ケラリーノ・サンドロヴィッチ ピエール瀧 ナゴムレコードの思い出

ケラリーノ・サンドロヴィッチ ピエール瀧が語る ナゴムレコード時代の思い出 たまむすび

ケラリーノ・サンドロヴィッチさんがTBSラジオ『赤江珠緒たまむすび』にゲスト出演。ピエール瀧さんとナゴムレコードの思い出などを語っていました。

(赤江珠緒)本日の『おもしろい大人』。ゲストはケラリーノ・サンドロヴィッチさんです。ようこそいらっしゃいました。

(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)どうも。面白いケラリーノ・サンドロヴィッチです。

(瀧・赤江)(笑)

(ケラ)あんまり久しぶりじゃないね。瀧とはね。一昨日?先週かな?例の教えてもらった中華料理屋、行ったでしょ?

(瀧)あ、行った行った。

(ケラ)『昨日瀧さん、いらっしゃいましたよ』って言われて(笑)。

(瀧)そう。最近ね、ケラさんとご近所で。よく道端で会うのよ(笑)。

(赤江)あ、そうなんですか(笑)。でもお互い・・・瀧さんは10代の頃。ケラさんは、20そこそこ?

(ケラ)22かな?

(赤江)出会われて。どうですか?瀧さん、10代の頃。

(ケラ)あんまり変わってないよね。『畳』って名前だったんだよね。あの頃。

(瀧)だから昔はケラさんは、『畳さー、』って言って。

(赤江)あ、畳時代。

(ケラ)別にあれって卓球がつけたんでしょ?名前。卓球なんて気まぐれだから。たまたまいまピエール瀧だけど、もしかしたら畳だったかもしれないんだよね。『畳のたまむすび』だったかもしれない。

(瀧)畳のたまむすび(笑)。

(赤江)名称が(笑)。改めまして、ケラさんのプロフィールをご紹介させていただきますけども。本日のゲスト、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんは1963年、東京都のご出身でいらっしゃいます。アメリカなど海外のコメディ映画が大好きで、喜劇役者に憧れた少年時代を経て、学生時代から音楽活動を開始。『ケラ』名義でバンド、有頂天のボーカルをつとめる傍ら、1983年、インディーズレーベル『ナゴムレコード』を設立。筋肉少女帯や電気グルーヴの前身である『人生』、『たま』など多くの才能を発掘・輩出いたしまして、インディーズ音楽界を牽引されました。また劇作家、演出家としても活動されておりまして、93年に劇団『ナイロン100℃』を旗揚げすると、99年には岸田國士戯曲賞、2002年には読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞されます。その他にも、テレビドラマの脚本家、映画監督、執筆活動などなど、いろんなジャンルで活躍中のケラさん。今年7月にケラさんの生誕50年とナゴムレコードの設立30周年を機に、新生ナゴムレコードの立ち上げを発表。

(瀧)当然ね(笑)。

(赤江)その第一弾として、ムーンライダーズの鈴木慶一さんとのユニット、No Lie-Senseのアルバム『First Suicide Note』がまさに昨日、11月6日に発売されたというケラさんでございます。

(ケラ)すごい人みたいだね。これ聞いてると。

(瀧)結局なにがやりたいんだっていう(笑)。

(ケラ)会いたいよ、俺この人に(笑)。

(赤江)そうですか。すごいですよね、ケラさんね。もう本当に多才なケラさん。

(ケラ)自分がなにやってきたか、あんまり覚えてないんで。今日も昔の話を、とか言われて。昔の話はいいじゃねーか?って思うんだけど。

(瀧)いま、まさかの2人のTシャツのクラフトワークかぶりっていうね。

(ケラ)あっ、本当だ!

クラフトワークのTシャツかぶり

(赤江)本当だ!クラフトワークのTシャツ!

