町山智浩・赤江珠緒・山里亮太 11年間の「アメリカ流れ者」を振り返る

町山智浩・赤江珠緒・山里亮太 11年間の「アメリカ流れ者」を振り返る たまむすび

(町山智浩)いやいや、今はもう、何を言ってもね、そういうファンがワーッと怒ってくるんで。インド映画の『RRR』って、めちゃくちゃな映画なんですよ。史実を無視していて。そういうことを言うと、それで怒ってくる人とか、いるんでね。

(赤江珠緒)でも『RRR』も面白いってね、人気になっていますけども。

(町山智浩)でもインドの革命がなのに、ガンジーとか、出てこないんですよ?

(山里亮太)そこらへんが、そうか。突いていくと、ねえ。

(町山智浩)だってあの主人公2人で全イギリス軍をやっつけちゃうんですから(笑)。

(赤江珠緒)史実のわけないじゃんね(笑)。

(山里亮太)ファンタジーだから。

(町山智浩)そう。それぐらいは突っ込ませてくれよって思うんですけども。突っ込むと「愛がない」って怒られるというね。

(赤江珠緒)あと、町山さんには『ブルース・ブラザーズ』ね。これも「人類が見るべき映画ですよ!」ってご紹介いただいてね。

(山里亮太)ちゃんと見たら「たしかに。よくこれをスルーしてたな」っていうぐらいの名作でしたもんね。

全人類が見るべき映画『ブルース・ブラザーズ』

町山智浩・山里亮太・赤江珠緒『ブルース・ブラザーズ』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で山里亮太さん、赤江珠緒さんと『ブルース・ブラザーズ』についてトーク。ロケ地のシカゴやジョン・ベルーシとダン・エイクロイドを輩出したコメディー学校セカンド・シティ取材などについても話していました。...

(町山智浩)あれ、すごいんですよ。『スター・ウォーズ』より製作費がかかってるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ? 『スター・ウォーズ』より?

(町山智浩)あれ、どうかしているんですよ。

(山里亮太)たしかにド派手ですけど(笑)。

(町山智浩)その年で一番製作費のかかった映画なんです。『ブルースブラザーズ』って。ただ徹底的に街を破壊して、車を破壊してるだけなんですけど。それで僕、あの撮影現場に全部、行きました。なにからなにまで、全部回りましたけど。今、めちゃくちゃ怖いところでね、すごいギャングとかがいっぱいいるところにも行きましたけど。明らかにブルースブラザーズの格好で行ったんで、誰も襲ってこなかったですね。

(山里亮太)ああ、向こうも「ファンの人だな」って?

(赤江珠緒)それに対するリスペクトがみんな、あるのかな?

(町山智浩)「バカが来たんだ」と思われたと思うんですよ。「バカがうつるから、近寄らないようにしよう」と思われたんだと思うんですけども(笑)。

(山里亮太)それが一番いい防御策なんだ(笑)。その街を歩く上で。

(町山智浩)僕、いつもそういう格好して取材に行ってるんで、あんまり怖いことはないですね(笑)。

(赤江珠緒)なるほど。どっぷりとその世界に入ってしまってるとね。その方が……。

(町山智浩)向こうの方が「危険な人だ」と思ってるのかもしれないですね。どうかしてると思われてるという。

(赤江珠緒)あとね、町山さんにはやっぱりこの世界の歴史的なことを……「えっ、そんなこと、知らなかった」っていうことを映画で教えてもらうこともあって。私はあの『アクト・オブ・キリング』という、インドネシアで行われた大虐殺を描いたという作品ね。あれは見て、もうあまりのことに衝撃でしたもんね。

(町山智浩)1965年にね、インドネシアでクーデターが起こって。軍事政権がそれまでの……あれですよ。スカルノ大統領派と、共産主義側とかを徹底的に虐殺したんですけど。これね、デヴィ夫人に僕、直接会って話を聞きましたよ。その時の話を。デヴィ夫人も「本当に殺されると思った」って言っていましたね。

(赤江珠緒)ねえ。だから全然、はるか昔のことじゃなくて。「これ、ちょっと前のことじゃん」みたいなね。

(山里亮太)これ、衝撃だったもんね。虐殺していた側の人が嬉々としてインタビューに答えていて。その姿が。それと、この前にご紹介いただいたアルゼンチンの。それも見て。あれもすごかった。たしか本当におっしゃる通り、ディープな内容ですけど、めちゃくちゃ見やすくて。

(町山智浩)ああ、見てくれたんですか。『アルゼンチン1985』。あれは面白いんですけど。あれで1人ね、マーベル映画っていうのがあるじゃないですか。ディズニーが作っているやつ。あれのプロデューサーの女性のクビが飛んじゃったんですね。

(赤江珠緒)ええっ? 

