DJ YANATAKEさんと渡辺志保さんが2021年9月6日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でマーベル映画最新作『シャン・チー』のサウンドトラックに星野源さんとZion.Tの『Nomad』が収録された件についてトーク。その偉業について解説していました。
(DJ YANATAKE)先週、先々週といろんなヒップホップの事件があって。ちょっと暗いニュースじゃないですけども。大変なこともまた引き続き続いている最中ではありますけども。これはもう避けては通れない。俺らも1個1個、話をしたり聞いたりして日々、いろいろやっている感じなんですけども。ヒップホップっていう枠だけではないのかもしれないですけど、そういったものにものすごく明るいニュースが……僕はもうこのニュースを聞いてめちゃめちゃ興奮したんですよ! 鳥肌、立ちました。もう本当に「ええっ!」って声が出ちゃったもんね。
(渡辺志保)ですよね。私も出ちゃいました。
(DJ YANATAKE)それはなにかと言いますと、この番組にもご出演していただいたことがあります、かの我らがGen Hoshino。星野源さんがなんと、マーベル映画の最新作。超話題作のサウンドトラックに楽曲が入ったということで。これはもう、とんでもないことですよ!
(渡辺志保)快挙ということですね。だってあの天下のマーベルですから。
(DJ YANATAKE)『シャン・チー』という映画なんですけども。
(渡辺志保)初のアジア系ヒーローということで。
(DJ YANATAKE)まず最初にこれを僕、星野源さんのInstagramで知ったんですよ。たぶん12時とかに情報解禁だったのかな? で、すぐに「いいね」を押してコメントを……「ヤバすぎます! 熱すぎます!」みたいな。そんなのを書いたらすぐにLINEをいただきまして。で、「コメントありがとうございます。お伝えしたかったんですけども……」とか、いろいろと書いてあったんですけど。志保さん、知ってたらしいじゃないですか?(笑)。
(渡辺志保)私、知ってたの。ごめんなさい(笑)。
(DJ YANATAKE)ちょっと!
(渡辺志保)「ヤナさんにいつ言おう、いつ言おう?」って……。
(DJ YANATAKE)シホ・ワタナベ、信用できますね(笑)。
渡辺志保がライナーノーツを担当
(渡辺志保)ちょっとデカいニュースだから直接会った時に言いたいと思っていたんですね。でもこのご時、毎週このblock.fmもリモートだし。もうひとつのWREPのラジオの方もなんだかんだ、ちょっとこの間、2週間ぐらい前かな? 電話で対応してもらうこととかもあったので。ヤナさんに直接会わないまま情報解禁になってしまうと思って。それでお伝えするタイミングを逸してたんですけども。
(DJ YANATAKE)信用できますね。なんで知っていたんですか?
(渡辺志保)なぜかと言うと、この『シャン・チー/テン・リングスの伝説』という作品のサウンドトラックが出るんですよ。もうデジタルでは配信されてるんですけども。それのCD盤が9月17日に発売されて。なんと、そのライナーノーツを私が書いてるんですね。
(DJ YANATAKE)いやー、素晴らしいですね!
(渡辺志保)だからこういうことをあんまり話すとユニバーサルミュージックの方に消されそうなので。
(DJ YANATAKE)いやいや、逆に言えば信用できるっていう話なんで。俺、本当にガチで知らなかったからさ。
(渡辺志保)それで私も最初に「書いてください」みたいなこうメールをいただいて。本当にありがとうございます。こんなデカいプロジェクトにちょこっとだけでも携われて嬉しいですっていう。で、最初にトラックリストみたいなのが送られてきて。「ああ、リッチ・ブライアン、うんうん。ジェネイ・アイコね。アンダーソン・パーク、うんうん……」みたいな。まあアジア系のヒーローだから、ちょっとアジアンオリエンテッドなアーティストがバーッと並んでいて。「ああ、わかる、わかる」みたいな。それに混じって21サヴェージとかリック・ロスとかっていう超大物ラッパーの名前なんかも並んでいて。
「ああ、やっぱりここに入るのは、そうだよね。リッチ・ブライアンとか、そっち系のアジア系アーティストだよね」って思って見ていくうちに1人、「Gen Hoshino」って書いてあって。「えっ!?」と思って。「これ……あのGen Hoshinoだよね?」と思って。で、「ちょっと……もしかして違うGen Hoshinoさんが世界にはいるのかもしれない」と思って、書き進められなかったんですよね。そのGen Hoshinoが「星野源」さんなのか、わからなくて。
