吉田豪 X JAPAN ToshIインタビューを語る

吉田豪 X JAPAN TOSHIインタビューを語る たまむすび

吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。X JAPANのToshIさんにインタビューをした話をしていました。ToshIさんの真面目でいい人すぎる人柄をたっぷりと紹介しています。

(赤江珠緒)さあ、そして今日、豪さんが取り上げてくださるのが、X JAPANのToshIさんということですね。

(吉田豪)はい、そうですね。行ってきましたよ、はい。1965年生まれで現在49才というね。先週金曜日が誕生日ですね。7月に講談社から『洗脳~地獄の12年からの生還』という本を出されまして。いま話題になていて。当然僕も買って読みました。結構壮絶な本です。だって当時、洗脳されて、ねえ。

(赤江珠緒)いや、そうですよ。だってメンバーとも仲違いしてね。

(吉田豪)そして、かなりいろいろバトルがあったわけですよ。マスコミ側ともバトルしてたし。その時、バトルしていた弁護士の人があとがき書いてますからね(笑)。

(赤江珠緒)あ、そうなんですか。

(吉田豪)そういう状況になっているという。で、9月25日に日本外国特派員協会で会見を行ったんですけど。洗脳の恐ろしさとか、洗脳で15億円以上支払ったとかですね。

(赤江珠緒)えっ!?15億円以上?

(吉田豪)で、実は僕、この会見に参加してたんですよ。初めて行きましたよ。日本外国特派員協会。

(赤江珠緒)あそこね。よくニュースにも使われますね。

(吉田豪)すっごい真面目な会見やっていたその会見が終わった後で、会見の会場の隣の部屋でインタビューしたんですよ。

(赤江珠緒)(笑)。えー!

(博多大吉)やっぱり周りも外国の方なんですか?

(吉田豪)外国の方が半分ぐらいですね。同じテーブルは外国の方ばっかりでしたね。なんかすごい居心地の悪い・・・なんか初めて行ったんですけど、ディナーショーみたいな形式っていうか。

(赤江珠緒)えっ?食事とか?

(吉田豪)その前にランチミーティングみたいなのがあって。普通に食事が前に用意されたまま取材している人とか結構いるんですよ。時間ジャストに行くとなにもないんですけど。

(赤江珠緒)へー。えっ?外国の特派員の方が集まっているわけですけど。

(吉田豪)まあ、日本の人もいますけど。

(赤江珠緒)そういう方もToshIさんにやっぱりすごく興味を?

(吉田豪)まあ海外進出されてますからね。ただ本当に優雅にディナーっていうかそういうの食べながら、深刻な話を聞いてるんですよ(笑)。なんだろう、これ?と思いますよ。

(博多大吉)へー、不思議。考えられない、普通では。

(吉田豪)不思議でしたよ(笑)。日本とは微妙に違う文化なんだっていうね。そんな固い取材の直後に、すごい軽い取材をしたんですよ。『深刻な話、ほぼナシで行きましょう』っていう(笑)。

(赤江珠緒)あ、そうだったんですか。

(吉田豪)あの、ToshIさん自身が実は結構いい感じの軽さがあるというか。そのムードがすごい前面に出た取材をして。それが今月28日発売の『ヘドバン』というシンコー・ミュージックから出ているムックがあるんですけどね。そこの巻頭超ロングインタビュー2万字で載ることになっているんですが。今月28日発売の内容をいま話していいっていう。再来週ですよ。今日、情報解禁なんですよ、これ(笑)。

(赤江珠緒)いやー、ありがたいですけど・・・

(吉田豪)すごいありがたいので、気をつけながらいろいろ話します。

(博多大吉)ねえ。無礼講もここまで来たか?っていう感じですけどね。

(吉田豪)そんなわけで、お二人はXは聞いてましたか?

(赤江珠緒)はい。『X!』みたいなね。

(吉田豪)ぼんやりした知識ですね(笑)。間違えてないですけどね(笑)。

(赤江珠緒)いや、YOSHIKIさんにね、インタビューさせていただいたことがあって。

(吉田豪)ほう。どうでした?

(赤江珠緒)もうすごく美意識の高い人でしたね。

(吉田豪)あの、機嫌のアップダウンが非常に激しいことで有名な。

(赤江珠緒)いや、そんなことはなかったですけど。はい。

(吉田豪)ぜんぜん無難に?

