吉田豪 アントニオ猪木の言葉「プロレスとは戦いである」を語る

吉田豪 アントニオ猪木の言葉「プロレスとは戦いである」を語る J-WAVE

吉田豪さんが2023年1月31日放送のJ-WAVE『STEP ONE』でアントニオ猪木の言葉「プロレスとは戦いである」について話していました。

(小林涼子)今週はですね、吉田豪さんから人生で得た学びについて伺っていきます。今日のテーマは「作品から学んだこと」。吉田豪さん、よろしくお願いします。

(音源スタート)

(吉田豪)私はこの作品から学びました。アントニオ猪木の「プロレスとは戦いである」という発言ですね。作品というよりは、本当にアントニオ猪木というプロレスラーの生きざまであり、いろんなものに影響を受けてきたんですけど。その猪木さんがよく言ってたのがこの発言なんですよね。

「プロレスとは戦いである」っていう。ものすごい曖昧な発言、曖昧なフレーズなんですけど。プロレスって、基本的に世間から「真剣勝負なのか? ショーなのか?」と言われ続けてきたジャンルで。それに対する猪木さんの答えが「プロレスとは戦いである」っていう。答えになってないんですよね。「えっ、どっちなの?って聞いてるのに……」って。「戦いである」っていうのはすごいフワッとしてるんですけど、間違っていないというか。

これがプロレスの真理

(吉田豪)これが真理だと思ってるんですよ。たしかにプロレスは基本的にはショーではあるけれども、そこには絶対に戦いの要素がなければいけないし、選手も強さを追求しなければいけない。そして対戦相手だけでなく、世間とも戦わなければいけない。そういう意味だと思ってるんですよね。で、実際にそれをずっとやってきたのがアントニオ猪木という人で。

で、僕が得意としているこのインタビューという仕事もちょっと似ていると思ってるんですよ。これも世間では真剣勝負だと思われて。「相手を潰しちゃってください」とか言われるんですけど……インタビューで相手を潰すわけなんて、ないんですよ。これはお互いのプラスになるような着地を探す作業なので、潰しに行くわけがない。

ただ、ジャーナリスト的なものだと思われて、僕がたまに政治家とかを取材すると「なんで潰さないんですか?」って言われるけども。「いや、潰さない、潰さない。むしろ、隙のある部分を引き出すのが僕の仕事」みたいな感じで。でも、お互いのプラスになるところを探す作業とは言っても、予定調和にしたいわけじゃないんですよ。

緊張感のある、戦いとしてのプロレスみたいなものをやっているつもりで。だから、そういう意味でアントニオ猪木の影響をすごく受けてるんですよね。ピリピリしながらも、お互いのプラスになるようないい着地を探す、相手がちょっとでも隙を見せたら、キツめの攻撃を入れたりもする。「何かあったら、やっちゃうよ?」っていう空気を出しながらも、最終的には「ああ、いい試合だったな」と思うようなことをしたいっていう。

だから僕にとってはこの言葉から受けた影響もデカいし。実は最近出たこの新刊『帰ってきた聞き出す力』っていう本の表紙に「『聞く』ことは『戦い』である!」って書いてるんですけど。それは、そういうことなんですよね。予定調和でもない。潰し合いでもない。戦いとしてのインタビューをやっているつもりで。猪木の影響を受けて頑張ってます!

『聞く』ことは『戦い』である

<書き起こしおわり>

吉田豪 アントニオ猪木を追悼する
吉田豪さんが2022年10月17日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でアントニオ猪木さんを追悼していました。
タイトルとURLをコピーしました