宇多丸『スヌープ・ドッグのお料理教室』を語る

宇多丸『スヌープ・ドッグのお料理教室』を語る アフター6ジャンクション

宇多丸さんが2022年3月3日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でスヌープ・ドッグが出したお料理本『スヌープ・ドッグのお料理教室 ボス・ドッグのキッチンから60のプラチナ極上レシピ』を紹介していました。

(宇多丸)そんなあたりで、リスナーさんにもひとつ面食らっていただきたいお話をしたいと思います。まず、メールから紹介しますね。「宇多丸さん、最近、日本でも発売になったスヌープ・ドッグの新刊『スヌープ・ドッグのお料理教室』をご存知ですか?」。

(宇内梨沙)タイトルのパンチ力がヤバい!(笑)。

(宇多丸)「……さっそく読んでいるのですが、洒落た料理、パーティーカクテル、地元料理などが小粋なスヌープ・ドッグの紹介文とともにレイアウトされていて、作らなくともとても愉快でアゲアゲな気分になります。ぜひ読んでみてください。というか、特集もご検討ください」ということで。実はこれ、こういう本が出るよっていうこと自体は僕、MXテレビでやっている『バラいろダンディ』で「スヌープがお料理本を出す」っていうトピックでやっていて。スヌープ・ドッグという方、元々はスヌープ・ドギー・ドッグという名義でしたが。今はスヌープ・ドッグ。1990年代から活躍を続ける、いわゆるギャングスタラッパーですね。元ギャングメンバーで。

でも今はもう50歳。1971年生まれのいいお父さんですし、非常に実は家庭的な男で、料理好きとしても知られていて。なんと、あのマーサ・スチュワートとずっと料理番組をやっているぐらいの、そういう人で。あ、ちなみに今年のスーパーボウルのハーフタイムショーでドクター・ドレーというスーパープロデューサーと共演して登場したスヌープ・ドッグ。いまだにアメリカでも誰もが知るスーパースター。そのスヌープ・ドッグがなんと、『お料理教室』っていう。これ、もう表紙とか、要所要所のスヌープのおどけた写真も最高だし。

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(宇内梨沙)ねえ!

(宇多丸)これ、どんな調子かっていうと、序文の一部を読んでみますね。「どっちにしても間違いねえのはドッグ様も食っていかなきゃいけないわけで。どうにかしてなにかしらを食うっていうことさ。それがバックステージにある食い物でクリエイティブになにか作らなきゃいけなかろうが、天国カリフォルニアに自宅に戻ってから旅先で見つけたレシピをリメイク&リミックスするのであろうが、方法はまちまちだけどな。そういう俺だからこうやって俺のキッチンで生まれる極上の料理のレシピをまとめてみんなにシェアするのはそう難しいことじゃない」みたいなことがあって。

「ビッグホーミーにまかせとけって。この世で最高の料理本にしてやったぜ。それが今、お前の手に渡ったっていうことだ。まず最初に空高く振り上げて気分を上げてくれ。これから自分の世界が広がる可能性に期待して、最初に何を作るかを考えてみな」っていう。これが序文です。

(宇内梨沙)すごいなー!

(宇多丸)最高なんですよ。でね、もう文章が超よくて。

(宇内梨沙)こんな感じでレシピがいっぱい書いてあるんですね。

(宇多丸)いっぱい書いてあって。ちょっと文章を挙げていくだけでも本当に楽しい本なんですけどね。

(宇内梨沙)料理ごとにちゃんと思い出みたいなのが書かれてるんですね。

レシピに添えられた文章が超おもしろい

(宇多丸)そうです。「ザ・ラスト・ミール・シュリンプ・アルフレード」っていう料理。「焦んなって。この料理の名前が『ゴッドファーザー』の情けねえ裏切り者・フレドの名前と似ているのはわかっている。でもボスらしい食事をする以上、ドッグファーザーのディナーテーブルには情けねえものは皆無。チームの連中とがっつり食事をする時にはワインを飲む手が止まらなくなって、部屋にいる連中と同じぐらい濃厚な食事じゃなきゃいけない。さあ、椅子を引いてがっつり食べる準備をして座ってくれ。長時間楽しむぜ」とか。もう、料理もいちいちおいしそうなのね。ミートボールスパゲッティ、すげえおいしそうだったでしょう?

(宇内梨沙)うん! 私、これは作ろうと思っています。

(宇多丸)作ろうとして、さっきメモしたりしてましたけどね。でね、これは翻訳も素晴らしくて。

(宇内梨沙)翻訳がすごいですよね。本当に。

(宇多丸)これ、KANAさんという名義で翻訳をされていますけども。このKANAさんはKana Muramatsu名義でいろいろな歌詞の翻訳とかもされていて。私たちが以前、前の番組の時に出した『R&B馬鹿リリック大行進 〜本当はウットリできない海外R&B歌詞の世界〜』っていうのでまさにKANAさんの訳が素晴らしいということでご紹介させていただいて。インタビューも載っていたりするので。気になる方はそのKANAさんのお仕事ということでもご注目いただければと思います。

そんな中でこれ、後半には先ほどのメールにもあった通り、カクテルの話が出てくるんですね。でですね、まずカクテルのコーナーでスヌープはこんなことを書いています。「俺の定番ドリンクと言えばジン&ジュースだってことは周知の事実。93年にデビューアルバム『Doggystyle』を出した時からタンカレー(ジン)をレペゼンしてきたし、今でも好んで飲んでいる。俺は世界で一番巨大なジン&ジュースを作ってギネス世界記録を樹立した男だぜ。まさにビッグボスドッグのスタイル。タンカレージンを使ってレイドバック」っていう。これ、曲の中のサビなんですけども。「レイドバックしてカクテルのレシピまで考案したんだ。タンカレーのジンはパイナップルジュースと俺のダチのパフィーのシロックウォッカとミックスすると最高にうまくなる。マーサ・スチュワートと組んで番組をやるようになってから、マーサにはたくさんのカクテルを教えてもらった」みたいなことを書いていて。

で、まず一発目はOGジン&ジュースっていうことでシンプルなジン&ジュース。「Rollin’ down the street, smokin’ indo(街に繰り出すのさ。○○を吸いながら)。その後の流れは知っているだろう? 仲間と一緒にリカーストアで酒を買い占めて飲みまくり始めた頃からずっとお気に入りのドリンクがこれだ。当時は俺と一緒に飲みたいなら割り勘が当たり前。その場の全員にカップを渡して歓迎はしてやるけども、少しでも金を出さねえなら若き日のスヌープ様は黙っちゃいなかった。札を数枚出してきたやつには俺の極上の調合の酒を味あわせてやるっていうのもありだったぜ」ということで。1993年のアルバム『Doggystyle』からスヌープ・ドギー・ドッグ『Gin And Juice』をお聞きください!

Snoop Dogg『Gin And Juice』

(宇多丸)はい。お聞きの曲は1993年、スヌープ・ドギー・ドッグデビューアルバム『Doggystyle』からシングルカットもされました『Gin And Juice』。このアルバム前後、プロデューサーのドクター・ドレーが今、流れているようなGファンクという音楽スタイルを完成させた頃でもございます。その代表的な1曲、『Gin And Juice』を聞いていただいております。先ほど言っていたスヌープ・ドッグのお料理本『スヌープ・ドッグのお料理教室 ボス・ドッグのキッチンから60のプラチナ極上レシピ』。こちらはなんと晶文社から税別3100円で出ています。すごく面白い本です。ぜひぜひ皆さん、お読みください!

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<書き起こしおわり>

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