Adoさんが2023年5月22日放送のニッポン放送『Adoのオールナイトニッポン』の中で東京国際フォーラムで開催された椎名林檎さんの『椎名林檎と彼奴等と知る諸行無常』ライブを見に行った際の模様を紹介。とある理由から、消化不良の思いをすることになってしまったと話していました。
(Ado)いや、本当に朝、私もね、なかなか弱いんですけど。朝、弱いんですけど、その分、私は夜、活発で。いろいろ出かけたりもするんですよ。最近だと、なんかいろんなところに出かけて……「よくカフェに出かけてる」とは言ったんですけど。最近あった、それこそ夜にあったイベントごとだと私、椎名林檎さんのライブに行きまして。『椎名林檎と彼奴等と知る諸行無常』のツアーのファイナルにお邪魔させていただきまして。まあ、お花を出させていただいたので。そちらを……「Ado、出してたよな」って思われた方もいらっしゃるかもしれないんですけど、見に行ってました。
でも私は一般席に普通にいたんですけど。一般席にのそのそといて。ちなみに会場を……ちょっと私、方向音痴気味なんで。初めて行った会場っていうのもあって、ちょっと迷ったんですけど。会場に入る時に「ああ、これどうしよう?」と思って私が取った選択は、取りあえず真っ赤なドレスを着た人に付いていったっていう。そしたら、ちゃんと林檎さんのライブに着きましたね。「あれは絶対に、林檎の色! 真っ赤な林檎の色!」って思ってついていったら、本当に林檎さんのライブだったんで(笑)。でもこれ、リスキーなんで、あんまりおすすめはしないんですけど。それっぽい人についていくっていうのは。
でもね、やっぱりファンの方ってわかりやすいじゃないですか。服装とか。まあ自分もね、前に行ったBLACKPINKのライブでは黒とピンクを着るっていうのをね、やっていたんで。たぶんその方もね、きっと林檎の赤を選んだと思うんですよ。まあその真っ赤なドレス以外の方も、本当にたくさんお客さんがいて。もう和装とかしてる人……着物とか、和装みたいな、優雅な。ライブでですよ? いいじゃないですか。めちゃくちゃかっこいい格好していたり。
あとは林檎さんの今回のグッズのタオルを巻いていたりとか。なんか林檎さんのグッズで3D眼鏡を発売されていたんですかね? なんか、映画館のっていうよりは、赤と青のあれ(笑)。誰しもが経験しやすいやつ。あれをそのライブ中に使うみたいな演出もあって、販売されていて。それをつけてる方もいて。「へー! それ、ちょっと私もほしかったな」って思っていたり。あとは、Tシャツを着ていたり、過去のグッズを持ってきている方とか、本当たくさんいらっしゃって。ライブ始まる前だけど、なんかお客さんでもう楽しいみたいな。これこそライブだな、みたいな気持ちでね、参戦していたんですけども。
で、ホールにつきまして。東京国際フォーラムに着いて。一般席なんでね、全然ど真ん中らへんにいたんですけど。私は。そこで私も、Adoがそこに紛れ込んでお客さんの様子を見ていたんですけど。まあ、席に座りまして。隣の左の人が目の前を通ったんですけど。その人がリュックを背負っていて。なんか一瞬、なんか……なんか見えたんですよ。その人の格好が目立っていたとかじゃないんですよ。別にライブTシャツとかで、タオルを身につけててっていう、ザ・ライブみたいな格好だったんですけど。目につく何かがあったんですよ。
「うん? うん、うーん?」って思って。まあ、そのまま開演まで待ってたんですけど。まだまだ待ち時間があるので、皆さん、荷物を下に置いていて。私も下に置いていたんですけども。で、スマホを使っていて、視線が自然と下に行った時に、その左側にいた隣の人がそのリュックを置いてたんですけど。なんか見覚えあるグッズをその時、私は見たんですよ。「なんだ、これ?」と思って私の目の解像度を上げて凝視したんですけど……Adoのアクキーをつけていたんですよ。「お、おおう……」ってなって。「ヤバい! Adoのアクキーだ」ってなって。
もちろん、その人はちゃんと「林檎さんのライブに来ました」っていう格好をしていたんですけども。Tシャツ、タオルに旗を持って。もういそいそと、楽しみにされていたんですけど。私はもう、それを目にした瞬間、「ヤバい、命が!」って(笑)。「命が」っていうか、「ヤバい、これは!」って思って、勝手にテンパるんですよ。しかもさらに、それがどんなグッズかっていうと、アクリルキーホルダーだったんですけど。私、アクリルキーホルダーを何回か出してるんですけど。
また、そのアクリルキーホルダーが何種類かあって。私の楽曲は基本的に主人公の、青髪ベースの女の子がMVに出てくるんですけども。女の子がMVになっていて。そのMVの女の子がアクキーでたくさん、ランダムで揃ってるよっていうグッズを出していたんですけど。やっぱり私のファンの方って、楽曲の推しとか。「この楽曲のこのキャラが好き」とか。たとえば『うっせぇわ』のこの子が好きとか。あの『うっせぇわ』の子は「ナイマちゃん」っていうんですけども。「ナイマちゃんが好きだよ」とか。