(赤江珠緒)はい、もちろん。

(博多大吉)僕も何ヶ月か前にフジテレビのノンストップ!っていう番組にYOSHIKIさんが来たんですよ。で、一緒にティーカップの中で視聴者の方からのメールに答えるみたいなコーナーやっていて。俺、最後まで本物かどうか疑ってましたから。

(吉田・赤江)(笑)

(博多大吉)こんなところ、来るわけねーだろ?と思って。で、実際にお会いしたら、手が小さいんですよね。YOSHIKIさんって。手が小さい。だからあんなピアノ、よく弾けるなっていうのを思って。だから僕、いまだに偽物説を1人唱えてるんですけど。

(赤江珠緒)でもなんか性格的にはすごく男っぽい方じゃなかったですか?

(吉田豪)そうですね。繊細さと過激さをね、両方兼ね備えた人で。まあ、キレたらヤバいことは有名ですからね。

(博多大吉)だから世代的には僕、豪さんと一緒ですけど。周りにこういうバンド系が好きな友達がいなかったんで。カラオケが流行り出して、改めてXを聞くぐらいな。

(吉田豪)そうですね。同世代だと高校時代に出始めてたんですけど。その頃は周りはそんなにいなくて。メジャーデビューした頃からガーッと来た感じですね。

(博多大吉)で、歌が耳に馴染んだ頃に、なんかこういう洗脳の話があって・・・

(吉田豪)ああ、もうその頃には。

(博多大吉)だからなんかね、わかっているようでよくわかってないっていうのが僕ですけどね。結構そういう方、多いんじゃないかな?と思いますけど。

(吉田豪)僕はあれなんですよ。自主制作シングルの『オルガスム』っていうセカンドシングル新規というか。86年4月10日リリースなんですけどね。

(博多大吉)あ、いま流れているこれ。

(吉田豪)古参ファンではあるんですけども。

(博多大吉)インディーズの頃から?

(吉田豪)そうですね。メンバーぜんぜん違う頃から。で、当時それをメタル雑誌『BURRN!(バーン)』は酷評してYOSHIKIは激怒っていうね。そういういろんな展開があったんですが。まあ、当時基本はマスコミからはすごい叩かれていたグループですね。で、ToshIさんについて、どんなイメージを持ってますかね?お二人は。

ToshIさんのイメージ

(赤江珠緒)ですからToshIさんはね、ちょっとこうね、人がいいのかな?っていう。

(吉田豪)そこですよね。

(赤江珠緒)ついて行っちゃったのかな?みたいな。

(博多大吉)僕もやっぱりワイドショーのイメージがどうしても強いですね。

(吉田豪)はいはいはい。だんだんさわやかなポロシャツとか着るようになって、ですよね。

(博多大吉)なんかギター片手にツアー始めたりとか。あのイメージですね。

(吉田豪)まあとにかく真面目な人なんですよ。っていうイメージなんですが、ご本人に聞いたら『いやいやいや、そんな真面目じゃないですよ。根がヘドバンなんで・・・』とか言うんですけど。まあ、真面目ですよ。最近JUN GRAYさんっていう、当時は責任転嫁っていうハードコアパンクバンドで、その後KENZI & THE TRIPS。で、いまはハイスタの横山健さんとバンドをやっている人が、twitterでToshIさんについてつぶやいてたんですよ。そのハードコアパンク関係のイベントで対バンしたら、Xと。ToshIさんが誰よりも早く来て、『今日は対バンさせていただきます。XのToshIと申します。よろしくお願いします』って言ってたって。

(赤江珠緒)えっ?そんな挨拶、し合うんですか?