(瀧)『コンピューターワールド』と『ツール・ド・フランス』のTシャツっていう(笑)。

(ケラ)仲良しみたいじゃないか。

(瀧)そうだね(笑)。

(赤江)その多才なケラさんに・・・

(ケラ)イヤミですね(笑)。多才なケラさんにって(笑)。

(赤江)このリスナーの方がですね・・・

(瀧)それ、いいって!ケラさんのお話を聞いたほうがいいでしょ?

(赤江)このお店の名前を考えなきゃいけないっていうね。こういうの・・・

(ケラ)このお店の名前?

(瀧)デコレーションをする職人さんのお母さんがいて、職業としてやっていくんで、屋号を考えてくれって言われたんです。

(ケラ)『畳屋』!

(瀧・赤江)(爆笑)

(瀧)ほら!聞くだけ無駄だったでしょ!?いいんだって、振らなくて(笑)。でもケラさんね、その戯曲賞とかもらってますけど。僕が最初会った頃は・・・

(ケラ)(笑)。瀧、声でけーな!

(瀧)仕切りなおすっていう意味もこめてね(笑)。それで、僕らが『人生』ってインディーズバンドを静岡でやってた時に、ケラさんが『有頂天』で静岡に来て、対バンをやらしてもらって。それでナゴムレコードから人生がリリースされるようになるんですけど。僕らにとっては、ナゴムやっているケラさんとか有頂天のケラさんとか、ミュージシャンの側面でほぼ最初知り合って。その後、ナゴムをやめて、お芝居というか舞台の方にっていうところで。『あ、ケラさん舞台やったんだ。賞もらってる!』って。みんな、エーッ!?って話になって。

(ケラ)(笑)。

(瀧)『ケラさんが!?』っていう。

(ケラ)お互い様だよ(笑)。

(瀧)それがずーっと続けてて、いまやなかなかの重鎮ぶりに。

(ケラ)いやいや、年月が経つとね、みんなそれなりになるもんだよね。『あ、瀧がバットマンの格好して、ビルから飛び降りてる!』って。

(赤江)コマーシャルもね。

(ケラ)ビルから飛び降りれるような男じゃなかったよ!畳は。

(瀧)まあね。頑丈だな、アイツ!って。

(赤江)へー。でもケラさんも変わってらっしゃらないんですか?

(瀧)ケラさんももう、基本この感じの。でもケラさん、さっき言ったけど僕は18才で静岡で知り合っているから。有頂天、ナゴムレコードやってる時って、22才ぐらいだもんね。

(ケラ)お互い、ただの子供ですよ。

(赤江)でもね、人生もそうですけど、筋肉少女帯とか、たまとか、非常に個性的な人が集まってるじゃないですか。その人たちを、『こっちだこっちだ』みたいに?

(ケラ)当時はただの面白い人たちだったけど、こんな何十年も後にまだみんなやってるとも思わなかったし。卓球とは、初めて会った時、まだ高校生だったから。『卒業したら東京出ようと思うんですよ』みたいな話までして。人生相談的なことまでして。それがある時、ドイツで100万人の前でレコードをかけてるって聞いて。なんかお父さんみたいな気分になるよね。

(瀧)そうかもね。ケラさんは。ウチらだから、静岡から出てきて、東京に来たはいいんだけど知り合いがいないじゃん。誰も。東京の大人の人たちが。それが最初ケラさんとかだったから良かったようなものの・・・おかしな人だったら、おかしな方に。十分おかしな人だけど(笑)。

(赤江)(笑)

(ケラ)腹立つけどね。卓球もね!本当に。まあいいや、そのことは。

(瀧)まあね(笑)。

(赤江)バンドの先輩として、アドバイスとかあったんですか?

(ケラ)アドバイスなんてないよね?アドバイスしてたら、もうちょっとなんかやりようがあったと思うんですよ。カラオケで歌って踊ってたわけだから。

(瀧)でも、言っても22才とかそんぐらいの時にレーベルを運営してたわけですから。ちゃんと宝島とかにね、広告のページも1ページ出したりとかしてたから。で、毎回そこに出るのが、また『出ないお知らせ』っていう(笑)。

(ケラ)そうそう。出ないことを毎月告知して。

(瀧)出ませんよってことを、毎回お金払って告知してたっていう(笑)。なんだそれ?っていう話で。

(ケラ)それで広告費滞納してるんだから。世話ないよね(笑)。

(赤江)そんなケラさん。昨日発売の『First Suicide Note』から1曲、まずみなさんに聞いていただこうと思うんですが。ケラさん、曲紹介をいいですか?

