ピエール瀧さんが2022年9月20日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』の中で高校時代、友達と一緒に阪神タイガースの入団テストを甲子園球場で受けた話を紹介していました。
(高木完)瀧はだって阪神タイガースの入団テストを受けたことがあるっていう。それは最初に俺、リリーさんに聞いたのかな? 「ええっ!」って驚いたもんね。
(ピエール瀧)完ちゃん、阪神ファン?
(高木完)そう。僕ね、小学校の時から阪神ファンだったの。神奈川なのに。それはなぜか?って説明をスルと、あの頃は田淵が新人で、エースが江夏で。で、王・長嶋を三振に取っていて小気味いいっていうか。それと、漫画の『巨人の星』を見ていたら、花形満がちょっとかっこいい悪い役みたいな。ビートルズに対するストーンズみたいなさ。「花形の方がかっこいいじゃん」って。縦縞のストライプがかっこよくて。で、本物をちゃんと見たら、本物の阪神もちょっといけるじゃん、みたいな。1位じゃないけど、2位でいいところにいるみたいな、ちょっとかっこいいイメージがあって。その時台。昭和41、2年ぐらいかな。
(ピエール瀧)僕がその阪神の入団テストを受けたのは……。
(高木完)それはいつですか?
(ピエール瀧)18歳。高校3年生の時だから、ちょうど阪神優勝の年です。バース、掛布、岡田のトリプルバックスクリーンの時。あの時が1985年なんすよね。
(高木完)ああ、85。そうそうそう!
(ピエール瀧)で、その85年に僕、高校3年生だったんですよ。
(高木完)あの時が高3なんだ。
(ピエール瀧)で、高校で野球部だったので。それで野球部、現役はもう夏の大会。地方大会で負けちゃってますから。そこから夏休みをダラダラダラダラしていたんですけども。僕の同じ高校のピッチャーやってた奴がいるんですけど。そいつが「ちょっと、瀧。事件だ。阪神の入団テストがあるんだけど……」って。その、トライアウトというか。一般の人を集めて入団テストってちょいちょいやってるんですよ。毎年。
「今年、ちょっと見てみたんだけど……会場が甲子園球場だ。これは甲子園球場に立てるチャンスだ! 行こうぜ!」ということになって。で、もちろん阪神に入れるような技量はないですよ? 普通の高校野球をやっていた子、みたいな感じですから。それで、鈍行を乗り継いで阪神甲子園球場まで行って。もちろん事前に申し込みをしておいて。その封筒を持っていって、その日、阪神の入団テストを受けるっていう。
(高木完)それって、いっぱいいるの?
(ピエール瀧)参加人数がその年、200人ぐらいいたんですよ。本当に、地方のたとえば秋田県大会で決勝まで行ったけど負けちゃった準優勝のチームのセカンドとか。あとは大学までやってたんだけども、いよいよプロに入りたいけど、スカウトが来なかったし……っていうのでやってる2番手ピッチャーみたいやつとか。それこそ沖縄からやってきた……とか。シニアリーグの時に全国取ったことがあるみたいなサードのやつとかっていうのが結構、集まってきているんですよ。めっちゃうまそうなやつが。で、僕らはその中でも下の方なんですよ。もう現役も辞めてプラプラしてるし。
(高木完)まあ、でも応募すればそこに行けるんだ?
(ピエール瀧)そう。行けるんですよ。で、そういう人たちもいるし、賑やかしのおっさんもいるんですよ。
(高木完)ああ、「面白そうだから行ってみようぜ」って?
(ピエール瀧)それで阪神の入団テストだって言ってるのに、南海のユニフォームの上下で来ている赤ら顔のおっさんとか。だから、たぶん近所のおっさんがレジャーで来ているんですよ。
(高木完)そんな人でも受けさせてくれるの?
近所のおっさんがレジャー気分で入団テストを受ける
(ピエール瀧)一応、年齢制限はありますけど。そこをクリアしていたら、全部受けさせてくれます。ただ当時、高校生の僕から見たおっさんだから、もしかしたら30手前とかだったのかもしれないですけども。その人たちが全部、一堂に会してやるんですけど。一次テストがちゃんとあるんです。それは50m走。これは7秒5とかだったかな? それから、遠投。硬球を投げて70だか80メートルっていうのが一次テスト。基礎体力テストなんですよ。で、僕と一緒に行った友達はもう現役を退いてるとはいえ、まだ高校生の体力ですから。いきなりやっても、そのぐらいはクリアできるんですよね。
でも、そのおっさんたちが。南海のおっさんが「50メートル、よーい、スタート! はい、ゴール。12秒5!」みたいな(笑)。っていうようなおっさんたちが「ワヒャヒャヒャヒャ!」とか言いながら。「12秒5だってー!」とか言いながら帰っていくんですけども。その時にみんな、ガッサー!って甲子園の土を持っていくんですよ(笑)。
(高木完)ああ、なるほどね!