(吉田豪)いや、そんな人はパンクにいないから驚いたっていう(笑)。

(赤江珠緒)そうですよね(笑)。ちょっとびっくりしますね。

(吉田豪)まあ、メタルにもいないと思いますよ。珍しいタイプだったって(笑)。ToshIさん曰く、『Xから始まるビジュアル系とかは割と上下関係が厳しい。ずっと体育会系でしかも自分は部活とかをやってきたから、そういうのが出たんですかね?』って言われて。

(赤江珠緒)はー。折り目正しい方なんですね。

(吉田豪)で、当時Xはそういう結構凶悪なハードコアパンクの人たちとも交流があったんですけど。それもあってXにも凶悪なイメージがついていったんですけどね。ToshIさん曰く、『仲良くしていると他の人たちにやられた時に盾になってくれたりするんですよ。僕たち、か細いんで』って(笑)。『X、か細くないじゃないですか!』って言ったら、『いや、体がか細いんですよ』って。まあ、細いですからね。

(赤江珠緒)たしかに細い。はい。

(吉田豪)『なのでああいう屈強な人たち。トゲが生えた人たちとかいると、ちょっと安心できたかな?っていう。本当、大物の方々に守っていただいて』って(笑)。いい人!っていうね(笑)。そうなんですよ。当時、本当モヒカンの屈強な方々が基本コーラスとか参加して。Xに。まあ、鉄アレイっていうボーカルのブタマンさんっていう人が。小島聡さんのお兄さんですね。

(博多大吉)へー!行っちゃうぞバカヤロー!の?

(吉田豪)行っちゃうぞバカヤロー!の小島さんのお兄さんで、ステージ上でファンにプロレス技をかけてケガさせたりとか、結構大変な問題をいろいろ起こしている・・・

(博多大吉)ちょっと、プロレスにマイナスなこと、やめてもらえないですか?

(吉田豪)(笑)。プロレス好きが過ぎてそういう活動をしている・・・

(博多大吉)へー。ちょっと小島家が気になってきますね。そうなってくると。

(吉田豪)当時パンクとメタルが仲悪い時期だったんですよ。

(博多大吉)僕ら、あんまり知識があれなんですけど・・・

(赤江珠緒)パンクとメタルで仲が悪い。なんかうまく行きそうな感じがしますけど。

(吉田豪)当時どっちも少数派で。あいつとは一緒にすんな!みたいな感じで。ぶつかるとケンカみたいな時期があったんですけど、そこが壁がなくなっていったのはYOSHIKIさんとかの関係もあるんですよ。そのへんの交流が始まって。YOSHIKIさんはそういう垣根を越えて一緒にやっていこうよっていう考えで。

(博多大吉)へー。で、YOSHIKIさんがそう言い出したから、パンクとメタルもちょっとずつ・・・

(吉田豪)まあ、ちょうどそのへんがクロスオーバーするようなバンドがちょこちょこ出てきて。不仲はなくなっていくんですけどね。で、そんなXなんですけどね、デビュー当時はまあ田舎から出てきて。レコーディングの『レ』の字もわからず。で、どういうジャンルのライブハウスかわからないけど、ライブハウス出なきゃいけないらしいってことだけは知識であったんで。片っ端から交渉したっていう伝説があるんですよ。その結果、ジャズのライブハウスとかに『出してくれ』って言って。

(赤江珠緒)(笑)

(博多大吉)『Xと申しますが・・・』って。

(吉田豪)よくわかんないから、片っ端から行ったらしいんですよ。で、その結果そのライブハウスの人に『デモテープをまず作るんだよ』って教えてもらって、『そうか。まずデモテープだ』とか。本当に手探りでやっていって。その結果、変わった音楽性になっていくんですけど。当時Xは『歌謡メタル』って言われてたりしたんですけどね。音は激しいんだけど、メロディーは歌謡曲的なポップさがあるんで。そういうので周りからチャチャ入れられたり批判を受けたことで、とにかく練習だけはしようと。で、1週間に4・5日はスタジオに入って。で、YOSHIKIはその前に個人練習を4時間ぐらいやってから、朝まで練習とか。

(博多大吉)へー。

(吉田豪)まあ、ちなみにこうやって話している時に、高校時代の僕と練習スタジオが同じことが判明とか。どうでもいいエピソードも(笑)。

(博多大吉)いやいや、どうでもよくないですよ。へー。

(吉田豪)池袋のスタジオペンタ、行ってましたって。

(赤江珠緒)じゃあかなりその頃は・・・

(吉田豪)ぜんぜんかなりじゃないですよ。僕、ぜんぜんできないから。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですか。