(ケラ)では、『大通りはメインストリート』っていう当たり前のタイトルの曲を。

『大通りはメインストリート』

(赤江)『大通りはメインストリート』、お聞きいただきました。しかしケラさん、本当に個性的な集団をナゴムレコードでまとめる時に、こんなことあったよ!っていうような。大変じゃなかったですか?

(ケラ)いろいろあったけど、言えないこと多いですよね。悪いこといっぱいやってるよ。瀧たちは。よく生きてられるもんだって感じだよ。なんかね、パンクバンドとかいっぱいいたから、いじめられてたよ。人生は。

(赤江)あ、そうですか。

(ケラ)当時バスツアーで、一緒になっていろんなバンドが日本中を回るっていうのがあって。僕はそれ参加してないんだけど。CDのジャケット書いて逃げちゃったんだけど。そのバスの中でずっといじめられてたんでしょ?『テクノ!テクノ!』って。

(瀧)テクノっていうか、他みんなバンドだから。バンドメンバーでみんな楽器とかやるわけじゃないですか。ウチは当時、カセットとかMTR一発でやってたから。それが気に入らなかったんだろうね。『お前らみたいなのが』みたいな感じで。でもだいたいそういう人は、俺じゃなくて卓球に行くんだよね。

(ケラ)そうそうそう。卓球はね、いじめたくなるのはわかる。

(瀧)反撃しなさそうじゃん。あいつ。言っても俺、180くらい(身長が)あるから(笑)。

(ケラ)卓球が言い返す時っていうのは、楽しんでる時だからね。

(瀧)そうそうそう。火に油を注ぐからね。あいつ。

(赤江)面白いですよね。卓球さんもね。瀧さん、ケラさんの当時のエピソードで覚えてらっしゃるのは・・・?

伝説の『ケラさん、逃げて!』事件

(瀧)ケラさんもね、結構な怖い人たちに絡まれて。有名な話があって、あるライブハウスでウチら電気も出てて、ケラさんもいて。で、みんなでワイワイ話してたら、こわーい系のバンドのこわーい人がベロンベロンに酔っ払って、『おい、ケラ!』とか言って。胸ぐら掴んで、『オラーッ!』ってなってて。それでヤバい!って思って、その真ん中に仲裁に入って2人をわけて、『ケラさん、逃げて!』って言ったのが、元電気グルーヴのまりん(砂原 良徳)っていう。

(赤江)あ、まりんさん(笑)。

(瀧)『ケラさん、逃げて!』って言ったら、ケラさんがびっくりするぐらいの速さでピューッ!って逃げてって(笑)。漫画か!?っていうぐらいの(笑)。昔はそういうの、ありましたよね。

(ケラ)あったあった。みんなそんなに仲睦まじく楽屋で談笑している感じでもなかったですよ。意味なく派閥みたいなのがあったりとか。

(赤江)学祭みたいなノリじゃないけど、みんな集まって盛り上がる祭りみたいな感じかと思った。

(瀧)ライブハウスっていまほど安全じゃなかったもん。

(ケラ)無駄に危なかったですよ。

(瀧)あと、やってるとバンドをつぶしに来るとかね。

(ケラ)そうそう。俺、小銭を投げつけられたことあるから。痛いですよ。1円玉と言えども。思い切り至近距離で投げつけられると。

(瀧)なるほど。札にしてくれればいいのに。

(ケラ)そうそう。札ならね(笑)。

(瀧)小銭ってところがインディーズっぽくっていいよね(笑)。札束でぶん殴るんじゃなくて。

タイトルとURLをコピーしました