山下達郎「僕は別にサブスクを否定しているわけではない」

山下達郎 アナログレコードのメンテナンスとコレクション管理を語る オールナイトニッポン

山下達郎さんが2023年2月18日放送のニッポン放送『山下達郎と上柳昌彦のオールナイトニッポン』の中でアナログレコードについてトーク。その中で「僕は別にサブスクを否定しているわけではない」と話していました。

(上柳昌彦)「レコードの良さ、音楽の聞き方」っていう。これはでも日常的にね。

(山下達郎)でも、本当にこのおっしゃっていた方は真っ当なご意見だと思いますけど。でもね、アナログがね、もう絶対に滅びると思ってたんですよ。僕は。CDですら、たぶん滅びると思っていたの。要するに、配信しか通用しない時代になると僕は予測したんですけど。あに図らんや。だってイギリスはあれでしょう? プレイステーションのソフトの売り上げよりも、アナログ盤の売り上げの方が超えたっていう。まだ伸びるっていう。もう、わけがわかんない。だったらね、でもいわゆるカッティングマシーンっつって、アルバムを作るマシーン。それが一番最後に作られたのって、1974年なんですよ。

みんな、それをメンテナンスして使ってるんですけど。それが新しい型ができないんですよね。そういうところは作らないで……だから「アナログ、アナログ」って言ってもね。だからそれだったら、3Dプリンターとか作ればいいんですよ。今、ロケットだって、3Dプリンターで作れる時代なんだから。なんで、そういうことしないのか?っていうのが僕の疑問で。

アナログブームと旧態依然としたカッティングマシーンのシステム

(上柳昌彦)だからその『SOFTLY』の発売がいろいろあったのも、アナログレコードの生産が混み合っていて、なかなかできないんだっていう風におっしゃっていましたよね。

(山下達郎)それのおかげで、プロモーションとツアーが重なっちゃったっていう。

(上柳昌彦)ラジオ局も出まくるわ、インタビューを答えまくるわで。竹内まりやさんが「あんなに働いてる達郎さん、見たことない」っていう風におっしゃってたんで。それはすごかったと思います。冒頭でもちょっと申し上げましたが、達郎さんのですね、『RCA/AIR YEARS Vinyl Collection』ということで。1976年から82年までのアナログとカセットでもう1回マスター&ヴァイナルカッティングで発売予定ということで。さかのぼっていくという方式で。5月3日の『FOR YOU』から始まって『RIDE ON TIME』になって『MOONGLOW』に行って、『GO AHEAD!』に行って、『SPACY』に行って、『CIRCUS TOWN』。それでまた、9月になりますとライブで『It’s A Poppin Time』。六本木のライブ。そして『GREATEST HITS OF TATSURO YAMASHITA』が出るという。

(山下達郎)要するに、ソロデビューした時にRCAっていうレーベルだったんで。そのプライベートライブでAIRっていうのを作りましたが。その時代の6枚のオリジナルとライブアルバム1枚とベスト物で全8枚なんですよ。要するに、その頃のアナログ盤はもうとっくに廃盤で、ないんですよね。そうすると、値がついてきて。ロンドンのディーラーからのメールを見たら『SPACY』が250ポンドだったんですよ。

(上柳昌彦)日本円でいうと?

(山下達郎)だから1ポンドが140円として……。だから、それはいかんということで。

(上柳昌彦)なるほど。そういう意味だったんですね。

(山下達郎)そうです。でも、2003年の『GOOD LUCK!!』の前の2002年にこのシリーズをCD化をはじめて、ちゃんとリマスタリングしてやった時に、アナログBOXっていうのを作ったんですけど。その時は「そんなもん、誰が買うんだ」って言われたんですから。それが今、そのアナログボックスがバカみたいな値段してますよ。なので、どうなっているんだ?っていうね。

だけど、さっき申し上げたみたいにそのカッティングマシーンは旧態依然のままで。プレスのシステムも旧態依然のままだっていうね。だったら、もうちょっと何とかすればいいんじゃないかなって。で、「サブスクしない」っていうのがさっき、ありましたね? 僕、別にサブスクを否定しているわけじゃないんですよ。非常に誤解があって。そういう切り取りがね。だから、僕はやりません。それはなぜ、やらないかっていうと、そのサブスクがいいとか悪いとかじゃなくて、その契約的な問題っていうか。

ワールドワイドの、もうちょっと要するに契約的な問題で。我々の音楽でご飯を食べていく上の契約的な問題がまだ、非常に不合理なんですよ。そういうようなことの話なんで。別にだからサブスクをやりたい人は、やればいいんです。それは止めないんですけど。僕はまだ、今のところはやりませんっていうことなんです。だから、それだけちょっと一言、申し上げて(笑)。

契約的な問題で自分はサブスクをやらない

(上柳昌彦)まあ、音楽は本当にタダで聞けちゃうっていう風に私の子供なんかもちょっと思ってるところもあるんでね。そうじゃなくて、ものすごいいろんな人の労力があるんだということをやっぱりわかってほしいと思いますし。

(山下達郎)そういうことを言うと「前世紀の遺物だ」とか始まるんで。

(上柳昌彦)なるほど。でも、あれですよね。『FOR YOU』からさかのぼっていくんですけども。この76年から82年というのは本当にどうなるものかと。はじめてみて、いろんなものがここに詰まってますよね。海外でいきなりやるなんて、とんでもない発想だと思うし。

(山下達郎)そうですね。

(上柳昌彦)それから、1人多重録音というのをね、これで『SPACY』あたりでしたっけね? やってみようなんていうことをやってみたりとか。それから、もう『GO AHEAD!』でやめようとか思っていたら、この中の『BOMBER』が売れて。で、次に続いて『MOONGLOW』なっていって。これがなかなかいい感じで売れてきて。で、『RIDE ON TIME』に繋がっていって。でも、その中でももう音楽の状況が変わっちゃって。自分の音楽、いつまで続けられるんだろうとか。やっぱり製作部長なろうかなとか、そんな時期ですよね? これね。

(山下達郎)そうですね。最終的にはスタッフになるつもりでやってましたから。

(上柳昌彦)というものがアナログとカセットで。

(山下達郎)人生はわかりませんよ。

(上柳昌彦)人生は本当わからないですね。

<書き起こしおわり>

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