町山智浩 2022年アメリカ中間選挙・共和党の伸び悩みとトランプ前大統領を語る

町山智浩 2022年アメリカ中間選挙・共和党の伸び悩みとトランプ前大統領を語る たまむすび

町山智浩さんが2022年11月15日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で2022年のアメリカ中間選挙についてトーク。結果的に民主党が善戦し、共和党が伸び悩んだことを紹介しながら、トランプ前大統領の2024年大統領選出馬の可能性などについても話していました。

(赤江珠緒)アメリカ中間選挙、まだ最終的な完全な結果は出ていないということでいいんでしょうか?

(町山智浩)はい。出てないんですけれども。いつも中間選挙っていうと、その時の与党……だから今だとバイデンさんが民主党なんで。民主党がたくさん議席を失うというのがいつものパターンだったんですね。

(赤江珠緒)そうですね。政権与党にね、ちょっと逆風がっていうことが多いですよね。

(町山智浩)そうですね。で、特に今回はアメリカ、インフレがひどいんでね。ところが今回、そんなに民主党は議席を失わなくて。

(赤江珠緒)そうですね。上院はね、民主党が多数派維持ですもんね。

(町山智浩)維持で。前回、多数派でもなかったんですね。半々だったんでね。今回の方が議席を伸ばしているんですよ。で、下院の方も議席をそんなに大幅に失わないで……まあ過半数は取られるけれども。1、2議席の差で終わりそうなんですね。で、これはどうしてか?っていうことで言われているのは、まず7月にアメリカの連邦最高裁判所がですね、「人工中絶に関しては各州に任せる」という判決を出したんで。

それで各州がですね、人工中絶を禁止しまくっているんですね。いろんな州が。で、それは共和党に任命された最高裁の判事の人が9人中6人を占めているので、だから最高裁がこういう異常な結果になってしまった。で、それを食い止めなければ……っていうことで今回、女性がかなり投票に行ったということみたいですね。

(赤江珠緒)そうなんですね。

人工中絶禁止問題で多くの女性が投票した

(町山智浩)今、人工中絶を禁止している国って世界中でも本当に少ないんですよ。ポーランドと、あとどこかとか、そんなもんなんですよ。それを世界で一番進んでる国のはずのアメリカがやるっていうのは大変な事態なんで。これは食い止めなければいけないというのと、あとトランプさんを支持していて「この間の選挙がインチキだ」って言っている人たち。そういう人たちが結構今回、選挙に立候補したんですけど、かなり落ちましたね。

(赤江珠緒)そうでしたね。

(町山智浩)だからやっぱりそういうバカげた陰謀論を言ってる人をそのまま政治家にするのはマズいっていうことで。やっぱり健全な民主主義を守らなきゃっていう危機感みたいなものが動いたんだと思うんですよ。

(赤江珠緒)そうか。でもトランプさん、次にまた出る気があるってことなんですか?

(町山智浩)今回のトランプ支持の人たちの負けっぷりを見ると、あんまり出ても勝てそうもないんで。でも、トランプさん自身は出たいですよ。議員とかになると、不逮捕特権があるのでね。いろんなところで刑事起訴とかされたらヤバいから。だから議員になっちゃうといいんじゃないかっていう風に思ってるかもしれないですね。まあ、議員というか、大統領になればね、逮捕はされないんですよね。だからなりたいんだろうけど……共和党は彼が出てくると、勝てないんじゃないかっていうことで、降ろしたいというところはある気がしますね。

(赤江珠緒)たしかに。で、「今回の選挙もインチキだ」みたいなことをまたトランプさん、言ってますもんね。

(町山智浩)負けたらすぐ「インチキだ」って言うんですよ。

(赤江珠緒)それはもう、人としてどうなの?っていうね。

(町山智浩)本当に子供のような……。

(山里亮太)でも大統領にならなかったら、逮捕されちゃうんですか?

(町山智浩)今、いくつもいろんな形で……たとえば議会への乱入を扇動したってことでね、今、議会に召喚されてますんで。それを拒否したら、議会侮辱罪だし。逆に出て証言した場合にトランプさんっていつも、嘘も本当も適当に言っちゃうじゃないですか。でも議会において、事実でないことを言った場合、たとえ嘘をつく気がなかったとしても、それで偽証罪になりますから、やはり逮捕ですね。トランプさん、嘘を言わないで、事実でないことを言わないで5分以上、しゃべれない人なんで。出たら、確実に偽証罪になると思いますよ。

(赤江珠緒)そうですか。

(町山智浩)で、今回は「扇動をしたのか、しなかったのか?」っていうことが問われるので。実際に、しているからね。その日にホワイトハウスの前に自分の信者を集めて「今から議会に行け!」って言ってるんで。「言ったでしょう?」って聞かれて「言ってない」って言ったらその段階で偽証罪ですよ。

(赤江珠緒)そうか。

(町山智浩)で、「言った」って言ったら、それで扇動罪で国家反逆罪ですよ。だから、出たくないんです。

(山里亮太)そうか。出たら、確実になっちゃうから。

(町山智浩)そう。証言したくない。でも、しなかったら議会侮辱罪です。逮捕です。

(山里亮太)じゃあもう八方塞がりな状態なんですね。受かる以外、助かる道はないんですね。

(町山智浩)そう。大統領になれば不逮捕特権があるから(笑)。

(山里亮太)そのための大統領か。

(赤江珠緒)動機がおかしなことになってますけども(笑)。

経済政策とウクライナ支援

(町山智浩)まあ、出さない方がいいんじゃないかと思いますけどね。という感じで、だいぶよかったと思うんですよ。というのは今、非常に経済が悪い状態で。その場合、経済を何とかするってことで、いろんな経済政策を出してくるわけですよ。大統領が。で、議会がその上院・下院を大統領の政党じゃない政党に取られちゃうと、景気刺激策であったり、たとえばお金をつぎ込む時にその予算の上限を上げなきゃいけなくなるじゃないですか。でも、議会にそれを拒否されたら、止まっちゃうんですよ。政治が。でも、それを防ぐことができたんで今回、民主党が勝ったのはよかったと思うんですよ。経済政策がね、滞っちゃう可能性があったんでね。

あと、共和党は「ウクライナへの支援を拒否する」って言ってたんですよ。でも、それもなくなったんで、ウクライナ支援は続きそうなんで。まあ、なんとかなりそうかなと思いますけどね。今、ウクライナが優勢なんですよ。ロシアの撤退が現在、ガンガンに続いているんで。ここでもうひと押しすれば……っていうところなので。そうすると、ロシアに対する石油の輸出の制裁とかもどんどん、いい方向に行くだろうから。そしてウクライナからの小麦とかの輸出も正常化したら、ちょっと世界経済もまた元へ戻るんでね。だからここでやっぱりね、今回民主党がそんなに負けなかったのはね、よかったかなと思いますけどね。

<書き起こしおわり>

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