山下達郎さんが2023年6月11日放送のTOKYO FM『サンデー・ソングブック』の中で亡くなったティナ・ターナーを追悼していました。
（山下達郎）で、訃報が相変わらずたくさん来ましたが。大物の方の訃報が届きました。ティナ・ターナー、享年83歳。もう大往生でありますよね。私、自伝なんかも読みましたけども。いろいろな苦労を経てですね、素晴らしいキャリアを残しました。ティナ・ターナーは素晴らしいシンガーで。この人の歌は何を聞いてもつまらないということが1個もないんですが。でも、いわゆる60年代、70年代はセクシーダイナマイトと言われましてですね。露出過多で、なんかキワモノみたいに言われてましたけども。
だけどとにかく歌の実力は素晴らしい。で、再ブレークしてからのリクエストカードが山のようにいただいておりますが。へそ曲がりのサンデーソングブックとしましてはアイク＆ティナ・ターナーの時代の作品を今日はおかけしたいと思います。アイク＆ティナ・ターナー。旦那さんのアイク・ターナーと奥さんのティナ・ターナー、夫婦デュオでございますけれども。でも、いろいろパワハラ、DV、散々な目にあったという。まあ、それはそれとしまして……アイク＆ティナ・ターナーの代表作、日本では何といっでも1966年のフィル・スペクターがプロデュースいたしました『River Deep Mountain High』なんですが。
これを1973年にアルバム『Nutbush City Limits』の中でですね、普通の演奏でやっている……私、これが大好きで。フィル・スペクターバージョンよりもこっちの方が好きで、こればっかり聞いておりました。1973年のアルバム『Nutbush City Limits』に収められております『River Deep Mountain High』。全然違うバージョンです。
Ike & Tina Turner『River Deep Mountain High』
（山下達郎）アイク＆ティナ・ターナー、1973年の『River Deep Mountain High』。今、聞くとこっちの方がいいですよ。本当に。で、アイク＆ティナ・ターナー……まあ、ティナ・ターナーですが。なにせ日本ではリリース数が圧倒的に少ない。特に初期は全くリリースされてないのでですね、知名度がいまいちなので。ようやく知名度が出てきたのが60年代後半のあの『Proud Mary』のヒットぐらいからなので。
それでも、いわゆるお色気路線という具合に解釈されていて。歌の本当の実力とか、そういうのがですね、なおざりされてるっていう、そういうものなので。で、僕自身、私事で恐縮なんですけど。ティナ・ターナーに興味が出たのがですね、ハンブル・パイの73年のアルバム『EAT IT』っていうアルバムに『Black Coffee』という曲が入っておりまして。これがすごく良くてですね。これのオリジナルが誰かな？っていうので調べたら、これがアイク＆ティナ・ターナーの1972年のアルバム『Feel Good』というアルバムに入っておりまして。これを聞いて、ぶっとびましてですね。
「いや、ティナ・ターナーってすごいんだな！」っていうことで、そこから集め出したんですけど、なにせ数が多すぎてですね。大変だという、そういう経緯でございます。それで当時は僕もお金がなかったので。20歳そこそこだったんでですね、お金がなかったんで。そういう時代でしたけども。この『Black Coffee』を聞くと、その当時のですね、アイク＆ティナ・ターナーに目覚めた時代を思い出します。1972年のアルバム『Feel Good』から『Black Coffee』。
Ike & Tina Turner『Black Coffee』
（山下達郎）アイク＆ティナ・ターナー、1972年の『Black Coffee』でございました。ティナ・ターナーの特集やろうかな？ アイク＆ティナ・ターナーのヒット曲を並べるだけでも55分、埋まっちゃうから、やってみましょうかね。ツアー始まったらです。はい。ご冥福をお祈りします。ティナ・ターナー、素晴らしいシンガーですね。本当に。
＜書き起こしおわり＞