(町山智浩)その人はアルゼンチンの人だったんで。プロデューサーとして、その『アルゼンチン1985』を作ってたんですよ。でも、彼女ディズニーの人なんですよね。それで『アルゼンチン1985』っていうのは、アマゾンの映画なんですよ。だから商売敵ですよ。でも彼女は、「アルゼンチンの人間として、これは作っておかなきゃいけないんだ。虐殺の真実を映画にしなきゃいけないんだ」っていうことで、プロデューサーとしてやるんですね。で、ディズニー側も「いや、それはわかるけど。でも、やっぱり商売気質なんで、ちょっとやめてくれない?」って言っていて。でも結局、彼女はあの映画でアカデミー賞にノミネートされて。それでディズニーは彼女を解雇せざるをえなかったんですね。

(赤江珠緒)ああー、そうなんだ。

町山智浩『アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判』を語る
町山智浩さんが2023年2月28日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判』を紹介していました。

(町山智浩)マーベルは最近、女性が主人公だったりして。今まではすごく男ばっかりだったところに、女性の監督とかをどんどん入れていったんですね。それをやっていたのが、そのアロンソさんっていうプロデューサーなんですよね。でも、もうそれだけでやっぱり、どうしても作りたくてっていうね。それで『アルゼンチン1985』でクビになっちゃいましたけど。

(赤江珠緒)信念ですね。

(山里亮太)そしたらでも、アマゾンが「じゃあ、うちに」ってならないんですかね?

(町山智浩)ねえ。共同制作時にできなかったのか?っていう。でも、配信するから、やっぱりどっちかしかないんだろうなって。

(山里亮太)モロにライバルだもんね。

(赤江珠緒)あと、日本のね、『あまちゃん』について熱く語るなんていう回もありましたね。2013年6月11日放送。

『あまちゃん』に激ハマり

(町山智浩)『あまちゃん』はめちゃくちゃハマりましたよ。もうクドカンさんに会って、もうバーッと『あまちゃん』愛をぶつけて。向こうもちょっと面倒くさいなって顔してましたけど(笑)。

映画評論家 町山智浩 『あまちゃん』を語る
TBSラジオ『赤江珠緒たまむすび』で映画評論家の町山智浩さんがNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』について語っていました。 (赤江珠緒)それでは毎週火曜日の『たいしたたま』、アメリカ在住の映画評論家 町山智浩さんのコーナーです。今週もカリ...

(赤江珠緒)でしょうね(笑)。宮藤さんもあの時、いろんな方にいっぱい言われたでしょうからね。本当にブームになりましたもんね。山ちゃんもハマってさ。

(山里亮太)俺、久慈まで行きましたもん!

(赤江珠緒)で、この1時の放送の前の、12時45分からの朝ドラの再放送があるでしょう? で、スタジオにテレビがあるんですけど。「そこのNHK、消して!」とか言って。見たくないからって。

(山里亮太)ネタバレになっちゃうからって。

(赤江珠緒)「帰って、ちゃんと見たいから」とかって言って。すごいややこしいことをあの時期、言っていたんです。

(町山智浩)『あまちゃん』はあの時、社会現象でしたね。僕、でも「三陸地震の後、鉄道を再開させるっていうのがありますよ」ってあそこで言ったら、当たったですよ(笑)。

(赤江珠緒)うん!

(町山智浩)「今後の展開を当てる!」ってやったんですけども。まあ、実際に起きたことですから、そうなるに決まっているんですけどね(笑)。

(山里亮太)そうですよね(笑)。あのドラマの中では我々、未来の人間ですからね(笑)。

(町山智浩)だってあの頃って俺、51かな? 『あまちゃん』のシャツを着ていましたよ。50をすぎて『あまちゃん』シャツを着ているなんて、どうかしているおじさんですよね(笑)。どこまでハマっているんだ?っていうね。

(山里亮太)あれはもう、本当にハマってね。みんな。

(町山智浩)だから結構、推し活とかやってる人たち、いっぱいいますけど。周りに。その気持ちがあの時、『あまちゃん』でわかった。「こんなに熱くなれるんだ」っていうのがね、すごぐわかりましたね。

(赤江珠緒)劇中歌の『潮騒のメモリー』はね、今日冒頭でもかかりましたけど。その元ネタなどなどの話もしてくださったりね。

(町山智浩)そう。あの時、ハマりましたね。

(山里亮太)懐かしい。『あまちゃん』、また再放送で始まるんですよね。4月から、たしか。

(町山智浩)素晴らしいですね。それももう、10年目なんだ。

(赤江珠緒)あれからもう10年!