でも、ありがたいことに楽曲も前もって聞かせていただいて。それを聞いて初めて「ああ、星野源さんだ!」っていうのを確信して、それでライナーノーツを書き進めることができたという逸話がありました。
(DJ YANATAKE)なるほど。いや、本当に素晴らしいです。よかったです。で、なんでこんなに興奮してるかと言うと、僕も……まあね、本当にガチのPUNPEEくんとかに比べると申し訳ないぐらいのニワカなんですけども。マーベル映画のすごい大ファンになったんですよ。でですね、ひょっとしたら今回のこのGen Hoshinoがですよ、ここにいることのすごさをあんまり分かってないよっていう方もいるかもしれない。ということで若干、このマーベル映画の中に星野さんが参加されたことがいかにすごいか?っていう話をしたいんですけども。
まあ、このマーベル映画最新作『シャン・チー』。88risingっていうレーベルというか……レーベルの役割もあるし、マネージメントとか。あとはメディアの役割も果たしてるって言っていいですかね。ショーン・ミヤシロさんという方が立ち上げたというか、プロデュースをしているんですけど。その方が、要するにま中国系のアーティストとかを中心に、アジア圏のヒップホップを世界的に発信してるようなところがあって。それが結構、成功してきてるんですよね。で、その方々に今回のサウンドトラックのプロデュースがまず、依頼された。そういう感じですよね? 合ってますか?
(渡辺志保)そういう感じです。
(DJ YANATAKE)で、海外の、さっき志保さんが言ってくれたようなアメリカの人気ラッパー、シンガーも参加してるんですけども。その88risingの面々。名前で言うと、たとえばまリッチ・ブライアンとか、ニキとか、そういったメンバーも参加してるんですが。まず、それだけでももう当然、話題なんですけど。ここ数年でマーベルとヒップホップのつながりで大きく話題になったっていうのが2018年。『ブラックパンサー』っていう作品がありまして。
そのサウンドトラックをケンドリック・ラマーたちがプロデュースするということで、非常に話題になったんですけど。まず、この『ブラックパンサー』のアルバムの成功っていうのが非常にデカいと思うんですが。結構がっちりしたヒップホップアルバムでね。なんか、いわゆるサウンドトラックっていうよりはインスパイアード・アルバムっていうかね。そういう風に表記していて。それで今、この世の中、世界に多様性とか平等性とか、いろいろと言われている世の中じゃないですか。
ジェンダーの話もそうですし、体型の話とか、なんでもいいんですけど。そういうもの、とにかく多様性と平等性が叫ばれている世の中で、今まで自分が子供の頃、当たり前に接してきたような漫画とかドラマとか映画とか。それって当たり前に白人の男性が主人公だったじゃないですか。
(渡辺志保)そうですね。ヒーロー=白人でブロンドみたいなね。
(DJ YANATAKE)そうそう。それが当たり前だったっていうかね。特にアメリカのものとかを見たら、そうだったという。なんだけど、この2018年に『ブラックパンサー』で黒人のスーパーヒーローというものを作って。それがもう、歴史的な大ヒットをする。まあ、世の中の動きのバックグラウンドもあったわけですけども。そういった感じで実はマーベルは世の中の動きというものをめちゃくちゃ反映してるし。そういうものと、言い方はあれですけども、戦ってきたというか。近年、特にそういう動きがあるように感じるんですよね。そういうものと正面から向き合ってるっていうか。マーベルは。
で、その後、『ブラックパンサー』の成功もあったからだとも思うんですけども。マーベルはそういった意味で『キャプテン・マーベル』という作品。今度は女性が主人公、スーパーヒーローの映画も大ヒットさせるんですけども。女性がスーパーヒーローっていうだけでもね、俺らも「おおっ!」って新鮮に思っちゃぐらい、今までたしかにそんなになかったというか。そういったものがどんどん、でもこれからそれを見る子供たちにとってはそれがスタンダード。当たり前になっていくわけじゃないですか。それを今、マーベルがやってるっていうのが非常に大事なことなんですよね。そう思ったんです。
で、女性の地位向上とか、平等だとか、そういうこともいっぱい叫ばれていますから。そういうものにも向き合った作品とも言えると。で、今年になって『ブラック・ウィドウ』っていうね、元々マーベルの映画に参加していたキャラクターの女性が主人公となった映画も公開されたんですけれども。同時に今、また世界ではエイジアン・ヘイトクライムと言いますか。まあ、アジア人差別的なことでいろいろアメリカでも……まあ世界的なニュースになっていて。結構、声を上げる方もいろいろいらっしゃったんですけども。
多様性・平等性と正面から向き合うマーベル
