか。
(玉袋筋太郎)まあ、動物扱いなんだろうね。ボブ・サップも。うん。
(吉田豪)(笑)
(小林悠)全てが生き物であるということで。
(玉袋筋太郎)生き物であるっていうことですよ。生き物バンザイ!っていうことなんです。
(小林悠)やっぱりそれは動物愛があるってことなんじゃないですか?
(吉田豪)動物愛、なのかなあ?だからもっと、世の中の考える動物愛というのはもうちょっとね、かわいがる系じゃないですか。もっと大ざっぱなんですよ。大ざっぱっていうか、もっと宇宙的というかね。『かわいい!けれども、食べても美味しい!』みたいな(笑)。そういうジャンルじゃないですか。
(玉袋筋太郎)やっぱ『志村どうぶつ園』には出てこないもんね。
(小林悠)まあ、そうですね。
(玉袋筋太郎)『どうぶつ奇想天外』とか。
(小林悠)動物関係のイメージは、もうちょっと・・・っていう感じなんでしょうか?
(玉袋筋太郎)ねえ。いや、面白いな。俺ね、この間、1年ぐらい前かな?北海道に行った時、飛行機の中でムツさん、一緒で。空港下りる時も一緒でさ。で、ムツさん、1人だったよ。マネージャーもつけないで。うん。で、1人で空港下りて、迎えの車かなんかに乗って行ったんだけどさ。で、俺、その後にタクシーに乗って、『さっき、ムツゴロウさんいましたよ。やっぱりここ、王国があったところだからですかね?』っつったら、『まあ、そうなんすけどね。評判悪いんだよね、あの人』って言ってるんですよ(笑)。
(吉田豪)(笑)。なんで?
(玉袋筋太郎)何があったのかな?っていうね。いい人だと思うよ。でも、俺は。うん。
(吉田豪)麻雀がらみかな?なんですかね?
(玉袋筋太郎)なんかあったんだろうね。そりゃ。やっぱ、スケールがさ、俺たちの物差しで計れない人たちがやっぱり俺たち、惹かれるわけで。巨星なんですよ。だから。大きな。
(吉田豪)だからムツさんを誤解してましたよ。やっぱりね、『ムツゴロウのゆかいな仲間』のイメージがあって。ゆかいな仲間を率いている、なんか平和な人みたいな感じで見ていたけど。もうちょっとバイオレントな人じゃないですか。
(玉袋筋太郎)バイオレントであり、あの王国は俺、カルトだと思っていたから。
(吉田豪)(爆笑)。はいはい。
(玉袋筋太郎)問い合わせたこと、あるから。俺、電話して。
(小林悠)ええっ!?なんてですか?
(玉袋筋太郎)『普段はどういう生活をしてるんですか?』って。俺、もう。あれ、ハタチぐらいの時かな?
(吉田豪)ムツゴロウ王国はマンソン・ファミリー的な何かじゃないか?っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)なにかあるのかな?と思って。うん。で、『そういったことには、お答えできません』って。プチッて切られちゃって。そっからもうなんか、秘密主義的なところ、あったからね。そりゃあ八王子サマーランドにも、ムツゴロウ王国ができたんだけど。撤退だからね。
(吉田豪)まあね、行っても犬ぐらいしか会えないって言ってましたからね(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)。いい話!
(吉田豪)だから世間の誤解が多いから。本当ね、ちゃんと伝えたいですよ。ムツゴロウっていうよりは、クロムツだと思った方がいいんですよ。
(玉袋筋太郎)上手い!黒ムツゴロウ。クロムツ!美味しいよ!クロムツだよ。ムツゴロウ、泥の中にいるからね。こうやって。砂地にいるから。こうやって。目を出して。
(小林悠)印象が変わった方も今日、多いかと思いますけども。
(吉田豪)面白かった!
<書き起こしおわり>