(ピエール瀧)で、その日の夜はたぶんみんなで居酒屋でその土を眺めて飲むんでしょうねっていう。「このおっさんたち、いい趣味してんな!」って思いましたけども。
(高木完)それ、毎年やってるのかな? まだ。
(ピエール瀧)僕らの頃はそうでしたけども。今はそういう一般の人には門戸を開いてないかもしれないですね。スカウトネットワークもたぶんあるでしょうし。
(高木完)それで、どこまで行ったんですか?
(ピエール瀧)で、僕は一次テストで受かって。二次テストになると今度はノックとバッティングなんですよ。で、ピッチャーはブルペンで投げるっていう。で、ノックはポジション別について。僕、ファーストだったんで、ファーストについて。で、各ポジションに5、6人ずついましたかね。それで……。
(高木完)一斉にやるの?
(ピエール瀧)一斉に。シートノック形式とかでやるんですけども。みんな、アピールしたいから。それこそさっき言った秋田県大会準優勝のセカンドみたいなやつとか、セカンドゴロを取ってファーストまで全力で投げてくるんですよ。近いのに。でも、そこで肩を見せないと……っていうんで。普通にフワーッと投げてもっていうんで、少しでもアピールするためにビューッ!って投げてきて。パーン!って取って。「痛えなー! なに、お前?」みたいな感じを投げてきたりとかして。でもみんな、めちゃめちゃ上手かったです。本当に。「俺、ちょっと恥ずかしいな」っていうぐらい、めちゃめちゃ上手いんですよ。
で、バッティングはバッティングでケージの中に入って。ちゃんと阪神のメットを貸してくれて。阪神のバッティングピッチャーの人は3列ぐらい。ケージが三つぐらいありますから。そこにみんな、ブワーッて投げるっていうのを1人、5球かな? それぐらい打てるんですけども。だから一応、そのメットをかぶってバッティングピッチャーの方の球をパコーン!って打ってきたっていうのが一番、僕の中でのいい思い出なんですけど。で、それを全員やるじゃないですか。で、その日のテストは終わるんですよ。それで後日、三次テストというか。「もうちょっと詳しく見てみたいという人は連絡します」っていうことなんですけど。たしかその200人いた中で、ピッチャーで1人かなんかが三次テストに呼ばれたらしいとは聞いたんですけど。
(高木完)1人だけってこと? その200人の中で?
(ピエール瀧)三次テストに呼ばれたのは1人ぐらいだって聞いたんですけど。結局、その1985年に入団テストでプロ入りした人は、ゼロです。
(高木完)それって、参加費もなし?
(ピエール瀧)参加費は……どうだったっけな? 忘れちゃいましたけども。
(高木完)そんだけ集めてるんだから、一応ありなのかもね。 何千円か。わかんないけど。でも、そういうのってあるんだね。「瀧が入団テストを受けた」っていう話を聞いたことあったから俺、もうスカウトをされたのかと思った。
(ピエール瀧)ああ、めっちゃ上手いと思っていたっていう?
(高木完)そう。自分で行ったとは思わなかったのよ。そんなの、あるとは知らないから。
(ピエール瀧)申し込めば、甲子園球場に立てるんです(笑)。トーナメントを勝ち抜かなくても。
(高木完)「瀧ってプロの人が見るぐらいの存在の人なんだ」ってずっと、そう思っていたの。自分で応募したのね。
(ピエール瀧)自分で応募して。思い出作りで行ったようなもんですけども。
(高木完)でも、その赤ら顔のおっさんよりはね。
みんな、甲子園の土を持って帰る
(ピエール瀧)みんな、だから結局、終わったらやっぱり土、持って帰るんですよね。みんな、もうガッシャンガッシャンやってるんですよ。土を集めて。そこで、阪神園芸の人。グランド整備する会社、阪神園芸の人がブワーッてトラクターみたいなので来て。「おう、お前ら、あんまり土、持っていくなよ? この後、練習あるんだから」なんて言われて。「すいやせん!」って言いながら、みんな土を持っていって……っていう。
(高木完)今だったらこうやって写真を撮って、インスタとかに上げちゃうんだろうね(笑)。
(ピエール瀧)まあ、そうかもしれないですけどね。でもその当時、写ルンですみたいなので撮った写真がありますよ。思い出で取ってあります。
(高木完)へー! じゃあ、それは入団テスト、本気で入ろうっていうよりも、にぎやかしまで行かないまでも……。
(ピエール瀧)高校最後の思い出にと言ったらあれですけども。
(高木完)ちょっとそういう旅行っていうことでもないけども。
(ピエール瀧)そうですね。その友達と……その「一緒に行こうぜ」って誘ってくれたピッチャーのやつって、実は僕に卓球くんを紹介してくれたやつなんですよ。
(高木完)ああ、そうなの? じゃあ、仲良しだね。
(ピエール瀧)そうです。卓球くんと同じ中学出身のやつで。そいつがいなかったら電気グルーヴもないんですけども。
<書き起こしおわり>