(DJ YANATAKE)やっぱりさっき言ったようにマーベルが今、そういった多様性と平等性に本当に正面から向き合ってるなっていう意味で今回はなんと、アジア人初のスーパーヒーロー。それをアメリカメインでやる。それが『シャン・チー』という映画なわけですよね。アメリカのマーケットに向けて、アジア人がスーパーヒーローで主人公ってたぶんマジでないと思うんだよね。本当に。まあ、細かく言えば、詳しい人からすればマニアックなのはあるのかもしれないけど。この規模でっていうのはおそらくはないような気がして。本当にジャッキー・チェンとか、そういうのはあるかもしれないけども。
(渡辺志保)そうね。ザ・カンフーみたいな感じの。
(DJ YANATAKE)そこで、そういったものをちゃんとマーベルがさ、また88risingにこの映画のインスパイアード・アルバムを依頼するっていうのもちゃんとわかっているなっていうところがあって。で、そこに……正直ね、マーベルの作品を見ていて、めちゃくちゃの先の作品まで発表されているんですよ。「こんな作品ができる」っていうのが、2年後ぐらいまで発表されているんですよ。で、「ああ、今度は中国人のスーパーヒーローができるんだ」ってなって。アジア人初っていうのはもちろん喜ばしいけど、どこかね、やっぱり「日本のキャラクターもいつかは……」みたいな、そういう気持ちもあるんですけど。で、そのサントラを見た時に、ここに星野さんが参加してくれていたこと。さらには、日本語歌詞で参加してるんだよね。
(渡辺志保)そうね。大事ね。
(DJ YANATAKE)星野さん、この番組でも触れたことあると思うんですけど。やっぱり世界に目を向けていらっしゃるところがかなりあると思うんで。英語の曲も出したりしてるし。そういうアプローチも当然できたと思うんだよね。しかも絶対に世界で聞かれる作品だから。でも今、この立場、このポジションで。星野さん自信もマーベルファンであることをめちゃめちゃ公言されてる方なんで。いろいろ……まあ、知らないですよ。邪推ですけど。いろいろと考えられたと思うんだけど。ここでね、日本語で参加してくれたっていうのはなんかね、すごい嬉しかったですよね。
(渡辺志保)本当にでも、そうだと思います。私も最初、トラックリストを拝見して。さっき言った通り、ここに名前を並べるのは88risingのアーティストとアメリカのラッパーと、そんな感じだろうなと。日本人の名前はないよねって思いながら見てたところにGen Hoshinoっていう風に書いてあったから「はっ!」みたいな。ということですよね。
(DJ YANATAKE)だから、そういった意味ではマーベルも88risingも広くアジアをというところで今回のこの『シャン・チー』を見てるんだろうし。だからこれはもっともっと、本当に盛り上がってほしいし。今、今年アメリカもまだ大変なところだと思うんですけど。本当に映画館公開して今年一番の記録になっているのかな? 今ね。そういった作品ですから。
(渡辺志保)すごいこと。実際、拝見してどうでしたか?
(DJ YANATAKE)そう。私、昨日2年ぶりぐらいに……いろいろと相談しながら、ちゃんとマスクとかいろいろとして、IMAXに行ったんですよ。もう久しぶりに映画館で見た映画、めちゃくちゃよかったし。なんだろうな? もちろん僕も中国の人じゃないし、中国の文化の映し方とかが正解かは分からないんですけど。一応、アジア人の日本人の僕が見る限り、そういうなんか嫌な違和感みたいなのは全然なかったし。あと、いい意味ですごいカンフー映画だし。なんか、とりあえず男子は絶対好きですよ。
(渡辺志保)ああ、そうか。絶対にハマる?
(DJ YANATAKE)もう本当に、公開されたばかりなので見てほしいんですけども。でも帰りに……僕、本当にマーベルファンだっていうのもあるんで。大満足ですよ。言い方はあれだけど、カンフー、アクション映画としてもすごい完成度が高いし、話も面白かったし。そこにマーベルの世界観が入ってきたら、もう本当に大興奮みたいな。帰りに「おおーっ!」と思いながら、サントラを聞きながら帰ったんですけど。結構このZion.T&Gen Hoshinoの『Nomad』という曲がですね、すごい……「ああ、本当にこの映画の帰り道にぴったりだな」みたいな雰囲気の曲に感じられましたね。マジで。
(渡辺志保)すごい! そうなんですね。あともう1個、補足情報なんですけど。私、今回ライナーノーツを書かせてもらって。ライナーノーツって海外のアルバムが国内盤になる時に書くから、自分の書いた文章をそのアーティスト本人が読むことを想定してないんですよ。カニエ・ウェストのライナーノーツとか書くけど。
(DJ YANATAKE)ああ、そうか。それは面白い!