(吉田豪)すぐに方向転換したんでね。で、Xと言えばみんなテクニシャンのイメージがあるんですけど。ToshIさん曰く、『ぜんぜん違ったよ。練習したおかげで』っていうね。『とにかくYOSHIKIはどこまでも走って行く』っていう。まあ、リズムが走っちゃうんですね。ドラムの。最初はBPM150くらいから始まって、最後は220ぐらいまで上がっていると。

(博多大吉)これ、どんくらい早いんですか?もう。

どこまでも走っていくYOSHIKIのドラム

(吉田豪)いやもう全く違うって言っていいですよ(笑)。どんどんどんどん加速して行っちゃうんですよ。スピードが。で、『当時はライブでもリズムが裏表逆になって、早すぎて裏と表がどっちかわからなくなっちゃうんです』っていう感じで。『歌う方としてはやりづらいですよね?』って聞いたら、『ものすごいやりづらいです!だけど、どんなものが来ても歌えるようになりましたから。それも試練の中で鍛えられた1つですね』っていう感じで。たしかにそうなんですよ。レコーディングされているような楽曲でも、明らかにドラムが走って、リズムがズレたりしてるんですよ(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(吉田豪)そう。っていう確認したら、『Stab Me In The Backっていう曲なんか走ってますよね?』って言ったら、『完全に走ってます。オルガスムなんかも走りすぎて、爆発音で誤魔化してます』って(笑)。そうだったんだ!っていう。

(赤江珠緒)そうだったんですね、うん。

(吉田豪)そういうグループで。で、メンバー同士では基本、褒めることはなかったらしいんですよ。厳しくて。で、HIDEさんはたまに『やっぱり歌いいね』とか言ってくれたと。で、『当時はすごく緊張感のある間柄で、そこでHIDEが一言そう言ってくれるだけで、どれほど支えられたか・・・褒めて伸びるタイプっていう』ってね。

(博多大吉)メンバー同士でもやっぱりちょっとギスギスじゃないですけど・・・

(吉田豪)まあ厳しかったらしいんですよ。特にYOSHIKIさんが厳しくて、ぜんぜん褒めてくれない人で。それが最近になって褒めてくれるようになったらしいんですよ。

(博多大吉)長かったですねー。

(吉田豪)だって幼稚園とかで出会っている二人ですからね。

(博多大吉)あ、もうそんな幼なじみの関係で。

(吉田豪)『やっと僕の扱い方がわかったみたい』っていう(笑)。

(赤江・大吉)(笑)

(吉田豪)そう。追い込みすぎるとよくないぞっていうことがようやく気づいてくれて。優しく褒めてくれたりするようになったっていうね。で、Xっていうのはすごく気の優しい人と短気な人がいるグループっていう印象だったんですよ。僕は。まあ、確実にそうなんですけどね。話を聞くと、PATAさん以外は基本みんなキレやすくて、順番でキレあいっこしてたっていう。お酒を飲むとYOSHIKIさん、TAIJIさん、HIDEさんの中の誰かがキレて、誰かが止めるっていうね。まあこれ、TAIJIさんも言ってましたね。かならず誰かキレると、かわりに『やめるんだ!』になるっていう。『そんな時ToshIさんはどうしてたんですか?』って聞いたら、『いつも会計係』っていうね。

(赤江珠緒)うわっ・・・

(吉田豪)要は打ち上げで誰かがキレて暴れてると、『いろいろと壊したお金をどうしようか?壁壊したから15万くらいかな?』とかずっと計算する係で。お金預かって、全部会計をやってたんですよ。

(赤江珠緒)いい人!

(吉田豪)いい人なんですよ。で、『ToshIさんは止める方には行かないんですか?』って聞いたら、『止めると被害に遭うので・・・』って(笑)。

(赤江珠緒)弱気な人(笑)。

(吉田豪)で、インディーズの駆け出しの頃は特にヤンチャで。まあいろいろな伝説を残してるんですけどね。いろんなバンドとの乱闘事件とかあるんですけど。ToshIさん曰く、『世界のロックスターへの対抗心があった』と。

(博多大吉)対抗心?

