佐久間宣行 年末年始特番制作とゾンビ化したADたちを語る

佐久間宣行 DJ松永病欠でラジオ代打の待機をしていた話 佐久間宣行のオールナイトニッポン0

佐久間宣行さんが2021年12月1日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の中で年末年始特番制作の地獄のようなスケジュールについてトーク。その中で発生するゾンビ化した「ADウォーカー」について、話していました。

(佐久間宣行)12月に入りまして。ここからテレビマンの動きとしては、まあもう本当にね、どのテレビマンもそうですけど……地獄です(笑)。だいたい年末年始特番、12月1週目ぐらいが撮るのの佳境か、撮り終わったぐらい。で、これからどうする、みたいな感じなんだけど。撮ってから編集にディレクターがもう続々入ってるぐらいで。だいたい2週目……10日前後に年末年始の番組はプレビューと言われる編集チェックを大量にやっていって。出来が良ければそのまま箱に入ろう。本編集に入ろう。出来が悪ければ、じゃあプレビュー2、プレビュー3……「おい、もう間に合わねえぞ!」みたいな怒号が飛び交う状態ね。

で、『ゴッドタン』とか僕が担当してる番組もご多分に漏れず年末特番があるので。今日、この放送は録音にさせてもらっています。1年に1回、録音させていただいているのは毎年『マジ歌』の収録が木曜日にあって。それが12月の1週目に『マジ歌』の収録があって。それがだいたいね、7時集合なんですよ。で、夜中まで撮るのね。リハをやって夜、シュートだから。もう、突入していくとたぶん昼ぐらいで俺が記憶を失っちゃうから。

そうすると、みんなADとかが困るから毎年、そうさせてもらっているんだけど。で、『マジ歌』とかはだから12月の1日目に撮って。10日後、1週間後ぐらいにプレビューして。そのまま、20日前後に編集して。だいたい毎回、クリスマスイブぐらいにミックスと言われる音をやって仕上げる作業をやって。で、まあ29とか30に放送するっていう。で、今年ね、『あちこちオードリー』スペシャルっていうのがあるんだけど。まあ、別にいいんだけど。30にオンエアーなんだけど、収録がゲストブッキング上、22しかブッキングできなかった。ゲストのスケジュールで。

だから22に撮ってからの1週間、俺はたぶん記憶がないと思います。フハハハハハハハハッ! だって22に撮ってから90分ぶんを仕上げなきゃいけないんだもん。それはね、もうみんな震えてます。我々は(笑)。だから、ラジオは明日だけど……(笑)。いや、そうなのよ。だから、我々が焦ってるのは佐久間チームはね、『マジ歌』を早めに仕上げないと、『あちこちオードリー』スペシャルの地獄の1週間がやってくるから。そこまでに無事に仕上げないと!っていうのでやってるのね。

『マジ歌』を早めに仕上げないとヤバい

(佐久間宣行)だからもう今から、12月は怖いです。あとね、今ね、本当にど真ん中で言うと……Netflixの『トークサバイバー』っていう発表されたやつ。あれ、3月に配信なんだけど。Netflixって、どこまで言ったらいいのかわかんないけど。世界にローカライズするじゃない? 翻訳とか。だからね、「佐久間さん、3ヶ月前納品です」って言われてて。だから年末年始特番と全く同じスケジュールなのよ(笑)。

それで俺は最近、毎日箱に入っているの。その『トークサバイバー』とかの。っていうスケジュールをやっているんだよね。だから編集が……そうだな。お笑い番組、特に『マジ歌』は結構大変。カット割りとかリアクションとか、全部編集し直してるから。でも、何だろうな? 一番大変なのは何かな? お笑い番組はさ、現場で面白ければさ、ある程度あれだけど。撮ってから物語を作んなきゃいけない系の番組がたぶん大変だと思う。

たとえば『笑ってコラえて!』の吹奏楽部の旅とかさ。ああいうさ、撮ったもので物語を作んなきゃいけないものっていうのが今、続々とディレクターがため息をついている時期だと思うよ(笑)。あと、今年はないけど……今年はまだね、編集所にちょっと空きがあるのよ。そんな、大々的に言っていいかどうか、わかんないけど。今年は、『ガキの使い』がないから(笑)。『ガキの使い』があると『ガキの使い』に……あれ、もうCCDが何台もあって。6時間とか7時間とかじゃない? だから、結構編集の箱を抑えるんだよね。

で、クリスマス前後かな? たぶんダウンタウンさんに見せるのは12月の1週目か2週目かもしれないけども。なんかその12月の1週目とかにダウンタウンさんに見せた後、仕上げていく時。編集所に『ガキの使い』のADっていうウォーキング・デッドが……(笑)。『ガキの使い』ウォーカーが結構歩くのよ。年末年始特番はだいたいウォーカーが歩くんだけども。その中でも、『ガキの使い』ウォーカーが歩くっていう(笑)。顔を見りゃわかるよ、やっぱり(笑)。