(渡辺志保)ドレイクのライナーノーツとか書くけど、ドレイクがそれを読んで「志保さん、あそこの表現、よかったっすよ」とかはないから。たまに国内のヒップホップアーティストのライナーノーツを書かせていただくこともあるけども、それは本当に稀なんですよね。で、だから私も、しかも今回も星野源さん、参加してるけど。それについて書いたけど。まあ、まさかご本人が読まないでしょう、みたいな。悪い意味じゃなくてね。読まないでしょうとか思って、いつも通りの自分のバイブスで書いてはいたんですけど。なんと「読みました」という連絡を私もいただいたんですよ。
(DJ YANATAKE)ああ、もう原稿がご本人のところに回っているんですね(笑)。
星野源さんから感想が届く
(渡辺志保)チェックされて。そこにも……わざわざそこで「読みました」っていうご連絡をいただいて。「ああ、スーパースターから!」っていうところで本当に鳥肌が立ちました。で、そのご感想なんかも星野源さんから直々にお伝えいただいたということもありますし。私もそこで直接、「この曲を聞いてどうでした」というのをGen Hoshinoさんにお伝えしたということもあって。なかなかそういった意味で、私にとっても感慨深い出来事でしたね。
(DJ YANATAKE)これ、もう本当に今年の音楽の重大トピックに絶対に残るべき出来事なので。まだ、もし聞いてないよっていう方がいたら、絶対にサントラもチェックして。僕は本当に映画、めちゃくちゃ楽しかったです。
(渡辺志保)私も早く見に行きたい!
(DJ YANATAKE)マーベルもさ、ヒップホップじゃないんだけどさ。もう後から後から考察する人たちがすごいたくさんいるのよ。
(渡辺志保)そうか。隠されたイースターエッグたちが。
(DJ YANATAKE)そうなのよ。もう、だから昨日、帰ってきてからもう間を見つけてはYouTubeとかで考察してる人のやつをいっぱい見ているんですけども。そこまでセットで楽しいし。また、その合間にサントラを聞いたりするのが今はめちゃくちゃ楽しいです。
(渡辺志保)わかりました。じゃあ、ここでヤナタケさんから曲紹介、いいですか?
(DJ YANATAKE)映画『シャン・チー』のインスパイアード・アルバムに収録されております。こちらを聞いてください。Zion.T&Gen Hoshinoで『Nomad』です。
Zion. T & Gen Hoshino『Nomad』
(渡辺志保)ただ今お届けしましたのは話題のマーベル最新作、映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説 The Album』から『Nomad』。Zion.T&Gen Hoshinoでした。いかがでしたか? 私はすごくGen Hoshinoさん、新しいフロウに感じたんですね。いつも星野源さんのシングルで出されるような曲とはまた違う味わいの楽曲だなと思って聞いてましたし。あと、いろいろツイートをたくさんいただいております。(ツイートを読む)「歌う前のハミングも好きです」。たしかに。
「志保さんのライナーノーツ、読みたい! 源さんも読んだんですね」とか。あとは「ライナーノーツ、もう源さんチェック済み。いつ、どこで見れるのかしら?」とツイートをいただいてますが、こちらは9月17日にCD盤。『シャン・チー/テン・リングスの伝説 The Album』のCD盤が発売されますので、そちらに封入されております。ぜひぜひチェックしていただけますと嬉しいです。
(DJ YANATAKE)僕も家に帰ってきてですね、カンフーの型を真似してやっちゃうぐらいよかったし。あと、なによりもこのZion.Tさんもそうだし、星野源さんもガチのマーベルファンで。
(渡辺志保)ああ、Zion.Tさんもね。
(DJ YANATAKE)そうらしいですね。いいですね。そういうのが伝わるんですよ。結局は。
(渡辺志保)そういうところがちゃんと結実するっていうことですね。素晴らしいですね。星野源さんにお疲れさまですと一言、お伝えしたいなと思います。
(DJ YANATAKE)おめでとうございますですね。
(渡辺志保)おめでとうございますですね。
<書き起こしおわり>