(吉田豪)たとえば『レッド・ツェッペリンはホテルの窓からテレビを投げたらしいよとか、ジミー・ペイジがやったらしいよとかロバート・プラントもこうだったらしいよとか言うと、どっかにそれがインプットされてて、お酒を飲むと気が大きくなっちゃうのかもしれないです』っていうね。もっとすごいことをやらないと!みたいな。まあでもそれがロック伝説的になっていた部分もたしかにありますからね。で、僕がそのXの特にYOSHIKIさんのちゃんと幻想を作ろうとしてくれるところが好きで。ToshIさん曰く、『やっぱりYOSHIKIはセルフプロデュースというかイメージも含めてバンドもプロデュースしていくっていうのは長けていると思う』っていう。

(博多大吉)うんうん。

(吉田豪)『ToshIさんはそのへん、どうだったんですか?』って聞いたら、『僕は気がついたらHIDEに髪の毛を立たされてて。で、横を見たらPATAが寝ている間に赤いモヒカンになっていて・・・』って。

(赤江・大吉)(笑)

(吉田豪)本当におとなしい人たちが、もう言われるがままにやらされてたっていう(笑)。

(赤江珠緒)ええーっ!?そうなのかー。

ビジュアル面はHIDEとYOSHIKIが勝手に作る

(吉田豪)そうなんですよ。あの、ね。気の強い人たちがどんどん先導していってっていう(笑)。Xのビジュアル面はHIDEとYOSHIKIの二人が勝手に作っていて、他のメンバーが準ずる流れでっていうね。そんな中、ToshIさんはXのボーカリストとしてどんな振る舞いでどんな言葉を使ったらいいのか?っていうことにすごい悩んでいたらしくて。その結果、ステージの煽りにも人の良さがすごい出てたんですよ。当時、よくネタにもなっていたんですが。オーケンさんとか、よく笑い話もしてたんですけど。

(博多大吉)うん。

(吉田豪)MCでお客さんに『お前らー!暴れん坊将軍で行けよー!!』とかね。暴れん坊将軍(笑)。なんかね、基本そういう・・・

(赤江珠緒)『暴れろよ!』とは言わないんですか?

(吉田豪)『暴れん坊将軍で行けよー!』になっちゃったりとか。

(博多大吉)ねえ。『最低限のルール、守れよ』みたいなことかな?放送コードを超えるなよとか。

(吉田豪)フレーズの使い方が微妙におかしいっていう感じで。それに対して、TAIJIさんが反対した時期があったらしいんですよ。『ToshIくん、それじゃダメだよ』って。

(赤江珠緒)真面目だな(笑)。

(吉田豪)TAIJIさんとしてはもっと硬派な感じ。逆にあんまり余計なこと言わない方がいいと思っていたけど、ToshIさんがステージ上でシャウトすると、後でTAIJIさんから『あのさ、大和魂ってなんなの?それ、ちょっと違うんじゃない?』って。『大和魂で行けよー!』とかもよく言ってたっていう。

(赤江珠緒)へー。古風ですね。

(吉田豪)古風ですね。

(博多大吉)まあでも、言われたらね、Xのイメージと大和魂ってね。

(吉田豪)まあ、アリはアリなんですけどね。まあでもたしかに、なにも言わない方がいいっていう気持ちもわかりますけどね。だんだん人柄として受け入れられていくんですけど。で、またToshIさんが真面目なのが、それを言われてYOSHIKIさんに相談をするんですよ。『TAIJIにそう言われちゃったんだけど、大和魂ってやっぱりマズいかな?』って相談して。『別にToshIらしくていいんじゃない?』って言われて。で、TAIJIさんに『この路線は自分では続けていこうと思うから。TAIJIは気に入らないかもしれないけど』っていうね。

(赤江珠緒)なんて気を遣ってる方なんですか。

(吉田豪)気遣いに人なんですよ。で、Xと言えばインディーズ時代に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』にも出ていたことで有名で。まあ現在再放送できなくなっていることでも有名ですね。CSとかで放送すると、X部分だけが全て抜けているっていう。

(博多大吉)ああ、カットされて。

(吉田豪)そうなんですよ。早朝ヘビメタとか、ヘビメタ運動会とか、狭い食堂でオルガスムを演奏するやしろ食堂ライブとか、いろんなことをやっていたんですけどね。『あれ、ToshIさんは当時どういう風に受け取ってましたか?』って聞いたら、『面白いんじゃないかと思って。まさかいろんな反発を食うとも思ってなかったし』っていうね。まあ、それによってヘビメタっていう呼ばれ方が浸透して、メタル界が怒ったりとか。

(博多大吉)あら、メタル界が怒るんですか?