『踊』のおどちゃんが好きだよ、とか。最近だと『アタシは問題作』の問題作ちゃんが好きだよ、とか。いろいろとあるんですけども。で、その人がなにを、どのキャラクターをつけていたのか?っていうと、ファーストアルバム『狂言』収録曲の『ラッキー・ブルート』っていう楽曲の子と、『ドメスティックでバイオレンス』っていう楽曲の子だったんですよ。もうね、マイナーなんですよ。私の中では。「えっ、待って? その曲、知らないよ?」って方もいらっしゃるかもしれません。「あんまり聞けてないかも」って方もいらっしゃると思うんですよ。「よりによって、そこ?」みたいなチョイスをされていて。「ヤバい! ガチだ!」ってなって。
『ラッキー・ブルート』と『ドメスティックでバイオレンス』
(Ado)だって『うっせぇわ』『踊』とかじゃないの。『ラッキー・ブルート』と『ドメスティックでバイオレンス』ですから。だから、そこを選ぶってことは割とAdoの深層部分を聞いている人なわけじゃないですか(笑)。もう私はね、「ああ、ヤバい。私がなんか吐息でも漏らした際に、この人の耳にキャッチされたら全てが終わってしまう!」っていうので。なんか「林檎さんのライブ、楽しみ!」っていうハラハラと、「ヤバい、バレる!」っていうハラハラとがあって。すごいそわそわしちゃって。
で、やっぱりライブなんで。もう、これはどのジャンルのライブでも、なんですかね? 私、結構盛り上がりやすいタイプなんですよ。たとえばこの前、行ったBLACKPINKだともうみんな、4人が出てきた瞬間なんて「うわーっ!」とか言ったし。「言った」っていうか、「ほあーっ!」みたいな声、出たし。「リサ! リサがいる!」みたいなこと、自然と口に出てたし。「ジェニ! リサ! ロゼ! ジス!」みたいなこと、言っていたし(笑)。
初音ミクのライブに行った時は「ミク! ミクーッ!」とか言ったし。「ああ、マジか!」とか、声を出してますし。割と声、出す方なんですよ。歌いはしないんですけど。歌うにしても「ラララララー♪」みたいな、ちょっとAdoらしからぬ歌い方をするんですけど。そういうタイプなんですよ。やっぱり熱あるものには声を出してしまうタイプだから。そんなもん、憧れてる林檎さんのライブ……声を出したいのに、出せないっていう状況なんですよ。出せなかったんですよ……。出したかった。でも、抑えなきゃいけなかった。で、何回か、出そうになった。
もう『神様、仏様』でも出そうになったし。私、あとそれこそ『人生は夢だらけ』がめちゃくちゃ好きなんですよ。ミーハーかもしれないんですけど。『人生は夢だらけ』、本当にもう、なんですか? 高校生の時とか、家で1人でめちゃくちゃ歌ってて(笑)。本当に。で、林檎さんがYouTubeで公開されてるライブ映像とかも、めちゃくちゃ参考にしましたし。
「生で聞ける!」っていうので、もう感激状態。常に感激状態でしたけど「来た、この曲、来たーっ!」って。でも「来た!」って言えない!っていう(笑)。これ、心の中。でも、その隣のアクキーをつけている人は「うおっ、うおーっ! フォッ! イエーイ!」とか言っているの。「(拍手しながら)イエーイ!」とか言っているのに私は「パチ、パチ、パチ……」しかできないの。私だって「フォーッ!」って言いたい! 「イエーイ!」って言いたかった……(笑)。
だって私がそれで「フォーッ!」って言ったら、それでバレちゃうから。わかんない。たぶん、わかんないけど……「フォーッ!」でバレちゃうじゃないかって思って。出せなかった。しかもこの曲、『人生は夢だらけ』のいいところは、入りもですけど、ラストのもう、「奪われるもんか、私は自由ー♪ この人生は、夢だらけぇーーー♪」って。
ここで、もう「えぇぇぇーーー♪」ってロングトーンでカマしてきて。ゾワゾワゾワッて鳥肌が立つ、アカペラからの伴奏で盛り上げてしまいますよっていう演出が……それこそ「皆さん、はい。盛り上がってください! 声出してください!」っていう演出があるのに。私はそこで「キャーッ!」って言いたかったのに、言えなかった! どうしても、言えなかった……。「林檎さーん!」って言いたかったけどね、言えなかったのよ……。
ここ、関係者席じゃないんだから。全然、一般のど真ん中なんですよ。全く、もう。全くのど真ん中なの。声を出さず……もう、言いたかった。私だって「夢だらけえぇぇぇーーー♪ キャーッ!」って言いたかった。キツかった。本当に。そんな中、アクキー男は「フォーッ! イエーイ!(拍手)」って言ってるの! あんた! 「あんた!」って言いたかった(笑)。まあ、別にいいんだけどさ。ライブだからさ。言いたかったよ。私だって……クソッ! わかる! でも、うーん! みたいな(笑)。
もどかしい。もどかしかったんですよ、すごく。あの場に私は、いました。頑張って抑えていたんです。私は。一般席で。「熱が冷めてる客、いたな」って。もしかしたらね、「こいつ、熱が冷めてるな」って思う客がいたかもしれません。でも、それはきっともしかしたらAdoだったかもしれません。許してください。隣にアクキー男がいたんです。許してください。そしてそのまま、一言も声を漏らさず、私は東京国際フォーラムを終演後、去りました。っていう話でした。というわけで1曲、聞いてください。椎名林檎で『人生は夢だらけ』。
椎名林檎『人生は夢だらけ』
<書き起こしおわり>