『ガキの使い』ウォーカー

(佐久間宣行)まあ、でも今はたぶん随分システマティックになってるから。そんな、今年じゃないけどね。今まで、昔ほどはなかったんだけど。初めて『ガキ使』が年末31日、6時間とかの特番やった時は、勝手がわかんないからとにかく編集所にね、それはもう『ガキ使』ウォーカーがあふれていて。で、『ガキ使』ウォーカーがあふれる=編集の箱を全部取られてるわけ。で、俺たち、そんなの知らないで余裕ぶっこいていつもの調子で編集をしていた年末特番組がちょっと直しがあると、「ええっ? 1週間、編集所がないの?」みたいな。「えっ? 『ガキ使』? そうか!」みたいになって。俺、その年の。年末特番、31日放送なのを31の夕方までずっと箱を待って。

結局箱がなくて……まあそれ、俺たちが悪いんだよ。余裕ぶっこいていたから。それで結局、テレ東の演歌番組のその演歌番組が……演歌番組ってほら、歌番組だからちょっと早めに終わるの。で、「スーパーを入れるのはこの箱じゃなくてもいいだろう? もっと安い箱で入れられるだろう?」って言って、頼み込んで。で、その箱を取っているところに俺のバラエティをねじ込んでもらって。DVっていうデジタル加工とかを全部一緒にやってもらったりして、なんとかオンエアーに間に合わせていたりしたけどね。

今年というか、去年ぐらいからそこまで編集も、その12時を超えてまでやらないとか。結構早めにローテーションを組んでるからそんなことないけど。まあ、それでも年末はね、みんな大変だと思うよ。だから『有吉の壁』スペシャルの人たちとか、大変じゃないかな? わかんないけど(笑)。たぶん『壁』ウォーカーが動いてるんじゃない? きっと。日本全国、東京中の編集所を(笑)。でもね、あともっと1個、一番大変なやつがあった。

もう番組が終わっちゃったから言っていいと思うけど。『黄金伝説』ね。『黄金伝説』の無人島、やってるじゃん。みんな。無人島やってる班は、そりゃあもう、顔が違うよ。『ロスト』よ。本当の『ロスト』(笑)。無人島にいるけど。何かに追われてるから(笑)。これはもうたぶん、タカトシとかオードリーとか言ってるからいいと思うけど。『黄金伝説』とかあの頃のバラエティって、各局あったんだけど。特に『黄金伝説』とかは結構長めに撮ったものをスタジオに流して。芸人さんとかのリアクションとかで厳選して編集していくっていうスタイルを取る番組があったわけ。

だからそうすると、ちょっと長めにやるから。なんだったっけな? 『あちこちオードリー』でタカトシとかオードリーが言ってた時は、なんか要は4時間特番のVTRが最初見た時、6時間か7時間あったっていう。3時間ぐらい多い。で、それを見て落としていくっていう。あと、あるバラエティによっては年末年始特番で……これはどのバラエティかは言わないけど。2時間特番だったら、3時間ぐらいVTRがある時点でもうおかしいじゃん? 本当は1時間半ぐらいでいいんだから。スタジオもあるから。

で、お客さんのアンケートで流すものを決めていくっていう番組もあったわけ。それ、だからアメリカの映画のスクリーニングみたいなもの。それを採用してるバラエティがあったのね。それってどの局のどれとは言わないけど。そいつらの顔は違ったね(笑)。なにせやっぱりほら、ADが自分の担当しているVTRがオンエアーされるかどうか、わかんないんだよ? だからそのディレクターを信じて編集してるけど、そのディレクターのVが「こいつの出来だったら、もしかしたらオンエアーされねえのかもな?」って思いながら付き合ってるみたいな。それはね、俺もADの頃とか、あったよ。やっぱり絶望的よ。

ADの絶望

(佐久間宣行)ディレクターは自分の責任だからいいじゃん。でもADは……俺、ADの頃に、明らかに俺の担当してるロケのディレクターの腕が悪いっていう時のその絶望的な気持ち。「この後、プレビューにこいつと一緒に行って、バキ打ちされて。何回も直して。で、何回も直しても結局スタジオでもウケず。たぶん俺が今、必死こいと一緒に付いてるこのVTR、流れねえだろうな」って思いながら12月ぐらいから2週間ぐらい、ディレクターと一緒に二人三脚でいる時の気持ち、絶望。だからね、どんなに大変でもディレクターが優秀だったら「これはウケるぞ!」って思ってるから全然耐えられるんだけど。そういう気持ちをね、たぶん今ね、日本全国のADたちが、ディレクターと一蓮托生で感じてると思うよ。

だからまあ、もしね、行くことはないと思うけど。編集所の近く……麻布十番とか赤坂あたりにいますから。テープの箱とか、いろんなものを持って目にクマをつけて歩いてるのはそれ、ADウォーカーなんで(笑)。12月のADウォーカーには皆さん、優しくしてあげてください(笑)。赤坂見附近辺、特にいるからね。ADウォーカーが(笑)。

<書き起こしおわり>

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