(吉田豪)怒りましたねー。だからそういうのもあって、『あいつらは格好だけ派手でテレビとか出てて。絶対売れない』みたいな叩かれ方をすごいしてて。で、僕そのヘドバンっていう雑誌の創刊号でテリー伊藤さんを『お茶の間にヘビーメタルを浸透させた人』として取材したんですよ。

(博多大吉)はいはい。

(吉田豪)いまだに一部のメタルの人、怒ってましたからね。『お前、なんでテリー伊藤なんか取材するんだ!?』みたいな(笑)。『あいつのせいでヘビメタが差別された!』みたいな。

(博多大吉)へー。根が深いですね。

(吉田豪)すっごい根深いんですよ。でもそういうのも利用しようと思う柔軟さがXにはあってっていう。テレビ出演でもなにかインパクトを、びっくりすることっていうのが当時からキーワードでっていう。で、まあブレイクしてメジャーデビューして。メンバーそれぞれがソロ活動もするようになって。ToshIさんが念願のラジオパーソナリティーになったんですよね。他局で。

(博多大吉)念願の?

(吉田豪)念願だったんですよ。

(博多大吉)ラジオ?

(吉田豪)そうなんですよ。元々ラジオっ子で。『たけしさんとかタモリさんとか中島みゆきさんとか。歌としゃべりのギャップがあるところがとても面白いと思っていて、ずーっとオールナイトニッポンとか聞いてたんですよ』っていう感じで。で、やっとその話が来てすごい嬉しくて。で、どんな放送をしてたか?というと、ToshIさん曰く、『いや、もう恐ろしくて』って。

(赤江・大吉)恐ろしい?

(吉田豪)振り返られると、すごい照れて。『いや、もう本当ちょっと勘弁してください・・・』っていう感じになっていて。どういうことか?っていうと、HIDEさんとかYOSHIKIさんとかよく来てくれて。なにをしたか?っていうと、火を噴いたりしてたんですよ。

(赤江珠緒)スタジオで?

(吉田豪)スタジオで。ラジオで。『やってくれるのはありがたいんですけど、誰も見てないですからね。「ハッ!」とか「ポッ!」とか』っていう(笑)。

(赤江・大吉)(笑)

(吉田豪)で、YOSHIKIさん、しかもガンガン酒飲むんですよ。本番中に、生放送中にガンガン酒飲んで、YOSHIKIさんが泥酔してネガティブモードに入って、『俺はもう死んだほうがいい』とか言ったりとか(笑)。それをToshIさんがなだめるっていう(笑)。大変だったんです。『もう帰る』っていうのをなだめたりとか。すごい放送で。機材にお酒をこぼしたりとか。基本、そういうのがそのまま生で流れるっていう。

(赤江・大吉)へー!

(吉田豪)『まあ、そういう時代だったんですね』って言っていて(笑)。あと印象的だったのが、ToshIさんがロックオペラ『ハムレット』っていうのがありまして。それに出ることにHIDEさんが反対してたんですよ。で、いざ見たら気に入ったのか、ラジオにゲストに来た時にずっとハムレットのモノマネをしたりとか、『あれ良かった』っていう話をしてて。そしたらToshIさんとしても、『出ることについてイメージを壊すからやめろって反対してたHIDEさんがそう言ってくれて素直にうれしかった。けど、洗脳の件に関してはいいかわかんないですけど・・・』って。要はこのハムレットっていうこの作品で後に結婚して洗脳のきっかけを作った女性と出会っちゃったんですよ。

(赤江珠緒)あー、そうか・・・

(吉田豪)そのせいでネガティブな感じでしか振りかえられない作品になっているんですけど。デーモン閣下とかROLLYさんとか出てる、すごいちゃんとしたロックオペラな作品で。面白そうなんですけど、ヒロインがその後の奥さんだったんですよ。

(赤江・大吉)ふーん!