(町山智浩)とんでもないですね。もう俺、還暦ですからね。

(山里亮太)みんな同じく歳を重ねていって。町山さん、でも変わらないっすね!

(町山智浩)TBSで始めたのって、すげえ古くて。何年に始めたのって……2002年か3年ぐらい?

(赤江珠緒)前の『キラ☆キラ』のその前からでしょう? 町山さんって。

(町山智浩)『ストリーム』があって。でも『ストリーム』も、レギュラーになる前にちょっと出てるんですよ。テストで。だからね、僕はTBSを20年ぐらい、やっているんですよ。

(赤江珠緒)ええっ、そんなに?

(町山智浩)大変ですよ、本当に。僕ね、娘がちっちゃい頃、娘を連れて日本に行った時があって。そしたら、ちょうど出なきゃなんなくて、本番に出てて。TBSラジオ。で、娘が妻の実家でそれをラジオで聞いていて。娘はラジオに向かって「パパ!」って言ってたんですよ。電話かなんかだと思ったみたいで。

(赤江珠緒)そうかー! もう、そのお嬢さんがね。

(町山智浩)そう。もう24ですからね。

(赤江珠緒)24でね、エブエブを見て泣く日が来るとは(笑)。

(町山智浩)あ、それでね、なんか僕、この時間ずっと居座ることになったみたいですね。

(赤江珠緒)そうなんです! これ、ちょっと重大発表でございますが。20年、いらっしゃる町山さん。来週から始まる新番組『こねくと』でも引き続き、お世話になります。ということで。

『こねくと』でも継続決定

(町山智浩)これ、大変ですよ。だって、お相手してくれる人が両方とも若い女性で。両方とも91年か92年生まれの人なんですよ。

(赤江珠緒)そうか。石山蓮華ちゃんとでか美ちゃんだ。

(山里亮太)でも2人とも、そういうサブカルチャーとかすごい好きな人なんで。町山さんとの相性、抜群だと思うんですけどね。

(町山智浩)ほら、でも山ちゃんとかと話してもブルース・リーがもう、亡くなった後に生まれてるじゃないですか。もっとすごいですよ。この2人は。

(赤江珠緒)そうですね。だから町山さん、昔のギャグとか言われても「それはちょっともうわかんない」って。

(町山智浩)全然わかんないです。だって『夕やけニャンニャン』が終わってから生まれてる人たちですよ?

(赤江珠緒)そうだね。『夕やけニャンニャン』を基準にするのもどうかと思いますが(笑)。

(町山智浩)話、通じないですよ。俺、恐怖に震えてますよ。大丈夫かな?って思って。なにも話が通じないんじゃないか?って。

(赤江珠緒)大丈夫ですわ(笑)。

(山里亮太)ちょっとでか美ちゃんに言っておこう。「ちょっと勉強しておいてよ」って(笑)。

(町山智浩)めちゃくちゃビビってます、はい(笑)。

(山里亮太)リスナーも喜んでいると思いますよ。「やった!」って。

(赤江珠緒)毎週火曜日「アメリカ流れ者」。初回のご出演は4月4日の火曜日から。『こねくと』でも引き続きお聞きいただけます。

(山里亮太)「アメリカ流れ者」のままなんですか?

(赤江珠緒)タイトルも変わらない?

(町山智浩)ああ、変わらないの?

(山里亮太)へー。まあ、我々もちょっと嬉しいですね。

(赤江珠緒)ということでございますので。町山さん、引き続きこの時間帯、よろしくお願いします。

(山里亮太)お願いします!

(町山智浩)こちらこそ。本当に長い間、お二人、お世話になりました。ありがとうございました。本当に……山ちゃんも頑張ってください。テレビの方も(笑)。

(山里亮太)ありがとうございます!

(町山智浩)赤江さんはね、お子さんと楽しんでくださいね。

(赤江珠緒)そうですね。町山さん、聞きますんで。

(山里亮太)僕もまた、映画見ます!

(赤江珠緒)ありがとうございました。

(町山智浩)どうもありがとうございました!

<書き起こしおわり>

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