(博多大吉)そっから人生がちょっと変わってしまった。

(吉田豪)そうなんですよ。それがいろんな罠だったんじゃないか?っていうのがこの『洗脳』という本に書いてあり、という感じなんですけどね。で、インタビューの最後でちょっと勇気を出してこんなことを聞いてみたんですよ。『ちなみにキテレツ大百科は見てました?』って聞いたら、ToshIさんが『ククッ・・・それはブラックすぎる・・・吉田さんにしかできない質問ですよ、それ。僕は見たことないです。さすがヘドバンです。恐ろしすぎますね』っていう感じで。そういう受け身をとってくれて。どういうことか?っていうと、実はそのアニメのキテレツ大百科の主題歌を、元夫人が歌ってたんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?

(吉田豪)で、その主題歌が『お嫁さんになってあげないゾ』っていうね、いまとなってはブラックすぎるタイトルっていうね。

元夫人が歌う『お嫁さんになってあげないゾ』

(赤江珠緒)う、うん・・・

(吉田豪)あの、なったから困ってるんですよ!っていう(笑)。

(赤江・大吉)(爆笑)

(赤江珠緒)あまりにも良く出来た感じの。

(吉田豪)良く出来た話なんですよ。すごい名曲なんですけどね。この曲がマイナスにとられちゃっているのがかわいそうで。いい曲なんですよ。ちゃんと僕もベスト盤買ってます!でも、ね。ToshIさんが『さすがですね。そこから来るとは思わなかったです。勉強します』って感じで。ちゃんと受け身をとってくれて。いや、本当にいい人なんですよ。なにを聞いてもバンプのとり方が見事っていうか。本人からすごいヤバい話をするわけではないんだけど、載せられるレベルでの話でちゃんとまとめてくれて。なおかつ、原稿チェックで直しゼロっていう。

(赤江・大吉)へー!

(吉田豪)『問題なしです』って言われましたよ。

(博多大吉)何ヶ所かね、ありそうなもんですけどね。豪さんのところはいろいろね。

(吉田豪)ありますよ。当然です。直しがあって当然なんですけど。しかもかなりこんなデリケートな話とかいろいろしてるのに。なんの問題もなかったです。

(赤江珠緒)キテレツ大百科までいきましたね。

(吉田豪)いきました。載りました。これも(笑)。

(赤江珠緒)今日ご紹介いただいたこのインタビューがヘドバンに。

(吉田豪)2万字バージョンでね。

(赤江珠緒)しかも10月29日に。

(吉田豪)まだまだ先です。すいません。

(赤江珠緒)発売なのに。たまむすびでも話していただいて。

(吉田豪)ヘドバン、いい人!シンコー・ミュージック、いい人!ちゃんとしてる!ToshIさんもいい人!

(赤江珠緒)いやー、なんか本も読んでみたいなってすごく思いましたね。

(吉田豪)洗脳。これ、ビジュアル系の悪口がすごいんですよ。洗脳してたMASAYAですね。MASAYAっていう人が、X JAPANっていうのがビジュアル系を作ったから、それがいかに酷いか?っていうのが『お前みたいな自我の強いビジュアル系のやつらは心もドス黒いから、黒いものしか着ない。ドラキュラみたいで本当に気持ち悪い。恐怖が強い、自我の強い人間だけが黒を好んで着るんだよ!』とか罵倒されまくる。罵倒フレーズが次々出てくるんですけど。それも確認したら、『いやー、実は書けないレベルでもっとすごいことをいろいろ言ってました』って。

(赤江・大吉)へー!

(吉田豪)大変だったと思いますよ。『お前が世界の若者たちをダメにした。極悪人!』とか言われ続けて。

(赤江珠緒)でも本当にキレイなね、声でね。YOSHIKIさんもその声はものすごく、ToshIさんの。

(吉田豪)ところが僕が『歌うまい』って褒めても、『いや、ぜんぜん。ぜんぜんダメなんですよ、僕なんて』みたいな(笑)。どこまでいい人なんだ、この人?っていう(笑)。

(博多大吉)謙遜にも程がありますね。

(赤江珠緒)いやー、これ楽しみに読ませていただきます。次回豪さんにご登場いただくのは11月19日水曜日ということで。今週はね、ToshIさんのインタビュー、ありがとうございました。豪さん。

(吉田豪)はい。

(赤江珠緒)吉田豪の月イチ豪外、プロインタビュアーの吉田豪さんでした。ありがとうございました。

(博多大吉)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました